ゆっくりが好きな子供
僕はゆっくりが好きだ
僕はゆっくりが好きだ
僕はゆっくりが大好きだ
なぜ?と聞かれるのも多い
世間のゆっくりの認識は二つに分かれる
「ウザキモかわいい」と「害虫」だ
前者はそのふてぶてしい態度でありながら愛くるしい姿とのギャップ
後者は勝手に家を荒らしたり、全てを自分のもの宣言する無謀さ故
しかし後者は異例という奴だ。現に僕の住む町にはそういったゆっくりはいない
僕はゆっくりが好きで飼ってみたいけど、お国の法律で15歳からとの決まりがある
ゆっくりは人語を解し、喜怒楽愛の感情で表情を変えるナマモノだ
中身が饅頭である不思議ナマモノとはいえ、お国はこのナマモノを飼うのは子供からでは早いと判断したのだ
子供は残酷だ。僕もそうであった
なにせ好奇心で虫さんを実験という名目で弄べる
大きな反応をするゆっくりは子供に悪影響を与えかねないと決めたわけだ。悲しい。僕はあと5年も待たなければならないのか
8つ上の兄はゆっくりを飼っている。ただし愛で用ではなく、虐待用でだ
僕は兄の事が好きだ。遊んでくれるしお菓子だって買ってくれる。勉強も見てくれる、優しい兄だ
でもゆっくり関係ではたぶん相容れない
それも兄も分かってるようで僕と遊ぶ時はゆっくり関係の話は出さない。紳士だ。惚れる
でもね、町を歩いて裏の林に行けば飼わなくても沢山のゆっくりに会える
僕はそれで満足だ。だってね…
「ゆっくりしていってね!!」
僕は大きく声を出すと…
「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」
たくさんの可愛いゆっくりが返してくれた
ぷにぷにとした頬、下膨れした顎、さらさらとした髪、ふてぶてしい顔
ああ、可愛いなぁ。思わず抱きしめちゃったよ
「ゆゆ、ゆっくりしていってね!」
おっと、ちょっと力を込めすぎたようだ。苦しい顔をしてるゆっくりを離すと他のゆっくりがぺろぺろとしている
そんな微笑ましい光景を見てて思わずにやける僕。おお、きもいきもい
「おにーさん、ゆっくりしていってね!!」
「うん、ゆっくりしてもらうよ」
僕はニコニコとゆっくり達の中心で座り込む
数は10匹程度だろうか?オードソックスのまりさとれいむ。後はありすか
ポケットから袋包みからあるものを取り出す。開けるとそれは甘そうな餡子だ
ゆっくりが好きで時々出かける際に兄が僕に渡してくれるものだ
兄曰く、「ゆっくりは饅頭だからか、甘いものが大好きだそうだ。オレンジジュースで再生するし…本当に意味不明なナマモノだぜ」
兄はツンデレだと思う。ゆっくりを虐待するのにゆっくり好きな僕にはこんなに優しくしてくれるんだからね
え、なんでツンデレを知ってるって?最近の子供は流行に早いんだよ
「ゆゆ!とてもあまいにおいがするよ!」
「おにーさん、とってもゆっくりしてるにおいがするよ!!」
ゆっくりも餡子の匂いを嗅ぎつけたようだ
「じゃあ、これをあげるね。とってもあまいよ」
僕は餡子をゆっくりにあげると目をキラキラしてくれた
「おにいさん、ありがとうね!ゆっくりできてるよ!」
「うめぇ、めっちゃうめぇ!おにいさん、ありがとう!」
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
これがあるからゆっくり好きがやめられない
見てごらんよ、ゆっくりの可愛さを。あんな幸せそうな顔をするだけで僕も幸せになれるよ
「おにーさんはたべないの?」
れいむは僕に餡子を食べないのかと聞いてきた
うーん、でも僕は…
「ごめんね、僕は甘いのが苦手なんだ。ほら、食べていいよ」
軽い嘘を付きながられいむの頭を撫でて餡子をあげるととても喜んでくれた
本当は好きだけどゆっくりのために我慢をするのさ
すると他のゆっくりが集まってきた。どうやら撫でて欲しいようだ
「可愛いなぁ、本当に」
夕暮れが近くなると僕は家に帰ろうとする
これ以上帰りが遅くなるとパパとママも心配するだろうからね
「じゃあ、またね」
「ゆっくりきをつけてね!」
「またあおうね!!」
僕はゆっくりと別れるとゆっくりと家に向かう
あ、でも、僕は女なんだけどなぁ…髪が短いからゆっくりにすらよく間違えられるしどうしようかな
れいむは逃げていた
ゆっくりせずに全力で逃げていた
「ゆっくりしね!ゆっくりできないゆっくりはしね!!」
なぜこんな事になったのだろう
