──さて、あなたが見下ろす箱庭の中には、一組のゆっくりれいむの家族がいます。
大きなお母さんゆっくりが一匹に、成体のお姉さんゆっくりが三匹、赤ちゃんゆっくりが五匹。
箱庭の中には今はなーんにもありません。平坦な草っぱらに、辛うじて雨宿りができそうな木が一本。お母さんゆっくりよりずっと大きい岩が一つ。
ご飯になりそうなお花も虫も果物もありません。このままではれいむの家族は飢え死にしてしまいますね?
あなたの役目は、このゆっくり達が全滅しないように、限られた資金でお世話してあげることです。
ゆっくり達は、あなたが見ていることを知りません。あなたも、ゆっくり達を見ていることを知られてはいけません。
あなたが箱庭に、ご飯を置いたり、木を植えたりしてあげられるのは、ゆっくり達が寝ている夜だけです。
日が昇っている間、あなたはゆっくり達を見守ることしかできません。そういうルールです。
ゆっくり達ができるだけ長くゆっくりできるよう、頑張ってくださいね?
もちろん、ゆっくりをゆっくりさせたくないと言うのなら──それもまたあなたの自由です。
それでは、一日目を始めましょう。
○一日目・朝
「ゆゆ~ぅ……」
まず最初に、お姉さんゆっくりの片方が夢から覚めました。
しばらくぼうっとしていましたが、やがてぱっちりと目を開けると、お決まりのあの言葉で叫びました。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆ、ゆっくりしていってね!」
「しちぇいってね!」
応じるように、お母さんと姉妹達が目を覚まします。
お母さんはまだ眠そうな赤ちゃん達の顔を舐めてあげると、
「今日も一緒にゆっくりしようね!」
と言いました。
しかしその後すぐ、自分達がどこにいるのか気づきました。
お姉さん達もそれに気づいた様子で、慌ててぴょんぴょん飛び跳ねます。
「ゆ! ここれいむたちのおうちじゃないよ!」
「ごはんがないよ! たからものもないよ!」
「どうしよう! おかあさん、どうしよう!?」
こないだ生まれたばかりの赤ちゃん達は、まだよく事態を把握できていないようです。
「ゆゆ……」
お母さんも突然のことに戸惑っていましたが、そこは年の功、すぱっと思考を切り替えて、これからのことを前向きに考えます。
「しかたないから、ここでゆっくりしようね!」
「「ゆっくりしようね!!」」
お姉さんたちは、お母さんの頼もしい様子に安心したようです。
ともあれ九匹のゆっくり家族達は、新しい住処と、ご飯を探しにいくことにしました。
○一日目・昼
でもゆっくり達は、すぐに壁にぶつかってしまいました。
比喩的表現ではなくて、本当に壁にぶつかったのです。
「でられない……」
お母さんが呟きました。
箱庭は、十五メートル四方の空間で、四方は白い壁に囲まれています。
不思議なことに、壁のせいで日陰ができることはありません。まるでお日様の光が壁をすり抜けるように差し込むのです。
……勿論、そんなお日様が本当のお日様であるはずがありません。
箱庭のお日様は、毎日決まった周期で東から西へ流れる、小さな魔法の太陽なのです。
空だって、ただそう見えるだけの偽者に過ぎません。
でも本物の空が青い理由も、本物のお日様が燃え盛る火の玉だということも知らないゆっくりには、どうでもいいことです。
ゆっくりたちにとって重要なのは、自分達がどれだけゆっくりできるか、そのためのご飯と家があるかどうかなのですから。
さてゆっくり達は、二時間くらいずっと壁づたいに歩き続けていました。どこかに出口がないか探していたのです。
しかし出口がないと分かると、ゆっくり達は仕方なく、すごすごと最初いた場所に戻ってきました。
「ゆ?」
そのときです、お姉さんゆっくりの一匹が何かを見つけました。
箱庭の中に一本だけ生えていた木に、りんごがなっているのを見つけたのです。
「ゆゆっ! たべものがあるよ! りんごだよ!」
「ゆっ? 本当だ! りんごだりんごだ!」
ゆっくり達はいっせいに湧き立ちました。だって昨日の夜からもう何も食べていないのです。おなかぺこぺこでした。
早速、お母さんゆっくりが気に体当たりを始めました。ゆっさゆっさと木が揺れるたびに、娘達はおおはしゃぎです。
やがて、りんごが落ちてきました。
りんごは地面に当たって割れてしまいましたが、それでも貴重なごはんです。
