ゆっくりいじめ系2671 とあるペットショップの一光景

※俺設定注意










「ゆゆ?」

薄暗いれいむの世界に突如光が差す。
急速に明るくなっていく世界。それが意識を深い眠りから引き上げていく。
れいむは目を覚ました。

ゆっくりしちぇいってね!!!」

朝一番のご挨拶。
れいむはゆっくりだ。ゆっくりはこの挨拶に始まり、この挨拶で終わる。
元気の良いれいむの声に、周囲のゆっくり達も目が覚めていく。

「ゆぅ~?」
「ゆゆ!」
「ゆ!ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」

れいむが目覚ましになったのだろうか。
次々と挨拶の声を上げるゆっくり達。
その姿は小さい。ここにいるのは、子ゆっくりや赤ゆっくりばかりだった。

「ゆゆ~ん!ゆっくりしていっちぇね!!!」

みんなに対して、もう一度ご挨拶。
れいむは朝をこうやって迎えている。
気付けばお兄さんが立っていた。れいむの世界、その向こう側に。



ここはゆっくりを取り扱うペットショップ。
突如この世界に現れた不思議饅頭は、害獣として、ゴミとして、そして時にはペットとして人間と接するに至った。

れいむの世界は広いようで狭い。
ここはれいむ以外に、大体10匹前後の子ゆっくり達が暮らしている。
その世界を取り囲んでいるのは分厚く大きいガラス。れいむ達の力ではびくともしないような頑丈な壁だ。

つまり、れいむの世界とは大きめの水槽に他ならなかった。
ここがれいむの全て。れいむが知る、世界の全てだ。
外の世界はもっと広いが、れいむは出たいと感じなかった。仮にそう思っても、それが叶う事は無い。
れいむがここから出るには、買われていくしか方法が無いからだ。



お兄さんに気付いてもらえるように精一杯背伸びをする。
別にそんなことをしなくても彼は気付いていたが、れいむはそうしたかったのだ。
お兄さんの視線が自分に向いていることを確認し、息を吸い込む。

「おにいさん!!ゆっくりしちぇいってね!!!」

れいむ渾身のご挨拶。
それをお兄さんは無視した。いちいち一匹のゆっくりに構っている暇は無い。
さっと背を向け、どこかへと歩いていくお兄さん。彼にはまだ仕事があるのだ。
勿論、れいむはそんなことを知る由もないが。

ああ、今日もお返事してくれなかったな。
でもいいや。明日がある。明日が駄目だったら、あさってがある。あさってが駄目なら―――。
ゆっくり特有のポジティブシンキングで物事を肯定的に捉えるれいむ。
その顔に翳りは無い。本当にそう考えているのだ。

「れいむー!ゆっくりしようよ-!」

後ろからの声に振り返る。
れいむはこれからみんなとゆっくりするのだ。
たむたむと音を立てて、れいむはみんなの元へ向かっていった。










とあるペットショップの一光景










それから暫くして。
れいむ達の前にお兄さんはまたやって来た。
その理由はただひとつ。餌を与えに来たのだ。

れいむ達の世界に大皿が置かれた。
成体ゆっくり程もある大きなお皿の上に、ドライフードが小山を作っている。
子ゆっくり達は突如現れたご飯に、目を輝かせながら飛びついていく。

「ゆっ!ゆっくりたべるよ!ぱくっ!」
「むーしゃ!むーしゃ!」
「ししししあわせぇ~!」

涙を流しながら餌を食べていく子ゆっくり達。
それ程までにこのドライフードは美味しいのだろうか?いいや、違う。
ただ単にそれ以外のものを食べたことが無いからだ。比べるものが無ければ基準も発生しない。

れいむもまた涙を流しながらご飯を平らげていた。
お兄さんは優しいから、れいむ達にこんな美味しいご飯をくれたんだよね。
れいむは「お兄さんが自分達にご飯を与えてくれていた」と知っていた。だから毎日食べた後は感謝する。

