※いわゆる虐待スレカスタムの性格の悪い
ゆっくりまりさが登場します。初期の無垢なゆっくりまりさが好きだという方はごめんなさい
※「殺せ!殺せ!ガンホー!」な感想が出るかもしれませんが応えることはできないと思います
木々が生い茂る一本の道を、とあるゆっくりまりさが歩いて(跳ねて)いた。
このゆっくりまりさは、ゆっくりの群れのリーダーである。
三十匹程の小さな群れだが、群れのリーダーであることにゆっくりまりさは誇りを持っていた。
縄張り内の警戒もリーダーの勤めである。
「ゆっ、ゆっ。今日も異常はないよ」
途中に見かけたエサを帽子の中にしまいつつ、辺りに目を光らせ何か異常がないかを確認していく。
そんなまりさの前に、一人の人間が現れた。
人間の姿を見てまりさは体を強張らせ、逃げようかと思ったが、よく見ると人間の様子がおかしいことに気づいた。
見た目は何も異常がなさそうだが、歩く足取りがとてもフラフラで安定していないのだ。
まさに今にも倒れそうだとまりさは思った。
ゆっくりにとって天敵ともいえる人間だったが、言葉が通じる相手であり、またその人間の姿がかわいそうに映ったので、まりさは声をかけた。
「ゆゆっ、おじさんどうしたの?」
「……ん? あぁ、ゆっくりまりさか」
元気なまりさの声とは対称に小さく元気のない青年の声。
フラフラだった歩みを止めたはいいが、立っているその姿も吹けば倒れそうだった。
「実はね、僕は今とてもお腹が空いているんだ」
「ゆゆっ、それじゃげんきがないのもとうぜんだね」
その青年の言葉を聞いた時、まりさの中にある考えが生まれた。
青年はじぃっ、とまりさを見つめると
「そういえばゆっくりって食べられるんだよね。ねぇ、まりさ。君を食べさせてくれるかい?」
と訊ねた。
もちろんまりさは断った。
「ゆっ! なにいってるのおじさん。たべさせるわけないでしょ? ばかなの? むしろおじさんがまりさにごはんをよこすんだね!」
必要以上の言葉で。
その言葉に青年は腹を立てることもなく、
「はっはっは。見てわかるとおり僕も今は食べ物がなくってね。家に帰ればあるんだが、その前に倒れそうなんだよ」
と力なく笑った。
「まぁいいか。力ずくで食べよう」
するとそれまでの態度とは一変して強硬手段に出た青年。
もちろんまりさはそれを甘んじて受け入れるわけが無かった。
「ゆへへっ、ばかなおじさんだね! むれのりぃだぁのまりさにかなうわけないよ!」
まりさに向かって伸ばした青年の腕をかいくぐると、渾身の力を込めてジャンプ。
青年の腹に体当たりをかました。
その衝撃に手ごたえをまりさは感じた。この一撃で倒れぬわけがないと。
「ぐわぁぁぁぁぁ!! なんてパワーだ! これがゆっくりなのか!?」
まりさの思い通り、青年は体当たりされた腹をおさえてその場をゴロゴロと転がりまわった。
その光景を見てまりさの気分は高揚していく。
「くそっ、こんなやつに手を出すんじゃなかった……。早く帰らねば。
広くて大きい、美味しいご飯のある我が家へ……」
青年はそう大きな声で呟きながらまりさと会った時よりもフラフラと足取りで、まりさに背を向けて歩き出した。
まりさは、その青年の跡をつけていくことにした。
先ほど浮かんだある考えを実行するためにだ。
しばらくすると、本当に(ゆっくりにとっては)大きい家が見えた。
あれほど大きい家ならば群れの全員で過ごすこともできる。
「くっ、だがもしこの家にゆっくりが攻めてきたら……。一匹や二匹はなんとかなるが、たくさんのゆっくりが襲って来たら……」
家への道を歩きながら呟く青年の独り言もまりさはちゃんと聞いていた。
これならば余裕だとまりさが思っていると、青年は足をぴたりと止めた。
そして、ようやくまりさの存在に気づいたのか、ばっと勢いよく後ろを振り返り、まりさを見つけた。
「おっ、お前さっきの……! くそっ、尾行していたのか! ま、まりさっ! さっきのは嘘だからな!
