「げっ!!」
河城にとりが家に帰ると大切な研究装置がひっくり返されている
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
その出迎えの言葉に、にとりはすぐ犯人が誰かを理解した
「・・・」
「むきゅ~ん」
にとりの足元には
ゆっくりパチュリーがいる
にとりの足に頬を擦らせる。ゆっくりの愛情表現だ
「おねえさん、れいむたちのおうちにようこそ!!」
「まりさたちのおうちいいだろ、ゆっくりしていってね!!」
ゆっくりれいむが3匹
ゆっくりまりさが2匹
ゆっくりパチュリーはすぐ死ぬからどうでもいい
にとりはポケットから飴玉を取り出すと自分の足元にいる
ゆっくりパチュリーにあげる
「美味しいよ」にとりは全く笑っていなかったが、その言葉にゆっくりパチュリーは笑みを浮かべ飴を舐める
また、にとりはポケットから何かを探す、取り出したのは何かのスイッチ
ゆっくりパチュリーは飴を貰った事をゆっくりまりさたちに報告するため駆け寄る
それに気づいたのか、ゆっくりまりさたちは一斉にゆっくりパチュリーを見る
パァーン
にとりがスイッチを入れると、ゆっくりパチュリーは弾け飛んだ
ゆっくりまりさたちは何が起こったのか分からない
今まで嬉しそうにこっちに向かって走ってきたゆっくりパチュリーがいなくなり
ゆっくりパチュリーがいた場所にはクリームが飛び散っている
「ゆっ?」「ゆっ?」「ゆっ?」
みんな、キョロキョロ辺りを見合す、ゆっくりパチュリーを探す
にとりはゆっくりパチュリーのクリームを踏み潰して、ゆっくりまりさたちに近づく
「おねえさん、パチュリーしらない?」
「えー、さっきまでいたじゃん、そこに」
にとりはゆっくりパチュリーの餡子が飛び散ってる場所を指差す
「しってるよ!!そこからゆっくりいなくなちゃったんだよ!!」
「えー、見てなかったの?やだなー、自信作なのに」
そう言うと、にとりはまた飴玉を取り出し、ゆっくりまりさに食べさせる
「いいな、まりさいいな!!」「おねえさん、わたしたちにもちょうだいね!!」
他のゆっくりたちがざわざわしだす
もう、ゆっくりパチュリーの事はどうでもいいらしい
そして、にとりはスイッチを取り出す
「みんな、そのゆっくりまりさをよーく見ててね。そしたらもーっと面白いもの見せてあげるから」
「うん、ゆっくりみてる!!!」「ゆっくり、おもしろいものみせてね!!!」
スイッチを入れる
近くで見ていたゆっくりれいむに餡子がかかる
今度はすぐにゆっくりまりさが爆発したんだと理解した
「ゆっ!!なんで?どうして?」「ゆっくりせつめいしてね!!」
「約束通り面白いもの、見せてあげるね」
にとりはゆっくりたちの言葉を無視する
ポケットの中から取り出したのは黒く四角い小箱だった
「これって、とっても面白いんだよ。見たい?とっても面白いもの、ゆっくり見たいよね!!」
「ゆっ?・・・ゆっくり見たい!!」
ゆっくりという言葉に押し流されて、ゆっくりたちは弾け飛んだゆっくりまりさの事を忘れ
にとりの方を見る
「じゃあ、誰が私とコレで遊んでくれるかな?」
「はい、れいむ、れいむがゆっくりあそぶ!!」
にとりの問いに一番近くにいたゆっくりれいむが反応する
「じゃ、遊びましょう」
そう言って小箱をゆっくりれいむに押し付ける
「ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"」
ゆっくりれいむが痙攣を起こす
「饅頭なのに電気が通るの?全くデタラメな饅頭ね」
「ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"」
ゆっくりれいむの異常な状態にゆっくりたちは声を上げる
「ゆっくりやめてね!!!」「ゆっくりしね!!!」
その声も虚しく
にとりが小箱をゆっくりれいむから離す頃にはゆっくりれいむは口から大量の餡子を吐き出し死んでいた
一個のゆっくりまりさをにとりは持ち上げ、作業台の万力で動けなくする
「こういうのは竹林の宇宙人の方が得意なんだろうね」
ゆっくりまりさは悲鳴を上げるが、万力は決してゆっくりまりさを離さない
残りのゆっくりたちは必死ににとりの足に体当たりをするが、効果などあるわけが無い
帽子を取り払いぐちゃぐちゃに丸め、その行為に抗議するゆっくりまりさの口の中にねじ込む
「じゃあ、はじめますねー」
にとりの手に握られているのはメスではなくカッターナイフ
カッターナイフでゆっくりまりさの頭を切り開いていく
「イ"ダイ"イ"ダイ"イ"ダイ"!!!」
死なない程度に餡子を取り出し、代わりに激辛ソースをいれていく
途中からゆっくりまりさは壊れたラジオのように甲高い声で早口に何かを言っているがよく聞き取れない
ふたをして木工用ボンドで隙間を埋め、口から帽子を取り出す
万力から開放されるとゆっくりまりさはゆっくりれいむたちの元に向かう
「まりさ、だいじょうぶ?」「ゆっくりきかせてね」
