注意
- 虐待はありません。タイトル通り!
- なのにゆっくりは苦しむ。不思議!
- 俺設定の嵐。ゆっくり我慢してね!!!
<元虐待お兄さんの暇つぶし>
やあ、僕は元虐待お兄さん。
元が付いているのは、もう虐待をやめてしまったからさ。
理由は…なんでだろうね?
人の目が気になったからなのかもしれない。
命を奪うのが怖くなったからかもしれない。
楽しくなくなったからかもしれない。
他の虐待お兄さんを見て、ちょっと引いてしまったからかもしれない。
虐待しすぎて、ゆっくりに愛着が湧いてしまったからかもしれない。
そのすべてかもしれないし、どれでもないかもしれない。
唯一つ確かなことは、今の僕にゆっくりを虐待したいという意欲がないということだ。
虐待をやめてから時間を持て余すようになった僕は、時々、近所の河川敷でゆっくりの観察を行っている。
ゆっくりなんかを見ていて何がおもしろいのか、と思う人もいるかもしれないが、これがなかなかおもしろい。
泣き声や仕草が不快だと言う人は耐えられないかもしれないが、この河川敷のゆっくりの多くは優良な個体であるため、イライラさせられることが滅多にないのである。
勿論、その理由はある。
簡潔に言えば、河川敷は家族連れ多いから、である。
具体的に言うと、ゲスゆっくりはピクニックに来ていた家族連れの弁当を狙い、保健所へ直行することになるからだ。
対する、善良なゆっくりや身の程を知る利口なゆっくりは、人に迷惑をかけないように行動するため、保健所生きを間逃れるのである。
人間側からしてみても、折角遊びに着たのにそれをゆっくりごときに邪魔されては堪らないので、意図的にゆっくりを避けて行動する。
そのため、ますますゲス以外のゆっくりが生き残ることになるのである。
果てさて、理由はどうあれ休日の真昼間から河川敷にやって来た僕。
今日僕が観察するのは、川の側で日向ぼっこをしている、成体一匹に赤ゆ五匹のゆっくり一家だ。
この家族の珍しいところは、赤ゆに連れ添っている成体ゆっくりが、まりさであるということである。
通常、ゆっくりの狩は今の時間帯のような日の高い時に行われる。
ということは、この時間帯に赤ん坊の面倒を見ているこのまりさは、珍しいことに一家の大黒柱ではないということである。
無論、母親役のゆっくりが何らかの理由でいなくなってしまったため、代わりに父親が面倒を見ることは、よくある。
しかし、そのような場合でも、狩を行う時間帯は変わらないため、眼前の光景の様に子供と戯れている余裕は無い。
すなわち、僕の見つけたこのまりさは、お母さんであるということである。
「「「「「ゆっゆっゆ~~~」」」」」
さらに驚きなのは、赤ゆっくりがれいむ三匹とまりさ二匹であるということ。
そう、この家族の父親はれいむなのだ。
一般的なゆっくりとは逆の夫婦関係を持つこの一家。
このことから、この家族の両親ゆっくり二匹が優秀なゆっくりであることが分かる。
なぜならば、ゲスなまりさほど父親になりたがり、無能なれいむほど母親になりたがるからである。
まりさは、ゲスになるほど自分を偉大だと思い込み、束縛を受けるにんっしんっを嫌う。
れいむは、無能になるほど働く気力をなくし、楽して養ってもらえる駄目妻になりたがる。
勿論、すべての父まりさと母れいむが駄目であるということではない。
しかしその逆、ゲスな母まりさと無能な父れいむということは成り立たないのである。
まあ、そんなことはどうでも良くて、僕はまりさ一家の観察を続ける。
「す~り、す~り」
「「「しゅ~り、しゅ~り」」」
「ゆっ!、まりしゃもしゅ~り、しゅ~りしちゃいよ!!!」
「このおはなしゃん、しゅごくゆっきゅりしちぇるよ!!!」
「ゆふふふ、ほら、まりさもす~り、す~り」
「ゆ~ん、しゅ~り、しゅ~り」
「「れいみゅもしゅ~り、しゅ~りしゅるよ!しゅ~り、しゅ~り」」
「む~しゃ、む~しゃ、ちあわちぇー!!!」
「ゆ?、れいみゅおねーちゃんにゃにたべちぇるの?」
「おはなしゃんだよ!!!みつさんがいっぱいでとっちぇもあみゃいよ!!!」
「「「「あみゃあみゃしゃん!?!?!?」」」」
「「れいみゅもたべりゅー!!!」」
「「まりしゃもー!!!」」
「うん、いっしょにたびぇよ!!!」
「「「「「む~しゃ、む~しゃ、ちあわちぇー!!!」」」」」
