「うー☆うー☆」
れみりゃは赤ちゃんを一匹連れ、気味の悪い踊りを披露していました。
可愛い自分と可愛い赤ちゃんがいるのですかられみりゃはとてもご機嫌です。
「うー☆」
「うっうー☆れみりゃのあかぢゃんだどぅー」
誰にするともなく赤ちゃんを自慢しています。
「うー☆にぱぁ☆」
れみりゃは自分と赤ちゃんがいればどんなに怖い人も自分たちの可愛さに餌をくれると思っているのです。
思い上がり甚だしい豚の考えですね。
そこに一人の青年が通りかかります。
「うー、れみりゃとあかぢゃんにぷっでぃ~んもってきてー」
「はやぐもってごいー♪」
不気味でもたもたと生理的に嫌悪すら感じる踊りを加えてれみりゃはわめきます。
そんなれみりゃ達をみた一見おとなしそうな青年は、途端に顔を歪ませます。
実は彼、ゆっくりゃを見ると虐めて殺してしまう少々アレな人なのです。
「きごえてないのかーれみりゃがめいれいじでるんだどぅー」
「めいれいだどぅー」
彼はれみりゃ達を両脇に抱えてその場を去ります。
「うーはなせー、れみりゃのみわくのぼでぃにさわるなー」
「はなせー」
その間彼は無言です、れみりゃと語る舌をも持たないのでしょう。
そして少し経つと、青年の家に到着したようです。
「れみりゃのやしきにしてあげるどぉー」
「でもおかあさん、ごごはすこしちいさいどぉー」
「そうだどぉ、じゃあ、べっそうにするどぅー」
「きゃっきゃ」
れみりゃたちは気持ちの悪い声でそう言ってますが、青年はガン無視です。
あ、でも青筋が経ってます。
青年はお約束の魅惑の透明なケースを出すと、親れみりゃをそこに詰めました。
「ぴぎゃ! ちがのぼるどぉ、だぜぇ!」
「おがあざんだせぇ!」
確かにれみりゃの踊りはダサいですが、多分出せと言っているだけです。
しかし青年はガン無視です、本当にれみりゃが嫌いなのでしょう。
そして青年は何の前触れもなくいきなり子れみりゃの両腕をもぎ取りました。
もぎたて子れみりゃの腕はホカホカと湯気を放ち、とても美味しそうです。
「っぎゃぁぁぁ!? なに゛するどぉ!?」
「れみりゃのあかぢゃんがぁ!?」
そのついでに親れみりゃの両足をもぎました。
「ぐぅっぎゃぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛!?」
青年はその悲鳴に目もくれず、子れみりゃを魅惑のケースの中に投げ入れました。
そしてれみりゃの口に竹筒を刺すと、部屋の隅にこんもりとしていた土で埋めていきます。
ざっくざっくと言う音がしばらく部屋に響きます。
やがて、ケースの中は土で満ち、呼吸用の竹筒だけが土から出ていました。
その竹筒からはひゅーぼーひーびょーと豚の鳴き声のような無様が音がしていました。
一仕事終えた青年は初めて見せる笑顔で自分を褒めていました。
しかし、土で埋めるんなら別に透明のケースを出す必要はなかったんじゃないでしょうか?
床には残った親れみりゃの足と子れみりゃの腕がぴくぴくと蠢いています、気持ち悪いです。
次に青年は透明じゃないケースを開け、そこからゆっくりまりさを取り出しました。
「っ!? っ!」
口はホチキスでつながれ、喋ることすらできなそうなまりさはきっと餓死専用まりさなのでしょう。
そして青年はおもむろにさっきの両腕両足をまりさに取り付け始めました。
器用にまりさの顔に手と足をつける青年。
なるほど、まりさにれみりゃの両腕両足をつけたら動かせるかの実験なんですね?
しかし青年は両手両足を取り付けると『?』を浮かべてしまいます。
…まさか、青年はただ単にまりさでれみりゃの再現をしたかっただけなのでしょうか。
そうすると体が足りません。
……青年も気がついてれみりゃ達の居る方向を見ます。
さっき埋めましたよね。
青年はため息をつくとそのまま出て行ってしまいました。
まりさの付けられた腕と足は動く気配はありません。
付けたのなんて動かせるはずはないのでしょうか、それともこのまりさが半死なのがいけないのでしょうか。
しかし、顔から両手両足が生えたまりさは筆舌に絶えないほどにキモいです。
しかもれみりゃの落書きのような手と大根のような足ですからそれはもう…
竹筒からは今もひゅーひょー聞こえていました。
次の日、青年が部屋に入ってくると、まりさは死んでいました、餓死です。
もっと両手両足を定着させれば動かせることも夢ではなかったでしょうに、残念です。
青年は虫が湧いたら大変だとばかりにまりさを捨てに行きました。
それから三日ほどして戻ってきた青年はれみりゃを掘り起こします。
気が変わったのでしょうか?
掘り起こすなら前の時点で掘り起こせばいいのにと思いますが…
「うぅー、おながずいたー」
子れみりゃが出てきました、両腕はまだ再生していないようです。
あぁ、なるほど、土で圧迫されていたせいで再生できなくなってしまったようです。
綺麗に断面も出来てますし、もう再生することもない…のでしょうか。
とりあえず青年はそう思ったようで、子れみりゃは逃がしてあげることにしたようです。
子れみりゃの髪を掴み、外に投げ出しました。
両腕もなく、空腹の子どものゆっくりゃがいつまで生きられるか、そんなことは知りません。
青年は満足したように部屋から出て行きました。
そして親れみりゃのことを思い出した一週間後にはその肉まんはすでにこの世のものではありませんでした。
最終更新:2022年01月31日 01:31