• 舞台 夏コミてきななにか
  • 登場人物 俺お兄さん、ゆっくりれいむ
  • 虐待度 ゆるめ


今日は8月15日、夏真っ盛りのこの糞暑い日に糞人ごみの中を糞れいむと共に長蛇の列に並んでいる。
おっと、糞といってもうちのれいむはとってもかわいい、なんていうかうんこかわいい!!

並び始めて、どれぐらいの時間が経っただろうか、人がごった返す会場の中は熱気と湿気と後なんか良く判らない汁気のようなものが
肌にまとわり付くように漂っていた。普通の人間であれば一刻も早くその場を去ろうとするであろうが、目的の品を手に入れるまではそうも行かない。
一歩進んでは止まり、止まっては一歩進み、その繰り返しが、この糞暑い中、余計にイライラさせてくれる。

「おにいさんあついよ…」
「ああ、暑いな…。」
「ゆっ、あついっていったらもってあつくなってきたきがするよ…。」
「暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い。」
「やめてね!ゆっくりやめてね!!」
「おお、暑い暑い」
「もうやだ!おうちかえる~!!」

ゆっくり進むこと30分、ようやく列の中ほどまで進むことが出来た。れいむも俺も汗だくだくである。
俺はリュックサックから中身を凍らせたペットボトルを取り出す。とはいえ中身は既にほとんど解けてしまっているが、
凍らせていたおかげで、まだいくらかの冷たさを保っている。

「ゆ!のませて!はやくのませてね!!」
気にせず、ペットボトルに口をつけ、良く冷えた水を体内へと流し込んでいく。

「どうしてのむのー!!」

ゴクゴクゴク

「つ、つぎはれいむにのませて!いっぱいのませてね!!」

ゴクゴクゴク、プハッ

「はやくのませてね!はやくのませてね!!」
「はい、飲んでいいよ。」

れいむはペットボトルを咥えると、天井を見上げるように中身を飲もうとした。
しかし、一向に中身が出てくることはなく、れいむの目が段々と細くなっていく。
透明なペットボトル越しに、れいむがキャップ付近を必死に舌で舐めているのが見えた。
ついに諦めたのか、れいむの口からペットボトルがポロリとおち、続けてれいむが今にも鳴きそうな顔をしてこう言った。

「ど、どうぢで!どうぢでのべないどー!!」
「いや、俺が中身、全部飲んじゃったから。」
「なんでどぶのー!!れいむのぶんはどうじだのー!!」
「悪かったって、ほらまだちょっとだけど水はあるぞ。」
「…はやくのませてね」

そういって俺は、れいむが落としたペットボトルを拾い、れいむの目の前に差し出し。
さっきまで冷えた水の入ったペットボトルの周りには、いくらかの水滴が付いていた。


そんなやり取りをしているうちに列は進み、目的の品まで後ちょっとといったところだ。
しかし、そこで突然のアクシデントが俺を襲う、この感じ…尿意だ!!
先ほど水分を取りすぎたのがいけなかったのか、違和感から始まった尿意は急転直下で強くなっていく。
このままではまずい、そう判断した俺はれいむに列に並ばせトイレに行くことにした。

「れいむ、お前はこの列に並んでいろ。前の人が進んだらそれにあわせて進むんだぞ!」
「ゆっくりわかったよ!!」
「本当にわかったのか?」
「ほんとうにわかったよ!!」
「じゃあ、聞くが前の人が進んだらどうするんだ?」
「ゆ?」
結局れいむは言葉だけでは理解できず、3回程前の人が進むたびに指示を出すことでようやく理解した。
既に尿意が限界に近い俺は、若干の不安を感じながらもトイレへと向かった。

「うー、トイレトイレ」


一方、残されたれいむは、おにいさんの言いつけを守り、前の人が進むたび一歩ずつ前へと進んでいきました。

「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」

れいむがおにいさんに頼みごとをされるのはこれが初めてでした。れいむはその事が嬉しくて、暑さも忘れて元気に飛び跳ねました。
順調に列が進んでいくと、れいむはあるものを発見しました。誰が落としたのか食べかけのカロリーメイトです。
それを発見した瞬間、れいむは心が躍りました。まえに一度だけ食べた衝撃的な味を今でも覚えていたのです。

