ゆっくりいじめ系1419 ゆっくりを飼いたいお兄さん

ゆっくりを飼いたいお兄さん

僕はゆっくりが飼いたい。
人間の言葉を喋る不思議なお饅頭。
なんと興味をそそられる存在なのだろう。

だが子供のころにシーモンキーを飼って以来、僕はペットを飼った事がなかった。
こんな僕でも上手く育てられるだろうか?
疑念は尽きない。
そう言えば飼ってたシーモンキーは、気がついたら水が無くなって全滅していた。
今回もダメかも知れない。

そんな僕に、ペットショップに勤める友人から、ゆっくりを飼わないか? と誘いがあった。
拾った野良ゆっくりの在庫が勝手に繁殖し、在庫が在庫を呼ぶバーゲンセール状態らしい。
そんな物売るなよとも思ったが、これは迷っていた僕にとって、またとないチャンスだろう。
一匹100円で良いよと言う友人の言葉も、僕の決意を後押しした。

「いらっしゃいませ──って、お前か。よく来たな」
「うん、やっぱり飼う事にしたよ」

後日、僕は友人の勤めるペットショップへとやって来ていた。
店内には犬や猫、よくわからない昆虫と一緒に、ゆっくりが所狭しと並んでいる。
ケースの中のゆっくりは寝ていたが、ふと気になって値段を見てみた。
桁が違う。お隣の血統書付きわんわん様と同じ値段だ。

「そっちはちゃんと調教されてるからな」
「だろうね。こんな値段じゃ買う気も失せるよ」
「現金な奴だなぁ。じゃあ、ちょっと奥に来いよ」

どうやらワンコインゆっくりは奥にいるらしい。
友人の後を追い、店の奥へと進んで行く。

「どれにする?」

友人に連れられ入った部屋には、ゆっくりの詰められた水槽がいくつも並んでいた。
水槽の中のゆっくりは足の踏み場もないらしい。
身動きも出来ずにゆっゆっと声をあげている。
こんなに多いと迷ってしまう。
というより、どれも同じに見えて仕方ない。

「なんか大きさ以外、どれも同じに見えるんだけど」
「飾りをよく見ろよ! ぜんぜん違うだろ!」

確かに違うが、僕にはその違いの意味が解らなかった。
きっとカブト虫とクワガタ虫の違いみたいな物なのだろう。
それなら強い奴の方が良い。長生きしそうだ。

「どのゆっくりが一番強いの?」
「お前はゆっくりで何がしたいんだよ!」
「あー、ごめんごめん。どのゆっくりが一番丈夫なの?」
「丈夫さなら、やっぱり大きい奴だな」
「じゃあ、これで」

僕はパッと見で一番目立った、大きなゆっくりを指差した。
赤いリボンのついた丸々と太った奴だ。

「れいむか。まぁ初心者は飼いやすいかもな」
「へー、もう名前ついてるんだ」
「いや、これは種類で──」

友人の説明を右の耳から左の耳に聞き流す。
やたらと種類がいるようだが、どうせ飼うのは一匹だ。
覚えても意味がないだろう。

「じゃあ、そのれいむとやらを買うよ。100円で良いんだよね?」
「ああ、もっと欲しくなったら言ってくれよ。当分、このまま置いておくからさ」

友人に100円を渡しながら、れいむをエコバッグの中に詰め込む。
れいむが何か言っていたが、家につくまで我慢してもらうとしよう。
僕はゆっくりとの生活に夢を馳せながら、るんるん気分で帰路についた。

「ふぅ、やっと家についたよ。さぁ、れいむ、ここで一緒に暮らそうね」
「ゆゆっ! やっとおそとにでられたよ。きのきかないおにいさんだね。でも、ここは、なかなかいいおうちだね。ここをきょうかられいむのおうちにするよ! おにいさんはゆっくりしてないで、れいむのためにごはんをもってき──ゆべぇえええええ!!」

