このSSは「ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ!」の設定を
勝手に流用して書いたものです。
http://www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2112.html
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「養殖ゆっくり」
ゆっくりが幻想郷に現れるようになって、はや数年が経った。
ゆっくりが現れた当初から、ゆっくりによる民家襲撃や農作物窃盗が相次ぎ、
人間とゆっくりの間では争いが絶えなかった。
人間は、まず人里に近づいたゆっくりを見つけ次第叩き潰すことでゆっくりによる害を減らそうとした。
しかし、ゆっくりはすぐに増えるため、あまり効果がなかった。
潰しても、数日もすると別のゆっくりが人里への侵入を試みた。
そこで、ゆっくりの巣を探し出し、片っ端から一家を全滅させることで増えないようにしようとした。
ゆっくりの一家や番は、例えるならゆっくり製造機みたいなものである。
こいつらを一家まるごと殺してしまえば、ゆっくりの増えるペースは減ると考えられたからだ。
このやり方では、たしかに一定の効果があったが、それにも限界があった。
ゆっくりは、すぐに増えてしまうからだった。
ゆっくりは一回の生殖で、植物型妊娠・動物型妊娠問わず、最低でも3匹から5匹は子供を作る。
この時点で、すでにゆっくりは確実に増加する傾向にあることが分かるだろう。
さらに、ゆっくりは、その生活形態も様々だ。
個別に独立して暮らすものもいれば、群れを作って共同生活するものもいる。
群れの場合、一度潰せばゆっくりの害は大幅に減るが、ドスがいるような群れはやっかいだった。
逆に、独立して生活している家族や番の場合、散らばって生活しているので個々の一家は潰しやすいが、その分効果が薄く、巣を探すの手間取った。
加えて、人里から一定以上離れた場所にいるゆっくり達には殆ど手を出せなかった。
離れた場所に住むゆっくりを殺す為だけに里の外で夜を明かすのは危険だし、何より自分の畑から何日も離れるわけにはいかなかったからだ。
農耕で生活している以上、里に住む人々の大半は、畑仕事に一番時間を割かねばならなかった。
こうしてゆっくり対策に行き詰まりを感じ始めた里に人たちは、ゆっくりに詳しい者達に力を借りることを決めた。
依頼を受けたゆっくりの加工場の職員や研究者達は、効率的にゆっくりを駆除する方法を考え始めたのだった。
問題点は、以下の2つに絞られた。
・どうやって人里から離れた場所(森の奥)にいるゆっくり達も駆除するか?
(人里周辺のゆっくりだけを駆除しても、他所から他のゆっくりがやってきてしまう)
・どうやって数が多いゆっくりを一度に駆除するのか?
(ちまちま殺していたら、繁殖力の高いゆっくりの数は減らない)
そこで加工場の関係者達は、人工的に養殖させた「非常識なゆっくり」を大量に自然界に放流する方法を思いついた。
勿論、こんなことを春や夏や秋にやれば大変なことになるが、餌が殆ど無い冬直前にやったどうなるだろうか。
こんな計画が持ち上がったのも、研究者達の観察や実験結果により次のようなことが分かってきたからだ。
実は、ゆっくりの最大の天敵は、小動物でも人間でも妖怪でもなく、ゆっくり自身だったのだ。
たしかに、小動物・人間・妖怪はゆっくりにとって脅威となる存在だ。
本気で狙われたら、まず間違いなく殺される(or 喰われる)。
だがそれは、あくまで「狙われたら」という話であり、そんなことはあまり起こらない。
起きたとしても、ゆっくりの数を大幅に減らすほどの影響はない。
ゆっくりと生活圏がかぶっている小動物は、必ずしもゆっくりを襲うわけではない。
草食系の小動物は、まずゆっくりには手を出すことはないし、肉食系の小動物も、基本的には他の動物を狙うので、ゆっくりがターゲットになることはあまりない。
そして、人間は自分達の生活圏の外にいるゆっくりには手出しできない。
