ゆっくりいじめ系601 ある新人ゆっくりーだーの話(前編)

※ゆっくりいじめ系509「紅い弾丸」の世界観です。一部話を引きずってる感がありますが、特に読まなくても大丈夫です。
※俺設定注意!
※いいゆっくり(人間に協力的なゆっくり)が出ます。
※基本、勧善懲罰です
















華やかな都市からそう遠くない廃炭鉱。炭鉱村としての価値を失い廃れていた。
しかし、近年この土壌の岩盤は貴重な鉱石であることが解明され、再び活気が戻り村どころか町の規模までに発展した。
もっとも、この町は炭鉱村の時と同じく力仕事しかできぬ様な荒くれ者やスネに傷を持った者の集まりとなっており、町と言うよりは拘置所となっていった。



そんな町の喫茶店


喫茶店と言えば、どこかこ洒落たイメージがあるだろうが、雰囲気は酒を出さない酒場といったところだ。どの客も都市を歩くだけで職質されそうな輩ばかりである。
朝っぱらから夜中まで客が絶える事が無く、交流の場と言ったところだ。
今朝もここは人々の喧騒が耳に付く、殺伐としていると言ってしまえばその通りだろうが、私はここの雰囲気が好きなので暇さえあれば大抵ここにいた。
こんな環境で育った私も、ここでは性別でも職業でも異端な存在だ。きっと感性が一般なものと比べ、歪んでいるのだろう。
コーヒーカップを持つ右手がギシギシ震える。歯ぎしりの振動でコーヒーが波を立てる。
普段から不機嫌な顔をしていることが多いが、今朝は本当に不機嫌だった。

“おてがら!謎の少年、巨害ゆっくりを倒す!!”
『ゆっくりと人間との共存とは~!?』
「嵐を呼ぶ紅い弾丸!!」

仕事柄、常に時勢に敏感である私は毎朝欠かさず新聞を余すことなく読むのだが、一面全てを使って先日のゆっくり騒動を伝えていたのだ。
今日で三日連続同じニュースだとか、謎の少年だとかはどうでも良かった。しかし、この私が目を付けていた獲物を横取りにされたことに腹を立てていた。
私の職業は『ゆっくりーだー』と呼ばれている。近年、ゆっくり達はそれぞれ独自の進化を遂げて生物的水準が急上昇した。進化と言っても見てくれが変わるのではない。
身体能力、知力が総じて増強され、成熟したものはある種人間を超えた特殊能力を身に付けるのだ。友好的なゆっくりも増えたが、元来の傲慢さに拍車がかかって人を襲うものが爆発的に増えた。
人々に害を与えるならば制裁を、友好的ならば(要は利用できれば)共生を……そんなゆっくり達を導く者(leader)として新たに確立された職業だ。ハンターとブリーダーのあいのこの様な職だとされている。
しかし、実際は手を付けられないゆっくりの処刑人としての面が強かった。さらに言ってしまえば、これは最近縮小気味の加工所から派生した職だとの専らの噂だ。
この職業は完全スカウト性で、条件として種を問わず、一匹のパートナーゆっくりを連れていることだった。近年強力になってきたゆっくりに対抗するための少数精鋭だと言うが、これも虐待目的で加入する者を弾き、資源(ゆっくり)を独占するためだろう。


話を戻せば、こんな汚い仕事をまだ何も分からない少年にやらせるお上と、事情を知らぬとは言え、メディアではやし立てる社会に対して憤慨していたのだ。
私も今まで褒められたことはして来なかったが、義理も人情もない時勢になってしまったとつくづく感じる。

『ゲラゲラゲラ』

そんな私の気を知ってか知らずか、隣からバカみたいな笑い声が聞こえた。そこにいたのは珍種のゆっくりれいせんだ。いつの間にか私に懐いて、何度追い払っても勝手に付いてきたウザいやつだ。
現に今もこちらを指して嘲笑しているようにしか見えない。幼児体型に不釣り合いなでかい顔と妙に決まった服装もウザさをプラスした。
傍から見れば、この珍種を手懐けているように見えるらしく、そのおかげで最近スカウトされた。新聞の少年の様な『遠征』はあちらが提起してくる課題をクリアしてからだそうだが、全く音沙汰がなかった。
笑い袋の頭をバシッと叩き、笑い声が止める。他の喋る種と違い痛がりもせず、表情はヘラヘラとして変わらない。こんな締まらない奴でもプータローだった私に職を与えてくれたのだから、変な気分だ。