やってしまった。
気づいたら潰していた。
なんという事だ。
家に持って帰って5分もたってない。
シーモンキーですら一夏持ったのに……。

僕は大きくため息をつき、また明日、新しいゆっくりを買いに行く事にした。


「ちょ、もう殺したのかよ」
「いや、なんか偉そうだったんで、つい」
「仕方ないなぁ。今度は殺すなよ」

翌日来店した僕を、友人が呆れ顔で迎えた。
再び友人に連れられて、ゆっくり部屋に移動する。
今度は失敗しないよう気をつけよう。

「どれにしようかなぁ? 大きいのはダメだったから、今度は小さいのにしようかなぁ?」
「えっ? 赤ゆっくりにするの?」
「いや、もう赤いのはいいよ。また潰しちゃうし」
「飾りの色じゃなくて、赤ちゃんにするのかって意味」
「あー、赤ちゃんだから赤ゆっくりね。なるほどね」

僕は友人の言葉に納得し、水槽の中から一番小さいゆっくりを探し出す。
小さいのは他のに潰されたりしてたので、なかなか探すのが大変だった。

「あっ! そこの隅っこに三匹いる黒い帽子の奴で頼むよ。一番小さいのを一匹ね」
「赤まりさか。まだ生き残っていたんだな」
「また名前が付いてるのか。ゆっくりって便利だなぁ」
「昨日説明しただろ! これは種類で──」

友人の説明を右の耳から左の耳に聞き流す。
種類も名前も大差ないじゃないか。
どうせ僕はこの黒い帽子のをまりさと呼ぶんだし。

「じゃあ、そのまりさとやらを買うよ。100円で良いんだよね?」
「小さいから50円でいいよ。何ならもう一匹赤まりさを買っておくか?」
「いや、同じのが二匹いると、名前を呼ぶとき面倒そうだからいい」

友人に50円を渡しながら、まりさをエコバッグの中に詰め込む。
まりさが何か言っていたが、家につくまで我慢してもらうとしよう。
僕はゆっくりとの生活に夢を馳せながら、るんるん気分で帰路についた。

「ふぅ、やっと家についたよ。さぁ、まりさ、ここで一緒に暮らそうね」
「………」
「あれ?」

バッグを開けたのに、まりさの返事がない。
それどころか姿もない。
不審に思った僕は、エコバッグをひっくり返し、中身を床にブチまけた。
1.5リットルのペットボトルが2本。冷凍チャーハンが2袋。サンマの缶詰が5個。潰れた饅頭が1個。
帰りにスーパーで買った品物しかない。
いや、待て待て。潰れた饅頭は買った覚えが無い。
よく見るとソレがまりさだった。

何たる不覚。
家に帰って5分どころか、家につく前に殺してしまった。
しかも殺した記憶すらない。

僕は大きくため息をつき、また明日、新しいゆっくりを買いに行く事にした。

「いやぁ、小さすぎるのも問題ありだね」
「俺はお前が問題ありな気がするよ」

友人が失礼な事を言ったが、軽く聞き流しておく。
さっさと次のゆっくりを決めなければならない。
こっちは忙しいのだ。

「今日は中くらいの奴にしとこうかなぁ? でも、赤いのと黒いのばっかだしなぁ」
「お前、本当にゆっくりが飼いたいんだよな?」
「もちろんだよ! あ、この紫の帽子の奴くれよ!」
「ぱちゅりーか。何でこいつを選んだんだ?」
「一番数が少なかったから」
「ああ、そう」

僕は友人に100円を渡し、嬉々としてエコバッグの口を開く。

「ちょっと待て。今日はこのレジ袋をサービスでやるから、これにいれて帰れ」
「地球の環境考えろよ」
「いいから! いいから!」
「むきゅぅ、なんだかここはせまいわ」
「ほら、なんか文句言ってるし。やっぱりエコバッグの方が」
「いいから! ぱちゅりーはこの本を読んでてね!」
「むきゅ! これはきょうみぶかいほうこくしょなのよ!」
「スーパーのチラシじゃん、それ。キャベツがすごく安かったよ」
「いいから、帰れよ!」

追い出されるようにペットショップを後にし、僕はスキップしながら帰路についた。
レジ袋の中でぱちゅりーも、むきゅぅむきゅうぅと喜んでいた。

「ふぅ、やっと家についたよ。さぁ、ぱちゅりー、ここで一緒に暮らそうね」
「む、むっきゅぅ……」
「ぱ、ぱちゅりいいいぃいいいい!!」

レジ袋の中のぱちゅりーはぐったりし、今にも死んでしまいそうだ。
ヤバイ。最短記録を更新してしまう。ヤバイ。
あれ? でも昨日の赤ゆっくりは家につく前に死んでたから、あれが最短になるのだろうか?
思わず考え込んでしまいそうになったが、今はぱちゅりーを助けるのが先決だ。
僕は対処法を聞きだすため、友人に電話をかけた。

