ゆっくりいじめ系2746 ゆっくりしていってね!!!

「ゆ? ゆっくりうごいてるよ! もうすぐうまれるね!」
「ゆゆ! ほんとだわ! いまやわらかいばしょをよういするわ!」
ありすは急いで脇の方に置いてあった枯草を、れいむの前に敷き詰める。
ちょうどそこは、れいむの頭から生えている赤ちゃんたちの落ちる場所である。

「ゆっくりうまれてね!」
「「「ゆっゆ!」」」
産まれる直前ともなると、親の言葉に反応してプルプルと震える事ができる。
れいむはその振動を感じ取って幸せに包まれた。
もうすぐ愛する我が子と会える事に。

「ゆゆ! うまれるわ! ゆっくりがんばってね!」
ありすが掛け声をかける。れいむは子供たちが無事に生まれる事を願っていた。

ポロリと。頭の茎から一匹のありすが落ちた。そしてそれを皮きりに残り七匹も枯草の上に落ちてくる。
たっぷりと敷き詰めた枯草の上は柔らかいのだろう。落ちた後も枯草の上でモゾモゾとしていた。
親である二匹は心配そうに見つめていた。
やがて、三匹が目を開けた。そして二匹の方を向いて、生まれたてとは思えないほど大きな声で


「「「「ゆっきゅりちていっちぇね!!!」」」
そう言った。れいむはその光景を見て思わず涙ぐむ。
「ゆぐ、ゆぐっ!・・・ゆっくりしていってね!!!」
ありすもとても幸せそうな顔で挨拶を交わす。

「ゆーゆ♪」
「ゆっきゅりごひゃんたべちゃわ!」
「ゆっくりー!」
ありすが三匹とれいむが五匹。植物型でも少々多い。
が、両親は特に気にしなかった。今の季節は春である。食料も出産前から十分に溜めている
おうちの方も、ゆっくりにしてはかなり広い方なので、狭いという事もない。


「おちびちゃんたち! ゆっくりごはんをたべてね!」
れいむがそう言うのと同時に、頭の上から茎が落ちてきた。
子供に送られていた栄養がたっぷりと詰まっていて、味もほどほどに抑えられている茎は
最初に子供が食べるものとしては最高の餌だ。
ありすとれいむはそれらを口の中に入れて、むーしゃむーしゃと噛み砕いた。

「ゆゆ! ゆっきゅちごひゃんをとらないでね!」
一匹の赤れいむが怒り出す。れいむは謝りながら
「ごめんねあかちゃん! でもこれでやわらかくなったからゆっくりたべれるよ。」
「ゆっくりたべてね!」

生まれたての赤ちゃん達はむしゃむしゃと柔らかくなった茎に被りつく。
そして生まれて初めての食事を楽しむ。
「「「「「「「むーちゃ!むーちゃ! ちあわちぇー!」」」」」」」
「ゆっきゅちちちぇいってね!!!」
「ゆ?」
両親は何か違和感を感じた。が、この時はそれは何なのかはわからなかった。


食事を終えた赤ちゃんたちは、さっそく家の中で遊んでいた。
「ゆっっきゅちおうたをききちゃいよ!」
「ありちゅはとかいちぇきなおうちゃをききちゃい!」
「れーみゅはすりすりしちゃいよ!」
無邪気に親に甘える赤ちゃん達。その中で変な言葉が聞こえてきた。

「ゆっゆっー! ゆっきゅりちちぇいっちぇね!」
一番小さい赤れいむである。
「ゆゆ? れーみゅたちはゆっきゅちちちぇるよ?」
「どうしたのあかちゃん? ゆっくりしてるわよみんな?」
赤れいむに話しかける家族。しかし帰ってくる答えは
「ゆっゆっゆー!」や
「ゆっくりー♪」
「ゆ?」
といった言葉しか返さない。というか基本的に「ゆっくりしていってね!!!(発音修正済み)」
か、「ゆー」とかしか言わないのだ。

「ゆ? どうちちゃったのれーみゅ?」
心配そうに見つめる兄弟
「ゆゆ! どうなってるの? まさかびょうきなの!」
れいむはソワソワと落ち着きなくおうちの中をうろついている。
ありすは家族を落ち着かせようとした。
「おちついてねみんな! いまぱちゅりーをよんでくるわ!」
そういって大急ぎで近くのぱちゅりーを呼びに行った。



