1 はじめに
近年急速にその生息数が増加しているゆっくりですが、発見当初の穏やかなゆっくりと異なり人の畑を荒らしたり、森の資源を食い尽くしたりするなどの質の悪いゆっくりが増えてきています。
ゆっくりは繁殖力が非常に強く、群れに個体数の管理の概念が無い場合はあっという間にその数を増やして、住処とした森や草原の餌を食いつくします。結果、餌の足りなくなったゆっくりは人里の畑などを襲うようになります。
この手引書は、そのようなゆっくりによる被害を防ぐための、ゆっくり対策および駆除方法の手引き書となります。
この手引き書が対象とするのは一般的なゆっくりの群れとなります。
ドス種を有する群れへの対応は、「ドス種など巨大種への対応の手引き」を参照願います。
2 ゆっくりへの対応
近くにゆっくりの群れがいる事がわかった場合、畑などに被害が出た場合は、まずその群れのリーダーと話をして見てください。
賢いリーダーの率いるゆっくりの群れの場合は稀に、人里へ出てこないように群れのゆっくりを教育できる場合があります。
無差別に駆除を実施してしまうと、群れにドスまりさなどのドス種がいた場合に報復による被害を受ける恐れがあります。
2.1 賢いゆっくりの場合
群れのリーダーがこちらの話を理解できる程度に賢いゆっくりの場合は、人里へ出てこないこと、無計画に子供を増やさないこと、森や草原の資源を食べ尽くさないことなどを教えましょう。
また、近場の草原などを適当に耕して、しろつめ草などの牧草地を製作してやると良いでしょう。
一部の地域では賢いゆっくりとの共生関係を築き上げ、熊や狼などが現れた場合の警告を受けたり、山菜や木の実などの山の幸と野菜などの交換や畑の雑草の処理を任せたりしています。
2.2 ゲス種の場合
群れが所謂ゲス種の場合は、交渉などは一切できないと考えた方が良いでしょう。
その場合は、畑などに自衛手段をとりつつ早急に駆除を実施しましょう。
3 被害の防止策
ゆっくりが人里まで出てくると、畑荒らしや民家への上がりこみなどを行って被害を受けることになります。
確実な被害の防止策は境界での水際防御ですが、柵や堀などはその設置に大きな労力と費用を要するのでなかなか実施が難しいと思います。
この章では、大掛かりな防止策と手軽に行える防止策の代表的なものを紹介します。
3.1 大掛かりな防止策
労力と費用は掛かるが効果のある防止策としては、村の境界に柵や堀を設置するものがあります。
まずは柵の設置ですが、ゆっくりの進入を防ぐためには隙間の小さい柵を設置する必要があるため、柵の資材が大量に必要になります。また、ある程度の深さまで柵を埋めないと、柵の下を掘って進入してきます。
柵を設置する資材が用意できない場合は、堀と掘り起こした土砂を使用した壁を作成すると良いでしょう。
一般的なゆっくりの跳躍力は、水平方向に最大で100センチ前後となります。従って、幅100センチ深さ50センチほどの堀を作り、その内側に土壁を作成すれば大型種以外のゆっくりは進入することができないでしょう。
近くに川や用水路があれば水を引いて効果を高めることもできますが、水堀にすると維持管理に手間が掛かります。余裕が無い場合は、空堀のままでも十分に効果があるでしょう。
柵と堀の両方に当てはまりますが、十分な効果を上げるためには日ごろの維持管理が重要となります。
可能で有れば毎日、少なくとも一週間に1回は見回りを実施して破損箇所の補修などを行いましょう。
表3-1 柵と堀の特徴
柵 堀(+土壁)
費用 高い 安い
規模に対する労力 比較的容易 規模に比例する
維持 補修資材が必要 小規模な破損等は容易に修復可能
対候性は高い 天候に左右される
効果 高い 通常種に対しては高い
表3-2 柵の作成例
