ゆっくりいじめ系189 あの夏に日の……

「ゆ~~~~~♪」
 うだるような暑さ。
 今年の夏も一段と暑い。
 形だけの入道雲が山の向こうに見え隠れする、夕立もなかなか訪れないので、暑さは耐え難いものとなっていた。
 ゆっくり達も例外ではない。
 この暑さでは、文字通りゆっくりするしかないゆっくり達はそれぞれ日陰に隠れてべたーーっとしている。
「れーむーー。あついねーーー!」
「こーゆーときはゆっくりしてよーーね!」
 普段の口調からは程遠い、のんびりした口調で互いに会話をするゆっくり霊夢と魔理沙。
 特に魔理沙は、黒い帽子の所為で余計に熱いようだ。
「こんにちは!! ゆっくりしていってね!!!」
「「?」」
 そんな中、元気よく挨拶をしてくる男。
「おじさん。きょうはまりさたちはここでゆっくりするよ~」
 幾らゆっくりと言えども、この暑さの中で元気にゆっくりする気はない。
「だいじょうぶ!! おじさんもこんな暑い中でげんきにゆっくりできないよ!! 冷たいアイスをもってきたんだよ!!」
「ゆゆ!! あいす!!!」
「おじさん!! それってつめたいの?」
 冷たいと聞いてゆっくり達は元気よく飛び上がる。
 どこにそんな元気が有るのかは知らないが、暑苦しく男の足元に摺りついてくる。
「うん! ちょっとたべてみるかい?」
 そう言って、男はアイスキャンディーを二つに折ってそれぞれの前に捨てた。
「むしゃ? ……!! ゆゆ!! おいしー!! おじさんこれおいしーよ!!」
「うっめ!! めっちゃうめーーーーー!!!」
 ひんやりと冷たいアイスにがっつく二匹。
「ゆ~~~~♪ しあわせーーーー!!!!」
 あっという間に食べ終わった二匹。
 余程美味しかったのか、直ぐにおかわりを要求してくる。
「おじさん!! もっともっとちょうだいね!!!」
「はやくまりさたちにもってきてね!!!」
「はいはい! でも僕は大勢のゆっくりに味わってもらいたいんだ。だから沢山ゆっくりを呼んできてね!!」
 そうしたら、もっといっぱいアイスをあげるよ。
 男の言葉を聞いて、元気よく森の中へと消えていく。
 数刻後、そこには溢れんばかりのゆっくりがひしめき合っていた。
 その数およそ100匹。
 パチュリー・アリス・さくや。
 多くの種類のゆっくりが親子、親友の垣根を越えて駆けつけたのだ。
 もっとも、全員が暑さでゆっくりしているが。
「おじさん!! みんなつれてきたよ!!!」
「はやくまりさたちにあいすちょうだいね!!!」
 先ほどの二匹が、ラフな格好をした男に駆け寄る。
「うん!! それじゃあ皆の分は家にいっぱいあるから、おじさんのお家まで行こうか」
 男は集まったゆっくりに声をかけると、全員を加工場の大型冷凍庫へ運んでいった。
「ゆゆ!! すずしいね!!!」
「ゆっくりできるよ!!」
 全員をその中へ入れる。
 うだるような暑さの中に居たゆっくり達は自分から中へ入って行った。
 それを確認して男は厳重に鍵をかけその場を去っていった。
「ゆ~~♪  ゆゆっゆ~♪」
「おかーしゃんじょ~ず~♪」
「とかいはのありすはこんなすずしいへや、よくはいってるよ!!!」
「むっきゅ~♪ かいてき~♪」
「おぜうさま!! おぜうさま!!!」
 アイスのことは忘れて冷凍庫の中でくつろぐゆっくり達。
 しかし、強力な冷凍庫はガンガンと中に入っている饅頭を冷やしていく。
「ゆ~、ちゅべたい!! つべたいよーーー!!!」
 初めに騒ぎ始めたのは赤ちゃん達だった。
 それが次第に年長者、大きいモノへと伝染していく。
「!! つめたい!! ゆっくりあけてね!!!」
「おじさん!! まりさたちをたすけてね!!!」
「とかいはのありすはじゃくれーぼーしゃにはいるよ!!!」
「むいきゅーーーー……」
「「ぱちゅりーーー!!!!!!」」
 一番最初に息を引き取ったのはゆっくりパチュリーだった。
「ゆーーーー!! ……」
 赤ちゃん達がそれに続く。
 こうなるとゆっくりどころではない。
 大勢の親ゆっくりや力のあるゆっくりが全員で入り口にタックルを仕掛ける。
「こんなのかんたんだよ!!」
「そうだよ!! おじさんはひとりであけられたもんね!!」
「みんなで力をあわせればかんたんにあくよ!!!」
「「「そーれ!!!」」」
 しかし、厳重に施錠されたそのドアは、商品になった冷凍団子を取り出すまで開く事が無かった。





