注意
この作品では美鈴が極悪人です。しかも北斗神拳と南斗聖拳を当然のように使います。
美鈴が好きな方、ゆっくりが虐殺されるのを見たくない方、北斗の拳がわからない方は読まない方がいいと思います。
以前北斗ネタで書かれた方とはまったくの別人です。
北斗の拳は面白い漫画なのでぜひ読んでね!






紅魔館の門の前。紅美鈴は門の柱に寄りかかってうなだれていた。
彼女は決して眠ってはいない。意識はむしろ覚醒している。眠った振りをしているのは、単に体力を浪費したくないからである。
帽子の下では目がぎらぎらと輝き、一見力を抜いたように見える体には生気がみなぎっている。間合いに近付けば、間違いなくやられる。格闘技を齧った人間なら、彼女の隙のなさに気づくはずだ。
「みんな、きょうはあのバカなババアがねているよ!ちゃんすだよ、まりさ!」
「ゆっへっへ!みんな、さわがずにまりさのさくせんをよくきくんだぜ!あのババアはねているんだぜ。そのまえをしずかにとおりすぎるんだぜ!」
「わかったね、おちびちゃんたち!あかちゃんはくちのなかにはいってね!しずかにとおるんだよ!」
「「「ゆっくりりかいしたよ(ぜ)!!!」」」
なんだ、ゆっくりか。彼女はにんまりと笑う。
基本的に「~だぜ!」としゃべるまりさは下衆まりさと言われ、その餡は遺伝的に優勢なのか、下衆の子は下衆になる。そのためまりさ種の中でも個体が多い傾向にある。
なんでも研究者の話では、餡が特殊だから結局下衆は下衆でしかなく、一流の調教師がどれだけ調教しても結局自分本位で自己中心な性質が取れることはなかった。
つまりどれだけ調教したところでいつかは化けの皮がはがれるため、ペットにも向いていない。そのくせ怠けたがるしすっきりはしたがるというわけだ。下衆の名に相応しい生き物なのである。
「そろーり、そろーり…」
「おかあちゃん、ぎゃんばっちぇ!!」
「しーっ!あかちゃん、さわいじゃだめだよ!」
「そういうおかあさんがいちばんうるさいぜ!しずかにするんだぜ!」
「まりさもうるさいよ!」
バカな奴らだ、と美鈴は思った。「そろーりそろーり」と自分で言っている。この声の時点で既に静かではない。
しかも普段より声のボリュームを落としているのならともかく、ほとんど変わっていない。それどころかむしろ普段より大声になっている気もする。こんなキンキンした声で騒がれていたら、冬眠中の八雲紫ですら眠りが醒めかねない。
美鈴はおもむろに立ち上がり、「うまくいったんだぜ!」と言ってきゃあきゃあ騒いでいるゆっくりたちに背後から近付き、指を素早く動かした。
「ゆっ?」
「ゆっ…まりさ、さわった?」
「さわってないんだぜ。れいむこそさわったんだぜ?」
「さわってないよ!あかちゃんたちもさわってないよね!」
「ゆーっ!」
指はすべて、ゆっくりのある部分を貫いている。そのことに、ゆっくりは気づく余地がない。
これは美鈴が書物で齧って手に入れた「醒鋭孔」という技を、独自に改良したものだ。ちなみに本来は人間相手にやる奥義である。
美鈴はゆっくりたちを引っつかみ、門の外へと出した。そしてその中の子まりさ(下衆)を叩き潰す。
「ゆびゃびゅ」
「れ、れいぶのちびじゃんがああああああああ!!!」
「まりざのがわいいごどもがあああああああ!!!」
「まりざあああああ!!!」
「おねえじゃあああああああんん!!」
「どぼじでごんなごどずるのおおおおおおお!!」
「ふぅ…私じゃあドスにはかなわないなぁ。ドスだったら私、殺されちゃうなあ!」
美鈴はそう言って、再び寝た振りをする。ゆっくりたちはひそひそ声(笑)で会議をはじめた。
「あいつはいまはすきだらけだぜ。いまのうちにやっつけるぜ!」
「まりさ、きいてなかったの!?さっき「どすにはかなわない」っていってたよ!かわいいおちびちゃんがころされちゃったんだよおお!?」
「どすにいいつけてたいじしてもらおうよ!!!いまならにげられるよ!!!」
「ゆぅ…おねえじゃん…ぐずっ…」
「そうだぜ…しかたがないぜ、ここはたいきゃくするぜ!!!おぼえてるんだぜクソババア!!!」
ゆっくりはぴょんぴょんと、ボールのように跳ねて逃げていく。美鈴は起き上がり、その様子を見送りながらにやにやと笑う。
いい暇つぶしができそうだ。書物で齧った拳法、どこまで通用するか見てみたい。

