俺はちぇんを飼っている。こいつは元は野生の子
ゆっくりだった。
そこら辺で怪我をしていたのを拾って傷を治してやったら、懐かれてしまったのだ。
追い出すのも可哀相なので、そのまま飼うことにしたのだった。
そんなある日・・・
「チュックリチテイッチェネ」
いつものように仕事を終えて家の玄関の前まで来たとき、かすかに中からこんな声が聞こえてきた。
ちぇんの声ではなかった。別のゆっくりがどこからか入ってきたのだろうか?
いや、戸締りはきちんとしたはずだ。
とにかく家の中に入り、ちぇんの無事を確認してからさっきの声の主を探そう。
ドアを開けると、もう既にちぇんは玄関に居た。
「おにいさんゆっくりおかえりなさいだよ~」
「ただいま、ちぇん。いい子にしてたか?」
「ゆゆ~ん、してたよ~わかるよ~」
「そうか、よかった。それよりも、ちょっと聞きたいことがある。
お前以外のゆっくりが、家に入ってこなかったか?」
「ゆ~?・・・わからないよ~、みてないよ~」
「そうか・・・うーん・・・」
「おにいさん、なにかあったの~?」
「ああ、さっき玄関の前に立ったときにお前以外のゆっくりの声が聞こえたんでな」
「ゆ~ん・・・わからないよ~」
「そうか・・・」
そのとき、ちぇんは
という声が、床下から聞こえた気がした。
「・・・ゆ?おにいさん!いま、したからこえがきこえたよ!」
「・・・下?」
下から声が聞こえた、と聞いて、俺は床に耳を押し付けて、耳を澄ませた。
「・・・チュチュー、チュックリー」
「・・・ああ、聞こえるな。」
「おにいさん!いまからおそとにでて、みにいこうよ!」
「そうだな」
俺は懐中電灯を持ち、ちぇんと一緒に外に出て、
床下を懐中電灯で照らし、中を覗いた。そこには、
「ちゅ~♪・・・ちゅ?」
「ちゅ~ん♪にんげんしゃんだにぇ!」
「ちゅちゅ!にんげんさん!?ちゅっくりちていっちぇね!」
小さな体に不釣り合いな大きな丸い二つの耳に、一本の尻尾。全身灰色。
ネズミに似た、見たことの無いゆっくりだった。
「・・・お前ら、名前はなんていうんだ?」
「ちゅ~?なじゅーりんはなじゅーりんだよ!ちゅっくりよろしきゅにぇ!」
「ちゅちゅー!おちびちゃんのあいさちゅ、とっちぇもちゅっくりちてりゅね!」
「しゃしゅがわたしちゃちのあかちゃんだにぇ!」
三人家族、みたいだな。ただでさえ小さいから、子供はもっと小さいみたいだ。普通の赤ゆより小さいぞ、オイ。
電灯で見渡してみたが、家の物はないみたいだな。名前は、
「なじゅーりん、か」
「ちゅちゅ!ちぎゃうよにんげんさん!なずーりん!」
「え?ああ、そうか。なずーりん、ね。
お前らいつからここに住んでる?」
「ちゅー・・・まえかりゃ!」
「へぇー・・・今まで声が聞こえたことなかったから気付かんかった」
そこまで話したとき、ちぇんが不安そうな表情で、
「お、おにーさん、どんなゆっくりだったの?」
と訊いてきた。
「ん?ああ、見たこと無いけど、危ないゆっくりじゃあないみたいだぞ」
「そ、そうなんだねー、あんしんしたよー。みせてねー」
「ああ、ほら、あそこ」
懐中電灯を地面に置き、ちぇんになずーりんのいる方向を指差した。そのとき・・・
「「「ぢゅうううぅぅぅぅぅぅぅ!!!」」」
「ゆ?」「ん?」
「ぢぇんはぢゅっぐりぢぇぎないぃぃぃぃぃ!!!」
ああ、そうか、ちぇんは猫型でなずーりんはネズミ型だから・・・
「にんげんしゃん、なんぢぇぢぇんがいるのぉぉぉぉぉ!!???」
「俺が飼ってるんだよ」
「「「ぢゅううぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」」」
「も、もうここじゃあちゅっくりできないよ!ちゅっくりおひっこししゅるよ!」
「いや、別にいいよ」
「じぇんじぇんよぐないよぉぉぉ!」
「ちぇんにはちゃんと『なずーりんに意地悪しちゃ駄目』言って聞かせとくからさ。な、ちぇん。」
なかなか可愛いし、俺の家から物をとってるわけじゃないからいい、と判断した。
「ゆー、わかったよ~」
「ほらな。
それに、たまに家に上がってゆっくりしてもいいからさ。」
「ちゅー・・・」
というわけで、引越しはせず今まで通り床下での生活を続けるそうだ。
それからは、俺が仕事の時はいつも家に上がらせている。
初めはなずーりん一家はうちのちぇんがとても怖かったらしいが、
最近ではお互いにすーりすーりをしあうほどの仲になっている。
「なんでちぇんはゆっくりできないんだ?」と訊いたら
「よくわからないけどとにかくちゅっくりできにゃいんんだにょ・・・」ということらしい。
本能かねえ?