素材 竹または木材
高さ 通常種の成体を対象とするのであれば100センチもあれば問題ない
柵の幅 成体、子ゆっくりの侵入を阻止するとなると、柵の隙間は10センチ以下が望ましい。
10センチ以下のゆっくりが単独で行動することは稀である。
設置 柵を設置する場合は30センチほど地面に埋め込むと効果が高くなる。
埋め込むことが困難な場合は、下側を鋭利に尖らせるなどの工夫をすると良い。
また、柵の根元を掘られないように突き固めることも効果がある。
表3-3 堀と土壁の作成例
堀
幅 おおむね100センチ前後
深さ 50~100センチでよい。
駆除も考慮する場合は100センチ以上が望ましい。
土壁
高さ・幅 堀から出た土を使用するために堀の規模に比例する。
幅100センチの堀の場合は、大体50センチ以上の高さがあれば進入を防げる。
3.2 手軽な防止策
柵や堀のような大掛かりなものでなく、手軽に行える防止策を説明します。
ゆっくりを駆除するか、捕獲するかにより方法は変わりますが、概ね小動物を捕まえる罠と同等のものが使用可能です。ゆっくりは狐や狸などに比べると危機に対する警戒、感知能力が劣っているため、罠にもよくかかります。
3.2.1 毒餌
ゆっくりの駆除の方法として一般的なものに毒餌があります。
ゆっくりの中身は餡(それに類似するもの)ですが、なぜか一般的な毒物が有効です。
トリカブトやドクゼリ、毒キノコなども有効ですが、これらの毒物により死亡したゆっくりを摂取することによる、家畜などの二次被害の恐れがあります。
そこで、安全にゆっくりを毒殺するためには、カラシや唐辛子などの香辛料を使用すると効果的です。
ゆっくりは体組織が甘味類でできているために、辛いものが劇物となります。
毒餌となる「ゆっくり団子」の作り方と使用方法を紹介します。
、米粉または小麦粉などを練って直径3センチほどの団子を作ります。そのときに中心部分に粉唐辛子やカラシなどを仕込んでおきます。作成した団子を蒸したり焼いたりして調理したら、ゆっくりの食い付きを良くする為に甘味を加えます。このときに砂糖などを振り掛けても良いのですが、費用節約のためにゆっくりの餡子などで十分です。
出来上がった団子をゆっくりが通りそうな場所に仕掛けてください。畑や村の入り口、家の前などに置いておきましょう。
成体のゆっくりや子ゆっくりは3センチ程度の団子であれば一口で飲み込んでしまいますので、確実な効果を期待できます。幼ゆっくりは一口で食べれない場合がありますが、餡の容量が少なく耐久力が低いので、口にしただけでも十分な効果を期待できます。
ゆっくり団子を摂取したゆっくりは、その刺激によりショック死するか体内の餡子を嘔吐して死に至ります。
同じゆっくり団子を長期間使用し続けると、ゆっくりが警戒して食い付きが悪くなることが有ります。
その場合は、適当な野草を団子に混ぜて団子の色を変えたり、団子に塗すものを餡子ではなくアリス種のカスタードなどに変更すればまた食べるようになります。
だいたい一ヶ月を目処に種類を変えると良いでしょう。
ゆっくり団子は即効性ですが、巣などを丸ごと駆除したい場合などはゆっくりだけに効く遅効性の毒物を使用した「ゆっくり駆除剤」が加工所から各種販売されています。
3.2.2 罠
ゆっくりによる被害を防止するための簡易な罠の設置方法を紹介します。
罠の設置の基本は誘導になります。無差別に罠を仕掛けてもその効果は薄いので、ゆっくりを罠まで誘導してやる必要が有ります。
保護対象となる畑などが柵などで囲まれている場合はわざと柵に隙間を作ってやりましょう。設置する罠でしとめられれば良いですが、万が一回避されたときのことを考えて、その部分は二重に柵を設置しておくと安心です。