こうして下衆なゆっくり一家は群れに戻ることができた。
ドスは今、側近とともに人間の里に行っている。帰ってくるのは今日の夕方頃になるらしい。まりさたちは、美鈴の悪行を伝えまわった。
無論、自分の非は隠して。いや、自分たちが攻撃されるようなことをしたという自覚はないのかもしれない。
「ゆーっ、それはゆるせないよ!」
「わるいことをしていないれいむたちをいじめるなんて、さいていなにんげんだね!」
「そうなんだぜ!まりさたちはひがいしゃなんだぜ!」
「どすにたのんでたいじしてもらうよ!」
ゆっくりたちの間で、「美鈴を倒そう」という意見が纏まっていく。これならドスまりさも動かざるを得ないだろう。
まりさはしめしめと笑っていた。AAでいえば「おおこわいこわい」の顔である。虐待お兄さんでなくても殴り殺したくなるよね、あの顔。

一方巣の中では、母れいむが子供たちを寝かしつけていた。
「ゆぅ、ゆぅ…」
「よしよし、れいむのかわいいあかちゃん!おうたをうたってあげようね!ゆゆゆー♪ゆゆー♪」
聞くに堪えない子守唄を歌いながら、母れいむは赤れいむに頬擦りをする。異変はそのとき起こった。
「ゆぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!」
「ゆっ!?ど、どうしたのあかちゃん!」
「いぢゃいよおおおおお!!!いぢゃいよおおおおおおおお!!!」

「いたいのいたいのー、ゆっくりしていってねー!」
「いぢゃいいいいいいい!!!」
頬擦りされた場所も、舌で触れられた場所も、針で貫かれたように痛い。赤れいむは餡を吐きながら、痛みに必死に耐えていた。
「ゆっ?どうしたんだぜ?おねーちゃんがゆっくりなおしてやるんだぜ」
見かねた子まりさが、友人のぱちゅりーに教えてもらった痛み止めの薬草をくわえてやってくる。キラキラと輝く美しい草だ。
ちなみにその薬草は、妹のれいむが宝物にしているものである。さすが下衆、他人の宝物はどうなったっていいらしい。
子まりさはそれを、赤れいむに押し付ける。この草は痛い場所に押し付けることで、その原因を取り除いてくれる。しかし…
「ゆびゃあああああああああああああああああああああああ!!!いじゃああああああああああああああああ!!!ぎゃあああああああああああああ!!!」
赤れいむはぎゃあぎゃあと耳障りな…しかし子守唄に比べれば数倍は聞き応えのある悲鳴を上げ、餡を吐き始める。
「もっと…ゆっぐり…じだがっだよお…」
そして赤れいむは苦悶に歪んだ表情で、その天寿を全うした。
「まりざあああ!!!なにをやっでいるのおおおおおお!!!」
「れ、れいむがわるいんだぜえええ!!!れいむがかってにしぬのがわるいんだぜええええ!!!」
母れいむは子まりさを血走った目でにらみながら攻め立てるが、子まりさには悪気がない。
まりさのしたことは、普通なら間違っていない。普通の痛み…人間で言えば内出血や骨折に当たるようなものでも、この薬草を当てれば治るのである。
しかし痛みの原因は「普通の痛み」ではなかったのだ。神経がむき出しになっているため、何かが触れるだけでも激痛が走る。それが痛みの原因だったのだ。

