とある村の家での出来事
誰もいないはずの家にただいまと言って帰ってきた男は出たときとは明らかに違う家具の配置、散乱する食べ物に唖然とした。
部屋の奥にはもぞもぞと蠢く二匹の物体、ここ最近でやたら数を増やしている
ゆっくりだ。
「ゆっ!だれかかえってきたよ!」
「とっととにげるぜ!れいむ!」
男が呆然としている間に二匹は見事に呼吸を合わせて家具を利用し、自分たちよりも高い所にある窓へと飛んでいった。
「ありがとうおにーさん!おにーさんちのごはんおいしかったよ!」
「またたべさせてね!(ニヤニヤ)ゴチソーサマ!」
家に帰ってからたった数秒、男は多くの食料と小額の金銭を失ったのだ。
「これがお金ってやつだね!」
「そうだぜ!これさえあればいくらでもゆっくりできるんだぜ!」
そう言って二匹はある場所へ向かっていった。
とある農家の畑での出来事
その大根畑の中心には直径50cm程の大きなゆっくりが二匹いた。
「ゆっ・・!ゆっ・・!ゆぅぅぅぅ!!!」
「ゆゆゆゆゆゆ!!」
「「すっきりー!」」
二匹揃って爽快な顔になったと思うと途端に一匹から静かに蔦がはえた。
そこには豆粒のように小さなゆっくりが実っていた。
数秒後、それらは地面にぽとりぽとりと落ちて目を覚ましはじめた。
「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」
数にして15匹はいるであろうその小さなゆっくりは自分たちの親に向かってお決まりの挨拶を交わした。
「やっと私たちのこどもができたね!」
「これから子供達とゆっくりしようね!」
「まだまだだよ!これからもどんどんふやすよ!」
「ゆっ・・・!」
頬を赤らめながら話す親ゆっくり達と生まれたばかりで全てが新鮮な子供ゆっくり達。
精神的に満たされた彼らが次に埋めるのは肉体的な欲求だった。
「お腹すいたよ!ゆっくりごはんにしようね!」
「おかーさん!このしろいのなーに?」
「ゆっ!これはだいこんだよ!しゃくしゃくじゅわじゅわしてしあわせになれるよ!」
「ほんとう!?おかーさんいっぽんとってね!」
子供達に急かされた親ゆっくりは大根の葉をくわえて引っこ抜いた。
その初めて見る食料に目を輝かせて飛びつく子ゆっくり達
「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」
「うっめ!めっちゃうっめ!これ!」
「もっとたべてね!もっとぬくからね!」
子供達の笑顔がうれしいのかひたすら周りの大根を抜いていく親ゆっくり達。
青々しい大根畑がみるみる茶色になっていく。
「こんなおいしいものをつくれるなんておかーさん達すごいね!ゆっくりしたおかげだね!」
「あたりまえだよ!なんせゆっくりおかあさんだからね!」
子供達に対して慣れないウインクをする親ゆっくり。
それが滑稽なのかもう一匹の親ゆっくりと子供達は大声で笑い出した。
「ゆっゆっ!なにやってるの!へんなかおー!」
「おかーさんのかお、へん!へん!ゆぅゆぅゆぅ!!」
「へ、へんじゃないよ!おかーさんにあやまってね!ゆっくりとあやまってね!」
ぷー、と顔を膨らませて怒りを表現する親ゆっくり。
だがその顔には本当の怒りなど少しも感じられなかった。
「お、おまえら!なにをやってやがる!」
突如後ろから怒鳴り声が聞こえた。この畑の主だ。
やたら畑で大きな笑い声がするから不安になって来てみたらこの様とは・・・
農場主は怒りよりも落胆の方が大きいのか怒鳴った後、肩をうなだれたままその場に突っ伏してしまっている。
「ゆっ!みんなおかーさんの口の中に入って!いそいでね!」
「きゃー!おかーさんにたべられちゃうよー!」
「たすけてー!」
緊急事態だと認識していないのかちゃらけてきゃっきゃっとはしゃぐ子ゆっくり達。
「ふざけてるとゆっくりできなくなるよ!」
「あのひとたちにつかまったら本当に食べられちゃうんだよ!」
「えっ・・・うそ・・・!」
「いやだぁ!ゆっくりしたいよう!」
「だからはやくおくちのなかにはいってね!」
子供達全員が口の中に入ってるのを確認した親ゆっくり達は一目散にそこから逃げ出した。
この窮地にゆっくり達は一体どこへ逃げていくのか。
「ねえ、うわさにきいているあのゆっくりプレイスに行ってみない!?」
「ゆっ!そうだね!こどもたちといっしょにうわさのゆっくりぷれいすにこぎいでよう!」
「ゆっくりプレイス♪ゆっくりプレイス~♪」
「だいこんある!?だいこんある!?」
「きっとおいしいたべものがいっぱいだね!」
「いざゆかん!すばらしいゆっくりプレイスへ~!」
