ゆっくりいじめ系384 永夜緩居[ゴミクズ]_1


「い゛ぎいいいいいい!ゆ゛っぐりでぎだいいいいいいいいい!!!」
一匹のゆっくりまりさが縄で縛られて木の枝につるされていた。
「はっはっは、人の畑荒らしやがってこのゴミクズが
ざまぁねぇなおいさっきまで『まりさはつよいんだよ!』とか言ってたじゃねーか
あの威勢はどうした?あぁん?おら、命乞いしろや!」
里の男がサンドバックのようにべしべしとまりさを殴りつけていた。
「ゆ゛ぉ゛っゆげっ゛ゆ゛ぅっ」
「ったく、おめぇが突っかかってくるからもう一匹のゴミクズ逃しちまったぜ
その分楽しませろや!」
そう言って男はさらにまりさを殴りつける。
「ゆ゛っげ!?れ、れいむは…」
「ああん?」
「れいむはゴミクズなんかじゃないよ!」
そう言うや否や、殴られた反動とまりさは体を揺らした勢いで男に体当たりをした。
「…てめぇはたっぷりと苦しませてから全殺す」
頬にゆっくりのやわらかい体をぶつけられた男は背筋まで凍るような冷笑を浮かべた。


「まりさ…ごめんね…!ごめんね…!」
林の中を駆けるゆっくりれいむが一匹。
このゆっくりれいむはゆっくりまりさのつがいのゆっくりであった。
里の畑で食料を集めている際に運悪く人間に捕まりそうになった。
本来は里の食料には危険なので手を出さない程度の知恵はあるゆっくりなのだが
冬越えを前に食料が不足してつい里の食料に手を出してしまった。
子どもがたくさん産まれて、手狭になった家を捨てて新しいお家に引っ越したのも痛かった。
場所が変わり、新しい狩場を探すところからはじめなくてはならなかったのだから。
結局食料難で里の畑に手を出してその末に捕まって二匹とも殺されそうになったのだ。
しかしまりさが自らを囮にしてなんとかれいむが逃げる隙を作ってくれた。
そのおかげで今、こうして必死に森の方へと逃げているのだった。
「ぜったいに…むかえにいくからね…!」
もうまりさが助からないことはれいむにもわかっていた。
せめて亡骸だけでもゆっくりさせてあげたかった。
「ごめんね…ごめんね…ごめんね…!」
れいむは後ろを振り向かずにひたすらに走った。
れいむの耳には聞こえないはずのまりさの悲鳴が何故かよく聞こえた。




「まりさ…どこ、まりさ…!」
あれから一週間、れいむは子ども達に留守番をさせてまりさが連れ去られた所を探していた。
人間が居た場所を探すのは危ないのだが、ここはあの男がまりさをいじめるために人目を憚ってわざわざ移動した場所である。
それほど危険は無いはずだった。

「まりさ…まりさ…まり…まりさああああああああああああ!!!!」
まりさはあれからずっと木の上に吊るされていた。
綺麗だった金髪は引き千切られ、髪の着いたまま千切れた皮がぶら下がってその中から餡子が覗いていた。
顔には筆でなんて書いてあるのかはわからないが恐らく屈辱的であろう文字が書いてあった。
元気に飛び跳ねているところをよく見せてくれた足には何十本も先を尖らせた枝が突き刺さっている。
周りには蝿や蛾が集り中身を少しずつ咀嚼している。
その死に顔は苦痛だけに満ち溢れていた。
「ゆうううううう…!ゆううううううううううう…!!」
れいむはその場で泣き崩れた。
自分を逃がすためにまりさはこんなに辛い目にあったのだ。
あの時自分が人間に見つからなければこんなことにはならなかっただろう。
「…まりさを…おろしてあげなきゃ…
このままじゃゆっくりできないよね…」
そう言ってれいむはまりさを縄から降ろすためにまりさを吊っている木に登ろうとした。


