永琳×ゆっくり系4 の部屋

迷い竹林の中、えーりん実験室の地下にはすっきりルームというものがあった
そこにはゆっくりたちが集められていた



「  のお部屋」と可愛らしい文字で書かれた部屋の前に
八意永琳は立っていない


ここはゆっくりたちに何かの実験をしていた施設
ゆっくりたちは地上の実験室からここに連れて来られる



「ちかのへやにはなにかへやがある」



ゆっくりたちの宿舎でそんな噂を少し流れていたが
情報が乏しくゆっくりたちは皆忘れていった、ゆっくりにとって地下の部屋に連れて行かれる事はただ住む場所が変わる程度の認識だった


「  の部屋には行かれないのですか」
「・・・・・・いくつ目のプランだったかしら?」
永琳はそれまで飲んでいた紅茶を置き、急いで自分の手元にある資料の束を読み返す
「えっと・・・・・十ヶ月の・・・えーっと・・・・」
「ろ、十ヶ月前ってどういうこと、当番の兎は?」
「どうも、配属してなかったみたいで・・・」
鈴仙はばつが悪そうに頭をかく
「はぁ・・・どこの部屋?予算もスケジュールも組み直しね。鈴仙、残業確定おめでとう」
「それが、どこの部屋かも・・・」
地下施設の見取り図を出し、まず改装中の部屋を塗りつぶす、次に資料と格闘しながら実験中の部屋を塗りつぶす
「ここが化け物の部屋で・・・あ、ここは毒ガスを注入した部屋ね」
甘い恋のお部屋が塗りつぶされる

そうしていくと一箇所だけ塗り残った部屋があった
「その場所に関しては資料も改装中の報告もありません」
「・・・」
永琳は時計を見上げる
「私も残業確定みたいね」


二人は意を決してその部屋の前まで来る
「  の部屋」
ドアのロックを外す




「ゆっくりわすれないね!!」
「ゆっくりおぼえたよ!!」
「××××よ。忘れてたら殺すわよ」
その実験に選ばれたのは二匹のゆっくりまりさだった
実験の内容はゆっくりの記憶力
劇的に老化の進む薬品をエサに混ぜられ、死に際に教えておいたキーワードを言えるかどうか
それほど経費のかからない実験、たいした期待をしていない実験
ゆっくりまりさたちにとっては自分の命をかけた実験
一週間ほどで実験は終了する予定だった。予定は忘れられ終了は未定となった
老いたゆっくりまりさは二つの事を覚えている「××××」と「忘れてたら殺す」
周りでは先立ったゆっくりまりさと残したかわいい子ども達がいる
老いたゆっくりまりさは子ども達を集めて二つの事を教えた
老いたゆっくりまりさにとって、自分の死より自分の子の死の方が遥かに怖かった




意外にも部屋の中は快適だった
芝生や小川など高級なものは置いていないが、フローリングの小奇麗な部屋だった
真ん中にゆっくりまりさが数匹いる
永琳たちを見つけるやいなや、ゆっくりまりさたちは二人に向かって突進してくる
みんな口々に教えられた事を言う、誰も間違ってなどいない

「長く放置しすぎて気が触れたようね。鈴仙、あとでここもガスを注入して頂戴」
そういうと永琳は部屋を出る。それを鈴仙は追いかける。ゆっくりまりさたちも追いかける
年老いたゆっくりまりさなど勢いをつけて止まれず、振り向いた永琳にぶつかってしまう
永琳はバランスを崩しその場に転ぶ。すぐさま鈴仙は肩を貸し、立ち上がらせようとするが
その手を永琳に振り払われる
「鈴仙・・・ここはいいからガスを」
軽く笑ってみせる。その笑みが何よりも怖く鈴仙の足を制御室まで向かわせた

鈴仙が制御室から退室勧告のベルを鳴らす
コントロールパネルには「作業員在住、ガス注入不可」の文字
スピーカーとカメラのスイッチを入れる
そこには年老いたゆっくりまりさをギュっと抱きしめる永琳がいた
「師匠、ガスを入れます。退去してください」
永琳は名残惜しそうにゆっくりまりさから離れる
コントロールパネルには「作業員退去確認、ガス注入可能」の文字が表示される


「えーっと・・・あの部屋の資料が見つかりました」
「・・・そう」
あの日以来、あまり元気の無い永琳を鈴仙は心配していた
「資料、置いておきますね」
永琳は資料に目を通す
記憶力実験、「忘れてたら殺す」

「あの子達、相当恨んでたみたいですね」
「そうかしら?」
「"忘れてたら殺す"だなんて・・・」
「鈴仙、これと同じ実験をやりたいの今度は失敗しないわ」
永琳はいつの間にか元気を取り戻していた

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最終更新:2008年09月14日 07:49
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