100スレ記念4
ドスまりさは非常に大きいので本来森で暮らすのに適していない。
しかし、何の因果か
ゆっくりの主な生息地は森である。
もちろん木々をなぎ払って移動することが出来ないこともないのだが、流石に木にぶつかればドスでも痛い。
それに下手に木々をなぎ倒して他の
ゆっくりを巻き込むわけにも行かない。
だからドスのいる森にはドスパークや突進などを利用して拓かれたドス用の通路が存在する。
この森であれば3mほどの不自然に大きい道がそれに当たり、道幅はドスのおおよその大きさを示すものでもある。
青年はその通路の位置を事前に把握し、入念な下調べよってドスの行動パターンを確認していた。
だからこそ、今こんなにも堂々と
ゆっくり達を痛めつけて回ることが出来るのだ。
「おい、まりさ。そっちはドスの通路に出るから迂回しろ」
そして、それゆえにまりさが青年を罠にはめる事ができないのだ。
まりさにしてみれば人間にはドスが見えないのだからきっと何とかなると思っていただけにショックは大きいようだ。
彼はまりさの頭を引っ掴んで方向転換させ、再び森の中を歩き始める。
こうして6つ目の巣の前に到着し、またしてもまりさを鞄の中にねじ込んだ。
「ゆっくりしていってね」
「「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!」」
もう夜の帳の覆われ始める時間だと言うのにのん気にも外で遊んでいたのは
ゆっくりちぇんと
ゆっくりらんの一家だった。
成体のちぇんとらんが1組、子どもはちぇん4匹とらん1匹、赤ゆも全く同じ構成比で計12匹。
奇妙な構成比ではあるがこれがらんの希少種たる所以なのだろう。
「いや、そういう考察は学者の仕事か」
呟き、うだうだと考えるのをやめた青年は早速希少種のらん種3匹を捕獲した。
赤らんと子らんを捕獲用ポケットにねじ込み、親らんを足で押さえつける。
夕暮れ時に外に出ているような危機意識の無い個体だっただけに掴まえるのは信じられないほどに容易。
なお、らん種を優先的に捕獲した理由は2つ。
ちぇん種とらん種は互いに極度に依存する傾向があるので片方を捕まえておけばめったに逃げない。
知能も身体能力もらん種のほうが優れているので先に捕獲しておいたほうが万が一を防ぎやすい。
「らんしゃまをかえしてねー!」
「わからないよー、
ゆっくりできないよー」
「らんしゃまああああああああ!」
「「「ちぇええええええええええええん!」」」
青年の足の下でひしゃげている成体らんの下にわらわらと集まってくる9匹のちぇん。
彼は身をかがめるとちぇんを1匹ずつ、大きい個体から捕まえると手近な木の枝にくくりつけていった。
そんなこんなで数分後。
「「「「「わからないよー」」」」」
「「「「わかりゃにゃいよー」」」」
「「「ちぇえええええええええええええん」」」
「・・・お前ら、それしか言えないのかよ?」
突っ込みながらも青年はてきぱきと今度は3匹のらんの底部をこんがりと焼き上げてゆく。
さっきからこればっかりやっているが、この虐待はそれほどまでに完成度が高いものなのである。
「ゆ゛ぐうぅぅぅぅううううう!?」
「ぢぇえええええええええええん!?」
「ゆぎゅぅぅぅぅ!?」
さくっと焼き上げたらんのうち子らんを除く2匹を木から少し離れた場所に置く。
子らんは衣服に備え付けられた子
ゆっくり捕獲用ポケットに再び戻した。
「さて、お前ららん種は尻尾に蓄えたお米を発射することが出来ると聞いた。だから頑張って撃ち落せ」
もっとも、らんが安全に撃てるお米、というか握りの数は尻尾と同じ9発までなのだが。
加えて赤
ゆっくりの力では木に生っている実を撃ち落すような芸当はまず出来ない。
成体らんが何とか一番手近にいた赤ちぇんを助けようと米弾を飛ばす。
小さい標的だったが、彼女の放った弾は正確に赤ちぇんを捉え、吹き飛ばし、地面に叩きつけて絶命させた。