「ゆふふふ、おちびちゃんたち、たべすぎたらだめだよ」
「「「どうちて~?」」」
「「れいみゅおなかいっぱいたべちゃいよ!!!」」
「おなかいっぱいになったら、おとーさんのあつめたばんごはんがたべれなくなっちゃうでしょ」
「「「「「ゆっ!、ゆっきゅりわかっちゃよ!!!」」」」」
終始こんな感じだ。
声がでかいものだから、そこそこ離れた場所にいる僕にも声が聞こえてくる。
虐待お兄さんがいたら速攻で餡の海が形成されそうではある。
まあ、人目が多いこんなところへ来ている虐待お兄さんなんて滅多にいないのだけど。
しかし、どうにも、まあ、日差しが、ね、心地よくて…
はい、寝てしまいました。
気が付けば二時間も時間が跳んでいました。
例のまりさ一家はまだいるのだろうかと思って目線をやると、一塊になって眠っている。
どうやら、彼女達も昼寝の時間だったらしい。
などと思っていると、急に空が翳る。
見上げれば、分厚くて、壮大な黒雲。
にわか雨がやって来た。
慌てて傘を取り出し準備は万端。
観察を続けていると、降り出した雨が親まりさの頬を叩きだす。
「ゆ…う?」
冷たい粒に起こされて、ゆっくりと目を開けるまりさ。
途端に目に飛び込んでくる雨、雨、雨。
「ゆううううううううう!!!」
悲痛な叫びが、辺り一面に響き渡る。
「ゆう…おきゃーしゃんどおしちゃの?」
「「ちゅべちゃい!!!」」
「ゆっ!、あめしゃんだよ!!!」
「きょのままだちょゆっきゅりできにゃいよ!!!」
まりさの悲鳴に飛び起きた子供達も、目の前に振りそそぐ水滴の群れに慌てふためく。
「みんな!!!ゆっくりしないでおうちにかえるよ!!!」
「「「「「ゆっくりわかっちゃよ!!!」」」」」
母まりさの一喝一つ、それだけで子供達は落ち着きを取り戻し、安全地帯へ駆けていく。
「ゆっくり!ゆっくり!」
「「「「「ゆっきゅり!ゆっきゅり!」」」」」
彼女達の向かう先に目線を向ければ、ビニールシートのかけられた大きな段ボール箱が転がっている。
おそらく、これが彼女達のお家なのだろう。
「ゆっくり!ゆっくり!」
「「「「「ゆっ…きゅり!ゆっ…きゅり!」」」」」
ここからでは良く分からないが、跳ね具合を見る限り、どうやら赤ゆっくり達は限界が近いようだ。
とはいえ、このペースなら何とか大事に至る前にお家に到着するだろう。
観察している側としてみれば、それでは面白みが無くつまらないのだが…あ、赤まりさの帽子が脱げた。
慌てて帽子を拾おうとするが、雨で緩んだ身体では上手く帽子を拾えない。
拾えた時には、まりさは十分に動くことができなくなっていた。
更に不幸なことにこのまりさ、一家の一番後ろを走っていたため、誰にもこの事態を気付いていないのだ。
「ゆっくりただいま!!!」
「「「「ゆっ…きゅりついちゃよ!!!」」」」
その間に、先を行っていた家族達はお家に辿り着いている。
「おちびちゃんたち!!!おかあさんがぺーろ、ぺーろするからゆっくりあつまってね!!!」
「「「「ゆっ…きゅりわかっ…ちゃよ!!!」」」」
早速、子供達の身体に付着した水滴を取り除く母まりさ。
それと同時に、ぺーろ、ぺーろ、による刺激が赤ゆ達に尿意を催させ、水分の排泄を促す。
もっとも、その姿自体は僕からは見えないのだが。
「しーしーすりゅよ!!!」
「「れいみゅも!!!」」
「まりしゃも!!!」
声がしたかと思うと、入り口とは反対側のダンボールが持ち上がる。
どうやら彼女達一家はそこをトイレとして使っているらしい。
お家の外なのに擬似的に屋根があるという、なかなかに立派なトイレだ。
「「「「ゆ~~~、しゅっきりー!!!」」」」
長い緩やかな声の後に聞こえたすっきりー。
どうやら過分な水分は殆ど排出できたようだ、吸収したばかりだというのに、この短時間で。
流石ゆっくり、滅茶苦茶単純な構造だ。
「これぢぇゆっくりでき…ゆっ!!!」
しかしその時、一匹の赤ゆっくりが悲鳴を上げた。
「どぼじでぼでーぢゃんがおじょどにいどぅのおおおおおお!!!」
どうやら、帽子を落としたまりさに気付いたようだ。
途端に騒がしくなるお家の中。
「ばでぃざああああああ!!!」
「ぼねーぢゃーーーん!!!」
「おぎゃーしゃん、ばやくいもうぢょをだずげであげちぇね!!!」
「「ゆわーん、ゆわーん」」