「「「「「ゆーっ!」」」」」
一同は高らかに声を上げてある場所へと歩みを進めた。
とある町の市場での出来事
「う~う~おっひるごっはんはプディンプディン~♪」
いつもと同じように紅魔館のメイドさんにくっついてスキップをしてるのはここ周辺でもっともわがままな存在、れみりゃだ。
「うがお~た~べちゃうぞ~!」
そういって市場の骨董品をしっちゃかめっちゃかにしていくれみりゃ。
それでも彼女に文句を言える輩などそこにはいなかった。
「いいですかお嬢様、ここで静かに待っていてくださいね。いまここで幻想郷一と名高い銘菓、ゆっくりプリンを買ってきますからね
いつも通りいい子にしていてくださいね♪」
瀟酒で可憐なメイド長、十六夜咲夜がこのれみりゃを溺愛していたからだ。
もしれみりゃに注意の一言でもしようものなら自分の命日も把握せぬままに映姫の裁判にかけられるかもしれないのだからたまったものではない。
そんなわけでれみりゃは戦わずしてこの周辺で最強の称号を手に入れていたのだ。
「うっう~♪いらないいらないたべれない~♪」
次々と市場にあるプリン以外の食べ物という食べ物に土をまぶしていくれみりゃ。
そんな彼女の耳にギリギリ届く様な声でとある会話が聞こえて来た。
「ここ最近やたらゆっくり達を森で見なくなったが連中どこにいったんだ?加工所がとうとう根絶やしにしちまったのかなあ。」
「いや、どうやら絶好のゆっくりスポットだとかいうのを見つけたらしい。そこに行け森よりも圧倒的に安全にゆっくりできるらしい。」
「へーゆっくりのメッカねえ。で、その迷惑スポットは一体どこなんだ?」
「あそこだよ、ここ幻想郷で最も有名な場所。」
「神社?博麗神社か!?はー、巫女もおかしなことをするもんだ。」
「まああれだけのゆっくりが消えて静かになってるんだから悪いことは無いだろう。きっと相当ゆっくり出来るんだろうな」
話を聞いていたれみりゃはその大量にゆっくりがいるとかいう神社に行ってみたくなった。きっとおなかいっぱいでゆっくりできるだろう。
「うー!うー!れみりゃもいきたい!れみりゃもいきたい!」
「うわ!びっくりした!・・あー・・お嬢様?ここから神社まで行くとしたら相当時間がかかりますよ。いいんですか?」
「つれてって!れみりゃをじんじゃにつれてって!うー!うー!」
「でも咲夜さんはここで待ってろっておっしゃってたじゃないですか。」
「いいのー!ゆっくりしにいくのー!さくやなんてしらない!!うー!!」
「じゃあ仕方ないですね、私の式神に案内させますんでついていってください。夕方頃にはつきますよ。」
「うっうー♪ゆっくりーゆっくり♪」
楽しそうに歩いていくれみりゃを見ながら男は静かにつぶやいた。
「ゆっくり・・・していけるかしら?」
ここは幻想郷のはずれにある博麗神社
いつも参拝客が来ないことで有名な信仰とは無縁な神社だがここ最近人間でも妖怪でも、ましてや幽霊でもない客が
わらわらと神社に集っていた。
「やっとついたよ!」
「今日もゆっくりたどり着いたね!」
そこには神社が何を奉る為のものかも知らないであろうゆっくり達が群れをなして階段を上っていく姿が見えた。
ゆっくりが神社に集うこと自体衝撃的だがそれ以上に驚くべきことは彼らが各々に賽銭をくわえてるということであった。
「はーいお賽銭はこの箱の中ねー。入れた後はこの看板のことをしっかり守ること。読めなかったら私に聞きなさーい。」
大声でゆっくり達に呼びかけているのはここの神社の巫女さん。
最近の参拝客の量の為、巫女さん自ら参拝列の整理を行っているのだ。
ゆっくり達が集っている場所は賽銭を入れる賽銭箱だけではない。
この神社における重要なルールが書き込まれている看板、その文章を必死に理解しようと皆で集まり話し合っているのだ。
はくれいじんじゃのるーる
①じんじゃでしょくじしてはいけない
②じんじゃでこうび、しゅっさんしてはいけない
③「おねーさんのいえ」にはいってはいけない
④けんか、ともぐいをしてはいけない
⑤じんじゃのものをこわしてはいけない
⑥おねーさんになまいきなことをいわない
⑦「れいむ、れーむ」といってはいけない
⑧さいせんはかならずもってくること
これらをまもれなかったらにどとゆっくりできません
ゆっくりでもなるべく読めるように全てが平仮名で書いてあるその注意書きを真剣に読むゆっくり達。
そのほとんどが親や友人の連れとして神社に訪れた所謂新参者だ。
つまり守らないものがどのような「カタチ」となったかを人づてならぬゆっくりづてで知っているもの達だった。
