ゆっくりいじめ系2564 変なまりさ

「この子、元気が無いんです。病気でしょうか」
そう言って、八意永琳の所に持ってこられたのは一匹のゆっくりまりさだった。
持ってこられたまりさ元気が無いように見える。まりさ種が持つ活発さ、勝気な部分が見られない。
病気かと思い検診しては見たが、どこにも異常は見られない。
空腹かと持ってきた兎が問いかけたが、自然の中で暮していればその可能性があるかもしれないが、
このまりさは永遠亭の施設で育てられている個体、食料は豊富に用意されている。


永琳はまりさを彼是と調べる、頬を揉んだり、瞼を大きく開けたり、口の中を覗き込んだり。
そんな行為にまりさは嫌がってはいたが、怒る様子など見せず、ただされるがままだった。
帽子を外し、頭皮に当たる部分をチェックした時はさすがに“おぼうしさんがないとゆっくりできないよ”と呟いた。

「確かに元気はないけど、これといった異常は見られないわ」
「そうですか、でも、他のまりさも元気のないんです」
「もしかして新種の病気かも・・・。見に行きましょ」
永琳は兎の案内で問題のあるケージに向かう。
そこは実験に使用するゆっくりを繁殖させる施設の中にある大規模なケージの一つだ。
中にはゆっくりが暮らしている自然環境が再現されており、特にこのケージでは森が再現されていた。
蓬などの柔らかい草や野いちごなどの果実、密の多い花を中心に食料を整えてあり、ゆっくりはそれを採集する事で暮らしている。
ケージ内は気温や湿度が管理され、天敵も存在しない。故にゆっくり達は争う事なく繁殖ができる。


大人しいまりさが発生したケージにはまりさ種以外にちぇん種、ぱちゅりー種が多く、次いでみょん種が多い具合だった。
このケージを運用し始めた当初はれいむ種が圧倒的に多かったのに、今ではれいむ種はケージの中で一番数が少ない。
元々、性欲が強い事から過度な繁殖行為を繰り返し、人口密度のバランスを崩してしまうありす種はこのケージでは除外されている為、
このケージにはれいむ、まりさ、ぱちゅりー、ちぇん、みょんの5種類のゆっくりしかいない。

永琳はケージの入り口に『調査中、新種の病気の可能性あり』と札をかけ、他の兎達には施設の無許可での開閉を禁じた。
少し遅れて調査の為の道具と防護服を着込んだ鈴仙と数匹の兎がやってくる。

「私は鈴仙とケージの中で調査を行うわ。他の皆は通路の洗浄をお願い」
繁殖用のケージにはエアロックが無いため、どこかにケージ内の空気を閉じ込めておく事もできない。
まりさを持ってきた兎も診察する限りは異常は見られないが、念には念を入れておきたい。
永遠亭でも先ほどから大晦日でもないのに兎達が総出で大掃除と徹底洗浄を行っている。
ほぼ開かずの間と化している姫様の自室でさえ、洗浄の為の薬品を持った兎達が雪崩れ込む始末、


永琳と鈴仙がケージの中に入る。
数匹のちぇんがやってきて二人に話しかけてくる。兎が来る事には慣れているが、
今回は初めて見る永琳と物々しい服を着た鈴仙の為、少し不思議に思っているようだ。
説明する気、協力してもらう気はない。
もし、致命的な病気であれば研究施設で使用しているゆっくりの全頭処分も検討しなければいけないのだから、
鈴仙はちぇんを狂わせ幻覚を見せ、幻聴を聞かせる。

急に騒ぎ立てたちぇんを心配して他のちぇんや森の奥から出てきたみょんがやってくる。
元々、天敵のいない環境で育っている為、何の警戒心もなくやってきてしまう。
永琳は担当の兎が付けていた個体数のリストを片手に集まってくるゆっくり達の数とリストの内容を比較する。
ある程度回収できれば、あとは殺処分で良い。ゆっくり達は感覚を狂わされ、
自分がどうなっているのかも分からないまま、半透明の箱に入れられていく。