優しい人間さんとゆっくりして、美味しいものを食べさせてくれて、頭を撫でてくれて…
れいむは逃げていた
同属であるゆっくりから
「ここにいたよ!どうぞくごろし!ともぐいまりさめ!」
「ゆっくりしていってよ!ゆ゛っぐりできない゛ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
れいむとは別の何処かでまりさがゆっくりからリンチを受けていた
リンチをするゆっくりは嬉々とした顔などではない。むしろ鬼気迫る勢いだ
「ゆっくりしね!」
「いだい゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」
ゆっくりの噛み付きがまりさの底部に傷を付ける
これでは跳ねたりする事はできない。もはや逃げる事は出来ないのだ
みんな…やめようよ。ゆっくりしようよ…
「ゆっくりできないまりさをそのまましね!」
「いや゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!も゛ぉっどゆ゛っぐりじだがっだぁぁぁぁぁぁぁ!」
ありすは夫であるまさりに攻撃をうけていた
「い゛だい゛!まりさ、やめて!」
「ありすはともぐいゆっくりだからゆっくりしね!」
巣に戻り、夫婦としてゆっくりしようと思ったら豹変した夫に嬲られる
ありすはショックだった。あの優しかったまりさが自分に攻撃してくる事が
「こんなゆっくりとけっこんするじゃなかったよ!ありすはしんでね!」
「どぼじでぞか゛な゛ごとをい゛うの゛おぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」
信じられなかった。ありすは目の前の事が信じられなかった
無抵抗になるありすはゆっくりと意識を失っていった
「ゆぅ…ゆぅ…ゅぅ…」
れいむは走りつかれていた
自分を殺しにかかるゆっくりから逃げるために全力で走れば疲れるのは当然であろう
ゆっくりは体力がないほうですぐに息切れしてしまう
だが殺しに掛かるゆっくりは違う。疲れなど知らぬと言わんばかりにやってくるのだ
れいむは恐怖した。このままではゆっくりできなくなる。この町から離れなければ…
「ゆっくりいくよ…」
前に跳ねようとするその時
「ゆっくりしね!」
物陰に隠れていたゆっくりありすに体当たりをまともに食らってしまった
「ゆぎゅあ!ゆっくりできないよ!もうおうちかえる!」
思わず本能で言ってしまうれいむ。すぐに逃げようとするがもう遅い
れいむを取り囲む数十匹のゆっくりによって取り押さえられてしまった
「ゆ…ゆっくりしていってn」
「うるさいよ!ゆっくりしね!」
せめて自分の言葉を伝える事すら適わずリンチが始まる
「こんなきたないりぼんなんていらないね!」
「ゆゆ!れいむのりぼんかえしてぇー!」
「ゆっくりかみをぬくよ!」「ぬくよ!」
「ゆべあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?れいみゅのかみがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「たぷたぷなほっぺだね!」「おお、ひまんひまん」
「ゆぶぅぅぅぅぅぅぅ!!??あんこさんもれちゃう!かわをやぶかないでぇ!」
「ゆっくりできないおめめなんかつぶしたほうがいいね!ゆっくりつぶれてね!」
「ゆぼえ゛あ゛べあ!?でいぶの゛お゛め゛め゛があ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ゆっくりのリンチは10分近くに及ぶ
れいむがどれだけ泣け叫んでもゆっくり達はリンチを緩めない
ゆっくりが離れてまた別のゆっくりできないゆっくりを探しに行く
後に残るのはれいむの原型を留めないボロボロの饅頭であった…
惨劇はまだ終わらない
夜に響くゆっくりの悲鳴は途絶えることが無かった
「あー、やべ。渡した餡子がゆっくりの飾り混ぜじゃん。あれ食べたゆっくりは気づかないけど他のゆっくりから
リンチを喰らうんだよなぁ…糞!ゆっくりを苦しめるのは俺の役割だと言うのに…!!」
「お兄ちゃん、ご飯だよー。早く部屋からでなよー」
「わ、わかった。今行く。はぁー、ばれたら妹に殺されるかな?まぁ食ったゆっくりはもうリンチ喰らって死んでるだろうし平気かねぇ?」
(おわり)
最終更新:2008年10月27日 01:37