「おにいさん!おいしいごはんありがとう!ゆっきゅりしていってね!!!」

もうお兄さんはいなかった。
餌を与えたらすぐに別の仕事。彼は忙しかった。
いちいち子ゆっくりたちの食べる姿なんか見ていられない。

「ゆゆ~・・・・・・」

またお兄さんに感謝し損ねた。お兄さんはれいむ達をゆっくりさせてくれる。れいむもいつかお兄さんをゆっくりさせたい。
そう(あるかどうかも分からない)胸に誓うれいむ。ちなみにこれは毎日の行事といっても良い。
お兄さんが餌を置き、れいむ達が夢中の間に去り、そしてれいむが勝手に感謝する・・・。日々繰り返し行われてきた。
れいむはそれを覚えていない。毎回忘れ、毎回誓うのだ。

れいむは悲しげにガラスの向こう側を見る。
少しぼやけた光景の中に、お兄さんの姿を見つけた。何かの仕事に従事している。
れいむにとって、声も視線も何も届かない、その距離は長すぎるものだった。





れいむ達はそれから何をするともなしに集まって、皆で遊んだりゆっくりしたりした。
ご飯の時間以外は本当に自分達以外に誰もいない。そうなってくると暇でしょうがなかった。だかられいむ達は遊ぶのだ。
追いかけっこをしたり、お歌を歌ったり、お昼寝をしたり。
皆仲良く、元気一杯。

ここには誰かをいじめたり、ご飯をひとり占めしようとするゆっくりはいなかった。
仮にいても、そういうゆっくり出来ない子はお兄さんがどこかに連れて行ってくれた。
だから皆は仲が良い。先程のご飯だって皆で仲良く分け合えたのだ。

追いかけっこに興じて少し疲れてしまったれいむは、みんなの輪を抜けて休憩を取る。
こんなとき、れいむはいつも同じ行動を取っていた。
くったりと地面に座り込みながらガラスの向こう側を見上げる。

れいむの視線のその先、所謂ショーケースのようなものの中には、ゆっくり達が鎮座していた。
綺麗な髪に、すべすべのお肌。もっちりとして、やわらかそうなほっぺ。
一目でそのゆっくり達がとてもゆっくりしていると分かる。
そして、そのお帽子や髪には綺麗な金色のバッジ。

れいむが見つめているものは、ゴールドバッジ取得済みゆっくり達であった。
最高品質のゆっくり。厳しい試験を掻い潜り、人間達の常識、ルールを理解して生活していけるゆっくり達だ。
見るからにその姿はゆっくりしている。発せられるオーラといえる物から違っていた。
いつかこんなゆっくりになりたい、とれいむは思う。

「ゆゆぅ!みんな、ゆっくちちていってね!」

思わずこんな声が出てきてしまった。
釣られて水槽内の子ゆっくりたちも返事を返す。
その声に気付いたのか、れいむ達を見つめてくる金バッジゆっくり達。彼らは皆笑顔だった。

「ゆっくりしていってね」
「ゆ!ゆゆっ!!ゆっくり、ゆっきゅりしていってね!」

返事をしてもらえた興奮に、思わず何度も声を出してしまうれいむ。
そんなれいむの様子に、思わず一匹の金バッジありすが苦笑した。

「おちびちゃん、そんなにさけばなくてもありすたちにはきこえてるわよ?」
「ゆ!ご、ごめんなさい・・・・・・」
「べつにいいんだねー、げんきなのはとてもよいことなんだねー、わかるよー」
「みょんもこれくらいがちょうどいいとおもうみょん!」

しょげかえるれいむに、続いて金バッジちぇんと金バッジみょんが声をかけた。

「げんきなのはゆっくりしてるしょうこだねー」
「こどもはかぜのこみょん!」
「れいむ、ゆっくりしてる・・・?」
「え、ええ。ありすはゆっくりしてるとおもうわよ?」

少々ちぇん達に押され気味に、ありすは頷く。最も、ありす自信も笑顔だったが。
ありすの言葉を受け、元気を取り戻すれいむ。

「ゆっ!ゆっくちしていってね!!!」
「ええ、ゆっくりしていってね、れいむ」
「ゆっくりしていってほしいんだねー、わかるよー」
「ゆっくりしていってみょん!!!」