「むきゅん! これはせんぞがえりね!!!」
「ゆー? なにそれぱちゅりー?」
ぱちゅりーの言った言葉の意味がわからないれいむ達。ぱちゅりーは話を続けた。
「むかしむかし、ゆっくりがだれにもじゃまされずにゆっくりしていたじだいとがあったのよ!
むかしはみんな『ゆっくりしていってね!!!』しかいわなかったそうだわ!」
「それで! だいじょうぶなのあかちゃんは!」
ぱちゅりーはあくまで冷静にみんなに話す。
「おちついてねありす。これはとてもうんのいいことなのよ! むかしのゆっくりはぜったいにゆっくりできるっていいつたえがあるの!
このこもとてもゆっくりできるはずよ!」

「ゆゆーん! さすがれいむたちのこだね! とってもゆっくりできるなんてすごいね!」
「とってもとかいはなこね! ありすはうれしいわ!」
「れーみゅはとちぇもゆっきゅりできるんだね!」
家族はとてもゆっくりできるという事を大いに喜んだ。
そして家族の生活は始まった。



最初の頃は、言葉が伝わらずに大変苦労したが、それでも長い間暮していると、言葉が伝わるようになっていった。
元々、ゆっくり達の話す『ゆっくり』にはかなり広い範囲の意味が込められている。
それこそ『おいしい』という意味から敵がいるかいないかまで、状況に応じて意味が違ってくる。
太古のゆっくりはその微妙なニュアンスの違いを感じ取っていたのかもしれない。あるいは意志の疎通など必要なかったのか。
とにかく、進化したとはいえ現在のゆっくり達の遺伝子にもそれは受け継がれている。
要は馴れれば分かるようになってくるのだ。

「ゆっくりしていってね!」
「そうねれいむ! きょうはおそとでとかいてきなひなたぼっこをするわ!」
「ゆっくりおひさまにあたろうね!」
「おかーさんもゆっくりいくよ!」
「ゆっくりしていってね!!!」
「ゆー!」
この一月の間に完璧なコミュニケーションが取れるようになった。


家族は近くの野原で思い思いに遊んだ。
「ゆっくりころがるよー!」
「ゆゆー! まってねばったさん!」
「ゆゆーん! とかいはのたんぽぽよ! れいむにあげるわ!」
「ゆっくりー! ゆっくりしていってね!!!」
「おねーちゃん! れいむもほしいよ!」

両親はその光景を眺めていた。
「みんなとってもゆっくりできてるね!」
「そうよね。ありすたちはとってもしあわせものね。」
互いに頬を寄せ合う二匹。それは親愛の証でもあった。


その時だった。二匹の後頭部ががっちりと何かに掴まれたのは。
「ゆゆ! だれなの! ゆっくりはなしてね!」
「そうよ! ありすたちはとってもよっくりしてるのよ!」
「ぷくううううううううう」と膨らんで怒り出す二匹。しかし掴んだ相手はそんな事はまるで気にしなかった。
「う~♪ あっまあまだっどぉー♪」
間抜けな声が聞こえた。そしてそれは近くで聞いてはいけない声だった。

「「でびりゃだあああああああああ!!!!!」」

「やめてね! おかーさんたちをはなしてね!!!」
子供たちは両親を掴んだ敵に対して体当たりを繰り出す。しかしそんなものは効果がない。
「うー? じゃまなんだどぉー! ちっちゃいあまあまはおちびちゃんたちのぶんなんだからー! だまってるんだどぉ♪」
そういって足でガッ!っと踏みつける。
「やべちぇえええええええええ!!!!」
「いたいですうううううううう!!!!
「ありすもういやああああああ!!! だれかたすけてえええええええええ!!!!」
次々に踏みつぶされる兄弟。あのれいむも家族を助けようとするが、
「まってねれいむ!」
長女のありすに止められた。
「ゆ! ゆっくりしていってね!」
「わたしたちじゃかてないわ! どすをよんできて!」
れいむ達の家の近くにはドスまりさが住んでいる。群れは持っていないが、ドスの周りには大勢のゆっくりが住んでおり
れいむ達もその一つだ。
ドスならばみんなを助けられるとありすは考えた。

「ゆっくりしててね!!!」
れいむはそれを理解して急いでドスの家へ向かっていった。
れみりゃは家族を踏むのに夢中で気づかなかった。
「う~? ぷにぷにしておもしろいどぉ~♪」
「いじゃいよ! やめてよ! ゆっくりできないよ!」



れいむは走った。途中で何度も転びそうになりながらも必死で走った。家族の為に。
その思いが通じたのか、何の障害もなくドスの家の前についた。

「ゆっくりしていってね!!!」
そういってドスの家へ飛び込むれいむ。
「ゆゆ? ゆっくりしていってね!!!」
中にはドスと何匹かのゆっくりがいた。その中にはぱちゅりーのつがいのまりさもいた。