おかあさんはもっとりんごを落としてやろうと、木に体当たりを続けました。
……けれど、いくら頑張っても、もうりんごは一つも落ちてきません。
そう、この木には、たった一つのりんごしかなっていなかったのです。
☆CHECK POINT! ------------------------------------------------------------------------------------
箱庭に最初からあるこの木は、一日の朝に一度だけ、果物を実らせます。この木の場合はりんごです。
あなたは資金を消費して、木になるりんごの数を増やすことができます。
ただし、数を増やせば増やしただけ、どんどん資金が必要になります。
適当な数が実るようになったら、箱庭のどこか別の場所に、別の木を植えるのもいいでしょう。
果物の木は数種類あり、初期コストと実を増やすコストがそれぞれ異なります。
また同じ種類の果物がなる木を植えることはできないので、注意してください。
その他、敷地を広く取るかわりに最初からたくさんの実がなったり、二日に一度だけ大きな実がなる木などもあります。
木の種類は多種多様ですが、中にはデメリットが存在するものもあります。
上手く資金繰りをして、ゆっくり達に充分なご飯が行き渡るようにしましょう。
ゆっくり達は、しばらく、一個のりんごを囲んで黙っていました。どう考えても家族全員で食べるには足りない量です。
身体の小さな赤ちゃん達はともかく、お姉さん達だってせめて一日にこの半分、お母さんは丸一個食べなければ、とてもやっていけないでしょう。
それが分かっていましたが、お母さんは言いました。
「お母さんはいいよ! みんなでゆっくりたべてね!」
弾かれたようにお姉さん達も言いました。
「れいむもいらないよ!」
「おなかすいてるけどがまんするよ!」
「赤ちゃんたちでゆっくりわけてね!」
なんと美しい家族愛でしょう。
みんなおなかがすいていないはずがないのに、家族で一番弱い赤ちゃん達に、貴重なりんごを分け与えました。
「ゆゆぅ! おかあさん! おねえちゃん! ありがとう!」
「「「「ゆっくりたべるね!」」」」
五匹の赤ちゃん達は、我先にとりんごにかじりつきました。
その様子を、お姉ちゃん達とお母さんは微笑ましそうに見守っていました。
○一日目・夕
日が沈み、ゆっくりたちもそろそろ寝る時間帯です。
「ゆ~……ゆ~……」
ご飯も食べて、赤ちゃん達はみんなすっかり寝入っています。
木のふもとで赤ちゃん達が寝たあとで、お母さんとお姉ちゃんは岩の裏側に生えていた柔らかい草と苔を少しだけかじりました。
「明日は、ゆっくりできるといいね」
「ゆっくりしたいね」
家族は、皆で身を寄せ合って眠りました。
○一日目・夜
さて。
これからは、箱庭の管理人であるあなたの時間です。
ゆっくり達は寝入っていて、起きる様子もありません。今のうちに作業を済ませてしまいましょう。
あなたの手元には資金が10000あります。単位はとりあえず、円ということにしておきましょう。
これを消費して、あなたはゆっくりの生活環境を整えなくてはなりません。
まずゆっくりに必要なものといえば、家です。
家はグレードが石・木・藁とあり、広さも大・中・小とあります。
石製は頑丈で外敵の襲来にも耐えられますが、もちろんお値段が張ります。中サイズで2000円します。
藁製は最も安価ですが、強い風が吹くと大きく破損してしまう可能性があります。中サイズで500円です。
木の家は耐久性はそこそこですが、中サイズで1000円と、初期の家としては妥当なところです。
次に家のサイズについてお話をしておきましょう。
小サイズの家は、普通のゆっくり三匹分のスペースがあります。中なら六匹分、大なら九匹分です。
そしてお母さんサイズのゆっくりだと、一人で三匹分のスペースを占領してしまいます。
赤ちゃんは三匹で、普通サイズ一匹分といったところです。
今、あなたが飼育しているゆっくりは、お母さん一匹と普通サイズが三匹、赤ちゃんが五匹います。
普通のゆっくり換算で実に八匹分。これは中々に負担です。
家が狭いと、ゆっくり達の体力が落ちたり、酷いときには家族に押しつぶされて死んでしまうこともあります。
余裕のある広い家を買ってあげましょう。
……買う家は決まりまったようですね?
