永琳×ゆっくり系17 恐怖


「あぁ、ダメね。これはもういいわ」
薬の臨床実験中に気絶したゆっくりれいむの始末を兎に命令する。
白目をむきぐったりしているゆうくりれいむの行き先は焼却場だろう。
誰も駆除剤の実験に使われたゆっくりなんかつまみ食いしたいとは思わない。

薬師はあれこれと薬の調合を変えては次に待たされているゆっくりれいむに薬を飲ませる。
目の前で仲間がどうにかされていく。
狂ったように叫びだすものも居れば、全く喋らなくなるものもいる。酷いものは目がボトリと床に落ちた。
ボトリと落ちても自分の目がなくなった事などゆっくりれいむは知らず、
意味にならない言葉を吐き出すように言っていた。
次々に発狂させられていく仲間にゆっくりれいむ達は涙した。

「少し休憩しましょ。あなた達、上に行って食事でもしてきなさい。そうね一時間後に再開するから」

助手をしていた兎たちは薬師の言葉を聞くと我先にと部屋から出て行く。
そして、薬師はゆっくりれいむたちが入れられた透明の箱に近づいてくる。

「どうしたら・・・」

薬師の手はそっと透明な箱に置かれる。

「どうしたら」

薬師は透明な箱を覗き込む。
一匹のゆっくりれいむと目が合う。

「どうしたら上手く死ぬのかしら」

優しく微笑みかけるように薬師が言う。ゆっくりれいむ達は恐怖で震え上がる。
この薬師は狂っている。そう確信できる。

ゆくりれいむの中の一匹が仲間を押しのけ、薬師に話しかける。

「お、おねーさん、れいむたち、わるいことした?ゆっくりあやまるし、ゆっくりなおすからゆるしてね」
薬師は何か疑問なのか首をかしげる。
「れいむたちはあんまりおたまがよくないから、ゆっくりしっぱいしちゃうけど、おねーさんがゆっくりちゅういしてくれたらなおせるよ
「ああ、これは別に罰とかじゃないのよ。じゃあ、実験再開までにここのルールを教えてあげるわ」

薬師はまず最初に自己紹介をした、八意永琳と。
薬を与えているのは実験の一環で、
その実験とはゆっくりを駆除するための薬品を作る事で今はその最初の段階なのだと。

八意永琳は狂ってなどいない。
ごく冷静に、粛々と実験を行っているだけなのだ。
ゆっくりに何の差別的な意識も持たず、その行為に何の快感も感じず、
食べる気も無ければ、さして酷い事をしている気も無い。

「れいむたち、なにかおねえさんにめいわくかけた?」
「いいえ、そもそも、あなた達とは初対面よ。地上の実験室ではなく行商人から買い取ったものなんですもの」

ゆっくりれいむ達は戦慄する。今までならおじさんに謝ればたいていの事は許してもらっていた。
それがこのお姉さんは謝罪など無意味と言う。いや、そもそも自分達は何一つ悪い事をしていないのに殺されるのだ。

「お、おかしいよ!!」

一匹のゆっくりれいむは勇気を振り絞って叫ぶ。
「れいむたちはわるくないのに、ころされるなんておかしいよ!!」
それに触発され、他のゆっくりれいむ達も口々に、
「ゆっくりかんがえなおしてね!!」「ゆっくりかんちがいしないでね!!」などと言う。

「私がおかしいという答えに至った事で何かあなた達の状況を好転させる事があるのかしら?」
永琳は続ける。
「その箱を破って、私を殺して、外の兎たちも殺して。そうすれば晴れて自由の身よ」
ゆっくりれいむ達は黙り込む。
「どうしたの?・・・あら、案外賢い個体なのかしら自分達にできない事がわかるのね」


一時間後、実験は再開された。
狂ったように泣き叫ぶもの、何度も壁に頭をぶつけ死ぬもの、
記憶に障害が出るもの、喋れなくなるもの、すぐに急死するもの、

だんだん仲間が減っていく箱の中で、ゆっくりれいむは恐怖で震えていた。
逃れぬ事のできぬ不条理な恐怖に。



by118




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最終更新:2008年09月14日 11:02
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