妖怪達は、食料としてゆっくりを食すことは珍しくないが、それでもゆっくりの数に殆ど影響を与えていない。
だが、他のゆっくりは違う。
生活スタイル(食べ物・居住環境・生活圏)が同じであるが故に、仲間同士であると同時に生活の糧を奪い合うライバル同士でもあるのだ。
加えて、ゆっくりという生物(食べ物か?)は基本的に自己中心的で頭が悪く、イザコザが耐えない。さらに、ゆっくりの中には「ゲス」と呼ばれる、
ゆっくりを襲うことで生活しているものや、「レイパー」と呼ばれる強姦魔もいるという。
こうした研究結果を踏まえて、ゆっくりにはゆっくりで対処する方が良いと考えられ、今回のゆっくりを養殖する実験計画が立てられたのである。
ちなみに、この方法がダメなら別の手を考える予定である。
この計画の最大の目的は、春になるまでに出来るだけ野生のゆっくりの数を減らすことだった。
とにかく、出来る限り個体数を減らし、農家にかかる負担を軽くしなければならない。
今回、ゆっくりを養殖させるにあたって、雑草や昆虫が大量に集められた。
野生にない食材を与えると、野生のゆっくりが採った餌を受け付けなくなるからだ。
それでは養殖されたゆっくりが、野生のゆっくりの餌を略奪してくれない。
さらに、養殖されたゆっくり達を「教育」する動画も製作された。
野生のゆっくり達に受け継がれている生き抜く方法とは真逆の教育を施す為だ。
他の関係者から、「もし非常識なゆっくりが越冬に成功したらどうなるのか?」という問題点も指摘された。
だが、計画を立案した研究者は自信を持って次のように答えた。
養殖場で生まれ育ったゆっくりは、自然界ではまず生き残れない。
冬以外の季節なら、自力で餌を採る方法を覚えたり、他のゆっくりと暮らし始めて生き残れるかもしれない。
仮に野生のゆっくりと暮らし始めても、自力で餌を採る大変さを理解していないから、すぐに仲違いするだろうが。
しかし、真冬ならどうだろうか。まず餌は手に入らない。人里は我々が完全に守っているから、進入することも出来ない。
おまけに、食料を食べたいだけ食べることが良いことだと教育するので、野生のゆっくりの巣を見つけ出して略奪を行っても食料はすぐに尽きるし、
最終的には共食いしつつ餓死することになる。だから、養殖ゆっくりは春までには全滅するはずだと答えた。
ゆっくりによる被害を受けていた里は、今回の実験を初めて聞いたときは随分驚いていたが、
一切お金を取らないことや、家屋に万全のゆっくり対策を施すことで了承してもらった。
ゆっくりを養殖する施設は、群れから少し離れた開けた場所につくられた。
また、養殖していることを野生のゆっくりに悟られないようにする為、
養殖場の周りを、植物で偽装した高い壁でグルリと囲んだ。そして、鍵を持った職員しか入れないようになっている。
ここで養殖して一斉に放すことになる。
本来は加工上で育てる予定だったが、ゆっくりの群れが住んでいる場所の近辺まで、大量の成長しきった養殖ゆっくりを運ぶ方法が見つからなかったので変更された。
我々は、加工所の中で育てられているゆっくり達に強制的に子供を作らせた。
そして、植物方妊娠をしている親を眠らせ、その子供を採取して隔離した。
こうすることで、他のゆっくりから教育を受けていない、何の記憶も技術も持たない赤ゆっくり(れいむ種とまりさ種)が手に入った。
全部で10匹だ。
採取した赤ゆっくり達を眠らせた状態で養殖場の中に放置した。
養殖場の中は、まだガラ~ンとしている。
バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりを、500匹近く収容できるように作ってあるので、仕方が無いといえば仕方が無い。
とにかく、冬直前までに相当数のゆっくりを育て上げなければならない。
ゆっくりの教育は、毎日決まった時間に映像を流す形で行われた。
朝7時になると明かりがつき、モニターに電源が入り、スピーカーから挨拶が聞こえてきた。
「やあみんな、おはよう!ゆっくりしていってね!!!」」
それを聞いた10匹のゆっくり達は一斉に、