「あっ、僕僕、僕だけど」
「なんだよ。もう殺したのかよ」
「酷い事言う奴だな。まだ死んでないよ」
「じゃあ何だよ!」
「それがさぁ、死んでないけど、今にも死にそうなんだよねぇ」
「どうやったらそうなるんだよ! このゆっくりキラーが!」
「失礼な。元はと言えば、お前がエコバッグに入れなかったせいだろ」
「いや、それ絶対に関係ないし!」
「あー、まぁいいや。ところでさぁ、死にそうなゆっくりってどうすればいいの?」
「具体的には、どう死にそうなんだよ?」
「なんかぐったりしてる。お前んちのポチくらいヤバイ」
「ポチは元気だよ! オレンジジュースでもかけとけ! あと死ね!」

切られた。気の短い奴だ。
まぁ、対処法は聞けたのだから良しとしよう。
さてと、それじゃさっそくオレンジジュースでも買いに──

「し、死んでる!」

ぱちゅりーは電話の最中に死んでしまったようだ。
こっちの気も短かったらしい。

僕は大きくため息をつき、また明日、新しいゆっくりを買いに行く事にした。

「ふぅ……やっぱり生物を飼うのって大変だよね」
「お前が言うと違和感があるけど、まぁそうだよな」
「わかるよー、わかるよー」
「おっ、なんかこのゆっくりが俺の気持ちを解るらしい。今日はこいつにしようかな」
「今日の犠牲者はちぇんか」
「犠牲者って言うなよ! 僕はゆっくりが飼いたいんだよ!」
「わかるよー、わかるよー」
「良いゆっくりだなぁ。よし、こいつに決めた! はい100円」
「さよなら、ちぇん」

友人の差し出すレジ袋をお断りし、エコバッグにちぇんを詰める。
わからないらしいが、お家に着くまでの辛抱だ。頑張ってくれ。
僕はゆっくりとの生活に夢を馳せながら、るんるん気分で帰路についた。

「ふぅ、やっと家についたよ。さぁ、ちぇん、ここで一緒に暮らそうね」
「わから……わかるよー!」

おっ、今回は何だか上手くいきそうだ。
嬉しくなった僕は、ちぇんと一緒に酒を飲む事にした。
今日は無礼講だ。朝まで飲むぞ!

「でさー、最初に買ったソフトがアトランチスの謎だったわけよ」
「わかるよー、わかるよー」
「ん~? 本当に解ってるのか? あのゲームはすごいんだぞー」

僕は不条理なゲームについて、ちぇんと熱く語りあった。
ちぇんは僕の話にわかるよーと相槌を打ってくれる。
モアイと758の関連性について語り合ったとき、僕はちぇんとなら上手くやっていけると確信した。

「そっかー、わかるのかー。ちぇんは良い奴だなー」
「わかるよー」
「あれ? お前、ぜんぜん飲んでないじゃん。ほら、ぐっと飲みなよ」
「わ、わからないよー!」
「酒の味が解らないなんて、ちぇんはまだまだ子供だなー」
「わからな……いよ……」
「ほらほら、ぐっとぐっと!」
「わか……ら……ない……よ……」

翌朝、目が覚めると、二日酔いで頭が痛かった。
ちぇんも二日酔いなのだろうか。何だかぐったりとしている。
いや、もう自分を騙すのはよそう。
ちぇんは酒に飲まれて死んでいた。
今日もペットショップに行かなくてはならない。

「まぁ、だんだん長くなってるから大丈夫だよね」
「1年飼えるようになるまでに、何匹殺すつもりなんだよ!」
「失敬な。殺す気なんてないよ。うっかり殺してるだけだよ」
「わからないよ!」
「何だよ、お前ちぇんかよ。あ、そうだ。このさい、喋らないゆっくりはいないの?」
「もうお前、犬とか飼えよ……」
「うちはペット禁止のアパートなんだよ!」