あなたが選んだのは大サイズの木の家。価格は2000円になります。
ちなみに家の値段は、小→中→大と倍々に推移していきます。
また家は、アップグレード、ダウングレードさせることが可能です。
アップグレードすると、差額分の金額が必要になります。中サイズの木の家を石の家にするなら、1000円必要ということです。
ダウングレードの場合は、差額の半分の金額が手元に戻ってきます。
また不必要になったものを売るとき、これは家に限ったことではありませんが、買値の半分の金額が手元に戻ってきます。
さて、あなたは木の家を買いました。それではこれをどこに設置しましょうか。
一番良いのは箱庭の隅っこのほうに建ててあげることです。周囲を茂み(200円)で覆ってやれば、外敵から見つかりにくくなります。
しかし隅っこのほうに建てると、果物の木から遠くなります。初期配置の木や岩は動かせません。
長雨が続いて外に出られないときなど、近くに食料がないとゆっくりが飢えてしまう可能性があります。
ここは岩の陰になるように、家を建ててあげましょう。もっと環境が整ってから、家は移動させれば良いでしょう。
設置したものの移動には100円かかりますが、100円払えばその夜の間はどのオブジェクトも自由に動かすことができます。
家が建ちました。明日ゆっくり達はびっくりすることでしょう。
さて、それでは次は何をしましょうか。残金は8000円です。
……おや、木をアップグレードさせるのですね?
りんごの木のアップグレードには200円かかります。これで翌朝からりんごが二つ実るようになりました。
次のアップグレードには400円、さらにその次には800円と、これも倍々に推移していきます。
あなたは三段階アップグレードし、1400円を使いました。これで翌朝から、四つのりんごがゆっくり達に与えられます。しばらくはこれで大丈夫でしょう。
残金は6600円になりました。さて次はどうしますか?
……お花を植えるのですね? お花は1平方メートルあたり100円です。お花には、時々蝶々が寄ってきます。ゆっくりの大切な栄養源です。
飢えたときには、お花そのものも食料になるので、ゆっくりの非常食にはもってこいです。
ただし強風が吹くと荒れてしまう可能性があります。安物の宿命です。
あなたは箱庭の隅のほうに6平方メートルお花を植え、お花畑を作りました。残金は6000円です。
果物がならない木も植えられます。価格は1本300円で、主に防風林としての役割を果たします。外敵からの隠れ蓑にもなります。
それでは、木が家を隠すように3本、植えましょう。残金が5100円になりました。
余裕があるなら、ところどころに茂みを作ってあげましょう。隠れ場所になります。
あなたは5つの茂みを植えました。残金は4100円。
さてさて、これで箱庭の中はだいぶ整ってきましたが……肝心な何かを忘れていませんか?