たくさんのゆっくりが襲って来たらどうしようもない、っていうのは嘘だからな!」
「ゆっへっへ、ばかなおじさんだね! ぜんぶきいちゃったよ! もうすぐあのいえはまりさたちがすんであげるから、いまのうちにとっととでていくんだね!」
必死にまりさに語りかける青年の言葉も無視し、事実上の宣戦布告をその場に残し、ゆっくりまりさはその場を後にした。
その翌日。
ゆっくりまりさは群れの全てのゆっくりを率いて、昨日自分が倒した人間の家へ向かっていた。
リーダーのゆっくりまりさをはじめ、参謀のぱちゅりーやありす。副リーダーのれいむ。
その他子ゆっくりや赤ゆっくりも含めた全ての群れの構成ゆっくりが、その歩を揃え行進していた。
目的はもちろん、あの青年の家を奪うためだ。
大きな家を奪い、群れの皆が安心して暮らせるように。
家の食料を奪い、群れの皆が安心してゆっくりできるように。
「ゆっ! みんな、あのいえだよ! きのうはまりさひとりでぼろぼろにできたんだから、みんながいればいっぽうてきなぎゃくさつだよ!」
「「「「「「ゆっーーーーーー!!!!」」」」」」
リーダーまりさの号令一喝。ゆっくり達の鬨の声があがる。
目指す家の二十メートル手前まで来た時、群れは止まった。
「くそっ、やはりきたか!」
家の前に立ちふさがる人間の姿を見つけたからだ。
「ゆっ、おじさん! こうさんするならいまのうちだよ! さっさとそのいえをでていくならまりさたちはなにもしないよ! でもじゃまするのなら」
言葉を区切り、後ろの群れを振り返るリーダーまりさ。
そのまりさに呼応し、群れのゆっくりが雄たけびをあげる。
「「「「「「ゆっーーーーー!!!!!」」」」」」
素晴らしい一体感である。
「ようしゃはしないからね! たたかいになったらいっぽうてきだよ! おじさんしんじゃうよ!」
ゆっくり並みの慈悲なのか、青年への最後通告を送るまりさ。
だが青年は一歩も退かなかった。
その瞳には、これから立ち向かう困難を乗り越えようとする、熱き意志があった。
「断る! 俺にも譲れないものがあるんだ! 俺の家を奪いたいのなら、死に物狂いでかかってこい!」
先ほどのふらふらな姿とはまるで別人のようなしっかりとした立ち姿と逞しい声。
きっとご飯を食べたのだろうとまりさは考えた。
だが、たとえお腹一杯だろうと自分たちに敵うわけがないとも考えた。
「しょうがないね、おじさん……。 みんなぁぁぁぁぁぁ!! あのにんげんをころせばあのいえはまりさたちのものだよぉぉぉぉ!! ゆっくりぷれいすだよぉぉぉ!!!」
「「「「「「ゆっーーーーーー!!!!!」」」」」」
「さぁ来い、ゆっくり!!!」
今ここに、戦いの火蓋が切って落とされた。
いや、一方的な蹂躙だった。
「ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛」
「ゆがっ…………ぐぼっ……」
「いちゃいよぉぉぉぉぉぉぉ!!! おかぁぁぁぁぁしゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「ゆっゅぅぅぅぅぅ………」
「おうぢ…がえりだいよぉぉおおおぉお……」
「どうじでぇ……どうじでぇ………」
「なに゛も゛みえないよぉぉ!!!!」
「ゆっぎぢでぎな゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛…………」
「ゆっぐりざぜでぇぇぇぇぇ…………」
戦場に残された大量のゆっくり。
その全てが傷つき、倒れている。
ある者は目を失い、ある者は餡子を吐き出し痙攣し、ある者はボコボコに顔が変形していた。
あれだけいたゆっくりの殆どが戦闘不能、かつ逃げることも不可能なまでに痛めつけられていた。
だが、それだけの惨状にも関わらず、死んでいるゆっくりはなんと一匹もいないのだ。