「ゆ゛っ!?」
「「ちぇええええええええええええええええええええん!」」
「「「「「「わがだないよ゛おおおおお!?」」」」」」
のんびりと見届けるのに飽きた青年は泣き喚くちぇんとらんしに背を向けてその場から立ち去った。
それから再びまりさを取り出し、彼女に次の巣への道案内を要求する。
どうやらまりさは抵抗することを諦めたらしく、素直に黙々と次の巣まで彼を導いた。
「
ゆっくりなんだねー、わかるよー」
「れいむのあかちゃん、
ゆっくりしてね?♪」
「「「
ゆっくり?♪ゆ?ゆ?ゆ?♪」」」
「「「
ゆっくりなんだねー、わかるよー」」」
巣の中から聞こえてくるのはれいむとちぇんとその子ども達の声。
ちょっと珍しい組み合わせではあるが青年にとってはどうでも良い事らしく、さっさと簡易柵を設置する。
そして、今回は恒例の唐辛子玉を使わずに、ポケットから子らんを取り出すと、「中にちぇんがいるぞ」と囁いた。
「ちぇええええええええええええええええん!」
「らんしゃまあああああああああああ!」
「「「らんちゃまあああああああああああ!」」」
げに恐ろしきは本能か。子らんの声につられてちぇん種4匹が巣から飛び出してきた。
それから少し遅れて彼女達を追いかけるようにれいむ種4匹もぽよんぽよんと巣から出てくる。
柵の外に待機していた青年はちぇん達に見つかる前に子らんを両手で包み込んで隠すと、柵を飛び越えて柵の中に着地した。
「ゆぎゅ!?」
その際に運悪く1匹の子れいむを踏み潰してしまったが、彼はその死体を巣の中に蹴り込みつつ、その出入り口を塞いだ。
「れいむのおぢびぢゃああああん!?」
「「「「わからないよおおお!?」」」」
「「ゆえーん」」
「潰しちゃったか。まあ、いいや」
青年は靴にこびりついた餡子を地面に擦り付けながら、れいむ達の抗議をものともせずに話を続ける。
「さて、ちぇん。僕がいまから見せる
ゆっくりと君の子ども達、どっちが大事か決めろ。拒否したら全員潰す」
「ゆっぐりでぎないんだねー、わがるよー」
「どほぢでごんだことするの゛!」
ちぇんの隣ではれいむが大粒の涙を零しながら膨れている。
が、青年は彼女を最初から相手にしておらず、ちぇんも彼女のかまけている余裕は無い。
何をしでかすか分からない。その警戒感から子ども達を自分の後ろに隠したまま、ちぇんは青年をじっと睨んでいる。
一方の青年は余裕に満ちた表情を浮かべ、ゆったりとした動作で先ほど手の中に隠した子らんを彼女の目の前に差し出した。
「さあ、君の子どもとこの子らん、どっちが大事だ?」
「らんしゃまああああああああ!」
「ちぇええええええええええん!」
なんとも悲しき本能の奴隷。子らんを見た瞬間にちぇんは青年の言葉を忘れて彼女の名を叫んでしまった。
それにつられて子ちぇんまでも「らんしゃまああああ!」と叫び、れいむの母子は酷く困惑している。
「そうか、らんしゃまが大事か」
ちぇんの答えを聞いた青年は子らんを成体ちぇんの傍に放り投げつつ成体2匹の頭を飛び越えて彼女らの背後に着地する。
それから2匹の子れいむをすばやく捕まえるとポケット中にしまい、続いて3匹の子ちぇんを捕獲し、彼女らの尾を結び始めた。
1匹目の子ちぇんの尻尾のうち片方にもう2匹目の子ちぇんの尾を括りつけ、2匹目のもう一方の尾に3匹目の尾を2つとも括りつける。
こうして長さ40cm程度のちぇええええんクロスを作り終えた。この間なんと13秒。
「やべでね!でいむのあがぢゃんゆっぐぢさせであげでね!?」
「「「ゎがだだぃよー」」」
「ちぇえええええええええええん!」
「らんしゃまあああああああああ!」
ゆっくりの常識では考えられない暴力を前に半狂乱になる子ちぇんと、それでも必死に抗議の声を上げるれいむ。
その傍らでは子らんと成体のちぇんはれいむ達とはまったく別の意味で半狂乱状態になっている。