「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」
と、返事を返した。
「さあみんな、ごはんだよ!ゆっくりたべていってね!!!」
そうアナウンスされると、天井に付けられた機械が、天井を所狭しと動き回りながら餌を養殖場全体にバラバラと落とした。
いずれは、養殖場いっぱいにゆっくりがひしめき合うのだから、広範囲に餌を撒かないと、餌にありつけないゆっくりが出てきてしまうからだ。
献立は毎回一緒で、甘味料と冷凍雑草と冷凍昆虫を混ぜ合わせたものだった。
基本的に、自然界で容易に手に入る、草と虫以外のものを食べさせることは許されてはいなかった。
「ゆっ!おさらさん、ゆっくりれいむのところにえさを落としてね!」「すごくゆっくりできるえささんだね」「うんめ、めっちゃうんめ!」
「くささん、むしさん、ゆっくりたべられてね!」「きかいさん、ありがとうね!」
「「「「「「むーちゃ、むーちゃ、しあわせ~!!!!」」」」」
養殖場の様々な場所に、栄養素を溶け込ませた水を出す蛇口を取り付けてあるので、
食事を終えたゆっくり達は、思う存分水分を取っていく。
「「「「「「が~ぶ、が~ぶ、しあわせ~!!!!」」」」」」
食事が終わると、今度はお勉強の時間だ。
といっても、研究所と加工場が製作した教育映像を繰り返し流し続けるだけだったが。
『腹が減ったら、他のゆっくりの巣に勝手に入って食べればいい。他のゆっくりに餌を分けない奴はゆっくり出来ない奴だ。』
「ゆっ!すってなあに!」「でもゆっくりできそうなばしょだね!」「れいむもあんなばしょがほしいよ!」
「まりさにたべものをくれないなんて、ゆっくりできないね!ぷんぷん!」
『初めて会ったゆっくりをすっきりさせてあげるのはゆっくりできること。すぐにすっきりさせてあげよう。』
「すっきりってなあに?」「なんだかすごくゆっくりできそうだよ!」
『パチュリーはずる賢い悪いゆっくりだ。ゆっくりできないから、見つけたらすぐ潰そう。』
悪そうな顔をしたパチュリーを踏み潰すイラストを流した。
「ゆっ!ゆっくりできそうにないかおだね!」「あんなのみつけたら、まりさがぎったんぎったんにしてやるんだぜ!」
『ドスは、ゆっくりしすぎで太ってる。減らしてあげれば喜ぶから、すぐに喰いつこう。』
でっぷりした大きなゆっくりを噛みちぎるイラストを流した。喰いちぎられたゆっくりはニコニコしている。
「どすはゆっくりしすぎだよ。」「だいえっとをてつだってあげなきゃね!」
『れみりゃやふらんは敵。見つけたら全力で襲い掛かろう。弱いくせに偉そうにしている。ゆっくり出来ていない。』
「へんなかおだね!」「ぜんぜんつよくなさそうだね!あんなのかんたんにつぶせるよ!」
ゆっくりを捕食する捕食種「れみりゃ」と「ふらん」。
実は、単純に力という点だけを見れば、こうした捕食種は他のゆっくりより圧倒的に上回っているわけではない。
耐久力にしても、捕食種は中華まんだ。饅頭と対して耐久力に違いはない。
基本的に、ゆっくりが捕食種に勝てない理由には、手足の有無や体格差以外にも「絶対に勝てない」という思い込みもある。
バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりが、複数で物怖じせずに胴付き捕食種と全力で闘えば、勝算があることは加工所の実験で証明済みだ。
捕食種というのは、頭部だけの状態なら圧倒的に飛行スピードがあるの、まず他のゆっくりに負けることは無い。
しかし、胴体付きに進化すると、手足が使える反面、スピードという利点が無くなってしまううえに、動きが鈍臭くなる。
加えて、まさか他のゆっくりが襲ってくるとは思わないだろうから、隙だらけになる。
ちなみに、フランが捕食種の中でも最強なのは、「狂気」が最大の理由として考えられている。
体格や筋力が同じでも、イカれた人間と普通の人間が喧嘩をすれば、なかなか普通の人間は勝てないのと同じ理屈だ。
養殖場のゆっくり達には、複数のゆっくりがれみりゃに体当たりして容易に転ばせたうえ、踏み潰すという映像を見せた。