挨拶を交し合う4匹。
これでもうこの4匹はお友達だ。

「ありすたちはすごくゆっくりしてるね!!」
「ゆふふ、ありがとう。うれしいわ」
「れいむもゆっくりしてるんだねー」
「みょん!!!」



そんな調子で、れいむと3匹は会話を続けた。
基本的にはれいむが質問をして、ありすたちが答える。
内容はありすたちについて。そして、外の世界の話をちょっとだけ。



「ありすたちのかざりについてるきれいなもの、なぁに?」
「これはばっじよ。にんげんさんとなかよしのゆっくりがてにいれられるの」
「きびしいしけんにごうかくして、それでやっとてにいれられるみょん。けわしいしゅぎょうのみちみょん」

「しゅぎょう?」
「おにいさんといっしょにいろんなことをべんきょうしたんだねー、わかるよー」
「でもこうやってとかいはになれたのもおにいさんのおかげよ」

「おにいさん?」
「みょんのししょうみょん!!とってもつよいんだちーんぽ!!!」
「みょん、じがでてるわよ」
「こうふんしたんだねー、わかるよー」
「・・・・・・めんぼくないみょん」

「おにいさんはみょんたちをゆっくりしたゆっくりにして、ここにおくってきたみょん」
「ありすたちはここでかいぬしさんにもらわれていくのよ」
「いっぱいかいぬしさんをゆっくりさせるんだねー」

「かいぬし?」
「ありすたちがゆっくりしていってもらうにんげんさんのことよ」
「いっしょにおそとへおさんぽしたりするんだよー」
「けいこにつきあってもらうみょん!」

「おそと?ありすたちはおそとのことをしってるの?」
「そうだよー。おそとはゆっくりできるよー」
「かいぬしさんといっしょだともっとゆっくりだきるみょん!」
「だからありすたちはここでもらわれるのをまっているのよ、おちびちゃん」



「ゆー・・・!れいむもやさしいかいぬしさんとゆっくりしたいよ!」

ありす達のとてもゆっくりした話を聞いて、れいむは初めて外に出たいと思った。
れいむも飼い主さんをゆっくりさせてあげたい。ゆっくりできる外の世界を見てみたい。
そんな感情を表すように、そこらじゅうを跳ね回る。

「ゆふふ、れいむならきっとゆっくりできるわ」
「ちぇんたちがほしょうするんだねー、れいむはいいかいゆっくりになるよー」
「みょん!・・・・・・うわさをしたらかげだみょん!」

自動ドアが開く音。
若い女性が一人、ペットショップに入ってきた。

「いらっしゃいませー」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
「ゆ、ゆっきゅりしちぇいってね!!!」

息を揃えて挨拶する3匹。れいむもそれに続いた。
女性は聞こえているのかいないのか、お兄さんのいるカウンターへとまっすぐに向かう。

「あの、すいません。ゆっくりを飼いたいんですけど、どの子がいいのかよく分からなくて・・・・・・」
「はい。失礼ですが、ゆっくりを飼育した経験はありますか?」
「あ、いえ、無いんです。一回も。だから迷っちゃって・・・・・・」
「それなら少々値は張りますが、こちらの金バッジゆっくりなどはいかがでしょう。
 既に躾済みで、お手を煩わすことがありません。人間のルールも仕込んでありますので、散歩のときなど―――」

れいむは会話を交わす二人を嬉しそうに見つめている。
もしかしたらこのお姉さんがれいむの飼い主さんになってくれるかもしれない。

たまに人間さんがやってくる理由はそういうことだったのだ。
れいむたちと一緒にゆっくりしたい人間さんたちがここへやってくる。れいむの役目は、そんな人間さんをゆっくりさせること。
今までの疑問がようやく解けていった。

期待を込めて、きらきらと目を輝かせるれいむ。
れいむは人間さんのために、ゆっくり生まれてきたんだね。
生まれて初めて理解した己の存在意義のために、さりげなくだが自分をアピールした。



しかしれいむの頑張りは無駄に終わった。
この女性は話を聞くだけ聞いて、検討をするために帰っていった。
とりあえずは保留。結局ペットショップ内の誰も買われることは無かった。










