※ドスもの
※既存の設定に反する描写あり
「むきゅ~!どす、あたらしくむれにはいりたいっていってるこがきたわ!」
「ゆゆっ!まりさがドスまりさなんだね!」
『ん?あー・・・多分そうだよ~』
「れいむたちをどすのむれにいれてね!」
『ん~、好きにすればぁ?』
「
ゆっくりりかいしたよ!ゆっくりしていってね!」
「むきゅ~、ゆっくりしていってね!」
いや、ゆっくりさせてもらうのはお前達でしょうが、と突っ込みたかったがドスまりさは突っ込まなかった。
なぜなら、餡子脳の妄言にいちいち突っ込んでいてはきりがないから。
『ん、ゆっくりしていってね』
「やったね、まりさ!これでれいむたちゆっくりできるよ!」
「みてみるんだぜ!こんなにおおきいどすがいるのにあんまりゆっくりがいないんだぜ!」
「「「「しゅごくひりょいむらだよ!」」」」
「そうだね、まりさ!ねえ、どす!れいむたちにごはんちょうだい!」
ドスは思った・・・またこれか、と。
自分が一人でゆっくりしているところにやってきたゆっくりは大抵こんな要求をしてくるのだ。
一体こいつらの脳内のドスのイメージはどうなっているのか気になる。
が、聞いたところでうんざりさせられるだけなのは目に見えているのでいちいち聞かない。
『自分で取って来てね』
「ゆゆっ!どすはみんなのためにがんばるものなんだよ!」
『そんなの知らないよ。ここでゆっくりしたいなら自分で何とかしてね』
「どす、それはしょくむほうきってやつなんだぜ!」
『あー、そう?じゃあ、他所に行けば?』
「ゆぎぃ!まりさ、それはこまるよ!」
「ゆうううう!なまけもののどすなんだぜ!」
『子ども達の面倒は群れが勝手に見てくれるからね~』
「ゆっくりりかしたよ!おちびちゃんたちはここでゆっくりまっててね!」
「「「「ゆっきゅりりかいちたよ!」」」」
『あ~、そうそう。近くの人里に美味しいお野菜が沢山あるけど、あれは人間のだから盗らないでね』
子ども達を近くにいた子ども達の世話係のゆっくりれいむに預けるとその両親は意気揚々と餌集めに出かけて行った。
れいむの前を行く妙に自信に満ち溢れた、どこか尊大さの滲み出るまりさの背中を見ながらドスまりさは思った。
あの子は「だぜ!」とか言っていたし、きっと「どすがいるからだいじょうぶなんだぜ!」なんて言いながら人間の畑に侵入するんだろうな、と。
「ゆゆっ!にんげんがきたよ!」
そう叫んだのは集落の見張り役のゆっくりまりさ。
『ん~・・・やっぱりやっちゃったんだね~』
「むきゅ~、どうするのどす!」
『大丈夫だよ。人間はまりさと話をしに来ただけだから』
「さすがどすね!にんげんからもいちもくおかれているなんて!」
非常事態にもかかわらず、のん気に感嘆しているのは自称ドスの補佐役のゆっくりぱちゅりー。
正直に言うと、頼んだ覚えはない。
そもそも、群れを治めるつもりのないこのドスまりさにとって補佐なんて必要ない。
「どす!にんげんがみんなをさらおうとするよ!ゆっくりたすけてね!」
『じゃあ、みんなをここに集めてきてね~』
「ゆっくりりかいしたよ!」
数十分後、ドスの周りには200匹近いゆっくりが集まっていた。
そのうち130匹程度が子ゆっくりで、残りが成ゆっくり。ちなみに既に60匹ほどのゆっくりが捕獲されていたりする。
そして、ドスの前に10人くらいの人間がやってきた。
「やあ、ドスまりさ。今回もいっぱい居るね!」
『まあね~。まりさを見かけて崇めて集まって、噂を聞いてやってきて、ある程度大きくなったらゲスがやって来て・・・』
「はっはっは、いつも通りか!」
『うん、そうだね。大体いつも通り。今回もいつも通りゲスが畑を荒らしたんだね?だったら、いつも通りにやってね~』
「どす、なにをいってるの?」
「ゆっくりしないでにんげんをやっつけるんだぜ!」
しかし、ドスまりさは動かない。代わりにやって来た人間達がせかせかと動く。
群れのゆっくり達を回収するために。
ドスの助けがないことに気づかないゆっくり達は容易く籠や袋に放り込まれていく。
「どす!たすけてよ!れいむのあかちゃんがっ!?」
『自分の子どもは自分で助けてね。それが親の努めだよ』
「ゆうううううう!どすのばか!ゆっくりしね!」
『お兄さん、この子さっさと捕まえてね』
「がってん!」
「どすううううううう!だしゅげでええええええ!」
『自分に向かって死ねなんていった子助ける馬鹿は居ないよ。ゆっくり理解してね?』
「むきゅうううううう!どす、どうしてなかまをみすてるの!?」
『仲間じゃないよ。だからまりさ何もルールを押し付けたりしてないし、何もしてもらわなかったでしょ?』
「むきゅう!?い、いっしょにゆっくりしたじゃない!?」
『まりさは一人でもゆっくり出来るよ。魔法使いに教わった捨食の儀式も済ませてるから、ご飯集めてもらう必要もないもん』
「むきゅうううう!ばぢゅりーむれをがんばっでとうそつしたのにいいいいい!?」
『まりさ頼んでないよ?それにぱちゅりーが来る前からこの群れはそれなりに落ち着いてたし』
「むきゅううう!どほぢでそんなごどいうのおおおおおお!?」
『事実だからだよ。ゆっくり理解してね』
「ぢがうよおおおお!ばぢゅりーがんばっだ・・・ゲホッ」
