冬の足音が聞こえてきた秋の昼時、枯れ木の根元に出来た穴から小さな影が4つ現れました。
「きょうはなにちてあしょぼーか!」
「おいかけっこ!」
「ゆ~それじゃゆっくちできないよ!」
「じゃあかくれんぼ!」
仲良く遊び始めたのは
ゆっくりれいむと呼ばれる最近になってあらわれたナマモノです。
ゆっくりれいむは紅いリボンと黒髪がトレードマークのもっとも多くいるゆっくりでした。
遊んでいるれいむたちは人間で言う子供で大きさは野球ボールぐらいでした。
まだ生まれて1年も経ってない4匹は仲良くかくれんぼを始めます。
最初ということで一番大きいおねーちゃんれいむがオニになりました。
残りの3匹は思い思いに隠れ場所を探しに行きます。
「も~い~かい!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆ~・・・いーち!にー!さーん!だー!らーぶ!・・・」
「ゆゆっ、ここはれいむがかくれちぇるよ!べつのところにいってね!」
「ゆ!わかっちゃよ!」
「れいみゅはこっちにいくよ!」
「じゃあれーむはむこうにいくね!」
一匹のれいむは石の影にかくれました。
もう一匹は枯葉の下に。
「もーいーかい!」
「ゆっくりできたよ!」
「じゃあいくよー!」
石に隠れたれいむも枯葉にかくれたれいむはすぐに見つかってしまいます。
「次はれいみゅのばんだよ!」
「ゆゆ・・・まだれぃむがのこっちぇるよ!」
「みゅ~さっさとみちゅけるよ!」
しかし、残り一匹はなかなか見つかりません。
それもそのはず、最後の一匹はかくれる場所を探して今も移動していたのです。
「ゆ~、なかなかみちゅからない・・・」
この子れいむは遊びということも忘れてゆっくり出来そうな場所を探していました。
やがて、今まで来たこともない遠い場所に来てしまいます。
「ゆー・・・ゆっ!ここどきょ!」
れいむは知らない場所でいることに不安を感じます。
「おねーちゃああああ!れぃむはここだよおおおおおお!」
しかし、叫んでも叫んでも返事は返ってきません。
姉れいむとは子れいむが思っていたよりも離れていました。
子れいむはもときた道を思い出して戻ろうとします。
しかし、隠れ場所を探しながら来たのでどこを通ったか覚えていませんでした。
もう少し大きくなっていれば巣に戻るための方法を親れいむから教えてもらっていたはずでした。
もう少ししたら、きっとお姉ちゃん達が来てくれる。
そう信じて子れいむは木の近くで姉達をじっと待つことにしました。
子れいむが木に寄り添うようにゆっくりし始めると、美味しそうな匂いがどこからか漂ってきます。
「ゆゆ!おいしそうなにおひ!」
子れいむは匂いに引き寄せられます。
匂いの元はある木の根元に生えているたくさんのキノコでした。
「ゆ~!おいしそうなきにょこ!」
子れいむはキノコに飛び込んでいきました。
姉れいむたちは探しても探しても見つからないれぃむを心配になり、巣にいた母れいむを呼びに戻りました。
子の訴えを聞いた母れいむはすぐに巣の周りを探し始めました。
姉れいむ達は危ないからと巣でお留守番です。
母れいむは危険そうな場所を一つずつ調べていきます。
しかし、れぃむはどこにもいません。
母れいむはあきらめずに探し回りました。
やがて、普段は来ない森の奥に足を踏み入れます。
「れいむのかわいいれぃむー!どこにいるのー!」
母れいむは懸命に叫びました。
「ゆっ?」
子れいむがお腹を膨らませてゆっくりしていたころ、どこからか母親の声が聞こえました。
「おかーしゃああああああああん!」
先ほどまでキノコを食べることに夢中で自分が迷っていることを忘れていたれぃむは母親の声で自分のおかれている状況を思い出しました。
そして、母親に見つけてもらおうと声を張り上げます。