青年は成体ちぇんと子らんは気にも留めず、れいむに近づくとちぇええええんクロスで彼女の頭を殴りつけた。
「いだい!いぢゃいよ!やべで、やべでね!ゆっぐぢー!?」
「「「わがらに゛ゃいよぉー!?」」」
れいむは必死に逃げようとするが、柵で囲まれた狭い空間ではどんなに頑張っても逃げ切れるものではない。
青年は彼女を追い掛け回し、何度も何度もちぇええええんクロスで彼女の顔面を打ち据える。
ちぇええええんクロスが振るわれるたびに、れいむに打ち据えられるたびに子ちぇんとれいむが悲鳴を上げた。
「ゆぐっ!ゆびぃ!ぼ、ぼうやべでぇええええ!?」
「「わきゃりゃにゃいよおぉぉぉぉおお!?」」
「もっとゆっくち、ちたかったよ・・・」
そうやって心行くまでちぇええええんクロスを振り回していると、一番先の子ちぇんが中身を吐き出して息絶えた。
ふと、ちぇえええええんクロスを見てみるとその子ちぇん以外の子ちぇんも人間で言うところの青あざのようなものだらけ。
もちろんれいむも散々ぶたれたせいで全身アザだらけの上に、右目が潰れてしまっている。
しかし、パートナーがこんな有様になってもちぇんが子らんと頬擦りを続けていた。恐るべし本能。
「まあいい。なあ、れいむ?」
「ゆっぐ・・・ゆびぃ・・・」
「子れいむを返して欲しかったら、そっちの底部の使い物にならない子らんと連結子ちぇんをちゃんと育てろ」
「ゆっぐ、ゆっぐぢ・・・りがいぢだよ・・・」
散々叩かれたのが相当堪えているらしく、抗議の言葉はなかった。
ぼろぼろの体を引きずって、ちぇえええええんクロス状態のまま青年に捨てられた子ちぇんを咥えたれいむは巣に戻った。
その際に、幸せそうに子らんと戯れるつがいのちぇんを恨みがましい目で見つめていたのを青年は見逃さなかった。
柵を回収してから再びまりさに道案内をさせ、青年は川辺の巣の密集地に到着した。
水に弱いくせにこんなところに巣を作るのがいささか不思議ではあるが、そんな事を気にしても仕方がない。
川辺にある巣の数は1つだけ。それなりに川から離れてはいるが、青年がその気になれば水を少し引っ張ってきて水没させる程度は容易いだろう。
彼はまたしても柵を設置し、今までどおりに挨拶で巣の中の
ゆっくりを呼び出す。
「さてと・・・ゆっくりしていってね!」
「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」
「「「「ゆっくちちていってね」」」」
巣の中からおなじみの「ゆっくりしていってね」の大合唱が響き渡り、ゆっくりの一家が姿を現した。
巣から出てきたのは家族の両親はまりさとぱちゅりー。
それから子
ゆっくりはまりさが3匹とぱちゅりー2匹、更に赤ん坊が両種2匹ずつ。
「珍しい。まりさつむりか」
「むきゅ?、そうよ!ぱちゅりーのまりさはまりさつむりなのよ!」
種族名だけを挙げればいたって平凡な家族構成のこの一家の中に1匹だけ珍種のまりさつむりの姿があった。
2匹いる赤
ゆっくりまりさのうちの片方が帽子の代わりに巻貝を被っている。
「なあ、ぱちゅりーとまりさ、まりさつむりのこと好きか?」
「むきゅ?ぱちゅりー、つむりちゃんのことがだいすきよ!」
「まりさもつむりはゆっくりしてるからだいすきだよ!」
元気良く答える2匹は、見たところ青年が何故そこにいるのかはおろか柵の存在さえも疑問視していない。
非常に警戒心の欠片も無い笑顔で自慢の我が子の魅力について、質問に答えた後も青年に語り続けている。
当然、その話を聞いている他の姉妹、特に同世代の赤
ゆっくりが顔を伏せていることにも気付いてはいなかった。
「そうか。じゃあ、子ども達はつむりのことが好きか?」
「ぱちぇはつむりちゃんのことだいすきよ!どすがつむりはすごくゆっくりしたこだっていってたもの」
「ぱちぇもだいすきよ!だってかわいいいもうとだもの!つむりはみんな