「ゆうううううううう!?のぼれない!!!のぼれないよおおおおおおおおおおおお!!!」
どだい手も足も無いゆっくりが地面に対してまっすぐ立つ木に登れるはずもなかった。
「あああああ!まりさがゆっくりできない!まりさがゆっくりできないよおおおおおおおお!!!」
せめて亡骸だけはゆっくりさせてあげたいというれいむの願いは粉々に砕かれた。
れいむは絶望しがっくりと項垂れた。

「そ、そうだまりさの帽子
まりさの帽子はどこ!?」
吊るされているまりさには命より大事な帽子がなかった。
ひょっとしたらどこかに落ちているかもしれないと思いれいむは辺りを見回した。
「あ…あれ!」
よく見回すとすぐ近くに黒くて素敵なまりさの大事な帽子が落ちていた。
少し汚れていたが家に持って帰って綺麗に洗ってあげよう。
そして形見として大事に持つのだ。
あの帽子さえあれば子ども達をまりさが見守ってくれているような気持ちになれる。
帽子にはまりさの残り香がある、それをかげばきっとまりさといっしょに居るような気持ちになれる。
そう思い、れいむは帽子を拾うために口にくわえようとして立ち止まった。
「あ…あ…ああ…」

刺激臭がれいむの鼻を劈く。


まりさの命よりも大事な帽子は中にたっぷりと人の糞が詰っていた。
周りには大量の蝿が集っている。
小便もたっぷりとかけてあるのだろう。
ところどころ白いリボンが黄色く変色していた。
きっと生きている間こうやって目の前で命よりも大事な帽子を汚され続けたのだ。
それはきっとどんなことよりも苦痛だっただろう。

まりさの残り香などしようはずもなかった。
「ゆ゛あああああわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
ま゛り゛ざあああああああ!!!ゆ゛ぎゃあああああああああああ!ゆ゛ぎゃあああああああああ!!!!」




ある時から、ゆっくりの間でこんな噂が広まった。
『魔法の森の奥深くに
 おいしい花が美しく咲き乱れ
 太陽は燦燦と降り注ぎ
 小川はその光を照り返してやさしくせせらぐ
 緑に溢れ夜もやさしい空気が安らかな眠りに誘う
 そこには争う者はおらず誰であろうともゆっくりできる
 そんなゆっくりプレイスがあるという
 その場所の名は
 何度夜が来てもずっとゆっくりしていられる
 という意味を込めて
 永夜緩居(えいやゆるい)
 と呼ばれていた』

この物語は永夜緩居を目指したゆっくり達の物語である。


永夜緩居 第二話[ゴミクズ]


「ゆっくりー♪」
「ゆっくりー♪」
能天気に外で遊ぶ子れいむ達と違ってれいむの表情は暗い。
冬越えの食料が一向に集まらないのだ。
もとよりただでさえ食料が不足していたのだがまりさが居なくなって食料集めはさらに困難になった。
もっとも手っ取り早く食料を集めるのなら人間の里に採りに行くのが一番早い。
しかしれいむにもう人間の里へ行く勇気は無かった。
何か違う方法を考えなくてはならない。
れいむは頭が痛くて仕方なかった。



「ゆー、れいむは永夜緩居ってほんとうだと思う?」
「ゆ?永夜緩居?」
それは食料集めの途中で若いまりさとれいむのゆっくり夫婦とであった時のことだった。

「そこはね、ごはんもたくさんあってとってもゆっくりできるゆっくりプレイスなんだって」
「そこにさえ行けばゆっくりしほうだいだぜ!」
ゆっくり夫婦は期待に満ち溢れた目で言った。
「ゆー、そんなの嘘八百だよ
ごはんを集めるにはまじめにがんばるしかないよ」
れいむにはそんな話はとても信じられなかった。
若者は何故こうも夢物語に食いついてしまうのだろうかとれいむは疑問に思った。
「でも言ってきて様子を見てきたゆっくりを知ってる奴の話もまりさはたくさん聞いたんだぜ!
きっとみんなそこでゆっくりしてるんだぜ!探さない奴は馬鹿だぜ!
まりさもえーやゆるいに行ったら思い切りゆっくりしてれいむをすっきりさせまくるんだぜ!
ま、まりさはいまここでまりさのえくせれんとなまむまむでれいむをすっきりさせてあげてもいいんだぜ」
若いまりさが熱っぽい視線を送りながら若いれいむに圧し掛かる。
「ゆっ、やめてよまりさ!はずかしいよ!」
そう言って二人で絡み合いを始める若いゆっくり夫婦
「ゆぅーん…」
れいむは眉根を寄せて嫌な顔をした。
れいむはどうもこの若いまりさは軽薄な感じがして好きになれなかった。
しかし実際に行ってきたゆっくりが居るという話は気になる。
少し調べてみようかとれいむは思った。