しかしこのルールさえ守れば神社はゆっくり達の桃源郷そのものだった。
仲違いがそもそも禁じられているのでそれによる自身の破滅はまず存在しない、その上常時巫女さんがいるこの環境においては
外敵の攻撃からも守られることが保証されていた。
「他人の手で神社が餡子まみれにされたらたまったもんじゃないでしょ。」
巫女さんの本心はこれ一つで別にゆっくり達が愛おしいわけではなかったのだが。
今神社内で遊んでいるゆっくり達は全部で70はいるであろうか。どれも転がったり積み重なったりしていてルールを犯す様な行為をしているものは
一匹もいない。
しかし、彼らはゆっくりだ。100体のゆっくりの中に言いつけを守れる者が何匹いるのか。
神社で静かに遊んでいるゆっくり達が賢いゆっくり達であるということを巫女さんはしっかりと理解していた。
「・・・ってね・・・」
突如巫女さんの眼が光った。
その様子を見て軽く恐怖する賢いゆっくり達。
またか、またやってしまったのか。
巫女さんの住居、その台所では村でこの神社の噂を聞いてやって来た二匹のゆっくりが手際よく食料をあさろうとしていた。
「まりさ!ここらへんで甘い匂いがするね!」
「おう!れいむ!このにおいはきっとだいふくだぜ!」
まるで自分の家のように食べ物をあさっている彼らだが彼ら自身はそこを自分達の家だとは思っていない。
彼らはそれを理解できる程賢かったのだ。
惜しむらくは
「ゆっ!?」
彼らが
「なんなんだぜ!?」
その神社の巫女さんの恐ろしさを知らなかったという
「何してんのあんたら・・・」
無知さにあった。
「「むぎゅっ!」」
突然空中を飛んで台所にやって来た巫女さんにあっけにとられたゆっくり二匹はがっしりと巫女さんに握られた後
思いっきり地面に叩き付けられた。
「な、なにをするんだ・・ぜぇ!?」
有無をいわさず地面に仰向けになったゆっくり達を踏みつける巫女さん。
その姿はまるで水蜘蛛に乗る忍者のようだ。
「お、おねーさんおこらないで!おなかがすいててついやっちゃったの!もうしないからゆるして!」
「わるかったんだぜ!もうにどどとしないからかんべんしてほしいぜ!」
二匹は頭で考えていることとは全く逆のことを口にしている。
賢い彼らは捕まった時点で謝ることに徹する。
それが今までかろうじて生きて来た術だったのだ。
「あんたらが逃げないっていうなら足をどけてもいいわ。それに面白いものも見せてあげる。」
「ゆっ!にげないよ!それに面白いものも見たいよ!」
「わかったぜ!おねーさん!まりさもれいむも逃げないぜ!やくそくはまもるんだぜ!」
今度の二匹の言葉は嘘ではなかった。それは面白いというものに対する好奇心が彼らの警戒心よりも大きかったからだ。
静かに足をどけて戸棚の方へ向かう巫女さん。
巫女さんが手を伸ばした戸棚はゆっくり達よりも遥かに高い位置にあった。
そこから出て来たのは豆大福。ゆっくりの予想は見事的中したのだ。
「ゆっ!大福だ!おねーさんそれがいいものなんだね!」
「はやく!はやくそれをよこすんだぜ!はやく!」
その台詞よりも後か先か、巫女さんは皿の上の豆大福を一人でかつかつと食べてしまった。
「あー!れーむのだいふくぅー!」
「なにをしてくれるんだぜ!ひとりで食べるなんていやしいぜ!」
「だれも今のが良いものだなんて言ってないわよ。いいものはこれ♪」
そういって巫女さんは一枚の紙をゆっくり達の眼前に晒した。
それはゆっくり達に対するこの神社での身の振りを示したあのルール表だった。
「なにこれ!こんなの食べれないよ!れーむはこんなのいらない!」
「そうだぜ!それより大福はもう無いのかだぜ!」
好奇心に続いて苛立ちが彼らの賢さを阻害する。すでに彼らは食欲に左右され懸命な判断が出来なかったのだ。
「お賽銭はある?」
「ゆっ!?さいせん?それならあるよ!」
「そうだぜ!これがあればここでなにをしてもいいんだぜ!」
そういって渡された巾着には合計300円の賽銭がちょこんとはいっていた。
「そう・・・かろうじて物も壊れていない。③、⑥、⑦ね。」
静かにそうつぶやいた巫女さんはその長い袖から無数の赤い札をゆっくり二匹に向けて放った。
「ゆぅ!なにこれぇ!ぶべっ!うぶ!」
「あわわ・・ぶっ!うぎゅう!やべてえ!」
みるみるお札に包まれていく二匹。一見すればまるでミイラのようだ。
「この神社で守るべきことを守れないゆっくりはゆっくりする必要なんて無いわ。だからといってすぐに閻魔に送るのも気が引ける
約束を三つ破った罪、余生で償うのね。」