先ほど食べたキノコのおかげで大分大きな声が出せました。
大きな声は森に響き、とうとう母親の耳に入ります。
「ゆゆ!れぃむのこえだよ!」
「おかああさああああぁぁぁぁあぁん・・・」
「いまいくよ!そこでゆっくりしててね!」
母れいむは子れいむの声に耳を澄まして位置を探ります。
森の中では声が反射し場所がわかりにくかったですが、子への愛なのか母れいむは迷わずに足を進めていきました。
やがて、一つの木の下で泣き叫んでいる子れいむを見つけました。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていっちぇね!・・・おかーしゃん!」
「だいじょうぶだった?けがしてない?」
「れぃむはごたいまんぞくだよ!」
母れいむは子れいむの声を聞き、自分の目で確かめて子の無事を確認します。
「だいじょうぶそうだね!」
「おかーしゃんごわがっだよおおおおおおおお!」
「もうひとりでこんなとおくまできちゃだめだよ!」
「ゆぅうううう、おかーしゃんごめんなさい・・・」
「わかればいいよ!もうくらくなるからはやくかえろうね!」
「ゆっ!そうだ!おかーしゃん!れいむきのこみちゅけたよ!」
「ゆゆっ!きのこ!?」
「しょーだよ!このうらにいっぱいはえちぇるよ!」
子れいむはそういって木の裏へと跳ねていきます。母れいむは道に迷わないように確認してから子れいむの後を追いました。
「このさきにきのこあるよ!!」
「ゆっゆ!・・・しゅご~い!」
「いっぱいあるからおねーちゃんたちにもあげりぇるよ!」
「そうだね!ぜんぶもってかえろうね!」
いそいそと口にキノコを含んでいく母れいむ。
子れいむはどんどん口に入っていくキノコを見て目をきらきらと輝かせました。
「おかーしゃんのいぶくろはうちゅうだね!」
「ゆふん!」
子れいむの声援に答えるように母れいむはキノコを口に含みます。
やがていっぱいになると母れいむは子れいむと共に巣に戻りました。
巣では帰りの遅い母れいむを残った子れいむが心配していました。
「おかーしゃんおかえりなさい!」
「ゆゆっ!おかーしゃんおおきくなっちぇる!」
子れいむが驚いていると母れいむは口から大量のキノコを吐き出しました。
「ゆゆゆ!おいしそう!」
「おかーしゃんどうしたの!」
「れぃむがみちゅけたんだよ!」
そういって母れいむの腋から現れた妹れいむに子供達はさらに驚きます。
「さすがれーむのいもうとだね!」
「でもしんぱいしたんだよ!」
「そうだよ!おかーさんがいないのにとおくにいかないでね!」
「うん、もうひちょりでそとにはいかにゃいよ!」
「れーむたちもきをつけるよ!」
母親と一番上の姉れいむに注意され、もう二度と勝手に遠くに行かないと子れいむ達は誓いました。
そんな子供達への説教が終わると、眼の前のキノコに話が移ります。
「これならしばらくだいじょうぶだね!」
「おかーしゃんがとりにいかなくてもへいきだね!」
「ゆ!そうだね!しばらくは巣でいっしょにゆっくりできるよ!」
「やっちゃね!」
「れぃむといっちょにいようね!」
突然降って湧いた幸運にれいむ達はうれしくてたまりませんでした。
それからしばらく、このれいむ家族は一度も巣から出ることなく、巣の中でゆっくりとしていました。
食べ物が無くなったらまたキノコを採りに行けば良い。母れいむは久しぶりにゆっくり出来たので上機嫌です。
子供達もそんな母親の様子を見てうれしくなり、母親に擦り寄って遊びました。
れいむ家族はずっとゆっくり出来ると思っていました。
しかし、四季の変わり目はもうすぐそこまで来ています。
巣からあまり出なくなったれいむ家族にはそれが分かりませんでした。
「まったく、れいむたちはなにをやってるのかしら!」