話を色々聞いてみると確かに魔法の森の奥に素晴らしいゆっくりプレイスを見つけたというゆっくりの話を聞いたゆっくりの話をいくつか聞けた。
証言の内容や行ってきた場所もほぼ一致する。
もしかしたら本当に永夜緩居はあるのかもしれない。
「ゆっゆっゆー♪」
「ゆっゆーん♪」
れいむは子ども達を見た。
恐らくこのまま食料を集めてもれいむにはかなりたくさんの子どもが居る。
きっとこのまま冬を迎えれば何匹か『間引く』ことになるだろう。
出来ればそれは避けたかった。
「……この子達はまりさの形見だもんね…まりさのぶんもゆっくりさせてあげなくちゃ」
れいむは永夜緩居を目指すことを決心したのだった。


「あっゆっこー♪あっゆっこー♪」
「れいっむはーゆっくりー♪」
「ゆっくりー♪だいっすきー♪」
「ゆっくりいっこっおー♪」
子ども達は気楽に歌を歌いながらゆっくりと歩いていた。
こうやってゆっくり進んでいられるのもれいむが吟味に吟味を重ねて
補給ゆっくりポイントが多く荒れの少ないコースを選んだからだ。
れいむ一人か、子どもがもう少し育っていれば多少険しい道でも近道を行きたいが
子ども達はまだまだ幼いのだから仕方ない。
れいむとしてもここは我慢のしどころである。

予定道理池の近くのゆっくりポイントに到着したれいむはすぐに寝床を用意すると明日も早いのですぐに寝るように言った。
子ども達はすぐに寝ようとし、そして叫び声があがった。
「そこはれいむたちのおうちだよ!おねえさんはゆっくりちてなんででていってね!」

見知らぬゆっくりが予定していた寝床を先に一つ占拠してしまっていたようだ。
そこを占領されては子ども達が全員安全に眠れない。
すぐに立ち退かせてやろうとれいむは意気込んで木の洞へと向かった。


「ゆ!ごめんね、まりさはすぐにでていくから怒らないでね
でもこのぱちゅりーだけはゆっくりさせてあげて!とっても疲れてるの、お願いだからゆっくりさせてあげてね!」
そこではまりさが必死にれいむ達を相手に仲間のぱちゅりーを助けるための交渉を繰り広げていた。
ただし自分はなんとかする対象に入っていないようであった。
ただただぱちゅりーを休ませて欲しい、それさえ認めてもらえれば自分はゆっくりできなくても構わないと言う。
れいむはその姿をみてまりさ種には珍しい男気のあるゆっくりだと思った。
れいむの愛したまりさも人のために自分を犠牲に出来るそんなゆっくりまりさだった。
「ゆ、別に一匹だけならいいよ
それなられいむの子どももねむれるから」
「ゆ!?ほんと!ありがとうね!ありがとうね!」
そのまりさは目をキラキラさせて本当に喜んでいた。
全く、自分のゆっくりは全然確保できて無いのにこんなに喜ぶなんて呆れてしまうとれいむは思った。
「あっちにくぼみがあるからそこで草でもかぶって寝ててね
すこし危ないけどそれなりにゆっくりできるでしょ」
「ゆ!いたれりつくせりだよ!ありがとうれいむ!」
本当に人のいいゆっくりだ。
でも嫌いじゃないとれいむは思った。