子供達に言われるまでも無く、母まりさはお家を跳び出す。
雨は既に小振りとなり、後数秒もあれば止んでしまうであろう。
言い換えれば、例の赤まりさは雨の降り注ぐ間をすべてお家の外で過ごしていたことになる。
「おじびぢゃん!、ゆっぐでぃじでね!!!」
「ゆっ…」
涙声の母まりさの帽子のつばが、赤まりさを雨から隠す。
赤まりさは、まだ息があった。
息こそあるが、明らかに手遅れであった。
「「おでーぢゃーん!!!」」
「「ばでぃさあああ!!!」」
他の赤ゆ達も死の淵にあるまりさの元へ駆け寄る。
その頃には、雨は上がっていた。
「じっかりじてね!!!」
「「ゆっぎゅりじようよ!!!」」
「「あめしゃんはもうやんだからもうだいじょうぶぢゃよ!!!」」
必死に励ます親子五匹。
それしか、できることがないのだ。
「ゆっ…ゆっ…」
「ゆっくりしていってね!!!、ゆっくりしていってね!!!、ゆっくりしていってね!!!」
「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!、ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!、ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」」」」
「ゆっ…ゆっ…ゆう…ゆっく…」
「おかーさんだよおおお!、ゆっくりしようよおおお!」
「ゆう…ゆう…おきゃあしゃ…」
「ゆっくりしていってね!!!、ゆっくりしていってね!!!、ゆっくりしていってね!!!」
「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!、ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!、ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」」」」
「…ゆっく……もっちょ…ゆっきゅり…しちゃ……かっ………ちゃ……よ………」
「ゆっくりしていってね!!!、ゆっく…でぃ…ゆっく……おじびぢゃーーーん!!!」
「「ぼねーぢゃーーーん!!!」」
「「ばでぃざあああ!!!」」
遂に訪れた別れの時。
家族の死に涙する親子。
その姿に、僕は笑みを堪え切れない。
そうだ。
僕はこれを求めているのだ。
虐待を行う前から、虐待を行っていた時にも、虐待をやめた今でも、僕はこれを求めているのだ。
誰も悪くない。
ただ脆弱であるが故に訪れる不幸。
それを、恨むでもなく、責めるでもなく、ただ悲しむ純粋な心。
虐待されたゆっくりでは見られない。
ゲスなゆっくりにも見られない。
純粋な不幸を嘆く姿。
ああ、この姿を見るたびに思う。
僕はゆっくりを好きなのだと。
好きで好きで堪らなく、その悲痛な泣き声を聞きたいのだと。
ゆっくりを苦しめたいんじゃない。
苦しめられているゆっくりを見たいんじゃない。
苦しんでいるゆっくりを見たいのだと。
平穏(ゆっくり)を望む、脆弱で、温かな心を持った生物が、どうしようもない、誰も悪くない、純粋な不幸に晒され、苦しみ、悲しみ、嘆き、それでも、永遠に得ることのできない平穏を求め続けるその姿勢。
そんな素敵なものを見せてくれるゆっくりが、僕は大好きなのだ。
素敵なものも見れたし、今日はもう帰るとしよう。
今度は、どのゆっくりが僕に素晴らしい悲しみの表情を見せてくれるのだろうか。
その時を、ゆっくり待つことにしよう。
一週間後、同じ場所を訪れると、子ゆっくり四匹と戯れる成体まりさがいた。
子れいむ三匹に子まりさ一匹、例の親子のようだ。
雨が降ったことで若干心配していたが、まりさが子守をしているということは、どうやら父れいむも無事だったらしい。
「ゆゆゆ~」
「「「「ゆゆゆ~」」」」
音程の狂った歌が聞こえる。
今日の降水確率はゼロパーセント。
雨の不幸は、本日はお休みのようだ。
しかし、それ以外にも多くの不幸がゆっくりを待ち受けている。
野球のボールが飛んでくるかもしれない。
どこかの犬のおもちゃにされるかもしれない。
他にも、色々、それこそ数え切れないほどにその理由はある。
その時まで、つかの間の平穏を、ゆっくりしていってね!!!
最終更新:2009年05月18日 13:51