風が冷たく感じ始めたころ、一匹のゆっくりありすがれいむの巣に向かっていました。
このゆっくりありすは母れいむの友達で
冬篭りの準備が出来てもやってこない母れいむに痺れを切らしてやってきたのでした。
巣の前までやってくるとありすは中にいるであろうれいむ達に声をかけます。
「ゆっくりしていってね!」
しかし、待てども待てども返事が返ってきません。
このまま待っていても埒が明かないので、ありすは巣に入りました。
中ではれいむ達がキノコを食べてとてもゆっくりしていました。
「ゆっ!おいしそうなきのこね!」
「ゆゆっ!ありす!」
いきなり現れたありすに子供達は母れいむの後ろにかくれました。
「こわがらなくていいよ!このありすはれいむのともだちだよ!」
「そうよ!さっきからよんだのにへんじがなかったわ!だからとかいてきじゃないけどあがらせてもらったわ!」
「ゆ~ありすごめんね!」
ありすの声に気付かずゆっくりしていたれいむはありすに申し訳無さそうに謝りました。
ありすはそれで少しだけ悪かった機嫌を直して笑顔を見せます。
「ありすはきにしてないわよ!・・・ってそうじゃないわ!」
「ゆゆっ、どうしたのありす!」
「れいむたちがふゆごもりにこないからよびにきたのよ!」
「ふゆごもり?」
聞いたことのない単語に子れいむが不思議がります。
母れいむは子れいむに教えようとしましたが、時間がないのかありすが急かしました。
「いまはじかんがないわ!すぐにじゅんびしてゆっくりすぽっとにむかってね!」
「ゆ!わかったよ!」
「じゃあありすはもういくわ!れいむもゆっくりしないでね!」
ありすは言いたいことを言うとすぐにれいむの巣を離れました。
れいむ達が住む地域は冬にはかなり冷え込み、ゆっくり家族だけでは越冬できませんでした。
なので、ゆっくりスポットと呼ばれる大きな洞窟などに集まって身を寄せ合って眠り春を待つようになっていました。
ゆっくりスポットにはゆっくり制限があり、主にぱちゅりーの判断で入れるゆっくりの数を制限していました。
ありすが急いでいたのはゆっくり制限で入れなくなってしまうのを恐れたからです。
母れいむも一度ゆっくりスポットで越冬を経験していたのですぐに準備を始めようとします。
「おかーしゃんふゆごもりってなーに?」
「ゆーっとね、もうすぐここじゃゆっくりできなくなるんだよ」
「ゆゆゆゆ!?」
「だから、みんなのいるばしょにあつまらないといけないの!」
「そーなのかー!」
「れーむたちもじゅんびしてね!すぐここをでるよ!」
母れいむはすぐにゆっくりスポットに行く準備を始めました。
母れいむは子れいむもすぐに準備してくれると思っていました。
なので、れぃむが反対したのに驚きました。
「やだ!れぃむはまだうごきたきゅないよ!」
「どおおおしてええええ!はやくうごかないとゆっくりできなくなるよ!」
「でもきのこしゃんまだいっぱいあるよ!」
「ゆゆゆ・・・」
冬篭りには食料は必要ありません。
だから巣に残っている食料はすべて捨てる必要がありました。
れぃむは自分が見つけた食べ物を残していくことが不満だったのです。
「まだあっちゃかいよ!きのこたべてからでもまにあうよ!」
「ゆゆゆ・・・」
れぃむの発言に母れいむは困ってしまいます。
これを見た他の子れいむは相談してれぃむの方に回ります。
この子れいむ達もキノコに不思議な魅力を感じていたのでした。
「きのこちゃべちぇからいこうよ!」
「そうだよ!」
「もっちょゆっくりしちゃいよ!」
「ゆっくち!ゆっくちぇ!ゆっくりょ!」
母れいむは子れいむの反論に去年の冬篭りの記憶を思い出そうとしました。
母れいむが入ったゆっくりスポットはまだ時期が早かったので洞窟の中はすかすかでした。
母れいむは仲間が集まる間スポットの周りの食べ物を食べたり、他のゆっくりと話したりして冬眠まで過ごしたのを思い出します。