『ケラケラケラ』
「ん? 何だいありゃあ」

ゆっくりれいせんが私の服を引っ張り、外を指して笑い出した。この種はまだ解明されてないことが多いが、人語を喋らず口を開けばいつもスイカ口で笑うだけだ。
ジェスチャーから『外に何かあるぞ』とでも言いたかったのだろう。残ったコーヒーを一口に飲み込み、外に出た。
店先に人だかりが出来ており、さらにそれを遠巻きにして見ている野次馬で賑わっていた。

「おいおい一体何事なのさ! この騒ぎは?」

野次馬の中から顔見知りの男を捕まえ、話を聞いた。どうもよそから来た野良ゆっくりが、労働ゆっくりにちょっかいを出しているようだ。
まったく何でそれだけのことで、ここまで騒げるかねぇ……早速仕事が入ってしまった。

「ホラホラ! 用のない奴は帰った帰った!!」

野次馬どもを掻き分け、騒ぎの元凶に向かった。そこには荷車を引く大型の労働れいむと、どこぞから来た野良まりさがもめていた。
体格的に優位なれいむだが、その気性故か口論までに収まっていた。

『はやくそこからどいてね!のるまがこなせなくなったらどうするの? ゆっくりりかいしてね!!』
『ばかなにんげんのためにはたらいてもゆっくりできないよ! そんなこともわかんないの? あんこくさってんの?』
『ゆゆ~!』
「ハイハイ! そこまで~」

れいむは言い負かされて涙目になってしまっている。パンパンと手を叩き、お互いの主張を曲げずに対立しているゆっくりの注意を向けさせ、事情聴取することにする。
この町でのゆっくりがらみのゴタゴタは全て私が解決しなければならない。

「何があったのか、私に言ってみな。ここでゆっくり達にトラブルがあると困るんだよね」
『『このれいむが……じゃま―――ゆっくり……むきー!』』
「同時に喋るな! 順番に話しな!!」
『れいむがおいもさんをゆっくりはこんでたら、このまりさがおいもさんをわたさないとゆっくりさせないていってきたの』
『ゆゆ!うそつかないでね!! まりさはおいもさんをはこぶのをてつだってあげるっていったんだよ』

聞いてみれば、全然話が噛み合わない。ことの始まりから見ていたものに聞こうとしたが、久しぶりに腕が振るえると思いとどまった。

「ねえ、れいむぅ? ここで嘘をついたゆっくりはどうなるか覚えてるぅ?」
『ゆ! こ、こここでううっそついったわるいゆっくりはおねぇさんにおおしおきさあああれますすう』
「よぉくできましたぁ。私に何か言うことはぁ?」
『れれれいむははううそついれましぇんんん』

自分でもゾッとするくらいの猫なで声で、労ゆっくりであるれいむに尋ねた。少なくともここのゆっくりは私がどんな存在なのか理解し、畏怖している。
経験こそ少ないが、嘘を見破る術はもう心得ている。恐怖に縛られたこのれいむは嘘をついていない。

「じゃあ、まりさぁ? あなたは嘘をついてるのぉ?」
『やっぱりにんげんはばかだね! まりさがうそつくわけないよ!!』
「ほんとのこと言ってくれれば、お菓子あげるんだけどなぁ~?」
『まりさたちのすにはこんであげるっていったんだよ。ゆっくりわたさないとまりさのなかまがだまっていないといったの。うそはいってないよ!』
「れいむ、仕事にもどっていいよ」
『むーまりさをむししないでね! 本当のことを言ったんだから、はやくおかしをもってきてね!!』
「ゲラ子、このまりさを“静かに”運んでおやり」

騒ぎの下手人がすっきり分かったところで、ゲラ子(ゆっくりれいせん)に運ばせた。
命令通りに口をふさいでヨタヨタと歩いている。時々まりさが暴れていたが、ほどよい振動なのかくすぐったそうにゲラゲラ笑っている。
行先は先程の喫茶店だ。

「マスター! また地下借りるよ!」
「後片付けは手伝わねぇかんな」

カウンターの中にズカズカと入り、隅の扉から階段を降りれば店の食糧庫兼、私の事務所だ。振り返ると、ゲラ子がバランスを崩してこけそうになった。

「ほうら、しっかりしねぇかい」
『ゲラゲラゲラ』
「まったく、おめぇも不憫だよな。あんなオトコンナにこき使われるなんてよ」
「余計なお世話だよ!」

マスターの助けを受け、体制を立て直してもらっていた。ゲラ子は何が楽しいのか、大笑いしていた。マスターもつられて笑っていた。そんな光景を見てつい笑みをこぼしそうになる。
ゆっくりと人間がみんながこんな関係を築けたら、もっと私は楽をできるのに……。ふと今朝の新聞の記事が浮かび上がった。いかんいかん、現実を見据えろ私。
事務所と言っても、ほとんど私的な空間になっていた。そこはゲラ子以外のゆっくりを連れ込むと、瞬く間に折檻部屋となるのだ。