「いやだぁ!まだゆっくりしたいよぉ!しにたくないぃ!」
「だからまだ死なないってば。ゆっくりしてなさい。餓死するまで。」
「おねがいだぜ!助けてほしいんだぜ!おねがい・・・!お願いだから・・・!たすけてぇぇ!!!」
「10万!」
「ゆっ!?」
「払えたら許してあげる。ペリカでも可」
「さっきのお金!さっきのお金でぇ!」
「お金をなめんな。あれの300倍でも足らんわ」
「そんなの無理だよお!!お願いだしてえ゛え゛え゛え゛!!!」
「じゃあね♪」
「「いやああああああああああああああああああああ」」
神社から同族の悲鳴が聞こえる。今度は一体どんなことになったのだろうか。
しばらくすると巫女さんが神社から出て来た。何か二つを抱えている。まさか・・・
「みんな集合!この新博麗神社名物お札饅頭を食べたい人!」
巫女さんの手には直径15cm程の大きな球体二つが握られている。
「だしてぇ・・・いいこにしますからぁ・・・だしてぇ・・・!」
「たすけてぇ!だれかたすけてぇ!」
微かに球体から聞こえる声。いったいどうやってあんなに小さくまとまっているのか。
それを考えるだけでゆっくりたちはある意味お腹いっぱいになった。
「どうしたの?みんな元気ないねえ?食べない?」
全力で首を横に振るゆっくり達。その様子をみて巫女さんはにっこりと笑顔を作った。
「そうだよねえ、ここで物を食べたら罰則だもんね!皆はよくわかってるなあ!」
そっちじゃないよ!
流石のゆっくり達もそう突っ込みたかったが眼の笑ってない巫女さんの笑顔がゆっくり達に何もさせようとはしなかった。
「それじゃこういうゴミはぽいっと」
「いやぁぁ・・・・!!」
「いやだぁ・・・・!!!」
神社脇の森の中に小さな悲鳴がこだました。
二匹の仕置き後も神社に参拝客は耐えない。
それだけこの神社がルールを守ることで絶大な安全を確保できる場所だということなのだ。
「おかーさん!やっとついたね!」
「もうつかれたよ!こんなにとおいなんて、ぷんぷん!」
けたたましい声とともに現れたのは出来たばかりのゆっくり家族。
農家の追撃を振り切りようやく噂の神社へとたどり着いたのだった。
「仲間が多いね!」
「流石ゆっくりプレイス!ここでずっとゆっくりできるね!」
そう言って賽銭箱にも看板にも向かわずに神社脇の森へと駆け寄っていくゆっくり家族。
ルールも何も知らないゆっくり家族はまずその腹ごなしから始めるつもりのようだ。
「みて!あのたくさんの葉っぱ!見たことが無いやつもあるよ!」
「ほんとだ!これだけあれば毎日お腹いっぱいだね!たべほうだいだよ!」
今まで手つかずの森の資源に喜ぶゆっくり家族。だが彼らの前に立ちふさがる一匹のゆっくりがいた。
「だ、だめだよ!ここでごはんをたべたら!ゆっくりできなくなるよ!」
「ゆっ!?あなただれ?」
「れいむたちのごはんのじゃまするなんて!」
「ゆっくりのじゃまをするならあなたをゆっくりできなくするよ!」
「そーだ!そーだ!じゃまするやつはたおしてやるー!」
先にやられた二匹の姿が頭に残っていたのであろう忠告したゆっくりはその真意を全く理解されずに
ゆっくり家族のリンチを受けるはめになった。
「やめてえ!いたい!いたいよぉ!うぎぃ!」
「しね!しね!ゆっくりしね!」
「んほぉ!こいつんめぇ!」
「ほんとだ!おかーさんさすが!」
「んめえ!めっちゃうめえ!」
「いやだあ!いだいぃ!だすげでぇ!!!」
残りを子供達に食べさせている一方でゆっくり両親はここに来る前に考えていた大大家族計画を実行しようとしていた。
「ゆっ!まりさ!ここでゆっくりしようね!」
「ゆっ!れいむぅ!れいむぅ!れいむぅぅぅ!!」
「まりさっ!まりさっ!んほおおおぉおぉぉぉぉお!!!!」
清く正しい神社内で不気味な生き物の交尾が大声で行われている様は見るに堪え難い。
汚い食事と汚い交尾、ひどい空気が神社内を覆っていた。
「よくもまあやってくれたわね・・・」
声がしたと同時に家族はリンチをくわえていたゆっくりから引きはがされた。
当然それは巫女さんの仕業。リンチされていたゆっくりの友人が巫女さんに助けを求めにいったのだ。
毎度毎度のことながら同族を食べるという節操のない行動に巫女さんは嫌悪感を隠せない。
その嫌悪感を抱えたまま巫女さんは交尾中の二匹に思い切り蹴りをぶち込んだ。
「ぶげぅ!!がはぁ!」
突然の強力な衝撃にえづき、軽く餡子を吐き出す二匹。そのおかげでまだ反応が出来ないらしい。
「ナニするのおねーさん!折角の食事中に!」
「おかーさん達にもなんてことするの!ただじゃおかないよ!」