今回もまだまだ空きがあるだろう。母れいむはそう結論付けました。
「わかったよ!きのこがなくなるまでここでゆっくりしようね!」
「おかーしゃんだいちゅきー!」
「ゆっくりしようね!」
母れいむが賛成してくれて子供達は大喜びです。
そんな姿を見て母れいむも反対しなければ良かったと思いました。
こうして、ありすの忠告も無視して母れいむは巣でゆっくりし続けました。
今は友達よりも子供達のほうが大事でした。
母れいむはしばらく巣から出てないことも忘れて、巣で子供達と仲良くゆっくりとしていました。
「ゆ~、とうとうさいごのきのこだね!」
「これをたべたらゆっくりすぽっとにむかおうね!」
「とうみんたのちみ!」
「しゅっごいゆっくりできそうだよ!」
「ゆっくちできりゅといいね!」
あれからもキノコを食べ続けて3日後、とうとうキノコがなくなりました。
キノコ以外の食べ物も残っていたので残さず食べました。
もう巣には食べ物は残っていません。
れいむ達は巣を枯葉と枝で上手に隠して外に出ました。
「ゆ~、しゃ、しゃぶいいいいいいいい!」
「ゆっくりできないいいいいいいい!」
「ゆぐぐぐぐぐぐう!」
「ぐるじお・・・」
保温効果のあった土の中からみて外の世界は極寒です。
震えてる子れいむに母れいむは用意していた白いもこもことした綿を被せました。
「これでさむくないよ!」
「ゆ・・・ほんちょだ!さみゅくないよ!」
「ぽかぽかー!」
「これならゆっくりできるよ!」
「ゆぅ~ん」
母れいむの用意していた綿は子れいむ達をすっぽり覆いました。
上手に穴を開けているので動きを妨げることもありません。
元気になった子供達を連れて母れいむは記憶の中で一番近いぱちゅりーの巣に向かいました。
ゆっくりスポットはぱちゅりーが管理してることがほとんどです。
ぱちゅりーの巣の近くには必ずと言っていいほどゆっくりスポットがありました。
れいむ達がゆっくりスポットにつくと、スポットは冬眠のために入り口を閉じている最中でした。
れいむ達は急いで中に入れてもらおうと指揮をとっているパチュリーのところに向かいます。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ぱちゅりー!れいむたちもなかにいれてね!」
「「「「いれちぇね!」」」」
れいむ達はすぐに中に入れてもらえると思い巣の入り口に向かいました。
しかし、ぱちゅりーが行く手を塞ぎます。
「ゆゆっ、ぱちゅりーじゃましないでね!」
「れいみゅたちはさむさでこごえしょうだよ!」
「はやくいれちぇね!」
母れいむの抗議に子れいむも声を重ねます。
それでもぱちゅりーは動きません。
ぱちゅりーは言い聞かせるようにれいむ達に話しました。
「ざんねんだけどもうゆっくりせいげんよ」
「ゆ!?」
母れいむは驚きます。
「そんなわけないよ!まだいっぱいあきがあるはずだよ!」
「あなたたちはくるのがおそすぎたのよ!こんなじきじゃあいてるわけないわ!」
「ゆぐぐぐぐ・・・」
何とか入ろうと穴の辺りを見ましたがこちらをまりさとみょんが見ていました。
ぱちゅりーだけならどうにでもできましたが、まりさとみょんが一緒では勝てません。
「もういいよ!いじわるなぱちゅりーのとこなんかいかないよ!やさしいぱちゅりーをさがすよ!」
「いじわるー!」
「ゆっくりちね!ゆっくりちね!」
れいむ達は別のゆっくりスポットに向かいます。
罵声を受けたぱちゅりーは怒るわけでもなく、どうしようもなかったのだと自分に言い聞かせ、スポットの入り口を防ぎに戻りました。
「どおしてどこもあいてないのおおおおおおおお!」
「「「「ゆわああああああああん!」」」」
あれからいくつかのゆっくりスポットを巡りましたがどこも入れてもらえませんでした。