奥義「醒鋭孔」。それは神経をむき出しにする経絡秘孔を突く技である。その状態でものに触れると、身を引き裂くような激痛が走る。
本来は速効性の攻撃だが、美鈴はそれを改良し、時間差で効果が出るようにした代物。
ちなみに本来は人間に刺す暗殺用の技なので、絶対に使ってはいけない。

「ゆぎゃああああ!!!」
親の下衆まりさも、悲鳴をあげていた。弱っていたゆっくりぱちゅりーをレイプしていたときに、醒鋭孔の効果が出たのである。
「む、むきゅう…」
「いだいよおおおおおおおおおお!!!ぎゃああああああああああ!!!」
下衆まりさは悲鳴をあげながらぴょんぴょんと跳ね回る。しかし跳ねるたびに激痛が走る。そして激痛が走るたびに跳ねる。その様はまるでバスケットボールだ。
「ごおおおおえええええええ!!!ごぎゃあああああああ!!!ぶぎいいいいいい!!」
虐待お兄さんでも、ここまで素晴らしい悲鳴は出せないだろう。歩くことも、何かが触れることも、風がそよぐことすら痺れるような痛みへと変換される。
「ぐおおげげ…がっ…ぐごごが…」
白目を剥きながら、まりさは何とか巣へと跳ねていく。こんなに痛いのではすっきりできない。巣へ行って治そう。本能がそう告げていた。
ちなみに弱っていたパチュリーは一命を取りとめたものの、その後ゆっくりありすにレイプされて命を終えてしまった。

下衆まりさとれいむの子供たちの1匹に、人気のゆっくりれいむがいた。それほど美人というわけではないが気立てがよく、歌が上手だったのだ。
「ゆっゆー♪ゆゆゆっゆー♪」
この歌れいむ、歌が上手だとおだてられたためか歌うのが趣味であった。切り株の上でよくライブを開いている。
その歌は、群れのゆっくりたちをゆっくりさせる憩いの材料となっていた。
「ゆゆっゆー♪はい、おしまい!」
「すごくじょうずだよれいむう!!!!」
歌が終わったと同時に、そのれいむに好意をよせていたまりさが、歌姫れいむに頬擦りをする。その瞬間、悲劇は起こった。
「ゆっぎゃあああああああ!!!いだいよおおおおおおお!!!じびべびゅびょおおおおおおお!!!」
「れ、れいむ!?どうしたの!?」
「むっきゅん!?」
「ちーんぽ!?」
周囲のゆっくりたちが急いで歌姫れいむのもとへと駆け寄る。
「い、いだいよお…」
「れいむ、ごめんね!いたいのいたいのー、ゆっくりしていってねー!」
まりさは自分が悪いと思い込み、先ほど頬擦りした部分を舌で舐める。無論、それは激痛へと変換される。
「ゆぎぃいいいいいいいいいいいい!!じねええええええええ!!!ざわるなああああああ!!!」
「まりさがいけないんだよ!!!まりさがこのれいむをゆっくりさせないんだね!!!そんなゆっくりはいきているかちはないよ!!!」
歌姫れいむに好意を寄せていた別のまりさが、ライバルを蹴落とすチャンスとばかりにまりさを責め立てる。
「ゆっくりしねぇ!」
「ゆびぇ!?」
「ゆっくりしんでってね!ゆっくりしんでってね!」
「ゆばぁ!!!」
そのまりさは、何も悪いことはしていないにも関わらず、周囲のゆっくりたちに袋叩きにされて死んでしまった。
「もうだいじょうぶだよ、れいむ。わるいまりさはやっつけたよ!いたいのいたいのー…」
「ぐぎゃあああああ!!!もっどいだいいいいいいいいい!!!」
「ゆ゛っ!?」
蹴落としたまりさは目を白黒させる。何故だろう。悪いゆっくりをやっつけたのに、自分は何もしていないのに、どうしてこのれいむは痛がっているんだろう。
無論、その結末は知れたものであった。
「おまえもこのれいむをゆっくりさせないわるいゆっくりなんだね!そんなげすまりさはさっさとしんでね!」
「しね!」
「ゆっくりちにぇ!!」
まりさは頬を噛み千切られ、帽子を引きちぎられ、そして叩き潰された。
そして別のゆっくりがれいむの痛みを取ろうと「いたいのいたいのー」をする。そのたびにひどくなる激痛でれいむが悲鳴を上げる。
そして危害を加えたと勘違いした周囲のゆっくりが、そのゆっくりを殺し…その螺旋が、ドスまりさが帰ってくるまで続いた。