ゆっくりさせてくれるのよ!」
ここまでは姉ぱちゅりー2匹による模範的とも言える回答。
ドスの言う「すごく
ゆっくりした」が何を指すのかは判然としないが、彼女らにとっても自慢の特別な妹なのだろう。
これに関しては姉まりさたちもほぼ同じ意見らしく、姉世代は彼女を可愛がっているようだった。
「じゃあ、妹達はつむりのこと好きか?」
「む、むきゅう・・・ぱ、ぱちぇもだいすきよぉ」
「ぱちぇも・・・だいすきよ!」
おおむね姉たちと同じような模範的な答えだが、明らかに「だいすき」ということに抵抗を感じていた。
とは言え、「嫌い」だと言えば怒られかねないのだから、賢いぱちゅりー種がそんなことを言うはずが無い。
しかし・・・
「ま、まりしゃ・・・つむりはゆっくちできないよ!?」
「まりしゃもだよ!じぇんじぇんゆっくちできないもん!?」
まりさ種の妹達はそんな風に顔色を伺うようなことはしない。それで怒られるとわかっていても。
意を決して、目じりに涙を溜めた目を強く瞑ったまま大きな声でそんな言葉を口にした。
「ゆえーん、どうちてそんなこちょいうのー」
「そうだよ!そんな
ゆっくりできないこというと、まりさおこるよ!」
「むっきゅー!いもうとにそんなこというなんて
ゆっくりできないわ!」
すると、予想通りに両親は憤りを露にし、まりさは頬を膨らませて赤まりさ達を叱りつける。
一方のぱちゅりーは姉妹の心無い言葉に傷つけられ、泣き出してしまったまりさつむりに頬擦りをしている。
叱られた赤まりさ達は「だっちぇ、だっちぇー・・・」と涙を溜めたまま抗議しようとするが、ぷくぅっと膨れた母が怖くて上手く次の言葉が出てこない様子だ。
「まりさ、ぱちゅりー。理由くらい聞いてあげればどうだ?そんな風に一方的につむりを庇うのはこの子達が可哀想だろ」
「「お、おにーしゃぁん!ゆっくちー!」」
「ゆぐっ・・・
ゆっくりりかいしたよ。じゃあ、おちびちゃんたち・・・どうしてあんなこといったのか
ゆっくりはなしてね!」
青年に助け舟を出してもらったことを心から感謝しているらしく、彼の傍まで跳ねていって安全靴に頬擦りする赤まりさ達。
それを見た親まりさはようやく自分の過ちに気付いたのか、自分を差し置いて娘に懐かれる青年に嫉妬したのか、空気を吐き出してから青年の言葉に同意した。
そして、母が怒りを鎮めたのを青年の足の後ろに隠れたまま確認した赤まりさ達はぽつりぽつりと自分たちの胸のうちを語り始める。
「つむりはね、とっても
ゆっくりしてるんだよ!おきゃーしゃんとゆっくちちたり・・・おきゃーしゃんにゆっくちさせてもらったり・・・」
「まりしゃもゆっくちちたいよ!でも、つむりがぜんぶゆっくちちちゃうんだよぉ・・・」
人間でもそうだが、異様な容姿を持つものは排斥されるか崇拝されるかの両極に振れることが多い。
このまりさつむりは幸いにも後者の扱いを受けたらしいが、それで幸せな思いができるのは本人だけである。
まりさつむりが崇拝されているのは娘だからではなく、つむりだからであり、それゆえに娘であると同時につむりでもある彼女は他の姉妹より厚遇される。
加えてまりさつむりはその重い貝殻ゆえに上手く跳ねることが出来ず、非常に
ゆっくりと這いずることしか出来ないために母の助けを借りる機会が多い。
当然、そのような過保護のしわ寄せは他の妹達への年齢不相応の放任という形で降りかかってくることになる。
もっとも、こういった状況と言うのは外部から観察しなければなかなか気付けないものなのだが。
「ゆゆっ、なにいってるの!?まりさはみんなと
ゆっくりしてるよ!?」
「むきゅ?・・・ぱちゅりーもよ」
「そうよ、おかーさんはとっても
ゆっくりしてるわ」
「それにつむりちゃんもとってゆっくりしてるよ!」
その例に漏れず、この両親や姉たちも無意識のうちにある種の差別的な状況を生み出していることに気付いていない。