思いつく限りの場所に向かいますが、制限になっていたり、もう既に冬眠していたりしていました。
最初は強気であったれいむ達も辺りが暗くなるころにはこのまま入れないのではないかと不安げな表情を隠せなくなっていました。
「おかーしゃん・・・」
「ゆっ、だいじょうぶだよ!きっとはいれるところがあるよ!」
「しょ、しょうだね!」
「ゆうううう・・・」
子れいむの不安を母れいむは必死に宥めます。
そんな中キノコを見つけたれぃむがみんなに向かいました。
目には涙が溜まっています。
「おかーしゃん、おねーしゃんごめんにゃさい!」
「ゆゆゆ、どーしたの!?」
「れぃむのせいでこんなことになっちゃから・・・」
「れぃむ・・・」
子れいむは自分のせいだと責任を感じていました。
母れいむも姉れいむも何も言えません。キノコのとき一緒に賛成したことを忘れていませんでした。
母れいむはそんな子れいむににっこりと微笑みました。
「つぎのすぽっとはぜったいあいてるからだいじょうぶだよ!」
「おかーさんほんとう?」
「ほんとうだよ!あそこはいちばんおおきいからね!」
母れいむの自身に満ちた顔に子れいむは涙を止めました。
他の子れいむにも元気が戻ります。
母れいむは嘘を付いていました。
しかし、今は元気であってほしいと母れいむはばれない様に懸命に演技しました。
次のスポットが母れいむの知る最後のスポットです。
ここに入れなかったられいむ達は死ぬしかありませんでした。
「ゆゆっ、ここだよ!」
「ゆ~、おおきいね!」
れいむ達は大きそうに見える洞窟の前にいました。
幸い、入り口にぱちゅりーが見えました。
まだ冬眠してはいないようです。
れいむは今度こそと自分に気合をいれ、ぱちゅりーに向かいました。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「れいむたちをいれてください!」
頭を下げてぱちゅりーに頼み込みます。
子れいむはその様子を心配そうに見つめていました。
「ゆぅ・・・もういっぱいだったかしら・・・」
「だいじょうぶだよ!れいむたちはいれるよ!」
制限に来ているか考えるぱちゅりーをみてれいむは入れてもらおうと必死に食らい尽きます。
ぱちゅりーが難しい顔をしているとれいむ達のしった顔が現れました。
「あら!れいむたちじゃないの!?」
「ありす!」
友達の顔を見てれいむは笑顔を取り戻します。
「あなたたちどこもはいれなかったの!?」
「ゆぅ・・・」
「だからゆっくりしないでっていったのよ・・・」
ありすでも制限はどうしようもありません。
れいむが再び不安な顔になろうとした時、奥から二匹のゆっくりが現れました。
「わかるよー、はいりたいんだねー」
「そこのおおきいれいむだけならはいれるんだぜ!」
奥からやってきたのはゆっくりちぇんとゆっくりまりさでした。
ちぇんが入り口の騒ぎに気付き、まりさと一緒に数を調べてくれていたのです。
やっと掴んだ一匹の空き。しかし、れいむ達は4匹。
「おかーしゃんれーむたちははいりぇないの?」
「おかーしゃん・・・」
「ゆぐぅ・・・」
母れいむに置いていかれるのではないかと子れいむは急に不安になりました。
母れいむよりそって離れたくないと頬をむにゅっと引っ付けます。
困った母れいむにまりさは提案しました。
「いっぴきぶんのあきだけどちびたちなら4ひきいけるんだぜ!」
「かなしいのはわかるよー、でもどっちかしかはいれないよー」
「れいむ・・・」
母れいむは決断を迫られました。
答えはもう決まっていましたが。
「じゃあこどもたちをおねがいするよ!」
「わかるよー、かなしいけつだんだねー」
「わかったんだぜ!こどもたちはまりさがかならずせわするぜ!」
「れいむ、ほかにあてはあるの?
