日差しが照りつける前に起き上がる
メディスン・メランコリーはただの人形であった時とは違う感覚を毎日楽しんでいた
たった一人。あ、いやスーさんとお供の人形でたった三人
たった三人でメディスン・メランコリーの世界は完結していた
あの
ゆっくりたちに出会うまでは
メディスンはゆっくりと遊ぶ事が日課になった
今日、遊ぶのはゆっくりれいむの親子だ
一方的に遊ぶ。自分は姿すら見せない
風上に姿を隠し、こんぱろ、こんぱろ~と唱える
発狂毒は体の小さい子れいむから効いて行く
「ゆ、ゆぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ!!!」
狂ったように唸りだし、母れいむの傍を飛んだり跳ねたりする
それも、尋常じゃない高さで、勿論ある程度のジャンプならいつも跳ねて移動しているゆっくりたちには問題ない
違う。限界以上の高さだ。母れいむがそう気付きやめさせようとした頃には自分の行動もおかしくなっていた
コロンと母れいむは転がる
子れいむに追いつけない
跳ねれない。前に飛ぼうとしても前に転がってしまうだけ
子れいむはどんどん高さを上げていく
強引に自分の体を入れ込んでクッションの役目をしようと思っていたが
追いつけない。次第に思った方向にすら転がれなくなる
「いぢゃい」「なにこれ!!」「いぢゃいいぢゃい」「ゆっくりさせちぇね!!」
子れいむから発せられる悲鳴は次第に絶望感を増していく
メディスンは狂乱毒の濃度を上げる
子れいむは大きくジャンプする
母れいむは大きく口を空に向かって開ける
ジャンプジャンプ
なんども子れいむは母れいむの口の中に落ちそうになる
「お゛や゛!!!!!!お゛や゛!!!!!!!!」
口を開けっぱなしで絶叫する母れいむ
飽きたのかメディスンは飛び立つ
フワリフワリ次の獲物を探す
愛し合う一組のゆっくりを見つける
「ゆっくりうえをむいてね!」
「ゆっ?」
空を見上げるゆっくりれいむ、無防備な唇にキスをしようとするゆっくりまりさ
こんぱろ、こんぱろ~
チュ
「ゆっ!!なにするの?!やめてよね!!」
「あんた、だれ?なんでいきなりれいむにそんなことするの!!」
「どこかいきなさいよ。いきなりキスするなんてほんとうにきもちわるい。ゆっくりできないの?」
アハハハと手を叩くメディスン
急激なパートナーの変貌に言葉も出ないゆっくりまりさ
「れ、れいむ、ど、どうしちゃったの?」
やっとの思いで出した言葉も
「きやすくなまえをよばないで、このごうかんま!!」
冷たい言葉であしらわれる
もっとクルえもっとクルえカナしめカナしめ
こんぱろ、こんぱろ~
狂乱毒はゆっくりれいむの記憶を犯す
わなわなと震えだすゆっくりれいむ
「ど、どうしちゃったの?おなかいたいの?」
「まりさー・・・へんなのいキスされちゃったよぉ・・・」
涙を流して悲しむゆっくりれいむ
その言葉の「まりさ」が自分を指し示してるのだとゆっくりまりさは思った
事実は「へんなの」がゆっくりまりさなのだが
「れいむ、そんなことでまりさはきらいにならないよ」
「おまえはまりさじゃないよ!!へんなのはあっちいってね!!」
怒りを露にするかつてのパートナー
面白くなってきた
もっとクルえもっとクルえイカれイカれ
こんぱろ、こんぱろ~
「おまえ!!なんかが!!まりさな!!わけない!!よ!!」
怒りに身を任せ体当たりしてくるれいむ。何度も何度も
私はもっと楽しみたいの
だから早くね
こんぱろ、こんぱろ~
ゆっくりまりさにも変化があった
数回の体当たりで既に瀕死なのだ。ゆっくりれいむとゆっくりまりさなら
喧嘩をすれば7割がたゆっくりまりさが勝つ。一方的にやられたとはいえ数回程度ではありえない
毒を使われて体を弱らせてなければ・・・
「しね!!ゆっくりしね!!」
最後には皮と餡子と帽子にされてしまったゆっくりまりさ
あなたの恋心よ。もう一度
もっとクルえもっとクルえオモいダせオモいダせ
こんぱろ、こんぱろ~
「ゆ!!!」
ゆっくりれいむが見た光景は愛するゆっくりまりさがぐちゃぐちゃになっている光景だった
そして、今まで自分のした事を思い出す
絶望と罪悪感
弱い毒をまきましょう。皆が嫌がる臭う毒
こんぱろ、こんぱろ~
「くちゃい、くちゃい!!」
藪の中から赤ちゃんのゆっくりれいむが飛び出す
目の前には餡子だらけのゆっくりれいむとゆっくりまりさの帽子
それだけで勝手に赤ちゃんゆっくりれいむは悲鳴を上げた
「まりさがころちゃれてる!!わるいれいみゅがいるよ!!」
わらわらと集まってくる大人のゆっくりたち
「なに?なに?」「うわ、あれ、しんでるんじゃない」「あいつがころしたの?」「あんなのはいたらゆっくりできないよ」
「まりさがころされたって?」「ほんとだ、あれ、まりさのぼうしだよ」「こいつ、まりさのことすきじゃなかったの」「かわをかぶってたのさ」
あとはみなさんにお任せするね
メディスンは満足そうに体を風に任せて飛ぶ
フワフワフワフワ
メディスンは人里に流れていく
~あとがき~
人里に流れていくメディスンはどうなるんでしょう
ゆっくりたちがどうなったか、それはメディスンは知りません
by118
最終更新:2008年09月14日 08:25