あるゆっくりの群れがゆうかの畑を奪ってから、三日たった。
「ゆ…おやさいさんはえてこないね、ゆっくりしすぎたおやさいさんだね…」
「おかしいんだぜ、どす!!いくらおやさいさんがゆっくりしてたとしてもまりさたちがこんなにおなかをすかしているのにはえてこないなんておかしいんだぜ!!」
「どす!!おなかがへったよ!!」
「このままじゃろくにすっきりもできないわ!!」
「やっぱりゆうかりんたちのいうことをきい「これはあのゆうかたちのわななんだぜ!!」ねー!!」
唯一まともな発言をしたちぇんの言葉をぱちゅリー亡き後いつの間にか側近になっていたまりさが遮った。
「ゆゆっ!?それはどういうこと!?」
「きっとあいつらはまりさたちがごはんをたべようたことがくやしくておやさいさんがはえないようにしたんだぜ!!」
「そ、そんな!?そんなゆっくりしないことをするゆっくりがいるなんて!?」
「どおぢでぞんなごどい゛う゛のおおお!?」
「わからない!?わからないよー!?」
「そうでもないといまだにおやさいさんがはえてこないりゆうがわからないんだぜ!!」
「ゆゆゆ…そんなとかいはじゃないのうかりんだとしっていたらわたしがほんとうのとかいはをおしえてあげたのに!!」
「これはゆゆしきじたいだね…ゆ!!みんな、しゅっぱつのじゅんびをしてね!?」
「どす!!どこにいくんだぜ!?あてはあるのぜ!?」
「このすこしきえかかったゆうかりんたちのあしあとをおうよ!!きっとゆうかりんたちはほかにもおやさいのあるばしょをしってたから
かんたんにここのおやさいさんをはえてこないようにしたんだよ!!」
「し、しょうどさくせんなんだぜ!?」
「まりさー!しょーどさくせんってなんなの?わからないよー?」
「あいてをゆっくりさせないためにじぶんがゆっくりできないことをかくごでまわりぜんぶのごはんやおうちをこわしていくことなんだぜ!!」
「そんなやばんなゆっくりはいかしておけないわ!!」
「きまったね!!みんな!!どすのいうことをきいてね!!これからゆっくりできないゆうかりんたちをおいかけるよ!!そしておやさいさんにさいくをさせるまえにおやさいさんをうばいとるよ!!」
「ゆー!!」
満場一致で歩き始めるドスまりさの群れ、しかし彼らはいくつか考えるべきことがあった。
三日も前に出発したゆうか達に果たして追いつけるのか?
そもそも三日間もなにも食べていない空腹の体で追撃戦など出来るのか、
そしてなりよりどすの見つけたゆうか達の足跡、それは本当にゆうか経ちの足跡だったのだろうか?
ここで遊んでいる三日間のうちに群れの誰かがつけたあとではなかったのだろうか?

