家の扉を開けると、突然家の中から
ゆっくりれいむが飛び出してきた。成体だ。体はバスケットボールより少し大きいくらいだ。
「ゆっ!?やっとあいたよ!!ゆっくりごはんをさがさないと!!!…おばさんゆっくりどいてね!!!れいむはゆーん!」
とりあえず髪を引っつかんで投げ飛ばす。ゆっくりれいむは面白い声をあげて吹っ飛び、その辺の木に激突した。
「ゆびゃ」
まぁ死んでないだろう。とりあえず家の中に入る。
案の定というかなんと言うか、家はすっちゃかめっちゃかに荒らされていた。ゆっくり対策をしておいたからよかったものの、やはり結構腹が立つ。
「ゆぐっ…おねーさん、ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりでていってね!」
そして家のテーブルの上には1匹のゆっくりまりさ。かなり下膨れの顔をしている。にんっしんっ中なのだろう。
このまま外に追い出すのもかわいそうなので、中で産ませてやることにする。産ませてから追っ払えばいいや。
「きこえなかったの!?ばばあはやっぱりばかなんだね!!ゆっくりでていってね!!!あかちゃんがうまれるんだよ!!!」
前言撤回。意地でも産ませてやらない。
「ねぇまりさ。さっきこのゆっくりプレイスかられいむが出て行ったけど、あれあんたの連れ?」
「そうだよ!かわいいあかいりぼんのれいむだよ!まりさのためにごはんをさがして…ゆっ!?」
妊娠まりさが急にうろたえ始める。出産が始まったのだろう、産道がひくひくと開き始める。うわ、おぞましい…というか下手なグロ画像よりずっとグロい。
「う、うまれるよ…あかちゃんがうまれるよ!」
「あら、そりゃ大変ね。れいむもきっとあなたの赤ちゃんが生まれるところを見たがっているわ」
「そ、そうだね!おばさん、れいむをつれてきてね!!!」
まりさが「おねーさん」と言えば普通に呼んできてやるだけだったんだけど…まぁいいか。
「合点承知」
私はそう言うと、祖母の形見のコルセットを戸棚から取り出し、ゆっくりの体を縛り付けた。産道から絶対に赤ゆっくりが出ないようにするためだ。
「ゆぎぃ!?な、なにをするの!ゆっぐりやめでね!あがぢゃんがでられないよ!!」
「落ち着きなさい。子供が生まれるところを見られなかったれいむはきっとがっかりするわよ?」
「ゆっ…ゆっぐりがまんずるよ…だがら…はやぐれいむをよんでぎでね…ゆぐぎ…」
おお、痛がってる痛がってる。体がすごい勢いで歪んでいる。うざったい子供の顔が産道からのぞいている。潰したい。
白目を剥いて涙を流す母まりさの顔は、ゆっくりんピースの連中でもさすがに愛でられないだろう。これは放送禁止レベルだ。
私はまりさのぼうしを取り上げると(ゆっくりかえしてねぇ!!!)、家を悠々と出て行った。これであいつは、帽子のないむずむず感と陣痛のせいでまったくゆっくりすることができないだろう。
家を出る前に、食糧貯蔵庫から、私の好物のバタピーを適量取って皿に入れる。そしてその皿を匂いがしないように包んで、薄汚れたぼうしの中に入れて家を出た。
つがいの霊夢はまだ木の下で伸びていた。よっぽど痛かったのだろうか。
「おい起きろ、クズ饅頭」
「ゆぅ…?さ、さっきのばばあ!ゆっくりはなれてね!」
ばばあ、ねぇ。私まだ二十歳なんだけどなぁ…私は帽子を見せつけながら言う。
「あんたの奥さんからの伝言。子供が生まれるから早く戻って来い」
「ゆっ!!それはまりさのぼうし!!ゆっくりもどるよ!!!」
言葉とは裏腹に、れいむは急いで私の家に戻ろうとする。それを私は引っつかんで止める。
「なにをするの!?ゆっくりやめてね!!」
「ねぇ、れいむ。ご飯はどうするの?生まれたばっかりの赤ゆっくりはよくご飯を食べるんでしょ?