「ゲラ子、放してやんな」
『ゆぎゃ~! いだい゛ぃぃぃ~』
『ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!』

放り投げる様に放したまりさは、弾性の低いスーパーボールの様に数回跳ねた後、私の足にぶつかって止まった。ゲラ子はその様を指し、いつにも増して激しく笑った。
転がっている途中でまりさの帽子が取れ、中から先程のイモ、近くの菓子屋のクッキーの包みが出てきた。紛れもない窃盗だ。もう弁護できねぇわなこりゃ……
よく見ると、後頭部に生々しい傷跡があった。以前どこかで裁かれたことのある前科者の印だ。それらの情報を提出書にまとめる。

「労働妨害に窃盗、さらに前科アリ……と、何か申し開きはあるかい?」
『じぬ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛~!』
『ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!』

要領を得ない返答しか返ってこない。賢くなったとは言え所詮はゆっくり、まともな会話をじゃ進まないか……
転げ回っているまりさを起こしてやり、涙を拭ってやる。ただでさえデッサンの狂った顔が、涙やら鼻水やらでグシュグシュに歪んでおり、吐き気をもよおした。
それを何とか飲み込み、会心の笑みを浮かべる。

『ごべん゛なさいぃぃぃむれにはうえたかぞくがいるんでずぅぅぅ。おかねもないし、じがだながっだんでずぅうう』
「あらそうなの、大変ね。じゃあこれは何?」

まりさはと言うと、こちらの表情を見るや否や、何事もなかったかの様にケロッとしていた。これが嘘泣きか、よく覚えておこう。
私は先ほどから気になっていた転がったままの帽子を拾い、逆さにして振り出した。盗品を合わせても、ゲラ子がよろける程の重量のゆっくりなんてそうそういないと思ったからだ。

『ゆ゛!? やめでね! おかねなんかはいってないからゆっくりやめでぇぇ!!』

ドサッ、チャリチャリチャリ~ン

帽子の奥から財布といくらかの小銭が落ちてきた。感心なことに簡単に落ちぬ様、財布を帽子のトンガリ部分に詰めて栓にして隠していた。
スリの被害届けが出ていた物と一致した(基本的にゆっくり専門なのだが、他の自治職が存在しなかったので自然と警察紛いのこともやらされている)。
こいつのせいで、私の手間が増えたのだ。しかし、反省の色があれば処置も少なめに済ませてやろうとも思っていた。

「嘘つきまりさは、ゆっくりお仕置きが必要ねぇ~」
『ふんだ! ま、まりさにてをだしたらむれのみんながだまっていないよ!!』
「へぇ~そうなの、すごいわねぇ~」
『おねえさんばかなの!? おさはとってもつよいんだからおばんなんていちころだよ!!』
「ねぇ、まりさ……」
『ぼうしをかえしてくれたら、ゆるしてあげるよ! ゆっくりしないでぼうしをかえしてね!!』
「あなたの群れではどうだか知らないけど―――」



ズドォン!


「ここで一番強いのは私なのよ?」

甘んじてでも罰を受ける気ならまだ見込みがあったが、群れの仲間を引き合いに罪を認めたにも関わらず、さらにそれを脅し文句にも使用する根性が気に入らなかった。これでは本当に仲間のために犯行に及んだのかすら怪しい。
あくまで目をそらさずに笑顔で、しかし怒りをあらわにする。壁に掛けていた各種のゆっくりを模したクッションからまりさ種の物を選び、右手で思いっきり殴った。部屋を揺らす程の衝撃が辺りを襲った。
ちょうど顔の中心を捉えたそれは、拳がめり込んだ所から破れ、ちょうど口に当たる所から詰めものの小豆をザラザラと垂れ流した。壁には穴が空き、天井からも何やらパラパラと落ちてくる。
まりさは一瞬何が起こったのか分からない様子だったが、すぐに理解して白目をむきガタガタ震えた。ゲラ子も腰を抜かしたのか、ちょこんと座りこんで笑い声も止んでいた。
いつも怒るときは決まって、自分でも寒気がするほどの猫なで声を出すことにしていた。言葉だけでも優しくという配慮であったが、今では危険信号としか受け取られていない。