まりさはすぐに明日の出発するための準備を済ますと寝床を貸してくれた御礼に自分たちの準備も手伝ってくれるといった。
ここまで来ると呆れざるを得ないがありがたいことには違いないので喜んで申し出を受けた。

次の日、子ども達をまりさに任せて今後の計画を練っているとぱちゅりーが目を覚ましたので
全員で集まって食事を採った。


「むきゅ、つまり昨日からここで偶然れいむ達の家族と会ってそれでいっしょにおやすみしてたんだけど
ぱちゅりーはねてたから気づかなかったってこと?」
「そうだよ!いっしょにゆっくりしてたよ!」
まりさが元気に答えた。
つまりはそういうことらしい。
二匹は若いだけあって中々険しいコースを進んできたようだった。
無謀擦れ擦れの勇気だとれいむは思った。
今の自分には子ども達が居なくてもそんなコースは行かなかっただろうと思う。
「むきゅ、そんなにいっぱい子どもがいるのにここまでこれるなんて…」
ぱちゅりーがこちらを見て溜息をついた。
確かに我ながらこの面子でよくここまで頑張っていると思う。


「れいむのおかあしゃんすごいでしょ!」
「すごいでちょ!」
子ども達は誇らしげに胸を張った。
「むきゅ~、ほんとにすごいよ
どうやって来たのかぱちゅりーにも教えて欲しいよ」
「ゆ、れいむはお母さんだからね
子ども達のためにすごいがんばったんだよ」
「おかあしゃんがんばったよ!」
「がんばっちゃょ!」
「ゆゆ、何があってもれいむの赤ちゃんはれいむがまもってあげるからね」
そうだ、この子達はまりさの唯一の形見、まりさがあの人間を相手に戦ってこの世に残せたただ一つのものなのだ。
この子達の命、必ず次代へとつないでいかなければならない。
れいむの視線には愛情だけではないまりさへの悔いや人間への憎しみ、様々な想いが複雑に絡まったものだった。



「まりしゃおねーしゃんばいばい!またいっしょにゆっくりしようね!」
「ゆっくりちようね!」
「ちようね!」
「ゆ~!」
「うん!きっとみんなとゆるいで一緒にゆっくりするよ!」
子ども達は無邪気にまりさ達に別れを告げているが本当にきついのはここから先なのだ。
れいむは気を引き締めた。

子ども達の体力に気を使いながらゆっくりとれいむ達は進んだ。
ここまで来ると子どもでも簡単に越えられるコースは殆どなく
必然的に少しでも早く終わらせるために多少険しくてもショートカットコースを進むこととなった。
子ども達には辛い道中となったが、その甲斐もあってれいむ達はついに永夜緩居へと辿り着いたのだ。