そう、水がありません。ゆっくりにも水は必要です。
小さな池から大きな川までありますが、ここは小川を選択しましょう。残金が心もとなくなってきました。
最初の夜を終えたあと、不測の事態に備え、できれば5000円、最低3000円は残しておきたいところです。
というのも、この箱庭にはランダムで色んな出来事が起きるのです。
天候の変化や外敵の襲来もそれに含まれます。中には有料で対処可能なものもあるので、そういうときのために資金が必要なのです。
あなたは1000円で箱庭に小川を引き、ゆっくりが川を渡れるように100円の橋をかけました。
これで今夜は終了です。残金は3000円ぴったり。まぁ、なんとかなるでしょう。
最後に、あなたが作った箱庭の様子を見てみましょう。
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│ 川 │
│ 川 花花 │
│ 川 花花 │
│ 川 茂茂 花花 │ 川の流れ
│ 川 │ │
│ 川 茂 │ │
│ 橋 │ ↓
│ 川 リ │
│ 川 岩岩 │
│ 川 家 │
│ 川 家木 │
│ 川 木木 │
│ 川 │
│ 川 茂 │
│ 川 茂 │
+───────────────+
※「リ」はりんごの木です
だいぶそれっぽくなりました。
それでは、二日目の朝を始めましょう。
○二日目・朝 天候:晴れ 残金:3000円
「ゆっくりしていってね!」
今日も元気な掛け声と共に、ゆっくり家族は目を覚ましました。
「ゆゆっ!?」
最初に気づいたのは一番上のお姉さんれいむでした。
「たべものがあるよ! たくさんあるよ!」
ぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを表現しながら、まどろみの中にある家族達を覚醒させていきます。
目を覚ましたゆっくり達は、りんごが四つもなっていることに気づいて大喜び。
早速お母さんゆっくりがりんごを木から落としました。
「みんなおなか一杯になれるね! ゆっくりたべようね!」
「「「ゆっくりいただきます!」」」
分け前は、お母さんが一つ、お姉ちゃん達が半分ずつ、残りを五匹の赤ちゃんで分けます。
「むーしゃ♪ むーしゃ♪」
「しあわせ~」
「しやわせ~」
喜びを表現するお姉ちゃんの真似をして、赤ちゃん達もキャッキャと騒ぎます。
お腹を満たした家族は、再びこの箱庭の探索に出かけました。
するとどうでしょう、昨日はなかった川や茂みが、いつの間にかできているではありませんか。
そして何よりも目を引いたのが、木に隠されるように建てられた小屋でした。
「ゆ! おうちだ!」
「広いよ! ゆっくりできそうだよ!」
「だれもいないよ!」
お姉ちゃん達が小屋の中を確かめると、今度はお母さんがゆっくり確かめに行きました。
長く生きているだけあって普通のゆっくりより慎重なのでしょう。ゆっくりにゆっくりを重ねた動作です。
お母さんは小屋の中を見回します。ここが人間のおうちだったら大変です。ゆっくり家族はゆっくりできなくなるまでボコボコにされてしまうでしょう。
でも小屋の中には、誰かがいたような気配はありませんでした。小石一つ落ちておらず、まるで新築です。……まぁ実際その通りなんですが。
「ゆーゆー……ゆっ! ここをれいむたちのおうちにしようね!」
「「「ゆっくりしていこうね!!!」」」
お母さんの安全宣言に、家族はみんな喜びました。
小屋の中は九匹で入って、ちょうど良くゆっくりできる広さです。入り口には押して開くドアがあって、出入りもしやすく雨風もしのげます。
「ゆっくり~」
「ゆっきゅりぃ~」
ご飯も食べられてご満悦のゆっくり達は、午前中ずっと『おうち』の中でゆっくりしていました。
○二日目・昼 天候:晴れ 残金:3000円
ゆっくりするのにも飽きてきたので、お昼から家族は探検に出かけました。
昨日は何もない、まったいらな草原だったのに、そこかしこに茂みや川ができていて、子ゆっくり達はとても楽しそうです。
お母さんゆっくりは充分に周囲の安全を確認したあと、茂みから落ちた枝葉を拾い集め、家の周りを囲い始めました。
☆CHECKPOINT! ----
