糸の切れた人形のように小悪魔はぐったりとイスに座り込んでいた。
目の前には
ゆっくりありすがゆっくりまりさに頬ずりしている。
「下品な女・・・」
小悪魔は口だけを動かす。
「ゆ?おねーさん、こいびとのまりさのわるぐちはやめてよね」
「あなたですよ。この阿婆擦れ」
小悪魔はゆっくりぱちゅりーを少し強く抱きしめ、ゆっくりありすを睨みつける。
「この阿婆擦れ、絶対に殺してくださいって言わせてやる」
小悪魔は小声で呟く、それはゆっくりまりさとイチャイチャするゆっくりありすには届かなかった。
小悪魔が仕事の合間に見つけた暇つぶし、
それはゆっくりの世話だった。最近見つけたもう使われていない掃除用具入れを掃除し、
主のパチュリーから少しばかりの賃金と休日をねだり、改装したご自慢の飼育部屋だった。
丸っこい可愛い文字で「ゆっくりのお部屋」と彫られ、ゆっくりパチュリーとゆっくりまりさが描かれていた。
ファンシーなプレートまでドアに飾っていた。二週間前までは、
小悪魔が飼っていたのは、
屋敷の前で日向ぼっこをしていたゆっくりまりさ、
人里のゆっくり屋で売られていたゆっくりありす、
その帰りに拾ったボロボロのゆっくりぱちゅりー、
だった。
三匹は最初、平等にエサを与えられ、平等に相手をされていた。
しかし、小悪魔はボロボロのゆっくりぱちゅりーを不憫に思い、
傷を治療をしてやったり、帽子を縫ってやったりしてやったのがよくなかった。
「ぱちゅりーはズルい!!」
意地汚いゆっくりまりさはすぐにゆっくりぱちゅりーに嫉妬した。
「やめなさい、ぱちゅりーは傷ついてたから治療してあげたのよ」
小悪魔は何度も言って聞かせたが、このゆっくりまりさはそれまでかなり不条理な世界で育ってきたのだろう。
ゆっくりぱちゅりーを不満のはけ口にしていた。
ゆっくりありすはというとゆっくりまりさに気に入られたいがためにゆっくりまりさに味方していた。
小悪魔は仕方なくゆっくりありすとゆっくりまりさをゆっくりぱちゅりーから遠ざけるため部屋に透明の仕切りを作った。
それでも二匹はゆっくりぱちゅりーに汚い言葉を投げつけた。
小悪魔がゆっくりぱちゅりーを庇えば庇うほど、二匹の行動は激化していった。
ゆっくりまりさも自分に同調してくれるゆっくりありすが居る事で良心は停止してしまっていた。
小悪魔が仕事で忙しかった日、二匹は仕切りに向かって体当たりした。
仕切りはグラつき、もう一度体当たりを受け、仕切りは倒壊した。
小悪魔がニコニコとエサを持ってきた頃にはゆっくりぱちゅりーは酷く痛めつけられ震えていた。
すぐさま、小悪魔はゆっくりまりさを払いのけ、ゆっくりぱちゅりーを抱きかかえる。
「誰、こんな事した子は?まりさ?!」
「ゆ!まりさじゃないよ・・・」
ゆっくりまりさは余所見をして答える。
「じゃあ、誰なの!!」
「とかいはのありすだよ。だってまりさがそのこのこときらってるんだもん!!」
ゆっくりありすはゆっくりまりさに頬ずりをする。
小悪魔はその日、一生懸命作ったプレートをゴミ箱に捨てた。
代わりに小悪魔が用意いたのは一斗缶と握り拳ぐらいの小石だった。
ゆっくりまりさを一斗缶に縛り付ける。極簡単な魔法で小石を焼け石に変える。
ゆっくりまりさはやめろと喚くが、小悪魔には聞こえない様子だった。
コトン、熱せられた小石を一斗缶の中に落とす。
もう一つ、コトン
次第に一斗缶の温度が上がってくる、今でちょうど人肌程度、
無論、ここで辞めるつもりなど毛頭ない。
「おねえさん、はやくこのなわをほどいてね」
「・・・」
コトン、返事をするように真っ赤な小石が一斗缶の中に落とされた。
「ゆぎゅ!!!ゆぎぃぃ!!」
ゆっくりまりさが痛がる様を少しでもよく見たいのだろうか、
小悪魔の目は目玉が飛び出るほどに開けられている。
ギョロっとした目でゆっくりまりさが悲鳴を上げる様を見ている。
口元は緩み、今にもケラケラと笑い声が聞こえてきそうだ。
「やめなよ。おねえさん、まりさがいやがってるでしょ!!」
「ゆぎぃ!!そう・・・だよ。はやくやめて・・・ね」
二匹は抗議をする。しかし、ゆっくりありすは熱いのが嫌なのか一斗缶から随分離れた場所に居る。