柵などの防壁が無い場合は、ゆっくりを誘導するために畑の入り口に屑野菜やゆっくりの餡子などを設置しましょう。ゆっくりは目先のことにとらわれやすいので、奥の畑にある野菜よりも、まず目に付いたものを食べようとします。
仕掛ける罠は落とし穴などを基本にして、何種類か組み合わせると効果が高くなります。
また、底面を傷つけられると身動きができなくなるというゆっくりの生態を利用する方法もあります。
落とし穴の底などに木や竹などを尖らせた槍を設置します。
ゆっくりは飛び跳ねて移動するので、自らの体重で槍を体に突き刺して身動きができなくなります。
落とし穴の底に設置するほかに、地面を耕して柔らかくし、底に槍を埋めて置く方法もあります。
飛び跳ねて接地したときに、柔らかい地面が沈み込んで槍がゆっくりの底面に刺さります。
目に見えた穴が有るとさすがにゆっくりも警戒しますが、その穴が飛び越えられる幅だとゆっくりは飛び越えようとします。
落とし穴の上や着地地点に細い針金を張っておくと、ゆっくりは自ら針金に飛び込んで負傷します。
前述の槍を着地地点に設置しても効果があります。
一般的なゆっくりは基本的に目先の事象しか考えることができません。坂を上った先に何があるか、壁を越えた先に何があるかなどを考えることができずに目の前の障害を乗り越えようとします。
その修正を利用して、効果的な罠を考えてみてください。
4 ゆっくりの駆除
ゆっくり被害の防止策を実施しても被害が減らない場合や、ゲス種のゆっくりの群れができた場合などには、ゆっくりの駆除を実施する必要があります。
また、村などの収入源に山菜や木の実などの山の幸がある場合は、ゆっくりの駆除を実施して生息数を減らす必要があります。
ゆっくりの駆除を行う場合は単独で行動せずに、数人の班を組んで行動した方が良いでしょう。駆除の相手はゆっくりですが、一人で森に入り猪や熊に遭遇した場合は非常に危険です。
また、森で駆除を実施する場合は時間の経過に気をつけましょう。森は木に囲まれていて日差しの変化が分かりにくいために、気が付かないうちに日が暮れてしまう場合があります。
近年は博霊神社と妖怪との取り決めにより、日のある間に人間が妖怪に襲われることは少なくなりましたが、人里はなれた山奥や下級の妖獣等に遭遇した場合はその限りではないために非常に危険です。
群れ全体を殲滅することを目的とする駆除の場合、実施する時期はゆっくりの
冬篭りの時期となる晩秋から初冬にかけてが良いでしょう。
なぜかというと、冬篭もりのために巣穴をふさぐ時期はゆっくりの家族が全員巣穴に篭っているため効率よく駆除を実施することができるからです。
また、駆除の際にゆっくりの悲鳴を聞かれて他のゆっくりに逃亡される可能性も減ります。
冬篭もりよりも早い時期ですと、ゆっくりは餌集めのために巣から外に出ていることが多く、駆除の効率が非常に悪くなります。遅い時期ですと雪が積もってしまいゆっくりの巣が識別しにくくなりますし、冬眠型のゆっくりの場合はゆっくりの反応による駆除の成果確認が難しくなります。
ゆっくりへの対策が被害に追いつかず、早急に駆除が必要な場合は山狩りを行う必要があります。
それにあわせて、餌場などにゆっくり団子などを仕掛けておくと良いでしょう。
しかし、山狩りを行うには多数の人手と労力が必要になりますので、農業が主体となる村などでは農繁期に実施するこは難しいでしょう。
従って、基本的によほどの被害が出る場合以外は、各種の防止策を実施してゆっくりの被害を防ぎ、農閑期にゆっくりの駆除を実施するとよいでしょう。
4.1 駆除の方法
基本的にゆっくり甘味類で構成されており、その身体構造は脆弱なので見つけ次第に叩き潰していっても問題ありません。