ゆうか達はほとんど一言もしゃべらず、川沿いを延々と歩いていた。
もし他のゆうかたちが農耕をしているならきっと水場の近くだと信じていたからだ。
体力のないぱちゅりーは体力のあるゆうかと体の大きいれいむが交代で背負っていった。
「む、むきゅう・・・れいむ、もういいわ、ここでわたしをおろして・・・」
「まだ、まだだいじょうぶだよ!それよりぱちゅりーはまだすこししかやすんでないしょ?のりごこちはわるいとおもうけどれいむのせなかでゆっくりしていってね!!」
「ちがう、ちがうわれいむ、わたしはこのままここにいてもみんなのあしでまといにしかならない、だからわたしをたべていってね・・・」
「だめだよー!!わからないよー!!ぱちゅりーもいっしょにいこうよー!!」
「ゆうかりん、あなたならわかるでしょ?こんなぎりぎりのじょうきょうではぱちゅりーこそがまっさきにすてられるべきそんざいなの、ぱちゅりーのかちはむれをきけんにさらさないこと、
すでにきけんにさらしてしまったぱちゅりーはいらないのよ」
「・・・ちぇんはどうするの?ぱちゅりーのむかしからのおともだちだったんでしょ?」
このちぇんはぱちゅりーと一緒にいるところをれいむに発見された、昔からの友達だった。
「そうだよ!!ぱちゅりーがいないとちぇんはこまるんだよ!!かなしいんだよ!!」
「ちぇんはわたしなんかよりとてもゆっくりしたゆっくりよ、きっとゆうかりんたちのやくにたつわ、だからちぇんのことはゆっくりおねがいするわ」
「ぱちゅりーにはおいものふやしかたをおしえてもらったわ、そのおんはまだかえしてない、おんをかえすまえにそのおんゆっくりをくえと?」
「わたしをたべることがわたしへのおんがえしよ、ゆうかりん。もしたべないっていったらさあ、たべなさいするわよ」
さあ、たべなさい
それはゆっくりがそのゆっくり生でただ一度だけ使える技である。
いきなり縦に割れるという「使用=死」につながるそれはゆっくりがなんとしても自分を食べて欲しいときにおこなう最後の技なのだ。
それを目の前でされたゆっくりはなんとしても相手が生きている間に一口以上口に入れなければならない。
食べなさいと言って食べられないのはゆっくりにとって最大の辱め。食べなさいと言われて食べないのは相手への最大の侮辱だからだ。
ちなみにさあたべなさいのことをしっている野生のゆっくりはほとんど居ない。
ただ、その単語を聞いたとき。本当に大好きな、自分を食べて欲しい相手が現れたとき。そしてそれがおこなわれる光景を目にしたとき本能が思い出すとか言われている。
「・・・わかった、さあたべなさいはしなくていいよ、いまたべるから」
「むきゅ・・・ありがとう」
礼を言うぱちゅりーをれいむの背中から引き摺り下ろす。
「ゆ、ゆうかりん、ほんきなの!?やめてね、ゆっくりやめてね!!」
「やめてよー!!ゆうかりんやめてねー!!」
ぶちっ!!
「むぎゅ!?・・・むきゅ?」
どうしたんだろう?食べられたはずなのに、ほとんど痛くない・・・後ろを振り返ってみるとゆうかりんが紫色の細いものを何本か、むーしゃむーしゃしていた。
「これでわたしはぱちゅりーをべたわ、さあ、おのりなさい」
「どうして、どうしてちゃんとたべてくれないの!?」
「たべたじゃない、それともなに?おいものおんをかえして、いまはあなたにせなかにのせてあげたおんをかえしてほしいのにそのわたしにさあたべなさいをするの?」
「む・・・むきゅう・・・むきゅう・・・」
「このおんは、いつかわたしののぞむほうほうでかえしてもらうわ・・・」
それから毎日、このグループは少しずつ自分以外の相手の髪の毛をかじって生きた。
とってもゆっくり出来なかったが、それでもこの四匹はこの空間で一番ゆっくり出来ていたゆっくりだろう。



この群れがお互いの髪の毛を食べ始めてからさらに二日、四匹のゆっくりの髪はぼろぼろだった。
「ん・・・」
「ゆ?どうしたの、ゆうかりん」
途中で歩みを止めたゆうかがある一点を見つめた、その直後、急に顔つきが真剣になる。
「・・・みどりのにおいがする」
「ほんとう!?ゆうかりん!?」
「ほんとうよ、いそいで、いやなよかんがする」
「む、むきゅうー!!」
「ぱちゅりー、ゆっくりしないでせなかにのってね!!」
「きんきゅうじたいなんだね!!わかるよー!!でもほんとうはきんきゅうじたいじゃなかったらいいねー!!」

全力で走るゆうか達の目に確かに緑色と、黄色のものが見えてきた。
それはひまわりだった、よく見れば他の草花や野菜も少しではあるが生えている。懐かしい光景に一瞬だけ涙が出そうだったが、出る前に涙は引っ込んだ。
なにやら妙に騒がしいのである。