映像の中では、れみりゃを殺したゆっくり達が、「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!」とれみりゃを食べていた。
他にも、
『ゆっくりの巣は、木の根元や洞窟にあるぞ!』
『草や石が固まっているところが怪しいぞ!』
といった、野生のゆっくりの巣の探し方も教えた。
とにかく、こうした身勝手な行動こそが「ゆっくりできること」だと徹底的に教え込んだ。
まあ、こういうことが本来の「ゆっくりできること」なのかもしれない。野生のゆっくりは、厳しい自然環境の中で随分妥協しているけれど。
月日が経つにつれ、次第に養殖場のゆっくりの数は増えていった。
どんなに「すっきりー!」をしても。餌はすぐに降ってくるし、いつでも栄養素が溶け込んだ水を飲めたので、
ゆっくり達は思う存分子作りが出来たのである。
最初は恥ずかしがっていたゆっくり達も、養殖場の中にプライバシーなんぞ無いことを理解すると、
どこでも、子供の前でも、平気で「すっきりー!」するようになっていった。
村では、作物の収穫やゆっくり対策がほぼ終わっていた。
我々が行ったのは、強化ガラスとの交換に始まり、建物の補修、河童の少女と協力して開発したゆっくり撃退装置の設置などの各種ゆっくり対策グッズの設置だ。
ゆっくりの群れの方でも、ほとんどの家庭で餌の貯蔵が終わっていた。後は、本格的に冬が始まったら巣を塞ぐことぐらいだ。
さて、後はこいつらを放すだけか。
俺は、養殖場内のゆっくり達を睡眠ガスで眠らせると、
外に運び出した。
「よいしょっ!・・・と。結構いますね。どれぐらい増やしたんですか?」
「大体600匹ぐらいだな。まだ実験だし、そんなもんさ。けど、もうちょっと増えたらやばかったな。500匹ぐらいを想定してたから、
これ以上増えると、養殖場が維持できなくなっちまう。そうなると、俺達の仕事に『養殖ゆっくりの間引き』なんていう面倒くさい仕事が出来ちまう。」
「じゃあ、よかったすね。」
職員達はコンテナに詰められた養殖ゆっくり達を外に運び出すと、養殖場の撤去作業も開始した。
とても「ゆっくりした」ゆっくり達が一斉に開放された・・・
群れから少し外れた場所で、一匹のゆっくりれいむが移動していた。
もうすぐ巣穴を塞ぐのだ。来年まで外に出ることは出来ない。
だから、冬篭りの前までに少しでも外の様子を見ておきたかった。
そんな時、れいむは一匹のまりさから声をかけられた。
「ゆっ!れいむ!ゆっくりしていってね!」
「ゆっ!まりさ!ゆっくりしていってね!」
養殖場でゆっくり育てられた養殖ゆっくりは、野生ゆっくりから見て美人に見えるらしい。
すっかり気をよくしたれいむをよそに、まりさの後ろからぞろぞろと養殖ゆっくりが現れる。
「ゆぅ、なんだかさむいよ。はやくゆっくりできるところをさがそうね」
「ぽんぽんさんがすいてきたのぜ。むーしゃむーしゃしたいのぜ。」
・
・
・
れいむの表情は凍りついていた。
こうして養殖ゆっくり達は次々に野生のゆっくりの群れの中心に入り込んでいった。
群れに住む野生のゆっくりたちは何事かと巣から飛び出した。
この時期に大量のゆっくりがやってくるということは、どう考えても食料や住処の略奪としか考えられなかったからだ。
だが、略奪目的にしては、やってきたゆっくりたちの顔色や肌ツヤは非常に良かった。
また、随分友好的でゆっくりとしたな態度をとっていた。
群れのゆっくりたちは次第に、
「これはもしかしたら、別の目的で群れにやってきたのかも」
とか、
「きっと冬篭り前の挨拶に来たのではないか」
と噂を始めた。ドスの元にも報告が行っていた。
そして、徐々に歓迎ムードになっていた。
だが、それから数分後、ある養殖ゆっくりの一言で状況は一変した。
「ゆっ。れいむおなかすいたよ。たべものちょうだいね。」
それを皮切りに、他のゆっくりからも食料を求める声が徐々に上がり始めた。
群れのゆっくり達は驚いた。そして、
「自分達には、あなたがたに分け与えられるような余分な食料はないこと」
と伝えたり、
「そんなに血色が良いのに、あなたたちはどうしてたべものをもっていないのか」