しかし、その方法では効率が悪くゆっくりの逃亡を許す恐れがあります。
ゆっくりの一般的な駆除方法として、餌場など巣の外でゆっくりを駆除する方法と、巣の駆除の方法をそれぞれ紹介します。
4.2 餌場(ゆっくりぷれいす)などでの駆除
ゆっくりは巣穴から一定の範囲内で餌集めを実施しますが、そのなかに豊かな草原などがある場合はそこをゆっくりぷれいすとして群れの共通の餌場とする場合があります。
巣穴の外のゆっくりを駆除する場合は、このようなゆっくりぷれいすを見つけると効率よく駆除することができます。
ただし、赤ゆっくりや幼ゆっくりなどは、親ゆっくりがゆっくりぷれいすにつれてこない場合がありますので、再度巣穴を探して駆除する必要があります。
ゆっくりぷれいすなどで物理的に駆除する場合、駆除に使用する道具は普段使い慣れた道具でかまわないでしょう。
(参考)
ゆっくりの駆除に使用する道具は、鍬、鋤、円ピなどでかまいません。手斧や鉈なども十分に使用可能です。
しかし、成体のゆっくりでその体高は30~40センチほどです。地面の低い位置にいるため、数が多いとき鉈などでは体勢的に苦労します。
そのため、駆除に使用するものはある程度の長さがあり、立ったままの姿勢で使用できる円ピや槍のようなものが良いでしょう。
この手引きでは、適当な竹や木の棒の先端に、鋭く尖らせたヘラ状の板を取り付けた「ゆっくり駆除棒(ゆ棒)」の仕様をお勧めします。
使用方法は、ゆっくりの頭頂部に振り下ろすように突き刺し、手首を捻って内部の中枢餡を撹拌します。
この時の中枢餡を撹拌する動作にある程度の慣れが必要となりますが、10匹も試せばコツがつかめるでしょう。
ゆ棒を使用して駆除を実施すると、餡子を撒き散らさずに外見を保ったまま駆除が可能です。飛び散った餡子で環境を汚染することもありませんし、ゆっくりの死体を堆肥にするために持ち帰る場合などに便利です。
ゆっくりの集まる場所や、ゆっくりの通り道となる場所がわかったら、その場所にゆっくり団子などの毒餌を設置しましょう。
単純な物理的駆除に比べると費用がかかりますが、それなりの効果を見込むことができます。
問題があるとすれば、毒餌によりゆっくりプレイスをゆっくりできない所とゆっくりが認識した場合に、あらたなゆっくりプレイスを求めて人里まで出てくる恐れがることです。
そのため、ゆっくりぷれいすへの毒餌の設置は畑などが柵や堀にて強固に防御されている場合と、完全にゆっくりを駆除することを決定した場合以外は避けた方が良いでしょう。
ゆっくりプレイスを見つけたら、またはゆっくりの気配を感じたら「ゆっくりしていってね!」と大きな声で言ってみてください。
ゆっくりの習性として「ゆっくりしていってね!」といわれると、食事や排泄などの行為の途中でも「ゆっくりしていってね!」と返答をしてしまいます。
この習性はゆっくりが問いかけを認識できる限り有効ですが、過度の発情状態での生殖行為中などは気が付かないで返答をしない場合があります。
ゆっくりの返答が聞こえたら、続けて「美味しいお菓子があるよ!」、「いっしょにあまままを食べようよ!」などの言葉をかけてやると、たいていのゆっくりは集まってきます。稀に、警戒心の強いゆっくりの場合は隠れてしまうこともありますが、その場合は「ゆっくりしていってね!」の掛け声の返答をたどってゆっくりを見つけてください。
ゆっくりが出てきたら、そのまま駆除してしまってもかまいませんが、ゆっくりを捕まえて巣穴まで案内させる方法もあります。
「おかしをあげるから、おうちまでつれていってね!」や、「あかちゃんにもおかしをあげるから、おうちの場所をおしえてね!」など、言葉巧みにゆっくりに巣穴までの案内をさせると良いでしょう。