ちなみに、ちぇんが先日こんなことがあったと話してきた。
俺が窓の鍵をかけ忘れたせいで、
俺が家に帰ってくる一時間ほど前に野良ゆっくりが家に入ってきたらしい。その時に・・・
「ゆっへっへ、ここをまりさたちのゆっくりぷれいすにするんだぜ!」
「ゆゆ~ん、なかなかいいおうちだね!ここなられいむたちゆっくりできるね!」
「ちゅう?」
「ゆゆ~?まりさたちだれ?ここはちぇんとおにいさんのおうちだよ~、わかってね~」
「ゆ?ちぇんがいたのぜ?
いたいめにあうまえにでていったほうがみのためなのぜ!」
「かいゆっくりなの?ならにんげんのあまあまさんのあるばしょくらいわかるでしょ?
ゆっくりあんないしてね!」
「ゆゆー!かってにひとのおうちにはいってくるゆっくりにあげるたべものさんなんてないよ!
おにいさんがかえってくるまえにはやくでていったほうがいいよ!」
「ゆふん!まりさはむれでいちばんつよかったのぜ!にんげんさんなんてけちょんけちょんにのしてやるのぜ!」
「ゆゆ~ん、まりさかっこいいよ♪」
「ゆふん!」
「・・・ばかなんだねー、わかるよー」
「ゆゆ!?」
「ゆ!?なまいきなこというちぇんはゆっくりしないでしねなのぜ!」
「むれでいちばんつよかったなら、そのむれのなかにずっといればしあわせー!できたのに
なんでよけいなことしてしにいそぐの?わからないの?しぬの?」
「ゆっがー!ゆっくりできないちぇんはまりさのたいあたりd・・・ゆぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!???」
「ゆ!?まりさ!?」
「「「ちゅちゅー!」」」
「ゆ?なずーりん?」
ちぇんは、先程から姿が見えないと思っていたなずーりん一家が
まりさ達に気付かれないように後ろへまわって、攻撃のチャンスを伺っていたのには驚いたそうだ。
まりさが跳び上がった瞬間にまりさのあんよに噛り付き、うつぶせに倒れたまりさのあんよから徐々に徐々に食べていった。
「な、なんなんだぜこいつら!?や、やめるのぜ!いたいのぜ!これじゃああるけないんだぜぇ!」
「「「めーわきゅなまりさはちゅっくちちにぇ!」」」
「な、なに!?こいつら!
れ、れいむはこわいからおうちかえるね!
まりさはれいむのためにそこのはいいろさんにゆっくりたべられてね!」
「どぼじでぞんなごどいうんだぜぇぇぇ!!?」
「にがさないよ!」
「ゆべぇ!?」
逃げようと窓へ跳ねていくれいむに、ちぇんは体当たりをして突き飛ばした。
「ゆぁぁぁぁ~、ごべんなざいぃぃぃぃ!でいぶはみのがしてぐだざいぃぃぃぃぃ!!」
「ゆ・・ゆへへ、ざまあみろなんだぜ、ばりざをみすてたからてんばつがくだったのぜ」
「ゆぅぅぅ、もどはどいえばばりざがでいぶをづれでぎだんでじょぉぉぉぉぉ!!」
「つ、ついてきたれいむがわるいのぜ!」
「「「もうしゅぐじぇんぶなじゅーりんたちにたべられりゅときになかまわりぇ?ききかんがたりにゃいにぇ」」」
「おお、おばかおばか。
おお、どうも、とおりすがりのきよくただしいきめぇ丸です」
「ゆゆ~ん♪ちょうどよかったよ!
きめぇ丸、このれいむをかこうじょにつれていってあげてね~」
「おお、はあくはあく」
「かこうじょやだああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
れいむは、通りすがりの胴付ききめぇ丸に加工所に連れて行かれましたとさ。
まりさは、
「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・」
「「「むーちゃ♪むーちゃ♪ちあわちぇ~♪」」」
なずーりん一家に帽子まで跡形も無く食べられてしまいましたとさ。
そんなことがあったらしい。れいむまりさが知らないってことは珍しいのかな?なずーりんって。
あの時引越しさせないで引き留めておいて良かった。おかげでちぇんも無事だったし。
今までおやつは天ぷらの破片だったけど、次は特別にチーズでもあげようかな。
あとがき
休憩に書いてたら思いのほか文が進む進む。
結局3時間位で書き上げてしまった。
つーか「死に急ぐ」とか「天罰が下った」とか「危機感が足りないよ」とかこいつら語彙が豊富すぎ。反省。
なずーりんの台詞も見辛かったかも・・・
そして相変わらず稚拙な文章でスミマセン。感想をお待ちしています。
なずーりん
成体でも通常ゆっくりの子供サイズにしかならない、とても小さなゆっくり。
顔面以外全身灰色、大きな丸い耳、細長い尻尾、硬い前歯を持つネズミのようなゆっくり。
人懐っこい。あと、すばしっこい。常に2匹以上の群れを作っている。
これではネズミそのものなのだが、実は本物のネズミにも襲われるらしい。
常に赤ゆ言葉。「ゆ」を「ちゅ」と発音する。本能的にちぇんとおりんが苦手。
草からゆっくりの中身まで何でも食べる。中身はチーズ。ネズミに狙われるのはこの中身のため?
小さいので他のゆっくりにも簡単に潰されてしまうのも珍しさの要因かも。
今まで書いた物
下手にパロ物書こうとすると文が進みにくいみたいだなぁ・・・
最終更新:2009年05月11日 18:31