「さぁ、まりさ……。後はお前だけだぞ」
青年は最後まで立っているリーダーまりさにそう言った。
青年は全くの無傷である。疲れた様子すらなかった。
リーダーのまりさは、まだ立っていられるものの、既に装飾品もその身もボロボロだった。
いや、心もボロボロだった。
「どぼじで……なんで……」
「なんで、とは?」
「なんでおじさん……きのうはまりさにあれだけぼろぼろにやられたのに…………」
最早闘志の欠片もない虚ろな目で疑問を投げかけるまりさ。
流石にこの十分あまりの一方的な蹂躙で彼我の実力差は分かっていた。
だが解せないことがあった。
いくらお腹が一杯とはいえ、まるで昨日とは別人、いや別種族になったかのような強さを誇っているのは何故なのか。
そんなゆっくりまりさの疑問に、青年は「なんだ、そんなことか」と軽く答えた。
「昨日のは演技だよ。決まってるだろ? ゆっくりが倒せる人間なんているはずないだろ。お前バカだろ? いやバカか。
正直言ってあんな大根演技で騙せるとは思ってなかったんだが、流石ゆっくり────いやゆっくりまりさか。 他のやつじゃあ騙せなかったろうなぁ」
「…………ゆっ?」
「え? なんでそんなことしたかって? まぁ、ちょっとした修行だよ。あらゆるゆっくりに対しても殺さずに、かつ逃げることも不可能なまでに痛めつける力加減を見極めるためのな。
だが流石に三十匹はキツかったなぁ、何匹か逃がしそうになったし、殺しかけたし。でもちゃぁんと、皆生きてるだろ? いやぁ、赤ちゃんゆっくりへの力加減は難しかったなぁ」
まりさはその言葉の意味がすぐには理解できなかった。
ただ理解できたのは、この人間は自分たちをまるで歯牙にもかけていないということ。
遊びのような、片手間の力で自分たちをボコボコにしたということ。
そして、自分のせいで皆を痛い目に合わせてしまったということ。
その全てから目を逸らしたくて、まりさはその場を逃げ出した。
「無駄」
だが一瞬で青年に間合いを詰められ、底部をかちあげるように上空へと蹴り飛ばされた。
数秒の滞空時間の後、硬い地面へと落下し、激突した。
「ゆぐべぇぇぇぇぇ!!!」
全身に走る激痛。吐き出す餡子。蹴られた足はあまりの痛さにろくに動かすこともできない。
「ふぅ、ちょっと焦ったぜ。まだ逃げる体力があったとはな。だが俺もまぁまぁのもんだろ?
全員生かさず殺さず仕留めたもんな」
全身に走る激痛に必死に耐えるまりさには、もう青年の言葉は届いていなかった。
ただただ、痛さと悔しさと後悔と罪悪感からボロボロと涙を流すのみである。
「さて、俺にとってはお前らはもう用済みなんだが……。知り合いに新しい虐待方を試したい、って人がいてな。
その方法には大量のゆっくりがいるらしいから、俺はお前らをその人に引き渡すことにする」
せめて自分たちの行く末を知っておいて欲しい、という配慮からか、青年はこれからの予定を話す。
が、もう誰も聞いていなかった。
全てのゆっくりはただ泣いていただけだった。
後日、全てのゆっくりは青年の知り合いの虐待お兄さんに引き取られ、一生ゆっくりできない生活を長きに渡って過ごした。
その虐待お兄さんも凄腕で、過って殺すことなく、皆平等に苦痛と絶望を与えていったという。
めでたしめでたし
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後書きのようなもの
軽ぅい妄想を書き連ねただけです。
軽ぅい気持ちで軽ぅく読んでいただければ幸いです。
前の作品が自分なりに結構力を入れたのでガス抜きのようなものです。
これまでに書いた作品
ゆっくり合戦
ゆッカー
ゆっくり求聞史紀
ゆっくり腹話術(前)(後)
ゆっくりの飼い方 私の場合
虐待お兄さんVSゆっくりんピース
普通に虐待
普通に虐待2~以下無限ループ~
最終更新:2008年09月14日 08:21