巣穴への案内を拒否した場合は、ある程度の痛みを与えてやれば大体のゆっくりは案内を承諾します。
このときの対象がつがいのゆっくりの場合は、片方を痛めつけてもう片方に案内させる方法もありますが、ゲス種の場合は十中八九、つがいを見捨てて逃げようとします。この逃げたゆっくりを尾行して巣穴をみつけてもかまいません。
4.3 巣穴の駆除
ゆっくりの巣穴での駆除方法を紹介します。
ゆっくりの巣穴は大まかに分類すると、自然にある巣穴に適した立地などを利用したものと、ゆっくりが巣穴を製作する場合の二種類が有ります。
前者の例を挙げると、木のうろや大木の根元にできた空洞、崖などの断層に現れた洞窟などの空洞利用した巣穴になります。
後者の例を挙げると、狐などの巣穴を利用したもの、比較的柔らかな土壌に巣穴を掘ったもの等になります。また、極稀にですが、土や石などを積み上げて作られたドーム上の巣を作成するゆっくりもいます。
それぞれの巣に適した駆除方法を選択して効率的に駆除を実施してください。
駆除の実施した後の巣は、場所を記録してそのままにしておきましょう。
巣を残しておけば、新たな群れが住み着いたときに新規の巣の作成を減らすことが出来ます。
巣を特定しておくことで、次回の駆除時の効率を上げることが出来ます。
4.3.1 巣穴駆除実施時の服装・装備
服装: 山歩きに適した服装、丈夫な靴
注意点: 革製など丈夫な手袋、脚絆等による保護
駆除を実施する場合の服装は、一般的な山歩きの服装で問題ありません。
ただし、一点注意が必要になります。
ゆっくりの駆除時に予期せぬ攻撃を受け怪我をしないように、保護具を身に着けてください。
ゆっくりの攻撃により怪我をしやすい部分は四肢の末端になります。
成体のゆっくりの噛付きによる攻撃は、下手をすると指を切断される恐れがあります。
ゆっくりに攻撃されやすい手や足の脛などを保護するために、革や厚手の木綿などで出来た丈夫な手袋及び脚絆などを使用してください。
4.3.2 巣穴駆除の道具
長さ2メートル程度、直径3から4センチ程度の竹を使用して作った筒です。
巣穴に差し込んで音を聞いたり、声を巣穴の奥まで届かせるときに使います。
また、後述の燻煙器による煙を流し込むときにも使用します。
養蜂などで使用する燻煙器を大きくしたものです。
適当な大きさの缶の中に、熱源となる炭と金属製の皿が入っています。
炭に火を 付け、皿の上に辛子や唐辛子などの刺激物をブレンドした種を載せて煙を発生させます。
缶にはふいごが付いていて、ふいごの先に「呼び筒」を取り付け巣穴の奥へと煙を流し込みます。
ゆ棒、円ぴ、鋤、鍬などの使い慣れたものでかまいません。
おびき出したゆっくりを処理するのに使用します。
深い巣穴から出てこない場合などに使用します。
細く割った竹の先に、竹を削って作成した鉤爪や穂先などを取り付けます。
竹ひごを巣穴の奥まで差し入れて激しく動かすことにより、先端の鉤爪などでゆっくりを処理します。
巣穴から誘い出すために、なにか甘いものなどを持っていくと良いでしょう。
ゆっくりを潰して取り出した餡子や、飾りなどを取りはずしたゆっくりの焼き饅頭でもかまいません。
4.3.3 巣穴の駆除方法
実際の巣穴の駆除方法紹介します。
今回の説明では、駆除の時期を冬篭り前の晩秋から初冬に実施すると仮定します。
(1)入り口の確認
巣穴に親ゆっくりが不在の時や冬篭りの準備が終了した場合は、巣穴の入り口が塞いであります。
巣穴の入り口は擬装されている場合がありますが、一般的なゆっくりは擬装があまりうまくありません。
例えば、一箇所だけ草が枯れている、周囲に落ち葉が無いのに一箇所だけ積もっている、周囲が土の斜面なのに石が積んであるなどの不自然な箇所に注意してください。