「そうだよ!れいむ達のゆっくりにわりこむなんてマナーいはんだよ!」
「マナー違反?聞けば看板すら読まなかった連中がよくいうわね。人がお昼をいただいてる時にここまでの不届きものが来るなんて」
「かんばん?ここはゆっくりプレイスでしょ?それぐらい知ってるよ!甘く見ないでね!」
「おかーさんたち!はやくこのひとをたおしてよ!」
「う・・ぐぅ・・・!いまやるからちょっと待っててね・・・!!」
「おそいよおかあさん!なにやってるのもう!ぷー!」
「言い訳を聞く気はないし時間を無駄にはしたくない。あんたらお賽銭、いやお金もってる?」
「おかね?なにそれ?」
「れいむたちはゆっくりだましいしかもってないよ!」
「そう!こころにひとつゆっくりだましい!」
「賽銭0か・・・①、②、④、⑥、⑦、⑧で6つ最高記録ねおめでとう!」
「ゆっ!?最高記録!?」
「なに!?なにかもらえるの!?」
「お札♪」
さっきと同じように巫女の袖から札が出る。
しかし今回は立った6枚。それがゆっくり家族を立方体を作るように囲み始める。
陣が完成したのか札一枚のを中心として青く四角い壁が出てくる。
その青い壁は徐々に集まっていきゆっくり家族を一カ所に集めた。
「ゆう!なにこれ!せまいよお!」
「だして!だせ!ゆっくりだせぇ!」
「とっととだしてねおねーさん!せまくてしょうがなうぎゅぅう!!」
壁はどんどん狭くなる。ついに立方体は17匹の家族を0.5平方メートルの立方体に納めてしまった。
「むぎゅうぅぅぅ!ぜまいよお゛!だしでえ゛ぇ!!」
「ぐるじいよお゛!だうげでよお゛!!」
「ゆっ!こどもたちだけでも!おねがい!」
「まあまあ、まちなさい。これから貴方達とよく似たお友達を連れてくるから。」
そう言って巫女さんは自分の家の中へとはいっていった。
戻って来た巫女さんの手には長方形の物体が握られている。
「さーてだれでしょう」
「だ、だれぇ?」
「そんなのいいからはやくだしてぇ!」
「つぶれちゃうよぉ!!!」
「正解は・・・」
持ってきた長方形の側面を傾けゆっくり家族の結界にすきまを開けて中の物を注ぎ込む。
はいってくると同時にそれは家族の頬を這いはじめた。
「ゴキブリでしたー」
「ぎゃああああああああ!!!」
「なにこのきもちわるいのお!!」
「とってえええ!!!」
初めて見る黒い物体に驚くと同時に慌てふためく子供達。
しかし両親は時にそれを補食していたこともありほとんど動じることはない。
しかし今回ばかりは慌てざるを得なかった。
それはさっき、蹴り飛ばされた時口から吹き出た自らの餡子だった。
「あがああ!れーむのお口のなかにゴキブリがあ!」
「ふが!はげて!ふぁいらはいへ!おご・・!!おごおおおおおおお!!!」
「おがーざん!おがーざーん!」
したたる餡子を伝い、圧縮され口の動かない親ゆっくりに標的を定めたゴキブリはぞくぞくとその中に入り込んでいく。
「やめでえ!おがーさんがしんじゃうう!ゴキブリなんてどこがれーむ達に似てるのお゛!!」
「どこって・・・増える、迷惑、うざい、邪魔、キモイ、見るに耐え無い・・・」
「うぞお゛!れーむたちはかわいいよお!似てないもん!似てないもん!」
「思うのは勝手、好きにしなさい。どちらにしてもあんた達はそこでゴキブリの巣になるだけだから。」
「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だしてえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」
さっきの二匹と同様に森に向かって家族を放り投げる巫女さん。
一家は結界内でゴキブリと共に左右上下に揺れた。
「ゆゆゆゆゆゆゆ!!うぐぅ!ぐえぇええ!!!」
「ぎもぢわるいい!!どめでえええええ!!」
「うぎゅう!!ちゅぶれるぅ!!だしでよお゛お゛お゛!!!」
ようやく大木にぶつかり転がるのを止める箱結界。
しかし、今の転がりで子供達の半分以上が息絶えてしまった。
「いやあ゛あ゛あ゛!!まりさの子供があ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「はやくだしてよお!おねえざーん!!!」
上の神社から返事は無い。ただただ生き残っている家族の助けを呼ぶ声がこだまする。
「おかーさんがこんな所につれてくるから皆がひどいめにあったんだよ!おかあさんのばかぁ!」
「そうだよ!もうれいむ達をころす場所につれてきたおかあさんはおかあさんじゃないよ!ゆっくりしねえ!」
そういって親ゆっくりをかじりだす子ゆっくり達。
