流れは
ゆっくりゃと見て、速攻で書いてみました。
乱筆乱文、
おまけにテンションが乱気流になっていますがご容赦を。
「……う~、だずげで……」
掠れる様な声に誘われ、森の中に進み入ると、瀕死のゆっくりれみりゃを見つけた。
全身をナイフで切り刻まれた跡で覆われており、血(肉汁?)がどくどくと流れ出ている。
このままだと死ぬのは時間の問題だ。
「可哀相に……家に来るか?」
「……う~」
お願いします、と頼んでいる様に見える赤い瞳を見て、何としてでも助けなければと強く思った。
最近、ゆっくりれみりゃの死がいを良く見る。
紅魔館の主が、外見だけは自分に似ている上に頭の悪いゆっくりゃを本気で排除にかかったからだ。
レミリア・スカーレット。
外見だけは10年後が楽しみなほど美しい少女だが、何年過ぎようと、人間の寿命では美しくなった姿を見る事は出来ないだろう。
彼女は、500年の時を生きる吸血鬼である。
名前を発音する事にすら恐怖心を抱いてしまうのは、俺が何の力も持たない人間だからだろうか。
ゆっくりゃを助ける事で、何らかの被害をもたらすかもしれない。
だが、このキレイな赤い瞳だけは守ってやりたい。
それによる被害だけは、出来る限り受け入れる覚悟は出来ていた。
家に帰ってから、まずボロボロのゆっくりゃを風呂に入れてやる事にした。
瀕死だったのが、家につくまでにほぼ回復したらしく、風呂に入りたいとしきりにねだっていたからだ。
服を脱がせる事には、若干……いや、かなり抵抗があったが、仕方なしに脱がせる。
ゆっくりゃ自身は無抵抗、というより脱がされるのが当たり前と思っているらしく、袖から腕を抜きやすく動かしたりして、ほとんど時間もかからずに裸にする事が出来た。
どうやら、こいつはかなりお嬢様育ちのゆっくりゃだったらしい。……いや、紅魔館の「おじょうさま」なんだったな。本人は。
下らない考えは脇に置き、先に沸かしておいた風呂が丁度良い温度になる時間なので、ゆっくりゃと一緒に風呂に入る事にする。
「おふりょ♪ おふりょ~♪ あったか~い♪ う~う~♪」
「気持ち良いな」
赤い瞳を細めて、気持ち良さそうに浴槽に浸かるゆっくりゃ。
水は平気なんだな、などと下らない事を考えつつも、何となく妹か娘が出来た様な気分になって、微笑ましかった。
「ほら、そろそろ出て。体を洗うぞー」
「かりゃだありゃう~♪ きりぇいきりぇい、うーうー!」
浴槽のお湯をばちゃばちゃ叩きながら、嬉しそうにしているゆっくりゃ。
だが、いつまでもそうしてはいられないので、腋の下を持って浴槽から上がらせる。
「うぅ~♪」と、遊んでもらっているとでも思っているのか、とても嬉しそうにしているゆっくりゃを見て、連れ帰ったのは間違った選択ではなかったと思った。
――えーと、タオル、タオル……と。
――体を洗うためにはタオルが必要だもんな。えーと……あった。
――随分細長くて鋭いタオルだけど、これでゆっくりゃをキレイにする事が出来るぞ。
――どうした? ゆっくりゃ。何か怖い事でもあるのか? そんなにおびえて。
――ナイフ? 刺さないで?
――何を言っているんだ。これはタオルだよ。これでゆっくりゃをキレイにする事が出来るんだぞ。
――ほら、怖がらないで良いからこっちに来なさい。きれいきれいにするんだろう?
――どうしても言う事を聞かないのか。なら、力ずくで……。
青年は『タオル』で何度も何度もゆっくりゃの体を『洗った』
赤くてキレイな瞳。少し前に始めて見たばかりの、その瞳は純度の高いルビーの様にきらめいていた。
――どうして。
たった、数分前までの話だ。
――なんで、俺はこんな。
今はもう、光を失っている。
――体を洗ってやっただけのはずだ。
肉汁が、赤くテラテラとにごった光を放っている。
――タオルで、キレイキレイにしてやっただけなのに。
あまりにも赤くて、血の様に見えた。
「ゆっくりゃ?」
呼びかけるが、返事はない。
「ゆっくりゃ?」
ずたずたになった頭部を持ち上げる。
べちゃっという汚い音がして、瞳がこぼれ落ちた。
「ゆっ……」
赤い瞳。キレイだった瞳。
今はもう、にごった瞳。汚いただのゴミ。
絶叫。
目の前に広がる肉塊は、恐怖に歪んだ表情のまま、時間を留めていた。
レミリア・スカーレットの本気は、人間のちっぽけな決意など吹き飛ばし、ゆっくりゃの死の運命を絶対のものとする。
その本当の恐ろしさに最後まで気付けなかった青年は、哀れな被害者であるが、同時に間抜けた道化でしかなかった。
おぜうさまが本気になったら、この程度は軽くやってしまうと思うんだ。
最終更新:2022年01月31日 01:17