「ゆ・・・ぐ・・・」
「お、おかあちゃん!!おかあちゃん!!ゆっちゅり!!ゆっちゅりはやくよくなっちぇね!!」
「じ・・・じゃおおぉぉぉん!!じゃおん!!じゃおおぉぉぉん!!」
「ち、ちんっぽー!!くるんじゃないちんぽ!!」
「さ、さいきょーのあたいがいるのよ!!あんたたちはやくかえってほうがじぶんのためなんじゃない!?」
ひまわりを背にして横たわるゆっくりゆうか、片方の眼窩は空洞になっていて体中からあんこが流れ、もう誰が見ても手遅れだ。
そしてそれに擦り寄る野球ボールサイズの赤ちゃんゆうか、泣き叫びながら親に擦り寄ることしか出来ない。
そしてその二匹をかばうように立つめーりん、みょん、ちるのの三匹。
彼女たちは60匹近くはいるゆっくりの群れに包囲されていた。
「ゆっへっへ、もうがまんできないんだぜ、はやくそこのしにぞこないとうしろのひまわりをくわせるんだぜ!!」
リーダー格のまりさがそういうと周りの取り巻きが「ゆっへっへ」「はぁはぁ」とか笑い始めた。
「な、なんでこんなひどいことをしたんだみょん!?ゆうかがなにをしたというんだみょん!!」
「じゃおん、じゃおおぉん!!」
「そのゆうかはまわりのゆっくりにごはんをたべさせてるっていうからきてやったのにすこしのはっぱしかたべさせてくれなかったんだぜ?
そんなゆっくりできないゆうかはしんでとうぜんだぜ!!」
このりーだーまりさ、この空間に現れて最初にここを城にしようとしたり、ゆっくりから略奪行為をしたりしたまりさだった。
このまりさは旅をしていく途中で積極的に生きたゆっくりを食らうゲス共をまとめ、群れのリーダーになっていた。
この世界にゆっくりの常識は通用しない、なら、今ある常識をぶち壊して自分を常識にしてやる。
それがこのまりさの考えだった。
「そ、それはゆーかがこのひまわりをずっとたべれるようにするためにしかたのないことだったってあたいはきいたわ!!」
そして、今死に掛けているゆっくりゆうかはここに来て、農耕をはじめこのめーりん、みょん、ちるのといっしょに農園をやってきた。
基本的に他者を嫌うゆうかであるが、子持ちだったからか、付近のゆっくり達にほんの少量だが植物を分けていたのだ。
だが、その周りのゆっくり達もまりさの群れに食われて滅んだ。
「そんなのしらないんだぜ!!まりささまがごはんをたべたいといったらゆうかはまりささまがまんぞくするまでごはんをだせばよかったんだぜ!!」
周りの取り巻きが「そーだそーだ」「さすがりーだーだぜ!!」「はぁはぁ、すっきりしたい・・・」まりさに賛同した。
「なにがりーだーなんだみょん!!おまえみたいなほかのゆっくりをないがしろにするやつはりーだーじゃないみょん!!」
「じゃおおん!!」
「そんないっぱいこどもをつくってけっきょくみんなのごはんをへらすあんたなんかよりさいきょーのあたいがりーだーになったほうがよっぽどましね!!」
「おなかをすかせたあかちゃんをいっぱいつくったじてんでりーだーなんてえらそうにしないでもらいたいみょん!!」
「あかちゃん?これのことなんんだぜ?」
ぱくっ!!
「え・・・?」
あれ?おかしいな、いまさっきあたいのめのまえに、あいつのあしもとにあかちゃんが・・・
「うっめ、めっちゃうめ」
「ああああ・・・あんた、むれのあかちゃんを・・・」
「じゃおん!?じゃおおぉぉん!?」
「ち、ちんぽ・・・」
「もういきたゆっくりとかたべたらだめとかいうるーるはいみがないんだぜ、すっきりしたいときにすっきりする、たべたいときにたべたいものをたべる、それがさいこうのゆっくりなんだぜ」
「そこまでよ!!」
「ゆっ、だれなんだぜ!?」
「そのひまわりはこのせかいでみんながゆっくりするのにひつようなものなのよ!!それをあなたたちみたいなわるいゆっくりにあげるわけにはいかないわ!!」
あのぱちゅりーだった、あのゆうかも、あのれいむも、あのちぇんも居た。四匹はまりさの群れを脇を通り、めいりん達と一緒にひまわりを守るように立ちふさがった。
「な、なんであんたたちここにきたのさ、まきこまれにきただけじゃない?」
「ちぇんはね、みんなでいっしょにゆっくりしたいんだよ、そのためにはこんなわるいゆくりにむしゃむしゃしてほしくないんだよ!わかるよねー!!」
「じゃおおおん!!」
「みんながゆっくりとかそういうのはかんけいないんだぜ!まりさはまりさがゆっくりできればそれでいいんだぜ!いまのうちにないてあやまればゆるしてやらないこともないんだぜ?」
「ゆっくりことわるよ!!」
「あなたたちはここのひまわりをぜんぶたべちゃうわ!!そしたらもうここにはゆっくりぷれいすはできなくなるのよ!!」
「そんなうそにはだまされないんだぜ!!だいいちそこのしにぞこないゆうかがいるころからかってひまわりがはえてくるってきいたぜ!!」
「それはゆーかがそだてたからはえてきたのよ、そんなこともりかいできないなんてあんたったらあたいよりばかね!」
「ゆゆっ!?」
馬鹿の代名詞とも言えるゆっくりちるのに馬鹿呼ばわりされたまりさの動きが止まった、そして赤ちゃんゆうかを慰めていたゆうかが口を開いた。
「ゆっくり、しね」