密着し合ってるため親ゆっくりは小さな子ゆっくり達の行動に対応のしようがない。
「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!!!やめでえ゛!すぐにやめでえ゛え゛え゛え゛!!!」
「おふぁーふぁんだぢふぉだふぇるなんへぇ!!!おふぁえらなんてれーふのこどもたちなんかじゃないふぉお!!!」
言うが速いか体を左右に揺らして安定した状態で止まっている箱結界をまた転がそうとする親ゆっくり。
さっきの回転がまた始まる。
そのことに気づいた子ゆっくりが必死に親ゆっくりに謝り始める
「ゆっ!ごめんねおかーさん!もうかじらないよ!お願いだからやめて!やめてえ!」
「何言ってるの!こんなやつおかーさんじゃないよ!さっさところさないとね!」
「ち、ちがうよおかーさん!こいつだけ!こいつだけがそうおもって・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
一匹の浅はかな子ゆっくりによって謝罪もむなしく箱結界は再び回りはじめた。
「いやあ゛あ゛あ゛!!おげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛」
「おがーざーん!!!だずげえげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛」
「いやああ!きもちわるい゛い゛い゛い゛い゛」
「うふふふ!!しねえ!みんなそろってゆっくりしねえげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛」
「先に死ぬのはおまえたちだよ!さっさと死・・・ぶう゛う゛う゛う゛う゛」
回転に耐えきれずに親ゆっくりも吐きはじめてはいるが箱結界にがっちり抑えられているため中で親ゆっくりがつぶされるということは無い。
しかし小さな子ゆっくり達は回転するごとに箱結界内をあちらこちらと飛んでいくため次々に潰されていった。
転がりはじめて3分後。たったその3分でゆっくり家族の子供達はほとんど潰されて息絶えた。
親ゆっくり達も大きなダメージを受けてはいたが幸い致命傷といえる様なダメージではなかった。
「ゆっ!これでまた二人っきりになれたね!」
「あんなバカ子供達は死んで当然だよ!ここで殺せてよかったね!」
「お、おかーさん・・・たしゅけてえ・・・」
微かに息が残っていた子ゆっくりが母親達に助けを求める。
しかし親ゆっくり達はその自分の子供をアリを見る様な目で見た後
「食べ物を助けるわけが無いよ!」
吐き捨てるように子ゆっくりに向かって言い放ちゆっくりとその巨体で潰してった。
「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!おがあざんどーじでえ゛え゛え゛え゛!うぎゅん!!!」
綺麗にぺしゃんこにつぶれた子ゆっくりを舐めるように平らげる親ゆっくり達。
「うっめ!めっちゃうっめこれ!」
「お腹いっぱいだね!」
「ここからでたら私たちに似たもっと賢い子供達をつくろうね!」
「うん!れいむがんばっちゃうぞ~!!ゆっゆっゆっ!」
今の自分達の状況を忘れ未来の家族計画に花を咲かせるゆっくり達。
しかし箱結界の中には彼ら二匹以外にもまだ生物が存在していたのだ。
「ゆっゆっ!れいむくすぐったいよ!はやくやめてね!」
「ゆっ?なんのこと?」
「とぼけないでね!まりさにしているくすぐりのことだよ!ゆっゆっ!くすぐったいよ、もうやめてよ!」
「れいむは何もやってないよ?ここは狭いからなにもできないんだもん!」
「ゆっ?じゃあまりさをくすぐっているのは・・・え゛え゛え゛え゛え゛え゛」
背中のかゆみが頬にきたと思った瞬間まりさはそれを思い出した。
そう、最初に入れられたあの黒い物体。
ゆっくりの中に入ることによって衝撃から身を守り生き残ることに成功したのだ。
このしぶとさ、やはりゆっくりに通じる物があった。
「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!やめえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!かじらないでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!!」
「おいしくない!れーむはおいしくないよお!ゴキブリさん達を食べないかられーむをたべないでええ!!!
