ゆっくりいじめ系2372 ゆっくりを拾ってきた

 *警告*
  • 現代物です。
  • 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。
  • うんうんあります。

↓以下本文



「おねえさん! かわいいれいむをゆっくりさせてね!」

 家路を急ぐ私を呼び止めたのは、バレーボールより少し小さい、紅白のおまんじゅう
だった。amazonの段ボールにはまりこんだ、ふてぶてしい顔。おでこに『ひろってくださ
い』と書かれた紙が画鋲でとめられていて、キョンシーのお札みたい。

「ゆっくりかぁ。拾ってあげてもいいけど……あんた一匹?」
「れいむはひとりだよ! ゆっくりていせいしてね!」
「さよなら」
「まってね! れいむはいっぴきだからいっしょにゆっくりしてね!」
「ふーん」
「おねがいしばず! せっかくだからでいぶをゆっくりさせてくだざいい!」

 こうして私はゆっくりれいむを手に入れた。

「ただいまぁ」
「ゆっくりするぶぎゅ!」

 靴を脱いでいる間に箱から飛びだそうとするれいむを、慌てて押しとどめた。土足で踏
みにじらせるとかありえない。

「あんた汚いでしょ!」
「でいぶはきたなくないよ!」
「いいからあたしが着替えるまでおとなしくてなさい。箱から出てたら叩き出すわよ」
「ゆっくりりかいしたよ!」

とりあえず額のお札だけ剥がして、玄関に置いておくことにした。着替える間、意外にお
となしく待っていたれいむを箱から取り出す。両手で持ちあげると、落ち着かないのかぷ
るぷる左右に震えてる。

「ゆふーん、はずかしいよ!」

まんじゅうのクセに顔を染めないで。キモいから。れいむを小脇に抱えると、お風呂場に
放り込んだ。一応これ、食品でいいのよね。桶にためたぬるま湯で、中性洗剤を適当に薄
める。

「お、おねえさん! みずさんはゆっくりできないよ!」
「あんたが汚いとあたしもゆっくりできないの」
「やべ、やべでがぼっ!」

白目になって歯を剥いているれいむを構わず両手で沈めると、なんかものすごい悲鳴をあ
げはじめた。目と口からしみてるんでしょうね。あとでジュースかければ復活するでしょ。
私は痙攣している間に洗ってしまうことにした。
 皮を破ってしまわないよう、気を付けて揉み洗い。地面に触れている底はとくに念入り
に。ゆっくりだし、髪の毛も洗剤でいいや。ざぶざぶ洗って泡をシャワーで流したらでき
あがり。あとは布巾ででも水気を取って、ドライヤーで乾かせばいいかな。

「ゆっ、ゆっ? すっきりー!」
「あたしが洗ってあげたんだからね」
「おねえさんゆっくりありがとう!」

 テーブルに置いた布巾の上で白目を剥いているれいむを肴に、湯上がりのおビールを嗜
んでいると、半分くらいになった頃にやっと復活した。奇麗に洗って乾かしたから、寒空
に晒されていた時と比べてなかなかもっちりぷるんぷるんになっている。どういうわけか、
それは自分でもわかるみたい。もにもにと自分を確かめて、嬉しそうな顔をしているれい
むを横目で見ながらビールを一口。

「ゆっ! おねーさん、ゆっくりできそうなおかしだね!」
「あ、ダメ!」

私が手を出すよりはやく、れいむはおつまみにしていた柿ピーの小皿に顔を突っ込んだ。

「むーしゃ、むーしゃ、ゆ゙ぎゃ゙あ゙あ゙!」

ガクガク痙攣し始めたれいむの半開きの口に手を突っ込んで、柿ピーを取り出す。ゆっく
りは本当に人の話を聞かないのね。こいつが捨てられたのもわかる気がする。口から垂れ
ている砂糖水を布巾で拭いて、べたべたする手を洗う。

「これどくだよ! しぬかとおもったよ!」
「これに懲りたら人間の食べ物を食べようとしないことね」

 そうは言っても、ゆっくりの餌になるようなものはよく考えたらウチにはないような。

「あー」

そういえば、去年くらいに買ってそれっきりの缶詰のあんこがあったはず。台所をがさが
さ探すと、ツナ缶のところにやっぱり缶詰があった。これならゆっくりでも食べられるは
ず。別に温めなくてもいいよね。缶切りであけて二掬いくらい小皿にとった。ゆっくりの
エサは明日買ってくるとして、それまでこれでもたせよう。