そこは噂にたがわぬおいしそうな花が美しく咲き乱れ
お日様は燦燦と降り注ぎ小川はその光を照り返してやさしくせせらぐ
素晴らしくゆっくりして美しい場所だった。

「ゆっくりー♪」
「わー、まるでてんごくみたいー♪」
「まったく、えんぎでもないよ」
れいむは物騒なことを言う子どもを嗜めた。
しかし確かに天国と間違えてしまいそうなほど美しい景色だった。
「あ、ちょちょさんだー!がおー!たべちゃうぞー♪」
「たべちゃうじょー♪」
「れみりゃのまねなんてしちゃだめだよ!!」
流石にこれにはれいむも怒る。
あんな恐ろしい生き物の真似などされたらたまったものじゃない。
そんなれいむの注意を気にも留めずにおなかを空かした子ども達はちょうちょを食べに走っていった。
「ほんと…こまったもんだよ」
れいむはやれやれと思うと同時に肩の荷が下りたのを感じてつい顔が綻んだ。
これだけ食べ物の豊富なところなら住処さえ見つければ冬越えも苦労しないだろう。
「ゆー♪ぱくっ…ゆ、ぅげぇぇえええ!?」
飛んでいたちょうちょを一番乗りでかみついた子どもが突如ちょうちょと餡子を吐き出してもがき苦しみだした。
「お、おねえちゃん?」
「どうしたの!?おなかいたいの?!」
周りのほかの子ども達がその子どもの周りに集まった。
「…!?ど、どいてね!」
れいむも慌てて子どもの傍に駆け寄る。
「ペロ…これは、なんだかよくわからないけどゆっくりできなくなる毒!」
なんということだ、ここのちょうちょは毒をもっているというのか。
他にも毒を持ったものが居るかもしれない。
ここでの餌探しは慎重に行わなければと心に刻みこむれいむだった。
「食べたものぜんぶ吐いてね!!!」
「うげっ!おげえええええ!おがあざんゆっぐりざぜうごぁ!」
とりあえず毒もろとも腹の中の内容物を吐き出させるれいむであった。
凄惨な光景に子ども達は目を背けた。
背けているとなんで背けていたのかも忘れて他のことに気をとられるのがゆっくりブレインである。
「ゆ、あのきはおいしいきのみがなるきだよ!」
「ゆゆ!みんなたいあたりしてきのみおとすよ!!」
「えいえいゆー!」
すぐさま木の周りに子ども達は集まった。
「ゆ?危ないかもしれないからちょっとゆっくりしてね!」
慌ててれいむは静止したが子ども達は意に介さずに体当たりを敢行した。
ボトっ、ブゥゥゥン。
凶悪な羽音と共にそれは舞い降りた。

「はちだぁああああああああああ!!!!」
「だずげでええええええええええ!!!!!」
「おがあざあああああああああああん!!!」

「お母さんについて早く逃げてねええええええええええ!!!!」
ここではゆっくりできないとれいむは確信した。


なんとか逃げ回って蜂をまいたれいむ達は大分歩き回ったので位置がつかめず
周りを確認するために小さな丘を見つけてそこに登った。
そこでれいむはみょんな物を見つけてしまう。

「まりさは!ぱちゅりーのことが!だいだいだいすきだよ!
どんなお顔になっても!どんな時でも!ずーっとずーっと一緒にゆっくりしていたいの!
だから、だからああああああ!!!」
「む、むきゅううううううううん!!」

全く、あの二匹は子どもの癖に何をやっているのか。
真昼間からあんな開けた場所で行為に及ぶとは若いゆっくりは羞恥心が足りない。
ここはいつからゆっくりハッテン場になったのか。
「そこまでよ!」
『ゆきゅう!?』
ぱちゅりー種の十八番のセリフを奪ってやったらひとまず溜飲が下がった。


「まだ大人じゃないのにスッキリしたらゆっくりできなくなるんだからね!
じちょうしてね!!!」
『ゆ、ゆゆゆゆゆ~~』
若い二匹の交尾に対してぷんすかとれいむであった。
行為を目撃されて流石に恥たのか二匹は顔を真っ赤にして俯いて唸っていた。


「おかあさん、まりさおねえちゃんたちなにちてたのー」
「子どもはまだ知らなくていいよ!!
まったく、わかものの性の乱れにはゆっくり呆れるよ!」
この前の軽薄なまりさとこの子達は違うと思ったのだが買いかぶりだっただろうかとれいむは溜息をついた。
「ゆゅ!?まりさ!そっちのきもちわるいのなに!?」
「ゆ!?」
ぱちゅりーの顔を見た子れいむが悲鳴をあげた。
「おかあさん!きもちわるいのがいるよ!」
「あんなのといっしょじゃゆっくりできないよ!」
「…ゅっ、むっ…ゅぅ…」
「ぱ、ぱちゅりー…!」

れいむは耳を疑った。
何故そんな酷いことをこの子達は口走っているのだろうか。
この子達はれいむの愛したあの優しくて仲間思いで責任感のあるまりさとれいむの間に生まれた子ども達のはずだ。
れいむのまりさが遺した大事な子ども達がこんな酷いこと言うはずが無い。
こんなことは、何かの間違いなのだ。
認めるわけには行かない、間違いは正さなくてはいけない。