ゆっくりも大差ない気がしたが、逆ギレしてしまった以上引くわけにはいかない。

「昨日のちぇんはさ、何か上手く行きそうだったんだよね。あんな感じ奴で頼むよ」
「あー、じゃあこれにしろよ」
「これ?」
「ちーんぽ!」

僕は頭がクラクラしてきた。
なんて卑猥な奴なんだろう。

「え? なにこれ? 名前はちんぽ?」
「これはみょんって言うんだ。でも正式名称は──」
「うん、みょんね! なんかちぇんと名前の響きも似てて良い感じだよ!」
「人の話聞けよ。だからお前はダメなんだよ」

友人が何か言っていたが、僕はもうみょんに夢中だった。
友人に100円玉を握らせ、みょんを片手に帰路へつく。
みょんもちんぽちんぽと大はしゃぎだ。
途中、警官に職質されたけど、ゆっくりを飼える喜びで乗り切った。

「ふぅ、やっと家についたよ。さぁ、みょん、ここで一緒に暮らそうね」
「ペニスッ!」

こうして僕とみょんの生活が始まった。
湯上りで素っ裸の僕をみて、ビッグマラペニスッ! と言ってくれるみょん。
朝の生理現象中の僕をみて、ビッグマラペニスッ! と言ってくれるみょん。
トイレで用を足してる僕をみて、ビッグマラペニスッ! と言ってくれるみょん。
何となく全裸になった僕をみて、ビッグマラペニスッ! と言ってくれるみょん。
みょんは最高だった。

そんな僕とみょんの生活は実に3ヶ月にも及んだ。
しかし、最近みょんの様子が少しおかしい。
まらまらと何だか寂しげだ。
そろそろ、ゆっくりのお友達が欲しいのかも知れない。
ゆっくりを飼うのに馴れてきた気がしいないでもない僕は、みょんのためにもう一匹ゆっくりを飼う事にした。

「というわけで、買いに来たよ」
「急にそう言われてもなぁ。野良ゆっくりって今、一匹しか残ってないんだよ」
「えー、あんなにいたのに?」
「誰かと違って、大量に買ってくれたお客様がいらっしゃったんだよ」
「僕も何匹か買っただろ。一匹ずつだったけどさ。とりあえず残ってるの見せてよ」
「せっかくだから調教済みの買わないか? 今ならこのれいむが5万──」
「部屋こっちだったよね? 先に入るよ」

僕は守銭奴の友人を残し、ズカズカと店の奥へ進んだ。
部屋の中には一匹のゆっくりを残し、ガラ空きの水槽が並んでいた。
残っていたゆっくりは、黄色い髪に赤いカチューシャをしている。なんか地味だ。

「これ何て名前なの?」
「これはありすって言うんだ。後、名前じゃなくて種類な」
「やっと、とかいはのわたしをむかえにきたのね! おそいわよ!」
「初対面なのに怒られるし。どんな都会派だよ」
「本人が言ってるんだから、都会派なんだろ」
「そっかー、まぁ他に選択肢もないしこれにするよ」
「そういえば向こうに3万円の調教済みまりさがいるんだけど」
「はい100円」

友人のポケットに100円玉を押し込み、ありすをエコバッグに押し込む。
ありすは最初嫌がっていたが、これは都会派なバッグなんだよと教えると、喜んで中に入ってくれた。
なかなか物分りの良い奴だ。僕はあまりの嬉しさに、バッグをブンブン振り回しながら帰路についた。

「ただいまー、みょん」
「ちーんぽ!」
「今日はみょんにお友達を連れてきたぞー。ほらありす、みょんに挨拶して」
「ん、ん、んほおおおおぉおおおおお!! みょんかわいいわぁぁあああ!! ありすのとかいはのてくで、めろめろにしてあげるうぅううう!!」
「ちんぽおおぉおおおおおおお!?」

結論から言うと、みょんにお友達は出来なかった。
ありすが到着早々その性欲を全開にし、僕のかかと落としを食らったためだ。
だが、みょんに家族が出来た。
僕のかかと落しが炸裂する前に、みょんの中に新しい命が宿っていたのだ。
今日も部屋からは、ちんぽちんぽの大合唱が聞こえる。

僕はゆっくりを飼う事ができた。
みょんには家族ができた。
もうため息をついて新しいゆっくりを買いに行く事はないだろう。

おわり


■書いたもの
  • 餡れいざー
  • ゆっくりサファリパーク
  • 赤ゆっくり物語
  • 潜入ゆっくりの巣24時
  • ゆっくり昼メロ


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最終更新:2008年11月08日 12:50
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