永遠亭の地下、高い気密性を持つ実験施設が用意され、そこで先ほど捕まえたゆっくりを検査する。
しかし、病気などは全く見つからない。まりさ種の何匹かは解剖して調べたが、どれも結果は同じだった。

「師匠、このまりさを見て一つ思ったんですけど」
鈴仙が小さなケージの中で、ぶるぶると震えているまりさを見ながら言う。
「あのケージってちぇんが多かったんですよね」
「そうよ。次がぱちゅりー、みょん、まりさ、れいむと続くわ」
「もしかして、このまりさって・・・」


鈴仙の仮説はこうだ。ケージの中での番いはちぇんとぱちゅりーが一番多い組み合わせだった。
次がみょんとぱちゅりー、その次がちぇんとまりさ。
ゆっくり達の餌の獲得方法は人から見れば『採集』だが、ゆっくりからすれば『狩り』と言われている。
狩りは安全な巣を出て行う危険な行為であり、病弱なぱちゅりーではなかなか行う事が出来ない。
れいむも動きが緩慢であまり狩りに向いている個体ではない。狩りを行うのは元々はまりさ、ちぇん、みょんといった活発な個体。
では、巣で過ごす個体は何をやっているかというと、巣の修繕や食料の加工、子どもの世話などが多い。

「草食系?」
「はい、紫様から頂いた外の世界の本にそういう記述があったんです」
「ゆっくりは雑食よ」
「いえ、そうではなくて、この場合の草食系というのは・・・」

草食系まりさ、まりさ種本来の活発さが失われている代わりに他者を思いやる気持ちを持ち、友愛に富んでいる。
たまたまケージの中ではちぇん種、みょん種と言った、まりさ種よりも狩りに秀でている種が多かった為、
巣で作業をする事が多くなったまりさが変化していったモノ、身体能力も落ちており、れいむ種とさほど変わらない。
しかし、れいむ種よりも賢い為、ぱちゅりーに次ぐ個体数を持てるようになった。

言い換えれば、まりさ種が草食系化した事により、ぱちゅりーと番いになれなかったちぇんやみょんはまりさという選択肢を得た。
まりさの整備していた巣を調査したが、雑に物は置かれているが、巣の入り口などは巧妙に隠されており、まりさの本来持つズル賢さの生かされた作りになっている。
その為、このケージ内でのれいむの個体数の少なさも納得がいく。簡単に言えば必要ないからだ。
天敵のいないケージの中、ぱちゅりーであっても平穏に暮らせるような状態にあって、ぱちゅりーやまりさより知能の劣るれいむと好んで番いになうモノはいない。
育児が得意な為、赤ちゃんが死亡する事が少ないので個体数の減少を最小限に食い止めてはいるが、このケージをあと数年運用していればれいむ種は絶滅していただろう。


「ゆー、まりさたちのゆっくりプレイスにもどりたいよ・・・」
新しい実験施設に連れて来られて、ちぇんは元気よく散策を始め、みょんは新しい巣を探し始める。
ぱちゅりーはまごまごと茂みに隠れている。れいむは一緒に連れてこられた子ども達に歌を歌ってあげていた。
まりさはと言うと、出かけようとする自分のパートナーのちぇんやみょんを呼び止め、赤ちゃんを守るように懇願していた。
みょんはまりさと子ども達を守りながら、巣にする為に設置されている人工の岩を見つける。
まりさはすぐに子ども達を中に入れ、甲斐甲斐しく巣の掃除を始めた。
中は空洞になっており、家族で暮らしていくには十分な広さだ。

「ふぅん、まるでチンコのない雄みたい」
安全が確認されると、変わったまりさがいるという噂を聞きつけた因幡てゐがいつの間にか実験施設にやってきた。

「規格外だから処分するのよ。退室なさい」
「えー、ちょっと遊びませんか?」
「ダメよ。同じ環境を再現して発生のメカニズムを探るから、その時になさい」

永琳達が退室した後、ガスが注入される。
まりさは子ども達を自分の口の中に避難させる。みょんは外に出て目に見えない何かと戦う。
死ぬまでの僅かな時間さえ、まりさはまりさらしくなかった。






by引退してないよ118

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最終更新:2009年04月28日 11:18
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