紅魔館×ゆっくり系3 冬は中華まん。夏でも中華まん。

「うっう~♪ がぉ~お~♪ た~べちゃうぞ~♪」
 俺が家に帰ると、そいつは部屋の中を我が物顔で走り回っていた。
 確か、紅魔館で可愛がられていたゆっくりれみりゃ(四肢あり)だった筈だが、何で俺の部屋にいるんだ?
 しかも俺の部屋が滅茶苦茶だ。
「おい! ここでなにしてるんだ?」
「れみりゃおさんぽしにきたの♪ おさんぽ♪」
 はぁ、どうやら勝手に抜け出してきたらしい。
 手か部屋の中で傘をさすな、周りに当るだろうが。
「おながへったーー!!! おながへっだー!!!」
 急に泣き出したよ、薬でもやってるのかコイツ?
「うーー!! おながへっだー!!!」
 泣きながら冷蔵庫をあけるんじゃねぇ、肉汁で汚れるだろうが。
 残念だが硬派な俺の家にはお菓子なんて無いぜ。
 冷蔵庫を開けたって、……無い! 飲み物以外何も無い!!
 何故?
「にがーいのぜんぶぽいしたの!!! おといれにぽいしたの!!!」
 そうかい、泣きながら説明してくれてありがとな。
「れみりゃおかしたべだぃ♪ ぷでぃんたべたいぷでぃん♪」
 ……、ねーよ。
「ねーよ」
 うわ、思ったことそのまま声に出しちまった。
「うーー!! れみりゃはぷでぃんたべたいの!!! はやくもっでごないどざくやにいいづけでやるーー!!」
 いや、あの人はお前の従者じゃないだろ、てか傘で叩くな痛くなくてもお前の顔とシンクロするとめちゃくちゃ腹が立つんだよ。
 っておい! 勝手にコンビニ袋の中を漁るな!!!
 俺の夕食のパスタとローストビーフとワインとビールとゼリーが入ってるんだぞ。
「うっ♪ ぷでぃん……じゃないーー!!! こんなのいだぁない!!! ぶでぃん以外いらない!! みんなぽいっ! おといれにぽいすどぅの!!!」
 言うが早いか袋ごとトイレにもって行き中身を全部ぶちまけやがった。
 ご丁寧に蓋をはがして中身だけ、だ。
 残ったのはワインとビールだけ、プルタブを開けようとしたら腕が削れて泣きやがった。
 ざまぁみろ!
「うー!!! はやぐぷでぃんもっできで!! ざくやのでずぐりのぷっでぃん!! ぷっでぃん!! ぷっでぃん!!!」
 DA☆MA☆RE☆ ♪
 傘を取り上げてれみりゃより高く持ち上げる。
「う~!! かえじで!! れみりゃのかざがえして!!!」
 うわっ、普通は泣きながら見上げられるとくるもんだが、……酷いな構図は。
「ほれ♪」
「う゛わ゛ぁ゛ーーーーーー!!!!! ざぐやーーーー!!!! ざぐやーーーー!!!」
 無防備なおでこにハンマーヘル!
 見事貫通、一旦引き抜く。
「ざぐやどごーーー!!! ごわいひどがいるよー!!! やっづげでよーー!!!」
 お前一人出来たんだろうが、お馬鹿なゆっくり霊夢でも覚えてたのに……。
「ざぐやー!!! やっづげてよー!! ぷでぃんもっできでよ!!!」
 食い意地が張ってるなぁおまえは♪
「ハンマー、……ヘル!!!!」
「ウッギャーーーーーー!!!!!!」
 下腹部からの一撃は、勿論綺麗に貫通。
 頭の穴に通して先を曲げる。
 手足を縛ればあっという間に拘束完了。
「う~? うー!! うー!!」
 ははは、馬鹿みたいに身をよじって脱げようとしてるなぁ?