れいむの決断にちぇんが同情し、まりさが子供を置いていくれいむに心配させないように話しかけ、ありすはれいむの心配をしました。
「だいじょうぶだよ!まだすぽっとはあるよ!」
「そう、ならいいわ!いそいでむかったほうがいいわよ!」
れいむの自信満々な顔にありすも納得し、れいむに激励を送りました。
「むきゅー。きまったようね」
「こどもたちをおねがいね!」
「わかったわ。じゃあここもしめるわね。」
母れいむを置いてゆっくりスポットの入り口が閉まりだします。
子れいむは徐々に見えなくなる母れいむに向かって飛び跳ねていきます。
母れいむは心配そうな子れいむを安心させるように微笑みました。
「ニヤ・・・」
「ユッ!?」
その母れいむの表情は子れいむ達の動きを止めました。
とうとう入り口が完全に閉まってしまいます。
もう子れいむではどうすることも出来ませんでした。
「おかーしゃん・・・」
「だいじょうぶだぜ!ほかのばしょにきっといけるんだぜ!」
「そうよ!それよりはるにおかーさんにあえるようにとうみんするのよ!」
子れいむ達はスポットの奥に向かいます。
初めて入ったゆっくりスポットには様々なゆっくりが犇めいていました。
「ゆ~、なんだかあかるいね!」
「ほんちょだ!おうちはこんにゃにあかるくなかっちゃよ!」
「どこかあいてるのかな?」
「ゆぅぅうん・・・」
子れいむ達はみょんに明るいスポットを不思議そうに思い、辺りを見回します。
やがて空中に浮いている白い物体を見つけました。
「あれだよ!あれがあかりゅいんだよ!」
「あれなんだろ?」
れいむの質問にまりさが答えます。
「あれはみょんのはんれいってやつだぜ!」
「はんれい?」
「よくわからないんだぜ!でもだいじなものらしいぜ!」
「ゆゆっ!」
だいじなものと聞いてれいむは自分のリボンを思い浮かべます。
「あいつがみょんだぜ!」
「ちーんぽ!」
「ゆっくりしていってね!」
初めて会ったみょんは変な泣き声でしたが子れいむ達は不思議と挨拶していました。
他にも様々なゆっくりと会った後、まりさの言っていた空きにつきました。
「ここだぜ!ちょっとまわりにうごいてもらってありすとちぇんもはいれるようにしたんだぜ!」
「さすがまりさね!」
そこには藁が敷かれていました。
これなら暖かそうです。
「わかるよー、ちょっとすくないよねー」
「さすがちぇんだぜ!」
いつの間にかいなくなっていたちぇんが戻ってきました。
子れいむ達からはまりさに隠れて見えませんでしたが、すぐに口に藁を咥えたちぇんが見えました。
「きみたちはそれじゃたりないよー」
ちぇんはそういい、子れいむ達の周りに藁を積んでいきます。
「ぽかぽか~」
「ちあわちぇ~」
子れいむは母れいむとちぇんの用意してくれた藁と綿でぬくぬくです。
しかし、まりさたちの顔はまだ晴れていませんでした。
「ゆぅぅ、これじゃたりないんだぜ・・・」
「こまったわ・・・」
「もうわらはなかったよー・・・」
悩んだ結果、まりさが防止を脱ぎだしました。
「まりさどうしたの!?」
「このぼうしをかぶせばあったかくなるんだぜ!」
「わかるよー!それならじゅうぶんだよー!」
まりさは子れいむの上に帽子を置きます。
「ゆ~、なんだかねみゅくなっちぇきた・・・」
「れーむも・・・」
「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」
「ゆゆゆゆ・・・」
子れいむ達は冬眠のための眠気で船を漕いでいました。
「もうだいじょうぶだぜ、まりさたちもいっしょにねるんだぜ」
「またはるにあいましょうね」
「わかるよー、ぜったいだよー」
既に眠っている子れいむを見ながら3匹はゆっくりと眠りにつきました。
「ざ、ざぶいいいいいいいいいい!」
木枯らし吹き荒れる森に母れいむの悲鳴が響きます。
母れいむは必死にスポットを探しました。