「ゆぴー・・・・・・ゆぴー・・・・・・」
「おいすーお前ら。ちゃんと元気にしてたかー?」
「いらっしゃいま・・・・・・ってお前か。久しぶり」
「「「ゆゆっ!おにいさん!!ゆっくりしていってね!!!」」」
「ゆっ!?」

れいむはそれからお客さんに愛想を振りまいたがなかなか買ってくれる人がおらず、疲れて眠ってしまっていた。
他のゆっくりも大体みんなお昼寝中。今は大体午後3時ほどだ。
そんな時、また一人のお客が現れた。3匹の金バッジゆっくり達の元気たっぷりのご挨拶。
びっくりしてれいむも目覚めてしまった。

「おう今日は一体何の用だ」
「お前、それが客に対する態度か。一応俺客なんだけど」
「どっちかというと供給側だろお前。冷やかしなら帰れよ」
「ちゃんと用事はあるよ。半分はありすたちの様子見だけどな」

れいむはガラスにくっつき、二人の人間の会話を聞き取る。
お兄さんと仲良さそうに話している、もう一人のお兄さん。
一体誰だろう。

「ありす、ちぇん、みょん。元気にしてるか?」
「ありすたちはとってもゆっくりしてるわ!!!」
「わかるよー!げんきだよー!」
「ちーんぽ!!!」
「って言う割に、売れ残ってるのな、お前達・・・」

それからありすたちと楽しそうに会話するお兄さん。
もしかして、彼がありすたちの言っていた『お兄さん』だろうか。

「値段が高いのがいけないんじゃないか?○○○○○円って俺から見ればどう考えてもぼったくr」
「チェストオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!」
「ごふぅっ!!!・・・・・・なっ!何をするだァーッゆるさんッ!」
「うちはこれでも格安だボケェ!お前から直で買い付けてるからこんなに安いんだよ!!
 つーか金銭感覚と経済感覚が麻痺してるお前に言われたくないわ!!」

じゃれ付き始める(どう見ても殴り合いだが)を始めるお兄さんたち。
やっぱりあのお兄さんは件の『お兄さん』らしい。
ありすたちをあんなゆっくりしたゆっくりにしてあげたのはあの人なんだ。れいむもあのお兄さんとゆっくりしたい。
れいむの胸がまた期待に高鳴る。

「・・・・・・ぐふっ、相変わらず強すぎだろ、お前・・・・・・」
「鍛えてますから」
「・・・・・・それで、用件はなんだ。ちゃんと何か買ってけよ」
「ああ、今日の用件はな、こいつら」

そうしてお兄さんが指差したのは、れいむが入っている水槽だった。

「・・・?なんでまたそんなものを?お前ならいくらでもありそうじゃないか」
「いや、ちょっと最近切らしちゃってて」

お兄さんがれいむを買ってくれる。
きっと、れいむを金バッジが取れるように勉強を教えてくれるんだ。
れいむは喜びに打ち震える。

「そんで?何匹必要なんだ?」
「今何匹いる?」
「今は・・・・・・13匹だな」
「じゃあそれ全部」
「はーい。260円ね」

小銭を受け取り、れいむの水槽に近づいてくる(店員の)お兄さん。
蓋を取り、れいむに向かって手を突き出してきた。
ちょこんとリボンをつまみ、れいむを持ち上げる。初めての浮遊感にれいむはご機嫌だ。

「ゆぅ~!おそらをとんでるみたい!!」

お空の旅を楽しむのもつかの間、れいむは少し大きめの紙箱の中に入れられた。
光の届かない箱の中は薄暗い。紙屑でできたクッションにぽよんと着地するれいむ。
これからお兄さんのおうちに行って、お兄さんをゆっくりさせるんだ。れいむのわくわくは止まらない。

続けざまに他の子ゆっくりも紙箱の中に入ってきた。
13匹も子ゆっくりが詰め込まれれば箱の中はぎゅうぎゅう詰めだ。少し苦しい。
でもれいむはそんなこと気にならない。何故ならこれからとてもゆっくりした生活が待っているから。