「殺すんだぜ!!まりさ様に逆らうやつは皆殺しにするんだぜ!!」
























「ゆへ・・・ゆっへへ・・・ゆっへっへっへ・・・やったぜ!!ついにまりささまのゆっくりぷれいすをてにいれたんだぜ!!これはまりささまのひまわり!!ここはまりささまのかわ!!
そしてこのせかいは・・・まりささまのものなんだぜ!!!!」
20個以上のつぶれた饅頭のあるひまわり畑、その中心でまりさは叫んだ。
周りのゆっくりからはまりさをたたえる声だけが聞こえていた。







二か月後


「ふぅ、このどすまりさもほとんどくいつくしてしまったんだぜ…」
そう言って巨大な帽子の前で溜息をついたのはあの群れにいていつの間にかドスの側近になっていたまりさだった。

ゆうか追跡の旅は過酷なものだった。野菜を食べた後また群れの一部がすっきりしてしまったため、一匹を残して子供を食い、毎日移動を続けた。
「どす!!いつになったらゆうかりんにおいつけるの!?」
「どすにもわからないよ、でもどすたちみたいなたべるものはないはずだからきっとすぐにおいつけるよ!!」
どすはゆうかたちはきっと他にもゆっくりプレイスを持っていて、そこに移動したと考えた。だから、仲間とは言え何とか食事できている自分たちが行けない場所にいるはずはないと読んでいた。
だが、ゆうか達が向かった方向とは違う方向に向かって移動していたためにゆうかどころかほかのゆっくりにすら遭遇しなかった。
そしてついに、餓死者を食い、移動を続けているうちに群れはドスとまりさとありすの二匹だけになった。
そしてドスは最期の決断をする。
「さあ!たべなさい!!」
ドスはこれ以上移動を続けるのは不可能だと考えた。
今こそ、自分の身を犠牲にして仲間を救うときだ。そう考えた。
自分の体ほどの大きさならまりさとありすが子供を作っても赤ちゃんが子ゆっくりに成長するまで、いや、それ以上の食料になれる。
子ゆっくりまで育ったら残った自分の体をまりさ種の帽子の中に入れて、それを食べながら移動する。そうすれば一週間は移動できるだろう。もしかしたらゆっくりプレイスに辿り着けるかもしれない。
どすが、この計画を話すとまりさは泣いて、ありすはすっきりへの期待に興奮しながら承諾した。だが、割れたドスが最後に見たのはまりさがあり巣を食い殺す光景だった。
「ふん、まったくむのうなどすにしたがうのはあきあきしたぜ、いままでどすにしたがっていいことなんかなかったんだぜ、ありすとすっきりしてこどもをつくるなんてゆっくりしてないぜ
まりさのとりぶんがへってしまうんだぜ」
ドスはまりさとありすに子供を作ってもらいたくて、少しでも全員に長生きしてもらいたくて二つに割れたのに、まりさは自分の取り分が減るという理由でありすを殺したのだ。