巣の中はもはや阿鼻叫喚であった。
「ゆがやあああああ!!!ぢゃづげでええええ!!!」
「ゆっぐりでぎないよおおおおお!!!」
「ちょうちょさんもりんござんもだべられないよおおお!!!」
「ぎれいぎれいもでぎないよおおおお!!!」
「れいむがわるいんだぜえええええ!!!」
食事も水浴びも休憩もままならぬ。下衆まりさは伴侶のれいむに責任を押し付ける。虐待お兄さんの家や加工場でも、ここまでひどい悲鳴は聞けないだろう。
今このゆっくりたちを食べれば、餡のあまりの甘味に舌の感覚が死にかねないだろう。
そこに、ドスまりさたちがやってきた。
「どすがきたよ!しつれいがないようにするんだよ!!!」
「どずまりざあああああ!!!だずげでえええええ!!!」
ドスまりさ…このドスは体長4メートルほどの結構大柄なものだ…を見るなり、一家は泣き叫びながらドスのもとへと這っていった。
「さっきおまえたちのむすめがとてもいたがっていたよ。あれはただのけがじゃないよ」
ドスが心配そうな声で、下衆一家に声をかける。殺しあっていたゆっくりは今、ドスの腹の中で「処刑」されているところだ。
ドスまりさは、責任転嫁で殺しあっていた群れの仲間には何の興味も持たなかった。ああいうすぐ責任転嫁をするゆっくりは群れにとって害悪なのだ。始末する手間が省けてよかった、とすら思っている。
この一家もあのマドンナれいむを残して死んでくれないかな、とひそかに思っていることは秘密だ。
「むっきゅん!あれはからだがひめいをあげているのよ!あなたたち、きょうはなにかされたのかしら?」
その側近のぱちゅりーが、えらそうな調子で一家にたずねる。
「あ、あがいおやじぎのばばあに…あだまをづづがれだんだぜ…」
「ゆぅ…それがげんいんなんてかんがえられないよ」
「むっきゅん!もっとちがうものはないの!?」
「ぼんどになにもじでないよおお!!!ぞれなのにあのばばあ、れいぶのがわいいぢびじゃんをごろじだんだよぉ!!!」
「みんないってたね。ほんとうになにもしていないんだね?」
「ぼんどうでずううううう!!!そのばばあはどすにはがでないっでいっでまじだ!!!」
「むっきゅん…どす、それならみせしめのためにころして、ひとざとからさらにさくしゅしましょう!あかいおやしきのひとをころせば、にんげんはふるえあがるにちがいないわ!」
側近のぱちゅりーが提案する。ドスはすぐさまそれに乗った。
「たしかにあのかわいいれいむをあんなめにあわせるのはひどいよ。ほうふくせんそうだよ!なかまをみんなであつめてね!こうまかんにしゅっぱつするよ!!!」
ドスは号令を出した。
戦争だ。紅魔館との全面戦争である。
ちなみにドスにとって重要なのはぱちゅりーのご機嫌取りとマドンナれいむの評価を上げることだけで、他のことなんてどうだっていいと考えている。
意外と好色なドスまりさなのかも知れない。

