れいむが目を覚ましたとき、そこにはなにもなかった。
いや、何も無かったわけではない。
目の前には草が生えているし、木も見える。ここは自分が生まれ育った森なのは間違いない。
でも、れいむにとってそれよりも重要なもの、自分にとって全てといってもいいものがなくなっていた。
まりさと、子供と、家がなくなっていた。
皆自分より早く起きて出かけてしまった、すぐ帰ってくるさと言う考えも浮かんだがすぐに消えた。
あのまりさや子供達が自分になにも言わず出かけてしまうとは思えない。
寝込みをれみりゃに襲われて皆食べられてしまった?それはもっと無い、れみりゃが自分だけ見逃すとは思えないし、第一おうちが消えてしまう理由にならない。
どんなことを考えてみても、家族がいなくなった理由にはなれど家までなくなってしまった理由にはならなかった。
おちびちゃん?
まりさ?
みんなどこにいったの?
れいむは何度も家族を探し、その名を叫び、家を探したが、返事は無かった。
「ゆぅ・・・まりさ・・・おちびちゃん・・・何処に言っちゃったのぉ・・・?」
「どうしたんだぜ?れいむ?」
「ゆ?まりさ・・・」
「まりさはまりさじゃないぜ、まりさなんだぜ」
そこに居たのはれいむの伴侶ではない、別のまりさ。でも本の少し、あのまりさの面影の残るまりさだった。
「かぞくがいなくなった・・・それはかわいそうなんだぜ・・・」
「ゆぅ・・・みんなれいむになにもいわずにでかけるなんてかんがえられないよ・・・れいむはどうしたらいいか・・・」
「ゆゆ・・・わかったぜ!!じゃあ、まりさがれいむのかぞくをさがすのをてつだってやるんだぜ!」
「ほんとう!ありがとうまりさ!これですこし
ゆっくりできるよ!!」
(このれいむはなにをなげいているんだぜ?なにもいわずにかぞくがいなくなってかえってこないなんて、ぜんいんしんでいるにきまっているんだぜ。いいきかいだぜ、まりさはこのれいむとゆっくりするんだぜ。)
れいむと、まりさが出会ってから一月がたった。
れいむは最初の一週間、まりさがあきれるほどに声を張り上げて伴侶であるまりさと子供達を捜していたが、しばらくして誰も見つからない、帰ってこないと悟るとまりさと協力して生きて行く選択をした。
上のまりさの考え方を見てゲスと思うかもしれない、でもこれは合理的な判断でもあり、事実まりさは優秀なまりさだった。
そしてれいむとまりさはすっきりし、家庭を設け、れいむが昔住んでいたおうちによく似た立派なおうちを見つけ、家族で暮らすことに決めた。
れいむは、また幸せな家庭を手に入れたと思った。居なくなってしまったまりさや、子供達の分まで、今の家族と仲良く暮らそう。そう心に決めた。
れいむが夜中に、嫌な予感を感じて目を覚ましたとき、そこにはなにもなかった。
いや、何も無かったわけではない。
目の前には草が生えているし、木も見える。ここは自分が生まれ育った森なのは間違いない。
でも、れいむにとってそれよりも重要なもの、自分にとって全てといってもいいものがなくなっていた。
まりさと、子供と、家がなくなっていた。
うそだよね・・・
なんで?
どうして?
どうしてまた?
どうして、また、みんな、れいむをおいていなくなっちゃったの!?
れいむは夜中だというのに、あたりを駆け回り、まりさと、子供達の名前を泣き叫んだ。
しかし、今は夜中、本来ゆっくりが活動していい時間帯ではない。
悪魔が、吸餡鬼が迫っていた。
「まりざぁあぁぁぁ!!!おぢびちゃぁぁぁあぁぁん!!どこなのぉぉぉ!?!?」
ぽよんぽよんとのんびりした効果音を発しながら、それでもれいむは悲痛な声と悲痛な顔であたりを駆け回った。
「うー☆」
はしっ
あれ?おかしいな、れいむが空中で止まっている?