「まだお喋りに余力が残っているのですか、売女が。でしたら、もう少々熱を上げさせてもらいましょう。恋で焦がれていたいでしょ」
それからゆっくりまりさは右の頬が壊死するまで高温の一斗缶に縛り付けられていた
最後は悲鳴を上げる事すらできず、ただ白目を向いているだけだったが
翌日、また一斗缶と小石が用意された。
ゆっくりまりさは逃げようと努力はしたが、あっさり捕まってしまう。
「お、おねえさん、まりさがだめなところがあったらおしえてね。まりさ、ゆっくりなおすよ」
引きつりながらも明るく笑ってみるまりさ、
右の頬は動かず、左右非対称の気持ち悪い笑みだが、まりさには精一杯の行動だった。
小悪魔は無言で一斗缶にゆっくりまりさを縛り付ける。今度は左の頬を一斗缶にあてがう。
「なおすから!!まりさのわるいところなおすから!!」
コトン、小悪魔の返事は焼けた小石を一斗缶に落とす事だった。
昨日の繰り返し、ゆっくりまりさが熱いと騒ぎ出し、ゆっくりありすが心配し小悪魔にやめる様に抗議し、
小悪魔が小石を落としそれに答える。
昨日のようにまたゆっくりまりさは白目を向き気絶する
「そんなに心配ならもっと寄って慰めてあげてくださいまし」
ゆっくりまりさを心配そうに、しかし離れた場所から見守るゆっくりありすに小悪魔は声をかける
「私が怖いですか?あなたの愛ではここまで来れないのですよ。所詮は年中欲情女の勘違いですよ」
それでもゆっくりありすは動かないでいた。
自分をまず守らなきゃ、ゆっくりありすは選択をし、自分の命を生きながらえさせた。
その選択が正しいかどうかは後で分かる事となる。
両頬が壊死してしまったゆっくりまりさから笑顔が消えた。
笑えなくなったのだ。顔が全く動かない。喋る事には不便は無いが、表情を作れなくなってしまった。
ブスッといつも不機嫌そうな顔をしているゆっくりまりさ。
「ブサイクな顔がよりブサイクになりまして、そんな事では誰も買ってくれません事よ。売女さん」
小悪魔がゆっくりまりさの帽子を奪い取るとヒステリックに何度も踏みつけた。
ボロボロになった帽子をゆっくりまりさの頭の上に載せる。
「まあまあ、前衛的なお帽子ですこと。ブサイクには勿体無いぐらいです」
だんだんと自分達の待遇が悪くなってくる。エサは減り、部屋の掃除もされなくなった。
かける言葉も刺々しくなり、ゆっくりまりさは毎日苛められる。
ゆっくりぱちゅりーはテーブルの上で二匹を見下ろすように飼われている。
クッキーや紅茶、美味しいものばかり毎日食べさせてもらえている。
すると、ゆっくりありすは態度を一変させる。ゆっくりパチュリーに媚を売り出したのだ。
「ぱちゅりー、ありすにもクッキーちょうだい」
ぷいとぱちゅりーは身体をありすとは別の方向に向ける。
「ねぇ、ぱちゅりー、あやまるからぁ。ごめんなさい、ゆっくりゆるしてね!」
それを見て気分がよくないのはまりさだ。
「ありす?」
不安そうにゆっくりありすを見つめる。仲違した、ぱちゅりーはそう思った。
しかし、共犯関係はそう簡単に崩れるものではなかった。
小悪魔が部屋に戻ってくると、ぱちゅりーが死んでいた。
テーブルの上から落ちたのだ。そして、その死体をありすとまりさは食べている。
小悪魔はすぐに死体に集る二匹を蹴り飛ばした。
仕掛けておいた監視用の魔法の鏡を起動させる。
この鏡は数時間前に映した様子をもう一度再生する事ができる。
「ねぇ、ぱちゅりー、ありすとすっきりしない?」
「むきゅ?すっきり?」
「そうよ。とってもきもちいいのよ」
ぱちゅりーは野生だったが、今まですっきりした経験は無かった。
所謂、処女だった。それは体力的な問題、不運な境遇が原因だった。
決してすっきりししたくないわけではなかった。
今は毎日食事が取れ、病弱とは言え体力はかなり付いた。そして境遇は。
形の良いゆっくりありす。ペットショップで売られていた美しいゆっくりありす。
今までは自分を苛めていた嫌な存在だったが、そんな関係も終わった。
目の前にいるのは自分とすっきりを望む綺麗なゆっくりありす。
「むきゅー、そこまでいけないわ」
「ちょっとまっててね」