「くそう、なんでなにもないんだぜ?なんでまんじゅうすらないんだぜ?」
そういってあたりを見回しながらため息をついたのはまりさの国を作ると宣言したまりさだった。

最初にひまわり畑を制圧したときは楽園だった。だが途中でまりさはおかしなことに気がついた。
何日たってもすでに食べた所から草が生えてこないのだ。
このままではいずれゆっくりできなくなる、だが、ここの他のゆっくりプレイスには心当たりがなく、最近はゆっくりの死体だけを食べるようなゆっくりすら見かけなくなってきていた。
このままでは群れの崩壊は時間の問題だ。もともと、こいつらはまりさ王国建国のための駒だ、敵対する相手が見当たらない以上、消費しか生み出さない駒は処分するべきだ。
そう考えたまりさは毎晩、皆が寝静まった頃に間引きを実行した。
最初はよわいぱちゅりーや子供を、次は自分への従属度の薄い新参を少しずつ消していった。
最初のころは「ゆ?こどもがいない?きっときのせいなんだぜ」で済また。
群れ全員が毎日家族が消えてることに気付いてからは毎日数匹づつが夜見張りに立つようになった。
見張りが立つようになってからはその見張りをゆっくりの餡子で買収し、一晩で群れを全滅させた後餡子を食ってしあわせしている見張りを不意打ちで殺した。



このゲスまりさ二匹が、お互い飢え死に寸前という状態で出会ったのは何かの運命だったのかもしれない。
「ゆ…」
「ゆ…」
「よく、いままで…」
「よかったぜ…まんじゅうがいままで…」
「「よくぞいきのこっていてくれたぜ!!」」
最後のまりさと最後のまりさはお互いに相手に食らいついた。そしてお互いを喰らい合い、お互い、空腹が満たされるしあわせを感じながら死んでいった。





そこには、なにもなかった
ある時、一万の命が生まれた
その命は、二か月ですべて消えた

そこには、なにもなかった
ほんとうに、なにもなかった
なぜなら、「そこ」自体がなかったからだ





「これがお前の…夏休みの成果か?」
「どうだ?すごいだろう?」
「あほかぁーっ!!」
「ぐはっ!?」
体育館ぐらいの大きさの建物の前で、紙の束を読んでいた男がもう一人の男を殴った。
「な、何をする!?」
「夏休みを一つ丸々つかった研究の成果がこのおかしなケータイ小説か!?」
「まぁまて、落ち着け、これにはちゃんとした研究があってな?…その顔は信じてないね、まあ中に入ればわかるさ」
二人は建物の中に入っていった。

「なんだ?これは…」
さっき男を殴った方の男はあまりの光景に声が出なかった。
外から見た建物は体育館ぐらいの大きさがあったのに、中は異様に狭い。
人一人通るのが精いっぱいな通路が迷路のように張り巡らされていた。
「こ、これは…」
「これが我が学園ゆっくり研究部が夏休み中に開発に成功したゆっくりこんぴゅーたーだ、お前の持っているその紙はこの機械のテストを行った時にシミュレートしたものだ」
ゆっくりこんぴゅーた?確かに言われてみれば奥の方に黄色い液体…たぶんオレンジジュースだろう…の詰まったタンクがある。
通路の壁には小さい透明な箱が何個も重なってできているらしく、内部にはオレンジジュースで満たされた茶色い塊が鎮座していた。
「このゆっくりコンピュータはゆっくり二万匹分の餡子を用いている。半分の餡子セルは並列処理用、残りの餡子セルの一つ一つにゆっくりの種類、基本性格、成長度合い、他ゆっくりとの関係を入力することで
いままでどのコンピュータにもできなかった一万匹分のゆっくりの完全な行動パターンをシミュレートすることができるんだ。」
「じゃあこの紙は…」
「そう、地球環境科の地球シミュレータと連動することでゆっくりのみの生態系をシミュレートした結果だ、素晴らしいだろう?これがあれば簡単に一万匹のゆっくりが苦しむ姿を見ることができる」
「うーん…確かにすごいことはすごいんだろうが…」
自信満々な男と違い、こっちの男はどうも不服そうな表情をした。
「だろう?ゆっくり虐待部の君なら気に入ってくれると思ったんだ」
「でも虐待って、機械で見ても面白くないんだよな、やっぱ自分の手で虐めないと」
「え?」
「それにこの機械、場所も食うし維持費がかかりそうだから無駄なんじゃないかな?」
「し、しかし一度に一万匹の…」
「いや、一万匹のゆっくりを虐待したいなんて奴普通はいないから」
「ちくちょお!!せっかく夏休みの間不眠不休で研究してたのに!!」



「まあ、その、なんだ?農協とかにゆっくりの畑荒らし予想のデータとか送ったりすれば役に立つんじゃないかな?」
「あ、ありがとう、君はやっぱり心の友だよ…」




9月27日 2348 セイン

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最終更新:2022年05月03日 16:49