もっとも、両親達の言い分は何一つ間違っていないのだからある意味では当然だろう。
重い貝殻のせいで速く動けないから他の姉妹以上の両親の庇護を受ける。
そのしわ寄せによって他の姉妹は何でも自分で出来るようになる事を求められ、その結果より手間のかからない子になってしまう。
少しでも甘えようとすれば普段との落差や放任ゆえの能力の高さが災いして“わがまま”と見なされてしまう。
だから、自ら甘えることも出来ない。そんな悪循環の中にこの赤まりさ達は置かれていたのだ。
「ゆっくちー!つみゅりはゆっくちできないよ!?」
「まりしゃ、おきゃーしゃんとゆっくちちたいよー」
が、赤
ゆっくりがこのような感情を上手く伝えられるほど豊富な語彙を持ち合わせているはずも無い。
それどころか、今この状況を目の当たりにしている青年以上に自分の感情を把握出来ていないだろう。
「どうしてそんなこというの!そんなこという
ゆっくりできないこはまりさのこどもじゃないよ!」
「むっきゅー!そうよ、つむりちゃんにあやまりなさい!?」
結果、良く分からないものを少ない言葉で表現して伝わるはずもなく、両親を怒らせてしまった。
普段ならば悪いことを言った赤まりさ2匹がお仕置きされて、しぶしぶ謝ってそこで全て解決するところだろう。
しかし、今はこの場に両親よりもずっと大きい人間がおり、その人間が彼女達の味方をしているのだ。
「ゆっくちー!まりしゃはゆっくちちたいよ!?」
「まりしゃ、ゆっくちちてるよ!?」
そう言って2匹は青年の足の後ろに隠れてしまった。
両親はそんな赤まりさを見ながら再びぷくぅっと膨れて怒りを表現している。
「なあ、まりさとぱちゅりー?」
「ゆゆっ、なあにおにーさん?」
「何なら僕が謝らせてやろうか?」
青年は突然掌を返し、両親の味方についた。
しばし戸惑うも、青年の言葉を信じて「
ゆっくりおねがいだよ!」と言う両親。
直後、信じられないといった表情で青年を見つめる赤まりさを捕まえた青年は、彼女達をつれて川へと向かう。
「おにーしゃん、ゆっくちー!?」
「ゆっくちー!ゆっくちー!?」
何をされるか分からない恐怖から赤まりさ達は青年に抗議するが、全く取り合ってもらえない。
2匹の声をまるで聞こえていないかのように聞き流して、青年は2匹をつかんだ手を川の中に突っ込んだ。
「ゆぶぶぅ・・・!?」
「ゆっぶー!?」
必死で抵抗する赤まりさ達の頬や底部の動きに合わせて、僅かに水面が揺らぐ。
しかし、ただそれだけ。
青年の手から逃れることも、水の流れに抗うことも、体が崩れてゆくのを止めることも叶わない。
「「ぶくぶく・・・」」
やがてあまりの苦しさに耐え切れなくなったところで、赤まりさ2匹は意識を手放した。
もう二度と家族に会えないと、こんなことなら素直に謝れば良かったと思いながら。
「これで、よし」
しかし、青年には止めを刺すつもりなど毛頭もなく、引き上げると水に溶けて歪になってしまった赤まりさ達を綺麗に拭く。
それから、帽子に石をつめて糸と針で帽子と頭を縫い合わせ、2匹の様子をじっくりと観察した。
どちらも表面の皮の大半を失ってしまっており、ところどころ餡子が露出してしまっている。
その薄い皮に石ころの入った帽子が縫い付けられているので頭部は何かの拍子に剥がれ落ちてしまいそうだ。
目と口は一見すると大丈夫なように見えるが、下手に動かすと何かの拍子に崩れてしまいそうにも見える。
ここまで酷い有様になってしまっては、さすがの
ゆっくりでも再生することは不可能だろう。
「ちょっと厳しくお仕置きしたから、目を覚ましたらすぐに謝るよ」
青年はそう言って驚愕する家族に赤まりさを手渡すとのんびりとその場を後にした。
柵の回収を忘れたことに気がついたのは、道案内のまりさを再び鞄の中に戻す時だった。
続く
最終更新:2022年01月31日 03:05