心配した二個のゆっくりれいむがゆっくりまりさに話しかける
「スバヤクドコモイタクナイヨ」
甲高い早口でゆっくりまりさが答える
挙動は明らかにおかしく、細かく高速でゆれている
「スバヤクウゴキマワッテネ!!」
ゆっくりまりさは壁に突進する
「まりさ、だいじょうぶ?」「まりさ、ゆっくりしてね」
「スバヤクウゴクネ!!」
ゆっくりまりさは何度も自分を壁に打ちつけたり、同じ場所をグルグル高速で回ったり
そうしたと思うと餡子を吐いたりとおかしな行動を繰り返した
ゆっくりれいむたちにはその原因が分からない
にとりはと言うと作業台に座ってニヤニヤゆっくりまりさを眺めている
やがてゆっくりまりさは何度も壁に自分を打ちつけたせいで眼球が潰れ
いつも以上のスピードで駆け回ったせいで底の部分から餡子が飛び出て
最後には全く動かなくなり「スバヤクウゴクヨ」と言い続けて死んでいった
にとりは一通り笑った後で残り二個のゆっくりれいむを捕まえる
それぞれ別のケースに入れる
片方のケースはゆっくりが駆け回れるぐらい広く、もう片方は身動きが取れないほど狭かった
「はーい、そこでゆっくりしていってね!!」
一週間が過ぎた
片方のゆっくりは少しぽっちゃりしており、リボンもしっかり洗濯してもらい綺麗なままだった
ケースの中には空調装置が取り付けられ、いつも快適に過ごせていた
しかも、食事飲み物は良い物を頼みたい放題だった
もう片方のケースのゆっくりは少し痩せたようだった。リボンは油脂で汚れ茶色くなっている
もちろん空調装置なんて無いから温度、湿度共に上がりっぱなし、食事はクズ野菜や残飯ばかりだった
最初の頃はお互いに励ましあって、いつかはここを出ようと誓っていたが
次第に大きなケースにいるゆっくりれいむに心境の変化が現れた
「ここがれいむのおうち、ここでゆっくりするね!!」
いつしかお互いは声を掛け合わなくなり、仲は急に悪くなる
大きいケースのゆっくりれいむなどはわざわざ小さいケースのゆっくりれいむから見える位置に移動して
食事を取っていた。そしてゆっくりれいむたちの生活は二週間目に入った
「ゆっくりにおってきたよ。なにこれ?」
小さなケースのゆっくりれいむがある異変に気付く
自分のいるケース内がすっぱい臭いで溢れているのだ
簡単な事だ。饅頭を湿った空気の流れの無い場所に放置すれば痛んでくる
ゆっくりれいむはあまりの臭いに強引に体を動かした
すると、ズルリ
痛んでドロドロになっていた皮が破れ餡子が外気に、ケースの壁に触れる
「イ"ダイイ"ダイ、もうヤダ、おウチかえる」
泣き叫んでも意味がない。いや、むしろ体を動かすと餡子が押し出されてもっと痛くなる
すっかり小さいケースのゆっくりれいむが生気を失っていた頃
またゆっくりれいむは自分の異変に気付いた
自分の顔に黒い点々がある。カビだ
ゆっくりれいむは最初は気にならなかったが
隣の大きなケースにいるゆっくりれいむがそれを馬鹿にし始めた時から
物凄く気にするようになった
ある日、唐突に大きなケースのゆっくりれいむが殺された
別に何か悪い事をしたわけじゃない。何か今日が特別な日なわけでもない
いつものようにゆっくりれいむが食事を催促するとにとりが金属バットを持ってやってきて
何度も何度も何度も何度も何度もゆっくりれいむを殴打した
ゆっくりれいむが動かなくなってもにとりの手は止まらない
今度は叩き切る様にバットを振り下ろす、皮や餡子がそこらじゅうに飛び散る
黒い点々のある自分の皮と比べ、色白である事を自慢していたゆっくりれいむ
汚れたリボンを馬鹿にし、いつも綺麗な自分のリボンを見せびらかしていたゆっくりれいむ
それは跡形も無く皮と餡子とリボンに変えられ、餡子で汚れたリボンが唯一
そこに広がっているものをゆっくりれいむだと語っていた
そして、にとりは金属バットを持ちながら小さなケースの前まで来る
「あなたは殺さなぁい~あなたはそこでゆっくり死ぬの」
ゆっくりれいむは消え行く意識の中で自分は今どんな格好をしているんだろうと思った
ゆっくりまりさのように爆発して死ぬのか、狂って死ぬのか、
ゆっくりれいむのように餡子を全て吐き出すまで責め続けられるのか、バットでぐちゃぐちゃにされるのか
ゆっくりパチュリーのようにただいなくなるだけなのか
にとりが小さな鏡を持って近づいてくる
そこに映った自分の姿
それまで思っていた。知っていた誰の姿より酷い
顔中に赤や青、黒いカビが生え、リボンは茶色く変色し、所々から餡子が漏れている
「あなたはまだ生きるわ」
そう言ってにとりは小さな鏡をケースの前に置いた
目を開ける限り、ゆっくりれいむの姿を映し出すようにして
それから四日間、ゆっくりれいむは生きていた
もっとも最後の三日間は鏡に映った自分の姿を誰か別のゆっくりだと思い込み罵声を浴びせ続けていたが
~あとがき~
今度はもっとハイテンションなのに挑戦したいですね
チルノとか萃香が大暴れする感じの
あと、感想などをいただけたら幸いです
最終更新:2011年07月27日 23:56