「ゆっくりしていってね!!」

れいむは、落ちているカロリーメイトに飛びつこうとしました。
身を屈め大きく跳躍しようとした時、れいむの頭にお兄さんとの約束がよみがえりました。

「ゆ…ゆ…」

目の前のカロリーメイトに飛びつくか、お兄さんとの約束を守るか、れいむの心はゆらゆらと揺れました。
「だめだよ!おにいさんとのやくそくはやぶっちゃだめだよ!!」
「ごちゃごちゃうるさいよ!!とっとととびつくんだよ!!!」
頭の中で良いれいむと悪いれいむが言い争いを始めます、れいむの心はよりいっそうゆらゆらと揺れてしまいました。

「ゆぐぅ!」

その時で、れいむ頭に正義の鉄槌が振り下ろされました。
この鉄槌により悪いれいむはぺしゃんこにされ、れいむの頭から迷いが消えました。

「おのれ…れいむ、これでかったとおもうなよ!!!」

悪いれいむは最後に捨て台詞を残して消えていきました。
正気に戻ったれいむに、後ろに並んでいた男が話しかけました。

「ごめんごめん、うっかり踏んじゃったよ」
「ゆっ…ゆっくりしたけっかがこれだよ…。」



「ふー、すっきりしたー」

トイレで見知らぬ人に声を掛けられ時間をとられてしまった俺は急ぎ足で列へと戻ってきた。
れいむはちゃんと並べているだろうか、用を足している間も不安で仕方なかったが、長蛇の列のなかにれいむの姿を発見しほっと安堵する。

「おーい、れいむー!」
「ゆっ!おにいさん!れいむちゃんとなんでいたよ!!やくそくをまもってゆっくりならんでいたよ!!これでゆっくりできるね!!!」
「アッー」

最後の最後でとんでもない失敗をしてしまった。
声に反応したれいむはこちらの姿を発見するやいなや、満面の笑みを浮かべこちらに駆け寄って来てしまったのだ。
列はすぐにつめられ、既に入り込めそうに無い。順番が近かったこともあり、後ろに並んでいた人も直ぐお目当ての品を手に入れ流れていってしまっていた。

唖然としている俺にれいむが心配そうに声を掛けてきた。

「ゆ?ゆっくりしていってね?」
「………………………………」



もう一度、並ぶ気力も起きない俺は、諦めて次の場所へと移動した。

そこは先ほどまでいた所とは少し離れた場所にある。
野外なので容赦なく日光の降り注ぐその場所は、先ほどの場所と同じぐらいの人がごった返していた。
きょろきょろとあたりを見回し目的の人物を見つけ出す。といっても面識があるわけでもないのだが。

「すいません、一枚いいですか?」
「あっ、はい!いいですよー」
「できれば、こいつと一緒に写ってもらいたいんですけど…」
「はい、かまいませんよ」

交渉が成立したところで、頭の上に載せていたれいむを差し出す。れいむは小刻みに震えていた。

「…れ!れみりやだー!!いやだー!!ゆっぐりぢだいー!!!」
「あの?こわがってませんか?これ」
「ああ、気にしないで下さい。いわゆるツンデレです。」
「そうですか、じゃあ…」
「やべでー!!!たべっだいっでー!!!」
「あのー、やっぱりこれ…。」
「あー、じゃあ一言だけ声を掛けてあげてください。…って。」
「はい、わかりました。コホン……ぎゃおー!たーべちゃうぞー!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

すっかりお姉さんと打ち解けたれいむは最高の笑顔をカメラに向けてくれた。
これはいい写真がとれた。満足した俺は帰り道が込み始める前に会場を後にした。


結局れいむは家の玄関につくまで白目を向いたままだった。
家に入り夕食の準備をしようと台所に入った俺は、カサカサと動く物体を発見した。
夏の風物詩「漆黒の侵入者」だ!!

「れいむ!きみにきめた!!」
「ゆっくりしていってね!!!」

俺はれいむをその物体へと投げつける。「漆黒侵入者vsうんこれいむ」だ!!


5分後、居間でくつろいで居る俺にれいむが勝利の報告に現れた。

「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪おにーふぁん!やっふふぇふぁよ!!」
「ああ、見せなくていいからさっさとかたずけろよ。」
「ゆっふりふぁふぁっふぁふょ!む~しゃ♪む~しゃ♪しあわせ~♪」
「ゆゆっゆっゆっ~♪れいむはれべるあっぷしたよ!!」
「ほーそーかそーか」

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最終更新:2022年05月03日 19:15