深夜。美鈴が眠りこけていると、「ゆーっ!!!」という号令が聞こえてきた。
「…おいでなさったわね」
美鈴はそういいながら大きく伸びをして、近くにある加工場製の袋の口を広げる。
そして枕にしていた拳法の本を素早く読み返して閉じ、何度か構えを取る。
完璧だ。新しい拳法の威力が確かなものなら、新しいスペルカードにつなげられるかもしれない。
「ゆーっ!!!」
それから15分ほど。500メートルほどの道のりを、ゆっくりたちはゆっくりとしたスピードで
「ほう、あなたがドスまりさね」
「おまえのようなババアはゆっくりしんでってね。まりさたちのむれにてだしをするのはぜったいにゆるさないよ」
「手出し?」
「かわいいれいむをいたがらせたね」
ドスの口の中から、涎まみれになって白目を剥いて痛がっているゆっくりが出てくる。マドンナれいむである。
ちなみにこの一家は今、群れの最後尾を必死になって這いずっているところだ。誰も助けようとしないあたりがゆっくりクオリティ。
「あれ?…他には?」
「ないよ。でもそれだけでもばんしにあたいするんだよ。このれいむはおうたがじょうずで、みんなおうたをたのしみにしていたんだよ。
なにもしていないこのれいむをどうしていたがらせたの?ばかなの?しぬの?」
美鈴は何か拍子抜けしたような気がした。復讐の炎を駆り立てるためにわざわざ殺して、一家を死より残酷な目にあわせたのに。
それなのにこいつらはその群れの一匹のことしか心配していないのだ。
「…ま、所詮ゆっくりよね」
「ゆっくりはんせいしてね。れいむをなおすならとくべつにゆるしてあげるよ」
「治さないなら?」
「ゆっくりしんでいってね!!!」
窓から赤い瞳がこちらを見つめる。おそらくこの館の主が暇つぶしに、ワイングラスに入ったグレープジュースを片手に見学しているのだろう。それならば、失態を犯すわけにはいかない。
美鈴はにやりと笑い、帽子を被りなおす。星型のエンブレムが、月光を反射してキラリと輝いた。
足元に10匹ほどのゆっくりみょんがまとわりつく。動きを止めているつもりらしい。
「ゆっくりしねぇぇぇぇ!!!」
そしてドスまりさが「どすすぱーく」の準備を始める。動きを止めて、その間にどすすぱーくでトドメを刺すという、子供でも思いつく作戦。
あまりの稚拙さに、美鈴は高笑いをしはじめた。
「なにがおかしいんだちーんぽ!?」
「愚か者が!それで私に勝ったつもりか!」
美鈴は妙なポーズを決め、そして人差し指を勢いよく振り下ろした。
衝撃波がドスまりさの体のちょうど真中を走る。しかし、何も起こらない。
「ゆっ?…ぜんぜんきかないよ!まりさをたおそうとするなんていいどきょうだね!ぜったいにゆるしてあげないよ!!!
おまえはまりさたちのどれいにしてやる!!!まいにちすっきりさせるにくべんきにしてやるからかくごするんだよ!!!」
ドスまりさは攻撃が失敗したと思い込み、にやにやと不敵に笑う。口元の光が最大の大きさに達する。
その場にいたゆっくりは全員、ドスまりさの勝利を確信した。
「どすすぱーぐらじゃらぼら!?」
しかしどすすぱーくが発射される瞬間、ドスまりさは突然真っ二つに裂けたのだ。
「ま、まりざのがおがああああああああ!?」
「どずまりざがあああああ!?」
「…結構かっこいいわね、この技」
美鈴は人差し指を見ながら言う。これは「南斗鷹爪破斬」という奥義で、素早く人差し指を振り下ろすことで衝撃波を発生させる技だ。
「みんな!どすをたすけるよ!!!」
「ぢーんぼおおおお!!!」
たくさんのゆっくりが、真っ二つに切り裂かれてそれぞれ別方向に倒れているドスまりさを立て直そうとする。
「ゆーえす!ゆーえす!」
本来ならこの間に攻撃をしたほうがいいのだろう。しかし美鈴はそれをあえてしない。今ここで殺してしまえば、もうひとつの試したい技が試せなくなるからだ。
何とか傷口同士がくっついたドスまりさの切断部分を、ゆっくりがぺろぺろと舐め始める。こうして皮の癒着を早めているのである。
「ゆぅ、ゆぅ…ばばあめ…よくもやってくれたな…ドスまりさはもうおこったんだぜえええええええええ!!!」