「おちびちゃーん!ゆっくりしたこになるのよー!」
「がんばるんだよー!わかってねー!」
「りっぱにせいちょうするんだちーんぽ!」

箱の向こうから、金バッジゆっくり三匹の声が聞こえてきた。
れいむは嬉しくなり、「ゆっくりしていっちぇね!!!」とご挨拶。

「ありがとうございましたー」
「ありす、ちぇん、みょん。お前らはこういう風にじゃなくて、ちゃんとした飼い主に飼われてくれよ」

そう言い残すと、お兄さんはペットショップから出て行った。
れいむ達が詰め込まれている紙箱を持って。










暗い箱の中で、れいむは皆にお話を始めた。
今時分たちがどういう状況に置かれているかを。
これから自分達がどういう生活をしていくのかを。
飼い主のお兄さん、そして外の世界のことを。

「ゆゆぅ?きんばっじ?なにしょれ?」
「とってもゆっきゅりできるの?まりしゃ、ゆっきゅりちたい!!」
「おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひとなんだね!!」
「ゆぅ~ん!!れいみゅもおしょといってみた~い!!」

れいむの話を聞いて皆もご機嫌だ。
それに目を閉じて耳を澄ませば、箱の外から風さんの音や鳥さんの鳴き声が聞こえてくる。
もう既にここは新しい世界なんだ。
普通、このような箱の中では子ゆっくりは寝てしまうものだったがれいむは興奮のためずっと起きていた。





急に、ガチャンと音が立った。
れいむは直感する。これは、お兄さんがおうちに入った音だ。きっとここでれいむたちはゆっくりするんだ。
これはお兄さんがドアを開いた音だった。れいむの直感は当たっている。

トタトタとお兄さんが廊下を歩く音が聞こえる。
そして振動。紙箱がどこかの地面に置かれたようだ。
れいむの興奮は最高潮に達する。

きっともうすぐこの新しい世界に出会えるのだろう。
そして、この箱を開けるのはお兄さんだ。そうしたら精一杯ご挨拶をしよう。
今までは口足らずだったけど、今度はちゃんと言えるはずだ。
だってれいむもまた、新しい世界に生まれるのだから。

箱が少しずつ開かれ、光が差していく。
この光は祝福。れいむ達の新しいゆん生を祝ってくれているのだ。
新しい第二のゆん生に備えて、れいむは大きく息を吸う。
そうして、箱は完全に開かれた。










「ゆっ!ゆっくりしていってね!!!」
「おーい、れみりゃ、ふらん、おやつの時間だぞー」
「「「「「うー!!!」」」」」










れいむ達は捕食種用の生餌だった。
ひとつの水槽に、十匹以上も子ゆっくりを雑に詰め込み、躾もされず、餌はカラカラのドライフード以外に無い。その理由がこれだ。
1匹二十円の取るに足らない、ただ食べられるためだけの存在。

そもそも住む世界が違ったのだ。
ありすたちは恵まれた世界の住人で、れいむはそうではなかった。それだけの話だ。
だが、ありすたちと話してしまったことでれいむは幻想を抱いてしまった。それが決して叶うことを知らずに。

ありすたちのようなゆっくりしたゆっくりになりたい。
無理だ。ありすたちとれいむでは、生まれも育ちも運命すら、全てが違う。

お外の世界に行ってみたい。
無理だ。れいむはここで食われる。居間のテーブルの上がれいむのゆん生の終着駅だ。

お兄さんをゆっくりさせたい。
不可能だ。彼はれいむのことを気にもかけていない。ただのペットの餌としてれいむを認識している。

結局は無駄でしかなかったのだ。
飼いゆっくりに対する憧れも、外の世界に対する期待も、お兄さんに対する感情も。

終ぞ、そんなことは知らずに。
れいむは絶望と疑問を絶叫に込め、食い散らかされ、そして死んでいった。










おわり










―――――
書き溜めです。
ペットショップの餌用金魚とかこんなもんだろと思って書いてみました。

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最終更新:2011年07月28日 00:00
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