「お前羽があるだろ?」
 聞いたとたん目を輝かせやがって、やっぱり馬鹿だなぁ。
「う~♪ ざぐやにいいづげてやどぅ~♪ ば~か♪ ば~か♪」
 はいはいどうぞ、でもその前に。
「ほら、外は寒いからこれやるよ」
 婆くさい服に沢山ほっかいろを詰めてやった。
 見た目繭にしかみえねぇよ。
 冬まで五ヶ月くらいあるし、使用期限も過ぎてるからプレゼントしてやんよ。
「うーあづいーー!!! ざぐやーーどっでーーー!!! ざぐやーーー!!!」
「はいはい、お家に帰ってとってもらいな!」
 窓からポイ捨て、……羽があるのに地面に落ちるなよ。
「いだいーーー!!! ぜっだいざぐやにいいづげでやどぅー!!!」
 そうかい。
 でもお前の頭じゃ帰った頃には5W1H全部忘れてるだろ。
 さいなら、肉まん、フォーエヴァー!!
 俺がボールペンの特許料で生活してなかったら、今頃庶民のお店に並んでるぞ。



 一方の紅魔館
 今日も中国さんは門番に従事。
 しかし顔色が優れません。
 それもその筈、昨日珍しく厨房に立った中国さんは、丹精込めて作ったチンジャオロースを全ておトイレに流されたんです、もちろんれみりゃに。
 きちんとれみりゃ専用の子供椅子に、トレイにお菓子のみ置いて準備しているのに、毎回他の料理をつまみ食いして。
「うー!! まじゅい、おといれぽ~い♪」 
 と投げ出すもんで、最近ではいつも一品多く作ようにしているらしいです。
 それを知らなかった中国さんは大激怒。
「まずいのはおどれのかおじゃー!!!」
 と言ってトイレに流そうとしていたところにナイフ、医務室、お説教。
 れみりゃも最近では中国さんに対して随分えばってます、それはもう随分と。
 そういう訳で、昨日の夜からご飯抜きの中国さんなんです。
 肉まんを苛めてご飯抜きは可愛そうです、本当に。
 朝も昼も自分の目の前で、肉まんがお菓子を共食いしているところを見せ付けられているのでお腹ぺこぺこ。
 意識混濁で肉まんが勝手に出て行った事にも気付きませんでした。
「あー、めいりんぱっちはどこー?」
 何事か分からない台詞を呟き始めた中国さん。
 これは危ないです、大体めいりんってなんですか?
 十年位前のNHKでそんな名前が出てきたような気もしますが……。
「う~♪ ちゅうごくだ♪ ちゅうごくのばぁ~か♪ ばぁ~か♪」
 あぁ、れみりゃさまがもどってきたようです。
 また、中国さんを馬鹿にしています、可愛そうに中国さん、見ているだけで涙が出ます中国さん。
「んー?」
「ば~か♪ ば~か♪」
 珍しく飛んでお帰りのようです、普段の馬鹿ダンスより今の格好の方が似合ってますよ。
「……!!! お肉!!! 肉!!! 人!!! 肉!!!」
「ば~k!!! う? うー、う゛わ゛ーーーーーー!!!!!!!」
「いただきますーーーー!!!!」
 出て行くとき同様、こ~っそり戻って来れば気付かれなかったでしょうに。
 でも似合ってますよねぇ。
 肉汁を沢山滴らせながら、串刺しになってるお肉程美味しそうなものは有りませんものね。
 あっ、足からいきました。
 豚足がお好きですもんね中国さんは。
「ざぐやーーー!!! ちゅうごくがいじめるよーーー!!!! さぐやーーーー!!!」
 残念ですが、新月の今夜は本物のれみりゃ様のお世話に付きっきりですよ。
 今頃中国さんと同じように、美味しそうなお肉を召し上がっているかもしれませんね。
「美味しい、やっぱり肉汁がだいじよね。ほんとに美味しい!!!」
 目から涙があふれています中国さん。
 よっぽど断食が堪えたんですね、肉汁を流している方をは違って泣き顔にも気品がありますもの。
「ざぐやーーー!!! ちゅうごくが……ちゅうごくはわるいひどだよーーー!!!」
 幾ら中国さんの気の力で具がこぼれないからといって、へそからしたすべて食べられた状態でも相変わらずの口調です。
 体はおまけなんでしょうか? かざりなんでしょうか?