『でも、人間がここに来たのはぱちゅりーがあのゲスを連れて来たからだよね?あの子達が人間の畑を荒らしたからだよね?』
「む、むぎゅううううううう・・・」
「ま、まりさよりれいむのほうがおいしいんだぜ!」
「ゆゆっ!どうしてそんなこというの!?」
「まりさはゆっくりしたいんだぜ!?」
「れ、れいむだってゆっくりしたいよ!」
「そんなのかんけいないんだぜ!」
「どす~、ゲスまりさをゆっくりせいさいしてね!」
『二人とも加工所行きなんだから意味ないよ』
「「がごうじょ!?がごうじょはいやだあああああ!ゆっぐぢでぎないいいいい!!」」
「「「おきゃーしゃああああん!たちゅけてええええええええ!?」」」
「やめてええええええ!!れいむのあかちゃんつれてかないでえええええ!?」
「はっはっは、大丈夫だよ。君も一緒に連れて行ってあげるから!」
「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!だからあかちゃんといっしょにしてね!」
「行き先は加工所だけどな!」
「ゆぎいいいいいいい!?がごうぢょいやあああああああ!!」
「「「やめちぇええええええええ!!」」」
「どすうううううう!れいむのあかちゃんをゆっくぢだしゅげでえええええええ!」
『えー、面倒臭い。それに自力で苦境を打開できないなら滅びるのも運命だよ。ゆっくり諦めてね』
「どほぢでそんなごどいうのおおおおおおお!?」
「どす!どほぢでみんなをみずでるの!?」
『だって、助ける理由がないもん』
「ひどいよ!まりさだぢ、どずのだめにいっばい・・・」
『いっぱい何?何か美味しいものでも持ってきてくれた?まりさが寝てるときに騒がないように配慮してくれた?』
「いっばい、がわいいあがぢゃんをうんだんだよおおおおお!?」
『誰も頼んでないよ?それに余計うるさくなって迷惑だったよ?君が産みたかっただけだよね?』
「がわいいあがぢゃんをみせであげだのにいいいいいい!?」
『言っちゃ悪いけど、君の赤ちゃんの可愛さは今まで見た赤ちゃんの中では中の下レベルだったよ。一番つまらないレベルの可愛さだったよ』
「どほぢでぞんなごどいうのおおおおおお!?」
『事実だからだよ。毒にも薬にもならないから、見るだけ時間の浪費だったよ!あ、君の時間の無駄な赤ちゃんが捕まったよ?』
「ゆゆ゛っ!まりざのあがぢゃんんんんんんん!?」
そんな調子で、ものの数十分もしないうちに群れのゆっくりは全員捕獲されてしまった。
「それじゃまたな、ドス」
『また変なのが集まってきたら助けてね~』
そう、このドスまりさが本当に共生関係にあるのはゆっくりではなく人間だった。
ドスにとって、人間はゆっくり出来るものではないが、あまりにも大きくなりすぎた自分のゆっくりを妨げるものではない。
むしろドスにとって厄介なのは同族ゆえ下手に排除も出来ないゆっくり達なのだ。
他力本願で、喧しくて、言うことを聞かないゆっくり達こそ自分にとって最大の脅威。
もちろん、群れのリーダーになりたがる三流のドスまりさならばそれでも何とか群れを治めようとするのだろう。
『ゆぅ~・・・これでゆっくりできるよ~』
勿論、仲間が居てこそゆっくり出来ると言う側面もあるのは事実だ。
もっとも、それは最初の10匹くらいまで。その頃についてくるゆっくりは自分に巨体に憧れ、尊敬の念を抱いている。
だが、それ以降に群れに加わるゆっくりは大体ドスの庇護目当てでしかないし、徐々にその傾向が強くなって新入りのゲス化が進む。
「ゆっくりしていってね!」
『ん?あー、うん。ゆっくりしていってね!』
群れが一掃された後に自分に話しかけてくるゆっくりの目は今目の前に居るれいむのようにきらきらと輝いている。
ただ純粋に「どすっておおきくてかっこいい!」と思っている。こんなゆっくりばかりならゆっくりした生活が営めるんだろう。
しかし、群れが大きくなると彼女らも仲間との生活に追われて自分に対して関心を失って、便利なデカブツとして見るようになる。
そうして気がつけば何もしない自分のことを野犬や妖怪除けくらいにしか思わないようになっている。
「ねえ、どすまりさ!れいむといっしょにゆっくりしようよ!」
『ん、あー・・・いいよ。いっしょにゆっくりしようね』
さて、このれいむはいつまで自分の事を仲間として見てくれるだろうか?
これからどのくらいのゆっくりが集まってくるのだろうか?
その群れはいつごろまで無事に生活を続けられるのだろうか?
もしかしたら、優秀な統率者に恵まれて安寧を得ることが出来るだろうか?
一応、それを少しだけ期待している。だからこそ、畑を荒らすまでは手を出さないように人間にお願いしているのだ。
まあ、群れがどうなったところで、自分はここでゆっくりしているだけなのだけど。
ドスまりさは思う。ドスの本当の役目は導くことじゃなくて適度な試練を課すことではないかと。
‐‐‐あとがき‐‐‐
思いつきで書いてみたら、ある意味逆のベクトルのドス作品が上がってる・・・だと・・・。
って言うかもうこれドスまりさじゃなくなくなくね?
byゆっくりボールマン
最終更新:2008年10月05日 17:18