また、普段から森や林に入る時に、ゆっくりの巣になりそうな場所や動物の巣穴の跡などをチェックして記録しておくと良いでしょう。
(2)呼びかけ・誘い出し
入り口が塞がれていたら、まず障害物を取り除いてください。
障害物を除去して入り口が開いたら、直ぐに覗き込まずに呼び筒などを使用して「ゆっくりしていってね」と呼びかけてください。
ゆっくりが入り口を開けたことに気が付いている場合、不用意に覗き込むと石を飛ばされたり、体当たりされて負傷する恐れがあります。
呼びかけに対して「ゆっくりしていってね」と応答がありましたら、続けて「いっしょにお菓子を食べよう」などの呼びかけを行い外へと誘い出します。
冬眠型のゆっくりで眠りが深い場合に返答が帰ってこない場合がありますが、その場合は「(4)そとに出ない場合」の駆除方法を参照して駆除してください。
(3)外に出てきた場合
巣の中の家族が全員出たことを確認したら巣への退路を断ってください。
その後、なるべく騒がれないように処理をしてください。
処理に手間取り悲鳴を上げられたりすると、近くに巣があった場合に警戒されて駆除の効率が悪くなります。
外に出ないゆっくりがいる場合は「(4)外へ出てこない場合」を参照して処理をしてください。
(4)外へ出てこない場合
(4-1)巣の内部が確認できる場合
巣穴の奥行きがそれほどなく、入り口から巣の内部が確認できる場合は、「ゆ棒」などの長い得物を差し込んでそのまま処理してください。
(4-2)巣の内部が確認できない場合
(4-2-1)燻り出す
ゆっくりの巣が狐の巣跡等を使用している場合は、奥行きが深いために巣の内部が確認できません。
その場合は、まず燻煙器を使用して燻りだしてみてください。
燻煙器にくべる種は、籾殻や麻縄などに辛子や唐辛子などの刺激物を混ぜたものを使用すると効果があります。
刺激物を使用した場合、耐久力の弱い赤ゆっくりや幼ゆっくりなどは、煙の刺激により餡子を吐き出して死亡することがあります。
煙に耐え切れずにゆっくりが外に出てきたら、騒がれる前に速やかに処理してください。
それでも、ゆっくりが外に出てこない場合や、全てのゆっくりが外に出たか確認できない場合は次項を参照して駆除を実施してください。
(4-2-2)巣の奥のゆっくりを駆除する
巣の奥のゆっくりの駆除には竹ひごを利用します。
竹ひごの先端に槍の穂先や鉤爪などを取り付けて巣穴に差し込んでください。
このとき先端につける得物は、中で外れて紛失しても良いように竹などを削って作ると良いでしょう。
ゆっくりの柔らかい皮膚に対しては、竹を尖らせただけで十分に効果があります。
また、松明などを取り付けても良いでしょう。
竹ひごを巣の奥まで差し込んだら、適当にかき回してください。
そのときに「呼び筒」を差し込んで内部の音を確認しながら実施すると良いでしょう。
巣の内部構造が複雑で奥まで竹ひごが届かない場合は、巣の入り口を埋めてしまいましょう。
このときに、ゆっくりに掘り返されないように石などを奥まで詰めてふさぎます。
【巣穴駆除フローチャート】
(1)入り口の確認
┃
(2)呼びかけ・誘い出し
┣━━━━━━━━━━┓
(3)外に出てきた場合 (4)外へ出てこない場合
┃ ┏━━━━━━━━━━┻━━━┓
┃ (4-1)巣の内部が確認できる場合 (4-2)巣の内部が確認できない場合
┃ ┃ ┏━━━━━━━┫
┃ ┃ (4-2-1)燻り出す━┳━(4-2-2)巣の奥のゆっくりを駆除する
┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ (巣穴を埋める)
┗━━┻━━━━┳━━━━━━┻━━┛
(巣の位置を記録する)
-以上-
最終更新:2008年12月09日 19:04