「おかあさん!はやくあいつをやっつけ…ゆ゛ぅ!?!」
ゆっくり道にもとる発言をする子どもを体当たりで黙らせる。
「ゆぅ…?お、おかあさんがぶったぁあああああああああ!!!!!」
「お、おかあしゃんどうちてこんなことするのおおおおおおおお!!?」
「ぼーりょくてきなおかあさんとはゆっくりできないよ!!!!」
子ども達はれいむに次々と罵声を浴びせ恥の上塗りをした。

「お だ ま り !!!!!!」

子ども達の罵声がさっ、と止んだ。
「ぱちゅりーはれいむ達のおともだちだよ!
そのぱちゅりーをきもちわるい、やっつけようなんていうゆっくりはおかあさんの子どもじゃないよ!!」
ピシャリと子ども達を叱りつける。
子ども達はしゅんとなって俯いて反省したようだ。

酷いことを言ってしまったぱちゅりーに対しては謝罪をしなくてはなるまいとれいむは思った。
「ごめんねぱちゅりー、子ども達がこわがるからお顔にこれをつけてね」
そう言って口の中から雨避けに使う大きめの葉っぱを出して舌に三つ穴を開けるとぱちゅりーの顔に貼り付けて傷が見えないように貼り付けた。
「むっきゅう…ぁ、ありがどう…ありがどぉおおお…!!!」
ぱちゅりーは葉っぱの下でわんわんと泣いた。
れいむはここを出たらぱちゅりーに怪我に良く効く葉っぱをプレゼントしようと思った。


それから事情を説明しあっている内にれいむ達はイナゴの大群に襲われた。

「いだいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
「がじらないでええええ!!!れいむはおいしくないよおおおおおおおおおお!!!!」
「おかあさんたすけてええええええええええええ!!!!」
「はやく走って!小さい子はお母さんのお口の中に入ってね!」
大きな子どもはそのまま走らせ、走るスピードの遅い小さな子どもは咄嗟に自分の口の中へと避難させる。
幼い頃、こうやって母に助けてもらったことがあったのを覚えていて助かった。
しかしれいむは子どもを作りすぎた。
小さなこどもだけでもかなりの数が居る。
一匹だけ口の中からあぶれてしまった。

「お、おかあさん!はやくなかにいれてね!ゆっくりできぁいよ!!!」

ほんの一瞬子どもと見詰め合う。
そしてれいむたちとこの子ども一匹を命の天秤にかけた。
れいむとこの子ども達の命はれいむの愛したまりさが繋いでくれたものなのだ。
たとえその中の一匹と言えど、まりさの繋いだ命の流れを断たせないためには捨てるしかない。

「…ふがっ、ふがっ!(ゆっくり追ってきてね…!)」
涙は流さない、今はただ走るしかないのだ。

「おかあさん!れいむのいもうとがまだのこってるよ!」
「おねえちゃん!おねえちゃぁぁあああん!!」
「れいむのいもうとがおいつけないよ!おかあさんゆっくりしていってねえええええ!!」
口の中から姉妹を呼ぶ子ども達の声が直接頭に響いた。
だが振り向くわけには行かない。
あの子の命を捨ててまで守ったこの子達の命だけは守らなくてはならない。


「おかあさん!おかあさんおいてかないで!!れいむをおいてかないでええええええええええええ!!!!!!!
もうわがままいわないから!!ぱちゅりーのこともあやまるからあああああああああ!!!」

「ふがっ、ふがぁっ(ごめんね、ごめんねえええええ!!!)」
口から餡子が出るほど思い切り歯噛みしたかった。
しかし中に子どもが居るのだからそんなことは出来ない。

その時、まりさが飛び出してあの子を口に入れたかと思うとすぐにこちらに追いついて、そのまま再び先頭グループまで追いついた。
子どもの命が助かって嬉しいと同時にそれ以上に無謀擦れ擦れの勇気だとれいむには感じられた。


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最終更新:2008年09月14日 06:25
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