「ゆっ?おそらをとんで「うー☆あまあまだどぉ~」いるみ・・・た・・・れみりゃだああぁぁぁ!?!?!?」
そう、夜行性であるれみりゃが夜中に泣き叫びながら駆け回るご飯を見逃すはずは無い。
「あまあまがおそとをあるいているなんてめづらしいんだどぉ~」
れみりゃが言いたいことだけ言って、にたぁと笑い、れいむに噛み付こうとする。
しかし、首から上しか存在せず、両方を後ろから掴まれているれいむにはそれが見えない。そしてそれがまたれいむの恐怖心を駆り立てる。
「あぁあ゙!?あ゙あ゙!?ああぁぁ゙ぁあ゙ぁ゙あ!?だずげで!?だれが!?ばりざあぁぁ゙ぁ!!」
しかし、夜中にれいむに気づいたのはれみりゃだけでは無かった。
「れいむをはなすんだぜ!!」
なにかがかなりのスピードでれみりゃの脇腹に突撃する。
「う、うぁ~なにするんだど~!?」
奇襲を受け、れいむをとりこぼしてしまうれみりゃ。
「ゆあ!?なに?なんなの!?」
「れいむ!いそいでこっちにくるんだぜ!!」
その後、れいむとまりさはいそいでれみりゃから逃げて、どこかで見たことのあるようなおうちに逃げ込んだ。
巣の中ではまりさの子供だろうか?何匹かの赤ゆっくりと子ゆっくりが留守番をしていた。
「おかーしゃん!!どうちたの!?」
「う~☆う~!!はやくでてくるんだど~てがとどかないんだど~!?」
れみりゃがそのおうちの入り口に片腕を肩まで突っ込んで中をまさぐる、しかし羽や胴体が邪魔して巣の隅に移動したれいむ達には届かなかった。
「いつまでもうっとおしいれみりゃなんだぜ!!これでもくらうんだぜ!!」
「まりしゃたちのおうちからでてけー!」
「きゃえりぇー!!」
まりさがおうちの中にあった木の枝や小石をぺしぺしとぶつける。
「うあぁあ!?いたいんだど~!!れ☆み☆り☆ゃ☆う☆~」
そのうちの何個かがクリティカルヒットしたのか、れみりゃはおかしな捨て台詞を残して逃げていった。
「ふぅ・・・まったくしつこいれみりゃだったぜ・・・れいむ、けがはないのかだぜ?」
「ありがとうまりさ、おかげでゆっくりたすかったよ!!」
なんとか一息ついたれいむ、よかった、つよいまりさにであえて・・・このまりさはだいじょうぶだ。
「まったくどうしてよるにおうちからでたんだぜ?」
「そうだよれいむおねぇちゃん!あぶないよ!!」
「またれみりゃにねりゃわれちゃうよ?」
まりさや子ゆっくり達に夜中に外に出たことを諌められる。当然だ、雨の中外出することの次に夜中の外出はゆっくりにとって死を意味するのだ。
「ごめんねまりさ、じつはれいむのかぞくが・・・」
れいむは自分の事情を話そうとした。このまりさたちならきっと力になってくれる。こんなに強くて、しっかりしたまりさとその子供達なら絶対に居なくなったりはしない・・・
「じじょうはあさになってからきくんだぜ・・・れいむ。きっとふくざつなじじょうがあったんだとおもうぜ・・・でも、いまはゆっくりねるといいんだぜ」
「そうだよ!れいむおねーちゃん!ゆっくりしていってね!!」
「ゆっちゅりちていっちぇにぇ!!」
「ありがとぉ・・・ありがとお゙・・・ゆっぐりしていぐよぉ・・・」
深夜の森、沢山のゆっくり達が暮らすゆっくりプレイスであり、れみりゃも生息するとても自然形態な森。
その奥深く。ずっと風になびいていただけの茂みががさがさと動き始めた。
いや、茂みじゃない、人だ。
緑色の服に木の枝や草を沢山はさんだ某愛知万博のマスコットキャラのような人影が、のそのそと歩き出す。
シルエットと歩き方から長身の女性と思われるそれは、ある緑の塊の前で動きを止める。それはれいむが一晩止まることになりった、まりさとそのこどもたちのおうちだった。
そのモリゾーがおうちを掴んで持ち上げる。おうちはいとも簡単に持ち上げられ、ぐっすりと眠るれいむ達の姿があらわになる。
れいむがずっと暮らしていたおうち、それは防水加工と防臭加工が施された段ボール箱だったのだ。
女性の着ている服同様木の枝や葉っぱがふんだんに取り付けられた段ボール箱はゆっくりにも、他の動物にも自然に存在するものとしか認識できなかったのだ。
事実、人間でも目の前で動かされない限り四角い茂みか何かだと思うだろう。
女性がポケットから針のようなものを取り出す。そしてそれを寝ている赤ゆっくり、子ゆっくりにプスプスと突き刺して行く。
突き刺されたゆっくりは物音も立てず、白目をむき死んで逝く。
普通のゆっくりなら痛みで目を覚まし、泣き叫ぶところだ、しかし先端に唐辛子を基に作られた殺ゆ剤が塗られたそれは体の小さい赤ゆっくり、子ゆっくりを一瞬で即死させていく。
「ゆぴっ・・・」
針がまりさに刺さった。まりさは驚き、一瞬奇声を発し、白目をむき、口をパクパクさせる。しかし、声は出ない。2~3秒口を動かし、痙攣していたまりさもじきに動かなくなった。
だが、その口は明らかにこう言っていた「みんな、にげて」と。
まりさの奇声以外の物音を立てずにれいむ以外のゆっくりを殺した女性はゆっくりの死体を袋にしまいこみ、ダンボールを背負いどこかへとさって行く。れいむは気づかない。
そしてそこには安らかな寝顔で安眠している、れいむだけが残された。
れいむが目を覚ましたとき、そこにはなにもなかった。
れいむのあたまのなかで、何かが切れた音がした気がした。
れいむの記憶は、そこで途切れた
最近
1.夜眠れない
2.もう少しで眠れるというときにメッセンジャーの「ピロリン♪」で起された後眠れない
3.もう少しで眠れるというときにニコニコの時報で眠れない
4.つまり、夜眠れない
という現象に悩まされています。
最終更新:2009年06月09日 15:30