「れーむはたべていいよ!まりさはおいしくないからたべないで!おねがい!」
「ゆっ!何言ってるの!まりさの方がれーむよりずっとおいしいよ!まりさをたべてね!」
「うぞばっかりやめてよれいむ!そんなれいむはゴキブリさんに食べられてゆっくりしね!」
「ひ、ひどい!まりざぁ!しんじでたのにい!!」
「れいむのそんな情けない所があの子達そっくりだったよ!もうれいむとはこどもつぐっ!?」
「まっまりい゛!?い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」
二匹が目にしたのは神社で増えに増えたゴキブリ総勢35匹。
これから何日かけて二匹は意識が無くなるのか。それを二匹が願うのはいつになるのか。
「「ゆっくりした結果が・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」」
唯一無二のゆっくりプレイス博麗神社にも夜はくる。それは妖怪達が力を増し人や獣を食らう時間だ。
博麗神社は夜中でも参拝客を歓迎してはいるが巫女さんは眠りにはいるしそもそもここでは食事が一切出来ない。
仕方なく家に帰るものが増えるので徐々に神社は人、ならぬゆっくりが減っていった。
「今日もおわりねー。賽銭の確認は明日の早朝にして夕飯の用意をしますか。」
巫女さんが台所に向かいながら今日の献立を考えている時、あるゆっくりが神社への階段をひーこらひーこら言いながら上ってきた。
彼女はれみりゃ。街で聞いた噂のゆっくりプレイスにたどり着く為にわざわざ一人で歩いてきたのだ。
咲夜がいたらだっこしてくれるけどそれじゃあきっとここには来れなかったろう。
そこまでしてここに来る理由はただ一つ。大量のゆっくりの踊り食いだ。
際限のないゆっくりの数を思う存分喰らい尽くす。まさにれみりゃにとっての理想郷だ。
その理想郷に自分の足でたどり着いた。れみりゃは何だか自分が大人になったような気がして軽く胸を張った。
神社内にはまだゆっくりが10匹はいた。その中には昼に友人を食い殺されたゆっくりもいる。
こんな暗い時間にこの数で遊べる等ということが滅多に無いせいか皆そろって興奮しながら遊んでいる。
そのためかゆっくり達は階段を静かに上がってきたれみりゃに全く気づかなかった。
夜目の利くれみりゃは品定めをし始めた。どれが一番食べつきやすいか。
そこで目に入ったのは友人の死に未だに落ち込む一匹のゆっくり。
れみりゃは勢いよく羽を動かし一直線に飛んでいった
「まりさ・・・注意をしてあげたまりさはとってもかっこよかったよ・・・」
友人は好意で警告したにもかかわらずリンチされた挙げ句食べられてしまった。その理不尽さにゆっくりながらも憤りを感じていた。
「ゆっ!きめたよまりさ!れ・・私はこれからたくさんのゆっくりをゆっくりさせるために戦うよ!たとえそれが人間でもれみりゃもお゛!?」
突然頭に激痛が走ったゆっくりはすぐさま後ろを振り返る。しかしそこにはだれもいない。
だが頭部には激痛が走ったままだ。一体この痛みはなんなのか。
「うっうー!うまうま♪」
「れみり・・・!いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛はなしてえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
思い切り頭を振り回すゆっくりだがれみりゃのあごはその首振りに対して微動だにしない。
「いや!たすけて!まりざぁ!!たすけてよぉ!!!いだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「う~たべちゃってるぞ~♪むぎゅう~」
れみりゃはぶちんとゆっくりの頭を力任せに歯で引きちぎった。
その痛みに声も出ないのかただ転げ回ろうとするゆっくり。
だがれみりゃはその行動を敏感に察知してそのままゆっくりを地面に叩き付けた。
「ぶぷうううう!!」
口と頭両方から大量の餡子が吹き出す。
すでにゆっくりは物を考えるだけの餡子を吐き出してしまっていたはずだった。
「ごめ・・ま・さ・・ご・・ん・・・」
それでも友人との約束がたった数秒で破棄となってしまったことに申し訳ないと思っていたのか。
ゆっくりの口からは精一杯の謝罪が振り絞られた。
「うっう~♪あまいけどぷでぃんのほうがおっいしっいよ~♪」
今や皮だけとなったゆっくりの上に立ち踊るようにぐりぐりと蹂躙するれみりゃ。
もうすでに次に襲う相手もチェック済みだ。
流石に能天気なゆっくり達も大きな悲鳴が天敵の姿から聞こえてきたのだから警戒しないわけが無い。
各々もう既に方々へと逃げ出していた。
「いやだぁ!ゆっくりしたいよう!!」
「まりさはおいしくないよ!まりさはおいしくないよう!!」
「がお~!た~べちゃ~うぞ~♪」
一匹のゆっくりに目標を絞ったれみりゃはみるみるその距離を縮めていく。
二匹目うっう~!