と質問をした。
だが、養殖ゆっくり達には、野生ゆっくりの言うことが理解できなかった。
「食べ物をくれるのはあたりまえ」「季節なんて存在しない」という環境の中で育てられた為、
「どうして食べ物をくれないのか?」「冬篭り?何それ?美味しいの?」という有様だった。
10分も経つと、群れで大騒ぎになっていた。
群れの規模は100匹前後。
しかし、やってきた養殖ゆっくりの数は100匹を優に超えていた。
群れのゆっくりは必死で養殖ゆっくりを押しとどめようとした。
ある養殖れいむが言う。
「おなかがすいたよ。たべものをゆっくりちょうだいね」
さらに養殖まりさが言う。
「たべものをださないなんてゆっくりできないね。」
「かってにもらっていくよ。」
「どいてね!はいれないよ!」
番の野生まりさと野生ありすは家の前で必死に応戦する。
「ゆ~~~!やめてね。勝手にまりさのおうちに入らないでね!でていいってね!」
「それは冬を越すのに必要な食料よ!いまたべるなんてとかいはじゃないわ!このいなかもの」
いくら押しとどめようとしたり、突き飛ばしても、次々と巣に近づく養殖ゆっくりの数にはかなわなかった。
勝手に貯蔵庫の食料に手を付ける養殖ゆっくり達。
「むーしゃむーしゃ・・・う”っべべぇ”ぇ”ぇ”ぇ”! まずっ!げろまずっ!ぺっ!ぺっ!!」
生まれて初めて甘味料のない食料を口にした野生ゆっくり達は吐き出した。
「こんなのたべものじゃないよ!あまあまじゃないよ!ほんとのたべものをかくさないでさっさとだしてね!」
甘い食料など持っていないし食べたことのない野生ゆっくり達は、自慢の保存食料をゴミのように扱われ、ショックを受けた。
「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお?」
群れで一番頭のいいパチュリー種の住む巣にも養殖ゆっくり達は押し寄せた。
「ゆっ!パチュリーがいるよ!ゆっくりしんでいってね!!」「ゆっくりできないゆっくりはしんでね!」
「むぎゅう”う”!わたしがなにをしたっていうのよおあああ!」
こうして、ゆっくりが自然界で生き抜く方法を知っている重要なぱちゅりー種は息絶えた。
ドスのいる洞穴にも養殖ゆっくりが入り込んだ。
養殖ゆっくりたちは、笑顔で挨拶する。
「ドスがいるよ!ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」
ドスは最初は驚くが、笑顔で挨拶を返した。
「みんな、ゆっくりしていってね!!!」
外で起きていることはまだ報告が入っていないらしい。
ぞろぞろとやってくる養殖ゆっくり達の中のある一匹が突然どすに食らいついた。
がぶ・・・
「むーしゃむーしゃ それなりーー!」
分厚い小麦粉皮を喰いちぎって頬張る養殖ゆっくり。
一瞬何が起こったのか分からないどすの代わりに、どすの付き人をしている野生ゆっくりが叫んだ。
「どぼぢでどすのおがおだべるのおおおおお!!!どずはゆっっぐりしてるんだよおおお?ばがなの?じぬの??」
その言葉で我に返ったドスは体を壁にぶつけてそいつを潰し殺した。
「馬鹿なゆっくりはさっさと死んでいってね!」
「どぼぢでよろごんでぐれないのおおおお?ダイエッドにきょーりょくしてるでしょおお!」
理不尽な攻撃を受けていると感じた養殖ゆっくり達は、怒りに燃えてドスに攻撃した。
どすは洞窟の中で暴れようとしたが、広さも高さも足りず、ただただ噛み付き攻撃や這いずり攻撃を繰り返した。
しかし、真正面からドスの口に飛び込むものはおらず、養殖ゆっくり達は全方位から喰らいついた。
ドスは徐々にスタミナを消耗し、まるで蟻に集られる饅頭のように体の体積を減らしていった。
「もっどゆっぐりしたかったよ・・・」
こうして、群一つを潰した養殖ゆっくりによる傍若無人な振る舞いと理不尽な暴力は森の各地に住む野生ゆっくり達に広がっていった。
例えば、とある群れに属さないゆっくり一家は、苛烈な尋問の果てに皆殺しにされた。
養殖ゆっくりの集団が、けっかいで偽装された巣を見つけ、中にいた一家を強引に外に叩きだしたのである。