母体サイズのゆっくりは、オブジェクトの一部に対し干渉することが可能です。
今回のように、箱庭のオブジェクトを利用して何かすることがままあります。
オブジェクトには、ゆっくりが動かせるものと、動かせないものが存在します。茂みはそれ自体は動きませんが、枝を採取することができます。
他にも、中ゆっくりと同じサイズ程度の石など、あまり大きくなく地面に埋まっていないものなら動かすことが可能です。
また動かす以外にも、オブジェクトを破壊してしまう場合があります。
例えば、現在川にかけている橋は、細くて母体ゆっくりは渡ることができません。これを無理に渡ろうとすると、橋が壊れてしまう場合があります。
運が悪いとそのまま川に落ちてご臨終、なんてことになりかねません。
特に母体ゆっくりは、子ゆっくりが危機に瀕したとき周りが見えなくなることがあります。そういった事態には充分注意しましょう。
このお母さんゆっくりは、中々営巣能力に優れているようです。
家の屋根以外をすっかり枝で覆ってしまい、木と合わせて容易に中を窺うことはできません。
「もうこれでだいじょうぶだよ! 子どもたちはれいむが守るよ!」
おかあさんゆっくりは自分の仕事ぶりに満足したように息を吐きました。
子供達はお花畑で遊んでいます。お姉さんが赤ちゃんに蝶々の獲り方を教えたりして、微笑ましい光景です。
こうして二日目のお昼も、ゆっくり達はゆっくり過ごすことができました。
○二日目・夕 天候:曇り 残金:3000円
空が曇ってきたので、お母さんゆっくりは子供達を呼び集めて家に入らせました。
過剰な水気はゆっくり達には大敵です。雨に濡れるなんてもっての他なのでした。
お母さんゆっくりは、集めた木の枝で家の入り口を覆い、雨に備えました。
こうしてこの日一日も終わりを告げました。
「明日もゆっくりしようね!」
○二日目・夜 天候:曇り 残金:3000円
さて、あなたの時間です。
ゆっくり達が危惧していたような天気にはなりませんでしたが……おやおや、どうやらランダムイベント発生のようです。
箱庭の様子を見てみましょう。
?───────────────+
│ 川 │
│ 川 花花 │
│ 川 花花 │
│ 川 茂茂 花花 │
│ 川 │
│ 川 茂 │
│ 橋 │
│ 川 リ │
│ 川 岩岩 │
│ 川 家 │
│ 川 家木 │
│ 川 木木 │
│ 川 │
│ 川 茂 │
│ 川 茂 │
+───────────────+
左上に、「?」マークが表示されているのが分かるでしょうか。これは外敵襲来を示すマークです。
ランダムイベント『外敵襲来』が発生すると、夜、箱庭の四隅の天井から凶暴なゆっくりが降りてきます。今夜は左上から来るようですね。
外敵ゆっくりに襲われてしまったら、普通のゆっくりはひとたまりもありません。
あなたは管理者として、それをどうにかしなければならないのです。
……あえて見過ごす、というのもアリと言えばアリですけどね?
さて、外敵襲来が確定した場合、あなたには二回の行動権が与えられます。
通常の夜はオブジェクトの設置や撤去しかできませんが、外敵が襲来する場合は、設置→外敵襲来→設置と、二回に分けて行動することが可能なのです。
というのも、外敵捕獲・撃退のための罠を仕掛けることができるからです。
罠は、使用されるか撤去しない限り、ずっと設置されたままになります。
放置された罠には飼っているゆっくりも引っかかってしまうので、放置しておくわけにはいきません。
なので一度目で罠を仕掛け、二度目で罠を撤去する、というようなことになります。
撤去すれば代金の半分は返ってきますが、無駄な出費が出るのは確かです。できるだけ、効果的に罠をしかけましょう。
それでは、まずはあなたのターンです。
☆YOUR TURN
……とはいえ、お母さんゆっくりが家の出入り口を塞いだお陰で、ゆっくり達の安全は充分確保されています。
今夜は曇りで視界も悪い上、襲撃は一匹だけのようですし、例えゆっくりゃやふゆらんが襲ってきても大丈夫でしょう。
ちなみに獲物が見つけられなかった場合、大抵の外敵ゆっくりは適当な場所で休んでしまいます。
二回目の設置行動で「虫取り網」を買って使用すれば、案外簡単に捕獲することができるので、ゆっくりの住居の防備が充分ならあえて一回目は何もしないのも手です。