そう思いゆっくりに飛びつこうとした瞬間、れみりゃの顔ど真ん中を緋想天仕込みの巫女さんキックが貫いた。
「うっぎゅ~!!!!」
そのまま後方に飛んでいき今日の前菜の残骸へと体を突っ込ませるれみりゃ。
「うぅ~いだい~!なにずるの~!!」
れみりゃは蹴られたことに大層腹を立てているが巫女さんも腹の立て方では負けていない。
「これで3回目!有名になって賽銭増えるのは良いけどこのままじゃ私生活に支障を来すわ。スポンサーと掛け合ってこようかしら・・・」
「うー!れみりゃのはなしをきけー!うー!」
左右に二発ずつ平手を食らわせる巫女さん
「うあー!いだい!いだいぃ!」
「しまった、ついカッとなって。メンゴ」
そう言う巫女さんに謝罪の色はまるで無い。
「う゛~!おまえなんかさぐやにいいつけてやるう~!ぼこぼこにされちゃえ~!う゛~!!」
「さぐや・・・?ああ、咲夜のこと?あんた紅魔館育ちなの。レミリアもよく許すわね」
「ぼっこぼこ♪う~ぼっこぼこ♪う~!」
いつも通り咲夜の名前を出し相手を威圧しようとするれみりゃ。
今までどんな相手でも咲夜の名前を出せばひるみ、たじろぎ、静かになった。
この紅白の人間も咲夜の名前一つで私の思い通り!
「あんたもしかして私が咲夜にびびってると思ってるの?」
「う~!びびてるびびてる~♪うっう~!」
「はっはっは、なるほど。私があのメイドに恐れをなしていると・・・」
巫女さんの周りの空気が徐々に痛々しいモノへと変わっていく。それはゆっくり達にさえはっきりと感じられる程のモノだった。
「無知無教育のあんたに教えてあげる・・・」
「う~?」
れみりゃは巫女さんに対しての上から目線の嫌らしい笑顔を絶やしていない。
「メイドが怖くて・・・巫女がやってられっかい!」
巫女さんはれみりゃの頭をがっしりと掴むとそのまま外から神社へ続いている階段に向かって放り投げた。
何が怒ったか理解できないまま空を舞うれみりゃ。
「う~?う?うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
自分の小さな羽で飛ぼうとしたれみりゃはあることに気づいた。
羽が無い。
神社の方へ目をやれば巫女さんの手にはなにやら紫色の物が握られている。
「う゛~!!それれみりゃのお゛!!!あ!うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
真っ逆さまに階段へと落ちそのままごろごろと転げ落ちていくれみりゃ。
人間なら即死するであろうその衝撃も饅頭ならではの衝突安全ボディで見事に痛みだけを体に刻んでいった。
「う~!ざぐやあ~!ざぐやあ~!!!」
とぼとぼ歩き出すれみりゃ。彼女が一人で紅魔館にたどり着くのはいつのことやら。
「先にこちらが手を出した分、今ので大目にみてあげるわ。」
とある賢者の屋敷での出来事
「ちょっとあんた、ここ最近やたらマナー違反のゆっくりが増えてきたんだけど」
「そう、それはよかった」
「よくないわよ。私の私生活がゆっくりで邪魔されることに耐えられないんだけれど。」
「そもそもあなたは博麗の巫女、幻想郷の治安を守ることに少しは尽力しなさい。」
「・・・賽銭が集まるなんて話を持ってきたときから怪しいとは思ってたけどそういうことか。」
「どういうこと?」
「あんた、わたしにあいつらを処理させるつもりね」
「75%正解」
「25%は?」
「更生させるつもり」
巫女さんの賢者に対する怒号は夜通し続いた。
翌日から神社は看板を取り払った。
ゆっくり用の獣道を避けた神社への通路も賢者が破棄した。
要するに神社は以前と同様のお金とは無関係な建物へと戻ったのだった。
ちなみに紅魔館ではぼこぼこになったれみりゃの顔を見た咲夜がPADを入れるのも忘れて犯人探しに躍起になったが
犯人が巫女さんであるということをレミリアから聞かされ復讐は諦めることになった。
というよりもレミリア自身が報復することを禁じたのだ。いわく
「これ以上あの饅頭で借りを作るのは沢山だわ」
だそうだ。
ゆっくり達もほとんどが森に戻った。
ついでに町にも戻りまたゆっくりによる商業被害が増加した。
すべてが元に戻り何の変化も残らないように見えた。
「ゆっゆっゆっ!」
神社にはまだ一匹ゆっくりがいた。どうやら仲間とはぐれ神社内を探しているうちに賢者によって道を断たれてしまったらしい。
それでもまだ元気なのは何を隠そう巫女さんがその世話をしていたからだ。
「・・・しばらく飼ってみようかしら」
巫女さん特有の気まぐれな考えがまた新たな話を作り出そうとしていた。
最終更新:2008年09月14日 10:26