一家があまあまな食べ物を隠し持っているに違いないと疑ったそのグループは、執拗に尋問を行い始めた。
「あまあまさんなんてしらないよ。ゆっくりかえっていってね!」
「うそをつくななのぜ!すのなかにかくしてるのはわかってるのぜ!!!」
集団は「こーでぃねいと」された巣の中を荒らし回った。
教育であまあまの存在を信じこまされていた養殖ゆっくりの集団は、貯蔵庫の食料を掻き出し、枯葉のカーペットをひっくり返し、一夏の「おもいでのしな」をバラ撒きながら「あまあま」を探し続けた。
しかし、いくら探せどそんなものはない。
最終的に痺れを切らした集団は、一家を踏みつけ突き飛ばし餡庫のシミに変えた。
また、ある子なしの番は強引に集団でスッキリーをさせられ、茎だらけになって永遠にゆっくりした。
勿論、巣の中を滅茶苦茶に荒らされるおまけつきで。
こうして野生のゆっくり達が餡庫に変えられていくなか、空腹に耐え切れず潰れた野生ゆっくりの餡庫を貪るものも出始めた。
「うっめ!めっちゃうっめ!」
極度の空腹に襲われていた養殖ゆっくり達は、同族の餡庫を貪ることにも抵抗を示さなくなっていた。
「野生のゆっくり達は、餡庫ではないあまあまを体の中に隠し持っていた」と強引に思い込み、「共喰いをしている訳ではない」と自分達を納得させたのである。
甘い食料に舌が慣れきった養殖ゆっくりは、日が経つに連れて各地の巣を血眼になって探し続けた。
執念深く巣を見つけては、中にいた種族を問わずゆっくりを引きずり出し尋問し、巣を荒らして餡庫を貪った。
とはいえ、野生ゆっくりの数が減るに連れて徐々に巣の発見率も下がり、最後の手段である同族の餡庫すら手に入りにくくなっていった。
すると、捕食種も襲撃の対象になりはじめ、洞窟に巣を作っていたれみりゃの一家も巣も襲撃を受けた。
「おぜうさまにゆっくりたべられていくんだど~♪」
養殖ゆっくり達に無防備に近づいて手を伸ばそうとしたれみりゃは、後ろから脚にタックルを喰らい、転倒した。
「おお、おそいおそい」
「おお、よわいよわい」
集団で飛び乗り喰いちぎり貪っていく。
「うっめ!めっちゃうっめ!」
「ざぐや”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!」
「ま”んま”ま”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”」
れみりゃの子供たちも母親と同じ運命を辿った。
その後、養殖ゆっくりによる巣の襲撃は続いたが、滅多に巣を見つけられなくなった。
巣を襲撃できない養殖ゆっくり達も次第に個体数を減らしていった。
養殖ゆっくり同士で共喰いを始めるものも現れた。
すっきりーをして子供を持ったものもいたが、動きが鈍くなるため共食の対象にされた。
対象にされなくとも、これから冬を迎える季節で育てられる可能性は不可能だろう。
それに間違った知識を教えこまれているため、子供への教育もできないので子孫を残せない。
1代限りの存在を許された養殖ゆっくり達は、共食と餓死を繰り返し、
雪が積もり始める頃には姿を消したのだった。
冬も終わり春がやってきた。
月日が経ってもゆっくりによる被害は報告されず、ゆ害は皆無になっていた。
この試み因る効果は数年続くことも分かり、安い初期投資で高い効果が得られることから他の地域でも導入されることになった。
こうして、毎年冬が近づくと野生のゆっくりと養殖のゆっくりによる殺し合いが森の各地で行われることになったのである。
-完-
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かれこれ何年ぶりの投稿でしょうか。
何年か前に途中まで書いた作品を、今日終わりまで書き足して投稿しました。
witten by 御湯栗
過去の作品
http://www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4035.html#id_dd2fb33a
最終更新:2012年09月24日 22:37