「あなたのせいで、この町の労まりさ達の評判が下がってしまうわぁ」
『ごべんばざい゛! あ゛ばばり゛ばずがら゛ゆ゛る゛じでぐだざい!!』
「いいわよぉ? ここの労まりさ22匹分謝ってくれたらねぇ……カウントしてあげるわぁ」
『わがっだよ。ごべんびゃぁぁ!?』

謝ろうとするまりさに鞭を振るった。この鞭は動物性の皮を無数の捕食種の爪や牙と共に編みこんで作った手製の代物だ。その表面はヤスリの様だったり、ノコギリ状になっていたり、不規則に刃が突起していた。
これで叩かれたゆっくりはアザではすまず、あるいは擦り?け、あるいは切り傷になった。他にも仕掛けはあるのだが、それは追々説明するとしよう。
このまりさの場合、横薙ぎに振るった鞭が口元から右頬の辺りにヒットした。手応えが無く、空を切る音のみ聞こえたが、まりさの口はパックリと右の方へ裂けていた。鋭利な部分に当たったらしい。

『ぶべぇ゛ぇ゛!? ばびざのおぶぢぶぁ゛ぁ゛ぁ゛!!』
「ほぉうら、休む暇なんてないわよぉ?」
『ゆぶじでぐびゅぼぉ!!』

臓器を持たないゆっくりにとって、口は発音を司る物だったらしく、まともな言葉を発しなくなった。こうなってしまってはもう謝罪どころではないだろう。
餡子もダラダラと漏れていたが、しばらくするとみるみると薄皮が張り、傷が塞がった。何が起こったのかまりさ自身も理解できていなかった。

『ゆ? ぜんぜんいたくないよ? おねえさんほんとうはよわいんだね!!』

喉元を過ぎれば何とやら……
私は無言のまま、少しずつ間を空けながら鞭でのカウントを続ける。次第に回復が間に合わなくなり、全身に傷がつき始める。
増長しかけたまりさは餡子を撒き散らしながらも、カウントごとに謝罪を述べている様だ。

バチッ
『ぼべんびゃぁ゛ぁ゛ぁ゛!!』
ピシッ
『どぼじでびゅっ!』
ブチッ
『びゅっぐびじゃびゅら』
ベチンッ
『ぼぶびゃびゅるべぇ゛!!』
ボチャッ
『びゃっ、びゅっびょ……』


……………


計22回、最初の宣言通りの回数謝罪を聞いた。久しぶりに鞭を振るったからか、力加減がうまくできなかったが、まりさはきちんと生きている様だ。
さて、今更だが私は自分が初めて裁くゆっくりは基本的に殺さない様に処罰している。このまりさも同様だ。
まりさは傷跡も痛々しく、白目をむいて痙攣を続けていたが、一分もすれば傷は全て閉じて意識を取り戻した。ゆっくりの治癒力はもちろんこんなには高くない。
先程の鞭の最大の特徴は、ゆっくりの代謝を飛躍的に高める薬品に漬け込んでいるということだ。
間髪入れずに叩き続けたから治癒も遅れたが、一発叩いただけならば、最初の傷の様に早々に回復するほどの効力だ。

最後にロウソクの火で炙ったナイフで、まりさの後頭部に傷を十字になる様に追加した。

『びゃあああ! びゅっぐりじゃぜぶぇ゛~!!』

薬品の効能が残っていたので、長い間ナイフで抉らなければならなかったが仕方ないだろう。
帽子の先端に『わたしはわるいゆっくりです』と書かれた旗を突き刺し、まりさに返した。

「もう二度と悪い事をしたらだめよ~」
『ずみ゛ばぜんでじだ!』
『ゲラゲラゲラゲラ』

傷が無くなったとは言え、まだ酷く痛むだろう。村の入り口まで運んでやり、見送った。どうやらふもとの森から来たらしかった。まぁ、二度と人様のいる所にはちょっかいは出さないだろう。
さて、いつの間にか昼時になってしまった。

「昼飯はどうしようか?」
『ゲラゲラゲラゲラ』
「そうだな、やっぱりサ店にしょうかしら」
『ケラケラケラケラ』


この時にはもう野良ゆっくりのことは、町の人々の頭から消えてしまっていた。しかし、すぐに思い出す羽目になるとはこの時はまだ誰も知るよしも無かった。


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最終更新:2008年09月14日 07:42
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