 一方、紅魔館でも似たような光景が繰り広げられていた。
「さくやーーー!! あづいーーー!!!」
 食欲をそそる良いにおいを滴らせているのはゆっくりれみりゃのグループ。
 全員が体中から肉汁を滴らせている。
「はいはい! れみりゃさま!! ぷっでぃ~んですよ!!!」
「ぷっでぃ~~んいりゃない!!! ぽいするの!!」
「つめたいのがいいにょ!! しゃくやのばぁ~か!!」
 プリンを全て蹴散らして、再度お菓子を要求する。
「そうですね!! それでは、よく冷えたゼリーをお持ちします」
「う~♪ ぜっりぃ~♪」
「「「「ぜっりぃ~♪ れみ☆りゃ☆う~♪ にぱー♪」」」」
 全員でポーズを決める。
 その度に、顔から肉汁がはじけ飛ぶ。
「かわいいですよ!! れみりゃさま!! すぐおもちしますね!!」
「う~~!! はやぐもっでぎでぇ~♪」
 全速力で厨房に入り、人数分のゼリーを作り冷やす。
 そして新しい高級な皿に載せる。
 ここまで時間を止めて居たので掛かった時間は0分、後は運ぶだけだ。
「あら? さくやさん!! 丁度良かったです」
 またしても曲がり角で小悪魔とかち合った咲夜。
 聞けば、今回はパチュリーではなく、レミリアが神社に行って巫女に冷たいものでも作って来いと仰っていたとの事。
 他ならぬレミリアの命令に逆らう事はできない。
 ゼリーを小悪魔に預け、咲夜は急いで神社に飛んでいった。
「うう~~~~おそいじょ~~~♪」
 れみりゃはずうずうしくも屋敷内に上がりこんでいた。
 一行が歩いた後には汁だまりができている。
「うう~~~!! ぜっりぃ~~~♪」
 そんな一行が漸くゼリーを見つけたらしい。
 もっている人は違うが、お構いなしに足元に群がる。
「う~♪ はやぐちょ~だい!!」
「れみりゃのぜりだどぉ~♪」
「う~♪ た~べちゃうぞ~♪」
「いいえ♪ これは私とパチュリー様とレミリア様の分ですよ♪」
 にこやかな笑みを浮かべて宣言する小悪魔。
 しかし、肉まんたちは納得がいかない。
「ちがうのーーー!!! それはれみりゃたちのーーーー!!!」
「れみりゃはこーまかんのおじょーさまだどぉーーー!!!!」
「おまえにゃんkぁざぐやにいいづけでやるーーー!!!」
「はやぐぜっりぃーーーーちょーだい!!!!」
「「「「ぜっりぃーーーーー♪」」」」
「「「「!!!! う゛あ゛あ゛ーーーーーーー!!!!!!」」」」
 直後、後方から飛来した多数のグンニグルによってその場で串刺しになるれみりゃ。
 その攻撃に、ぜっりぃ~コールよりはましの悲鳴コールが沸き起こる。
「ああああーーー!! ざぐやーーー!!!」
「ざぐやーー、ごわいひどがいるどぉーーー!!!!」
「ぜっりぃ~~~~もっでぎでーーー!!!!」
「うるさい!!」
 その悲鳴コールの張本人、レミリア・スカーレットが勢いよく全ての肉まんの四肢をむしり取る。
「うっぎゃーーー!! う!! うぐぐ!!!」
「まったく! うるさいったらありゃしない」
 むしり取ったそれを、れみりゃの口に無理去り放り込み終えたレミリアが小悪魔に呟く。
「そうですね。ああ、どうぞ! 美味しいですよこのゼリー♪」
「そう。パチェの所に戻ったら頂くわ。それよりもコイツらどうしようかしら? ちょうど咲夜はいないし」
「うっ!! う!! ……」
「しゃ!! しゃぐやーーー!!」
 開かない口で、何とか言葉を発しようとするれみりゃ達。
 そんな滑稽な様子を見ながら、レミリアはアレコレ思案する。
「それなら良い方法がありますよ!!」
「? なにかしら?」
「きょうは土曜丑の日です!!」
 その日の紅魔館の夕食は、美鈴が腕によりをかけて作った沢山の中華料理が並んだ。


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最終更新:2011年07月28日 00:53
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