とりあえず念のため、川にかかる橋だけ撤去しておきましょう。50円があなたの手元に戻ってきました。
では、ターンを終了します。
☆YUKKURI'S TURN
箱庭左上の天井が開いて、丸っこいものが落ちてきました。
「ゆべし!」
それは地面に当たって悲鳴を上げました。どうやら飛行型ではないようです。
「ゆぅぅぅぅぅ……まりさぁ~……れいむぅ~……ハァッ、ハァッ」
おっと、落下の衝撃にもめげていない様子。どうやら今夜の外敵ゆっくりは、発情期のゆっくりありすのようです。
他のゆっくりを捕食するわけではないので、そういった意味では危険度は低いのですが、何しろ発情期です。
飼っているゆっくりを無計画に妊娠させられては、食糧事情がすぐに大変なことになるのは目に見えています。できるだけ退治するのが好ましいでしょう。
「ハフッ、ハフッ、まりさっ、まりさぁー、ごづくりじまじょぉよぉぉぉおおおぉぉ」
普段『とかいは』を自称するありすも、発情期にはもはやケダモノです。血走った顔は人間の子供なら普通に泣きます。
と、そのありすが何かに気づいたようです。
「ゆっ! れ゛い゛む゛っ!! れいむのにおいだっ!!」
なんということでしょう。川を挟んで十メートルは離れている家の中のれいむ一家の匂いを、このありすはかぎ当てたのです。
「ゆっぐりまっででね! いまがられいむのありずがごづぐりにイグよぉぉっほぉぉぉぉぉ」
ありすは匂いの方向に向かって一直線。
しかし、何か忘れていませんか?
「ゆっ?」
ボチャン!
──そう、ありすが落ちてきた場所と、れいむ一家の住む家の間には、川があります。
飛行型ではないありすが、当然それを越えられるわけはありません。
哀れありすは、どんどん下流へと流されていきます。
「ぶげぇ! だじゅっ、だれがだじゅっ、げべっ、まびばああああばばばばばばばばば!」
助けを呼んでも、こんな時間帯に起きているゆっくりなどいませんから、誰も来ません。
むしろそうして叫んだことにより、口に水が流れ込んで、ありすの死期を早める結果となりました。
「……! ……! ……!」
ありすはとうとう、川に流され、箱庭の外にまで出て行ってしまいました。
☆YOUR TURN
再び、あなたのターンです。二度目のこのターンでは、罠の撤去や、破壊されたオブジェクトの再設置を行うべきでしょう。
と、その前に、あなたは何かを手に入れているようですよ?
「ゆ……ゆっぐ……」
先程川に流されたありすが、今あなたの手元にあります。
川を流されたゆっくりは、無条件に箱庭管理者であるあなたのものとなります。
罠の設置が充分でないときは、あえて外敵ゆっくりを川に落としてしまうのもいいでしょう。
ただし──川に落とされたゆっくりは大きく損傷します。売却しても安く買い叩かれてしまいます。
ゆっくりゃなど、高額な外敵ゆっくりを売却目的で捕獲するときは、多少無理をしてでも無傷で捕らえましょう。
また売らずにストックしたり、箱庭に入れて住まわせることもできます。
今回のような発情ありすは、夜が明けると通常のありすに戻るので、仲間にしてあげるのも良いかもしれません。
ただし長期間・多数のゆっくりをストックしたい場合は、冷蔵庫や冷凍庫といったアイテムが必要になってきます。
まぁ、今はあまり考えなくても良いことでしょう。
とりあえずあなたは、瀕死のありすからカスタードクリームだけを取り出し、売却しました。
カスタードクリームは50円で売れました。先程の橋の売却額と合わせて、ちょうど100円の収入です。
あなたはその100円で再び橋を設置し、箱庭を元通りにしました。
これで、今夜の作業は終わりです。
○三日目・朝 天候:晴れ 残金:3000円
「ゆっくりしていってね!」
さあ、れいむ一家が目覚めました。
昨夜、自分達に危険が迫っていたことなど露知らず、今日もゆっくりする気満々です。
これからこの家族の運命がどうなっていくのか……それはあなたの指先一つ。
ゆっくりさせるのも良し、させないのも良し。理想のゆっくり育成ライフを、心行くまでお楽しみください。
以上でチュートリアルを終了します。
あとがき