しかし、開いている場所を見つけれず、辺りは暗くなっていました。
さらに追い討ちをかける物が空から降り始めます。
「ゆゆっ!?ゆきだあああああああ!」
母れいむには死の雪でした。
たまらずれいむは近くにあった木の根元の穴に逃げ込みます。
雪は降り止む気配を見せませんでした。
「ゆ~、もうつかれたからあしたさがすよ!」
れいむは独り言を呟いて眠り始めました。
一日中飛び跳ねていたれいむはぐっすりと眠ってしまいます。
雪はれいむのことなど気付かないかのように世界を白く変えていきました・・・
「ゆゆっ・・・すっきりー!」
母れいむは十分な睡眠を取り、元気に目を覚ましました。
そして穴から外に元気よく飛び跳ねます。
そんなれいむの飛込みを白い地面はしっかりと受け止めました。
「ゆ?ゆゆゆゆううううう!」
森は姿を変えていました。
白くなった地面はれいむのとんだあとを綺麗に残していました。
れいむは気付いてしまいました。
もう開いているゆっくりスポットはないのだと。
それでもれいむは探すしかありませんでした。
ちっぽけなれいむなど白い世界では唯の点です。
「ゆーしょ!ゆーしょ!」
「ゆ~、しろくてどこかわがらないいいいいいいい!」
「ゆぅ、なんだかちからがはいらないよ・・・」
「れいむのあかちゃんたちだいじょうぶかな・・・」
「ゆっ、れいむもがんばりゃないt・・・」
ちっぽけな点はやがて見えなくなってしまいました。
「おきるんだぜ!はるがきたんだぜ!」
まりさがまわりのゆっくりを起こし始めます。
その声で周りのゆっくりが目を覚まし始めました。
あれからなにも起きず、スポットの住人は無事春を迎えることが出来ました。
「「「「ゆ~、しゅっきりー!」」」」
子れいむ達4匹も初めての越冬を無事乗り越えれたようでした。
「まりしゃおねーちゃんありがと!」
「しゅっごいあたたかかっちゃよ!」
「それはよかったんだぜ!まりさもうれしいぜ!」
まりさは帽子を被りなおしました。
そこに入り口を開けにいっていたありすとちぇんが戻ってきます。
「いりぐちがあいたわよ!」
「そとははるだよー」
「わかったんだぜ!」
三匹は子れいむに向かい問いかけます。
「れいむたちはどうするんだぜ?」
「れいむはまだきてないみたいね・・・」
「わかるよー、まだおきてないんだよー」
子れいむの返事は決まっていました。
「「「「おうちでゆっくりまちゅよ!」」」」
「わかったよー!ならこれもっていってねー」
「それがあればしばらくもつんだぜ!」
「れいむがもどったらもっとおいしいものをもらいなさい!」
三匹が渡したのは巣の近くで取った植物や虫をまとめたものでした。
「ありがちょー!」
「おいししょー!」
「ちょっとたべちゃいよ!」
「だめだよ!おかーしゃんがかえるまでゆっくちたべるよ!」
それぞれ食べ物を抱えたれいむ達は3匹とぱちゅりーに見送られてこれまで暮らしていた巣に戻りました。
「ひしゃしぶり~!」
「やっぱりここはゆっくちできるね!」
「おねーちゃんゆっくちちていっちぇね!」
「れぃむもゆっくちしていってね!」
巣には食べるものは何もありませんでしたが、それ以外は何も代わりがありませんでした
貰った食べ物を置き、4匹の子れいむは母れいむの帰ってくるのを待ちました。
いつまでもいつまでも待ちました。
それでも母れいむは帰ってきません。
もう貰った食べ物は食べ尽くしてしまいました。
「おねーしゃん、おにゃかすいた・・・」
「もうすぐおかーしゃんがもどってくるからゆっくちまとうね・・・」
子れいむ達はもう食べ物をとりにいく元気は残っていませんでした。
話しているのも二匹だけで、もう二匹は既にうつろな目で上を見つめています。
それでも子れいむ達は母れいむの帰りを信じていました。
子れいむ達の巣の外では、冬を乗り越えた生き物が元気よく動き回っていました。
最終更新:2008年10月05日 17:27