「ほい。おかわりはないからね」
「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」

うわっ、一舐めで食べちゃった。涙まで流して喜んでるみたいだし、これでよさそうね。
このあんこゆっくり100%だから、毒になるってことはないでしょ。置いてある物には絶対
触らないとか、騒がないとかなんやかや教えてる間にうつらうつらし始めたから、段ボー
ルに雑巾敷いた巣箱に放り込んだ。下膨れのウザ可愛い寝顔をつつくと、ゆぷー、だのぷ
にゅー、だの寝言を言い始めた。おとなしくしていれば、こんなのが部屋にいても別に嫌
じゃないような気がしてくるのが不思議なものね。



「なんであんこが落ちてるんだろ」
「れいむのうんうんだよ!」

 なんですとー?! まんじゅうのくせにうんうんとか、しかも床に! 私のどようびー
は朝からぶちこわしです。本当にありがとうございました。軽くググったら、ゆっくりに
はうんうんと称して古くなったあんこを排出したり、しーしーと称して砂糖水を出す種類
もいることがわかった。そして、簡単にその機能が排除できることも。あんこは拾って捨
てるだけだけど、砂糖水をその辺に撒かれたりしたら、たまったもんじゃない。

「おねえさん、れいむとゆっくりしてね!」
「少し待ってなさい」

 足にぼいんぼいん体当たりしてくる柔らかい物体を軽く踏んづける。ぶにょっとした感
触が逃れようともがくのは、なかなか珍妙でくすぐったい。さっき動画で見た通りに小麦
粉を水で練って皮をつくって、昨日あけたあんこ缶を冷蔵庫から出しておく。

「ゆっ、ゆっ?」
「あったあった、これね」

 ひっくり返すとそれらしいすぼまりがあった。ゆっくりがまむまむとあにゃると称する
器官のようなもの。ひっかき傷のために犬猫の爪を抜いてしまうのは可哀想だし、何か違
う気がする。飼い主の義務の避妊手術とは違うと思うし。でもゆっくりは生き物じゃない。
人間の都合で飼う、生命の尊厳ある動物とは違うんだから、いちいち面倒につきあうのは
イヤ。私はれいむの下膨れのあごのあたりにりんごの芯取りを押しあてる。あんまり気持
ちのいいものじゃないけど我慢がまん。

「おねえさん、なんだかちくちくするよ! ゆっくりやめてね!」

 ゆっくりとは、うまくつきあうコツがある。常に強気であたること。理解するまで教え
ること。言うことに耳を貸さないこと。どうせ大したことは言ってないから。

「ゆ゙ぎゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」

じたじた暴れるれいむを押さえつけ、芯取りをねじこむ。皮を突き抜いてしまえば、あと
は中身のあんこだけ。いっぱいまで突き入れた芯取りを引き抜くと、皮とあんこが繋がっ
てまとめて出てきた。れいむが白目になって固まってる間に、次の処置。昨日のあんこを
際まで指で詰めて、さっき練っておいた皮でふたをして、指の腹で伸ばしてひろげる。
ぎゅっとおさえて張り付けたらできあがり。次は後ろを向けて、あにゃるも同じようにま
わりごとくりぬいて、あんこを詰めて小麦粉で塞ぐ。二回目になれば慣れたものです。こ
んな技術には習熟したくないものです。



「おねえさん、うごけないよ! れいむをゆっくりおこしてね!」
「今起こしてあげるから、ゆっくり待ってなさい」

 朝ご飯のゆっくりシリアルをぼりぼり食べていたら、台所に放置されていたれいむの声
がする。知らなかったけどゆっくりはひっくりかえしておくと動けないみたい。今度何か
悪さしたらひっくりかえしてお仕置きね。

「おー、ぴっちりふさがってる」
「ゆゆっ、くすぐったいよ! おねえさんなにいってるの?」
「こっちの話」

 裏返しのれいむのあんよのあたりを撫でてみる。皮は完全に馴染んで、そこに器官のよ
うなものがあった形跡はカケラもない。ひっくり返してやると、ぽいん、と飛び降りて、
こちらを向いて嬉しそうに跳ねた。

「ゆっくりしていってね!」
「はいはい、ゆっくりしなさいよ」

 以降、れいむがうんうんやしーしーをすることはなくなった。単に塞ぐだけじゃなくて、
そのあたりの中身ごと切除すると、自分がそんなものを出していたことも忘れるみたい。
 後日、私が出かけている間にれいむがおうたと称してゆんゆん騒いでいたそうで、目玉
を取り外して手を突っ込んで、左上あたりのあんこを一掴み入れ替えるハメになったのは
また別の話。










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最終更新:2009年03月24日 03:42
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