「どうしたの? ゆっくりはなしてね!」
ドスの声に反応して、さっそく助けを求めようとするれいむ。
しかし

「ゆゆ? ちゃんとはなしてくれないとわからないよ! ドスだっておこるよ!」
「ゆ・・・ゆっくりしていってね!!!」
「さっきからなにいってるかわからいよ! れいむはちゃんとしゃべってね!!!」
「ばかなの? しぬの?」
かれこれ10分はこんな調子である。
れいむの言葉は馴れた家族には伝わったが、初めて会話する他のゆっくりには通じなかったのだ。
「ゆ・・・ゆっゆっくりしていってね!!!」
ついには泣きだしながら喋るれいむ。
「だからわからないっていってるでしょ? ばかなの?」
だんだんとドスは苛立ってきた。そしてもう家から追い出そうかと考えたちょうどその時


「どすー!たいへんなんだよー!れいむとありすたちがれみりゃにおそわれてるんだよー!」
「れみりゃのこどもたちもいっぱいきてるみょん!」
運よくれみりゃ達を目撃したちぇんとようむがドスに伝えに来たのだ。

「ゆ! わかったよ! すぐいくね!」
「ゆっ!ゆっくりしていってね!!!」
ドスがやっと動き出した事に喜ぶれいむ。
そして一目散に家族の元へ向かった。


助けを連れて戻ってきたれいむ。しかしそこに居たのはれみりゃ達とただの皮だった。
「うー! おいしかったどぉー! れみ☆りあ☆うー☆」
「とってもえれがんとだどぉ~♪ れみりゃのおちびちゃんはとってもかりしゅまなんだどぉー!」
「さくやー! のどがかわいた~♪ れみりゃはおれんじじゅーすがのみたいどぉー!」
「うっうー! のう☆さつだんすでふみふみだどぉ~♪」
そこには餡子を失って皮だけになった家族で弄ぶれみりゃ達がいた。
既に光のない眼で空を見ている両親と兄弟。先ほどまで元気に動いていた家族。
それが今ではただの動かない皮。


「ゆ・・・・ゆっくりじでいっでねぇえええええええええ!!!!!!!」
れいむは半ば半狂乱になりながらゴロゴロと転がりまわった。
それを周りのゆっくりが止めてるうちに、ドスはれみりゃ達に近づいた。
「ゆっくりできないれみりゃはゆっくりしんでね!!!」
それだけ言い放つと、口からドススパークを放ち、れみりゃ達をあっという間にやっつけた。
このれみりゃ達はみんなのごはんとして分けることになった。



ドスの家の前。近くのゆっくりが全員集まり、れいむとありす達を土の中に埋葬していた。
そこには当然れいむが居るはずである。しかしれいむはそこから少し離れた場所にいた。
近づけて貰えないのだ。
ゆっくり達は最後の別れを済ませた後に、口ぐちにれいむを責め立てた。

「れいむがちゃんといわないからありすたちはしんだんだみょん!」
「こどもなんだからしゃべれるでしょ! ほんとにできそこないのゆっくりだね!」
「ありすたちがしんだのはれいむのせいだね! はんせいしなくていいからゆっくりしんでね!!!」
「ことびゃもまちょもねはなちぇないなんて、ゆっきゅちできにゃいね!!!」
「ほんとはきょうだいをゆっくりさせたくなかったんでしょ!」
遂にはドスまでも
「れいむのせいだからね! ドスがもっとはやくついたらみんなぶじだったんだよ!
わかってるの? ばかなの? しぬの? ゆっくりしないでどっかいってね!!!」

「ゆゆ・・・ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっくじでぎるわげないでしょおおおおおおおおおおおお!!!! どっどどでていってねえええええええ!!!!!」


こうしてれいむはこの付近から立ち退くことになった。れいむにとって嬉しかったことは
ぱちゅりーだけは最後まで味方でいてくれた事だ。

「れいむ、たべられるものやかりのしかたはおぼえてるわね?」
出発当日、ぱちゅりーは朝早くからやってきて真剣な目で問いかけてきた。
「ゆっくりしていってね!!!」
ぱちゅりーには言葉の意味がわからなかったが、おそらく肯定したのだと思って話を続けた。
「そう、おうちのつくりかたもだいじょうぶね? これはあさごはんよ!」
そういって口から差し出したのは、はちみつだった。
野生のゆっくりにとっては滅多に食べれない貴重なものである。

「ゆっくりしていってね!!!」
「れいむもゆっくりしてね!!! がんばってねれいむ!!!」
帰って行ったぱちゅりーの後ろ姿を寂しげに見つめながら、れいむは新たな家を求めて旅立った。






【あとがき】
昔書いて途中でほったらかしたヤツ
うん。何に影響を受けてたかよくわかるな俺
あと、久々に発掘した時に書かれてたメモが
【メモ】
ジャギ様登場


どういうことなの……



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最終更新:2011年07月29日 03:04
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