虐待、というよりも虐待のタネになりそうな燃料として。
いえ、本当は虐待するところまで書きたかったんですが、やたら長くなりそうだったので……
続きは自分で書くかもしれないし、書かないかもしれません。
シムゆっくりと
タイトルをつけてはいますが、実際にはシムピープル+アストロノーカといった感じです。
夜パートの、外敵襲来と罠設置あたりがアストロノーカな部分ですね。
ただ違うのは、トラップフィールドと畑が同じ場所にあったり、育成対象と害獣が同じものであったりするところです。
アストロノーカ楽しいですよね……バブーンも可愛くて。
今までに書いたもの
ゆっくり実験室
ゆっくり実験室・十面鬼編
ゆっくり焼き土下座(前)
ゆっくり焼き土下座(中)
ゆっくり焼き土下座(後)
おまけ(サンプルマップ)
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│穴花滝滝岩 壁 壁穴│
│花花川川岩 壁壁│
│花花川川 柿 茂庫茂│
│花花川川 家家│
│石石川川 桃 家家│
│ 川川 茂茂茂│
│ 川川 バ │
│壁 橋橋 リ 壁│
│ 川川 岩岩 │
│花花川川 │
│花花川川 │
│花花川川===池 │
│花花川川 │
│壁壁川川 壁壁│
│穴壁川川 壁 壁穴│
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題:「全自動ゆっくり牧場」
初期費用
家(石・大・4000円)×2 8000円
倉庫(石・中・1000円) 1000円
りんごの木Lv4(アプグレ基本値200円) 3000円
柿の木Lv4(初期400円・基本値200円) 3400円
桃の木Lv4(初期600円・基本値200円) 3600円
バナナの木Lv3(初期1000円・基本値500円)4500円
花(100円)×15 1500円
茂み(200円)×5 1000円
岩(400円) 400円
川(大・2500円)+滝(1000円) 3500円
橋(細・100円)×2 200円
壁(石・2000円)×13 26000円
石(中・250円)×2 500円
恒久落とし穴(2500円)×4 10000円
合計 66600円
初期費用に尋常ではない投資が必要となりますが、長期的に見ればかなり良い箱庭といえるでしょう。
この箱庭で産まれたゆっくり達は、豊富な食べ物に囲まれ、すくすく成長していきます。
ゆっくりが通常サイズになると、橋の向こう側にある石を乗り越えられるようになります。
好奇心旺盛なゆっくりはすぐそこを遊び場として、そして、その日のうちに穴に落ちていくでしょう。
穴に落ちたゆっくりを自動的に売却するようにしておけばまさに全自動。
川にかかる橋は細いので、お母さんゆっくりは渡れません。なので石を動かされる心配もありません。
これにより、お母さんゆっくりや未熟な赤ちゃんゆっくりが誤って穴に落ちることはありません。
また四方の扉も塞いでいるので、他の箱庭のゆっくりに進入されることはありません。
これは通常サイズゆっくりのみを効率的に売却するための箱庭なのです。
また四隅から進入する外敵も、全て壁に阻まれ穴に落ちていきます。これも良い副収入となるでしょう。
唯一、育てたゆっくりを落とすための穴がある隅からは、飛行系の外敵が侵入する恐れがありますので、それだけ注意すれば大丈夫です。
もっともすぐ目の前に滝があるので、びっくりしてそのまま穴に落ちてしまうかもしれませんが。
ゆっくり二家族ぐらいを住まわせてやれば、勝手に増えて育っては、落ちて資金になってくれます。
お母さんゆっくりと赤ちゃんゆっくりのみが箱庭に残り、通常ゆっくりはすぐに穴に落ちてくれるのが、食糧事情的にも最高でしょう。
もし万が一全滅してしまったら、捕獲したありすと、れいむまたはまりさを放り込んでやればすぐに繁殖してくれます。
交尾したあとのありすは、これも勝手に穴に落ちてくれるので、手を煩わせることもありません。
ゆっくりが一匹5000円で売れたとしても、14匹売れれば完全にペイできます。
この箱庭で得た資金を元手に、さらなるゆっくり育成の道を開いてください。
最終更新:2008年09月14日 07:20