それに出産は体力を使うじゃない。あんたが今戻ったら、まりさは栄養失調で死んじゃうかもしれないわね」
「えいようしっちょう?」
「子ゆっくりはありすにレイプされたあとに黒ずむでしょ?あんな感じで、赤ちゃんに餡子を取られちゃうのよ」
「ゆゆうううううう!!!」
れいむは怯え始める。よし、かかった。
「さぁれいむ、早くご飯を探さなきゃ!」
「ゆっ!」
れいむはポンポンと跳ねて、森のほうへと急ぐ。私はその間に、ぼうしの中に隠しておいたバタピーの入った皿を置き、そしてれいむを呼び寄せた。
「ねぇ、れいむ!こんなところに栄養満点のご飯があるよ!」
「ゆっ!?むーしゃ、むーしゃ…ゆゆゆーっ!!!ちょっとしょっぱいけどおいしいよ!」
バタピーは塩が結構かかっている。この塩味がまた美味みを引き出す。ゆっくりに取って塩は苦手な味なのだが、バタピーは落花生本来の甘味やバターの風味があるため甘味も十分強い。
「ほら、早く戻りな」
「ありがとう、おねえさん!」
ゆっくりはバタピーの皿を口の中にいれ、ポンポンと跳ねながら家へと戻っていった。
「ただいま!ゆっくりしていってね!!!」
「おじゃましまーす」
ちゃぶ台の上のまりさは、もはやゆっくりの形相をしていなかった。コルセットで絞められた下膨れの顔からは、ゆっくりの赤ん坊がこれまた鬼のような形相で出ようとがんばっている。
しかし産道そのものの入り口を狭めているため、ゆっくりの赤ん坊を傷つけずに閉じ込めることが可能というわけだ。
「ゆっ?しらないゆっくりがいるよ!まりさをかえしてね!」
「ゆぎっ…ゆぎゃあ…」
いかんいかん、このままじゃ殺し合いを始めてしまう。私はまりさにぼうしをかぶせる。
「あれ?まりさぁ!どうじでごんなものがまがれでるのおお!!!」
「これは縛るための紐みたいなもの。赤ゆっくりを母親の体の中で極限までゆっくりさせることで、ドスまりさのようにゆっくりとした個体を生むための知恵なのよ」
「ゆゆーっ!そうだったんだね!ありがとうおねえさん!」
もちろん真っ赤な嘘だが、ゆっくりはそれを疑うことすらしない。まりさは体が瓢箪のように変形しており、もはやはちきれそうな顔をしている。このままはちきれればいいのに。
「まぁそろそろいいでしょ」
「ゆぎっ、ゆぎゃーっ!」
コルセットを取ってやると、次の瞬間、ビーダマンから放たれたビー球のような勢いで子ゆっくりが3匹飛び出した。一匹が私の顔に直撃する。
「うごっ!」
「ゆぐっ…」
「うまれたよ…まりさ、うまれたよお!すごくゆっくりしてるよおおおお!!!」
「ゆう、ゆひい…ゆ、ゆっぐりじでいっでね…」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
生まれたのはれいむ種2匹とまりさ種1匹。それらをすべてちゃぶ台の上に乗せてやる。
「よかったね、ちゃんと産まれて」
「おねえさん、ほんとうにありがとう!まりさとれいむににてかわいいゆっくりしたあかちゃんをみていってね!!!それがおわったらここからでていってね!!!」
クソれいむめ、言いたいこと言ってくれちゃって。ぶっ殺したいなぁ。
「ほら、早くご飯食べなくていいの?」
「ゆっ!まりさ、これはすっごくゆっくりできるおいしいたべものだよ!しょっぱいけどあまいんだよ!」
促してやると、れいむは口の中からバタピーの皿を吐き出した。まりさはそれを一口食べる。
「むーしゃ、むーしゃ…しあわせー!」
母まりさもこのよさがわかったようだ。目を輝かせて、変形した体を震わせている。
「すごくゆっくりできるよ!ありがとうれいむ!さすがまりさのはんりょだね!」
「ゆっへん!ちびちゃんたちにもたべさせてあげようね!むーしゃ、むーしゃ…はい、ちびちゃん!」
「ゆーっ!」
親2人はバタピーを咀嚼して、子供たちに食べさせてあげる。
「むーちゃ、むーちゃ…うげぇっ」
やはり。バタピーを咀嚼した赤ゆっくりたちは途端に苦しみ始めた。
「ゆっ?どうしたの、ちびちゃん?」
「ぐぎい…ぐぎぇ…」
赤ゆっくりにとっては、塩っぽいものは猛毒になる場合がある。私はこれを狙っていたのだ。ちなみに猛毒といっても死ぬことはないらしい。
「お、おねえさん!どういうこと!?」
「多分赤ちゃんには食べられないものだったんじゃないかしら…森の中でゆっくりしていると治るらしいわよ」
「ゆゆーっ!!!まりさ、ゆっくりもりにいこうねぇ!!!」
れいむはそう言って、手近にいた赤
ゆっくり2匹を口の中に放り込んで森へと急ぎ始めた。
まりさもまた、赤ゆっくりを口に放り込んでそのあとを必死になって追う。
こうして、私は家の中を餡で汚すことなくゆっくり撃退に成功したのであった。
1週間後、森の中。
「ほら、ちびちゃん…むーちゃむーちゃするんだよ…」
「…ゆあああああああ!!!ゆああああああああ!!」
母まりさが必死になって咀嚼したものを、子まりさは母まりさのぼうしに吐き返した。母まりさは泣きながらも、もう一度新しい食べ物を咀嚼して子まりさに与える。
その横では、子れいむ2匹が奇声をあげながらぽんぽんと跳ね回っている。その周囲には、飾ってあったれいむからのプロポーズにもらった押し花の残片が撒き散らされていた。
3匹の子ゆっくりは、明らかに異常な動きをしている。
生まれるべきタイミングで生まれることができず、母ゆっくりに巻かれたコルセットで凄まじい圧力を受けた。しかも初めての食事が猛毒である塩分を多分に含んだ食事であったことが災いした。
これらはゆっくりの餡に致命的な影響を与えた。塩分と圧力が、ゆっくりたちの餡子脳に致命的な後遺症を残してしまったのだ。
「ゆっぎぎぎぎぎ!!!ゆっぎっぎぎぎぎ!!」
「ああああ!!!れいむぅ!!!まりざのぼうじをたべないでええええ!!!」
もはや3匹の眼に、知性のかけらはない。この先この3匹の子ゆっくりは、どのようにして生きていくのだろうか。
あとがき
畸形ゆっくりの話は大好きです。
最終更新:2008年10月05日 17:16