かかった。ありすは急いで小悪魔が用意したクッションを持ち出す。
「ここにとびおりればいたくないよ!!」
「むきゅー、ありすってかしこいね!!」
そして、ぱちゅりーは飛んだ。
ありすはクッションを別の場所に投げ捨てる。
糸の切れた人形のように小悪魔はぐったりとイスに座り込んでいる。
目の前には先ほど蹴ったゆっくりありすがゆっくりまりさに頬ずりしている。
痛かったねなどと痛みを慰めあっている。
「下品な女・・・」
小悪魔は口だけを動かす。
「ゆ?おねーさん、こいびとのまりさのわるぐちはやめてよね」
「あなたですよ。この阿婆擦れ」
小悪魔はゆっくりぱちゅりーを少し強く抱きしめ、ゆっくりありすを睨みつける。
「この阿婆擦れ、絶対に殺してくださいって言わせてやる」
小悪魔は小声で呟く、それはゆっくりまりさとイチャイチャするゆっくりありすには届かなかった。
まりさは嬉しかった。ありすは裏切ったわけじゃない。
ありすはあの憎たらしいぱちゅりーをやっつけてくれた。
とても嬉しかった。まりさは目を覚ます。大好きなありすが傍にいると思って。
「お早い御起床で、この鈍間。お食事は何になさいますか?生ゴミ?泥?それとも肥溜めから糞尿でもすくって参りましょうか?」
目の前にいたのは小悪魔だった。逃げないとまた酷い事をされる。今まで忘れていた事が蘇る。
どうして、ゆっくりしていたんだろう。ぱちゅりーを殺して小悪魔が黙っているわけ無いじゃないか、
必死に身体を動かすが、どうにも動かない。いや、動こうとするととても痛い。
「いひゃい」
声がおかしい。大きい声が出せない。
「あひふ、ひゃふひぇて」
クスクスと小悪魔は笑った後、ギョロっとした目でまりさを見つめ、説明した。
「足はこの通り、切り取らさせていただきました」
目の前に置かれたのは今まで自分の底だった部分、ゆっくりでは足と呼ばれる部分だ。
円く切り取られている足、まりさは吐き気がする。
人間だって自分の足が切り取られて見せ付けられれば恐怖のあまり嘔吐するだろう。
「あと、口元を縫い付けさせていただきました。それと」
口元が縫い付けられていて思ったような声が出せない。
急に小悪魔が消える。よく考えれば視界が狭い。
「左の眼球を摘出させていただきました」
まりさは小悪魔の元から逃げ出し、ありすを探す。
「あひふ、あひふ、ほひへ」
「ゆー?まりさ?」
眠気まなこのありすにも分かる。まりさがおかしい。
小悪魔がありすのところまで来て説明する。
「あなたのパートナー、私が壊して差し上げました、如何でしょう?髪もイカしますでしょ?」
「あ・・・ああ」
ありすは目に一杯の涙を浮かべている。
髪は所々無残に切られ、目をなくし、口を縫われ、
「綺麗でしょ?パートナーの容姿を褒めてあげて下さいまし。都会派の阿婆擦れ、ほら、笑ってくださいまし、フフフ」
元々焼かれている頬とボロボロの帽子、ありすはまりさに何の好感も持てない。
「愛していると言ってあげてくださいまし、あなたが愛したせいでこうなったんですから」
ありすの頬にまりさの焼けてゴツゴツした頬を押し当てる。
次第にありすの顔が青ざめていく。そして、まりさがありすに呼びかける。
「あひふ、ひゃふへへ」
「し、しらない!!こんなかいぶつしらないよ!!こんなのありすのまりさじゃないよ。はやくでていってね!!」
せきを切りありすがまりさを拒絶する。
「あひふ、まひははほ。まひははほ」
「そうです。これはあなたが愛したゆっくりまりさですよ。しっかりしてくださいまし、壊れるにはいささか早うございますよ」
「じゃあ、まりさなんていらない。こんなのありす、いらない!!」
そう言うと、ありすは何度もまりさに体当たりを繰り返す。
「あひふ、ひゃへてへ!!」
「うるさいよ!!おまえなんてゆっくりできないよ!!はやくしんでね!!」
何十回、何百回と体当たりを繰り返し、ようやくまりさは動かなくなりました。
「それでは最後はあなたですよ。皆様あちらであなた様がお死にになるのをお待ちしていますよ」
ゆっくりありすは最期に。
「ころしてね」と力なく言ったが、それから三ヶ月も拷問は続いた。
by118
最終更新:2009年01月23日 10:51