「おいしいおいしい……。ん? これ、れみりゃ?」
 漸く正気に戻ったようです。
 一旦食べるのをやめてジーッと肉まんの顔を眺めています。
 よく、そんなに長い時間見続けていられますねぇ。
「れみりゃ……さま?」
「う~!!! ちゅうごくのばがーーー!!! ざぐやにいいづげでやどぅーー!!!」
 貫通していた傘が抜けたので、頭の傷も再生しています、完璧な状態のれみりゃの顔でそんな事言われても平然としている中国さんは流石ですね。
 肉まんからも具が零れ落ちてきていますし……。
「……、とってもおいしいじゃないですかー、れみりゃさま!! いやこの肉まん」
「ざぐやにいじめられてt……う゛ーーーーーー!!」
 食事の再開です。
 体は一旦お休みして腕から食べ始めました。
 指を肉まんの目の前まで上げさせて一本ずつ食べていきます。
 指が無くなったら手のひらは残して肘から前腕へ、手首まで戻ったら手のひらを丸めて丸かじり。
 両腕がなくなる頃には、肉まんらしく大分静になってます。
「さぁくやぁー、ちゅぅごくがいじめどぅー……。ばかちゅぅごくがいじめる」
 最後の最後までイライラさせる肉まんですねぇ、紅白饅頭や二種類の金髪饅頭は最後に許しを請うんですけどねぇ。
「ほんとうにおいしい。頭だけの奴ならよく近くをうろついてるから、今度暇な時にでも取ってこようかしら。饅頭にも懐かれるし一石二鳥よね」
 再び体に戻ってきました。
 残っている服を剥いで首から牙を這わせ一気に開きにしてます。
 餡だけ食べるつもりかと思っていたら、皮で作り直したんですか、やっぱりお料理上手いですね中国さん。
「れみりゃのー! れみはたべないでー! ざぐやにいっぱいおじおぎじでもらうんだがらー!!!」
 まだ言っていますね、食べ物は美味しく食べた方が食べられる側にしてみても嬉しいと思うんですけどねぇ。
 中国さんも初めに頂きますって言いましたし。
「あー、後は顔だけか……」
「れみりゃのほっべにざわらないで! ざくy」
 頭から一気に口に運びました、あの肉まん顔やっぱり見たくないんでしょうか?
 凄いです! ボリボリと歯でも何でもお構いなしに食べていってます、凄い顎の力です。
 その凄さに圧倒されて、肉まんの声が全然聞こえません。
「あー美味しかった!!! あっ、まだ残っていますけど食べますか?」
 全力で遠慮します、それあなたの涎まみれじゃないですか。
 ……、って! 食べるんですかパチュリー様! 涎まみれですよ! しかも勢いよくかぶり付いたりして……。
 まぁ美味しそうに食べていらっしゃるのでいいです。
「だ……けで、ちゅ……ごくがいじめ……るよ……」
 やっぱり肉まんは饅頭に比べて馬鹿ですね。
 中国なんて人、紅魔館にはいませんよ。
 門番は紅美鈴さんですよ。 
 まぁ、大部分が中国さんのお腹に入ったので、いずれ理解できるでしょう。


 その頃、れみりゃを溺愛していた咲夜さんは
「ねーしゃくやー! ご本よんでー!!」
「はいはい、でもその前にきちんとお野菜も食べてくださいね!」
「うん、れみりゃは偉い子だからお野菜食べるよ。だからご本いっぱいよんでね♪」
 あぁ、やっぱりあの肉まんと違ってかわいい、酷い我侭も言わない上に天使のようなお顔。
 やっぱりお菓子ばっかり食べてる奴はだめねぇ、ルーミアか巫女にでも食べられないかしら?
「さっ、さぁレミリア様! 咲夜がご本を読んでさし上げますので、どうぞ膝の上へお上がりください」
「うぅ~、しゃくやなんか怖いよ~」

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最終更新:2011年07月27日 23:37
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