「むっきゅん!どすがむかしのことばづかいにもどったわ!どすがほんきでおこっているのよ!」
ぱちゅりーが説明する。
「ゆっぐり、じねええええええええ!!!!あのよでゆっぐりごうがいじでいっでねえええええ!!!」
ドスまりさは、ゆっくりらしからぬスピードで突撃してくる。
美鈴はその顎にアッパーカットを繰り出す。
「ゆっ!?」
「南斗紅鶴拳奥義!血粧嘴!」
そしてできた大きな隙に、美鈴はドリルのように回転しながら突っ込んでいく。
「ゆびぇええええええええええええええええええええ!!!」
ドスまりさは餡子を撒き散らしながら貫かれ、そして多くのゆっくりを轢き殺しながら吹っ飛んでいった。
「ど、どすがまけだああああああ!!!」
「どうだ、己の思いが空回りに終わった味は?」
美鈴はそう言ってポーズをとってから、苦しんでいる「マドンナれいむ」とやらの皮をはぎながら、周囲のゆっくりに投げつけていく。
「ゆびぇびゃ…びゃびゃ…びゃべびぇべ…(ゆぎぎゃ…やだ…やべでね…)」
「確かに歌は上手いわね。こんなに聞き心地のいい悲鳴が聞こえるんですもの」
「むっきゅん!みんなにげ…」
美鈴は加工場製のゆっくり捕獲用袋を開き、目まぐるしい勢いでゆっくりをその中に放り込み始めた。
「ゆ、ゆう…あのババア…ころして…ゆぎゃ」
動き出そうとしたドスまりさに、館から飛び出してきた赤い槍のような光線が突き刺さる。ドスまりさは悲鳴を上げることなく絶命した。
「なるほど。美鈴ったら…私の言いつけでやらせた拳法をあそこまで昇華させていた、ってわけね」
光線を撃った主…レミリア・スカーレットは、グレープジュースのおかわりを注ぎに、自室へと戻っていった。
明日は久々に労ってやろう。せっかくだから私のグレープジュースを一口飲ませてやろう。そう思った。

翌日から紅魔館の門の前では、数多のゆっくりが拳法の実験台になった。門の近くは案まみれで多少汚いが、それに見合うだけの楽しみがあると美鈴は考えている。
ドスまりさの皮は湖の畔に残り、妖精たちの遊び道具になった。
「ん?まちがったかな」
「ぶびゃびゃら!?」
「おねーさんすごい!ゆっくりが爆発したよ!」
「もうゆっぐりざぜでよおおおおおおお!!!」
ちなみにスペルカードに使うにはあまりにも強すぎ、うっかり誤って人を殺しかねないとわかったので中止になった。
今では、門の前に来た物好きな里人たちに、ゆっくり虐待に使える拳法を教えている。
めでたし、めでたし。
「ぜんぜんめでたくないよおおお!!!」
「ここ。ここに指を突っ込んで、」
「ゆぎゃっ!?
「で、抜く。1,2,3…」
「なにをするの!ゆっくりあやまってっぺれぼ!」

おまけ
「まりざあああああ!!!ゆっくりしましょおねえええええええ!!!」
「うぎゃあああああああああああああああ!!!」
醒鋭孔を突かれた一家は、弱っていたところをゆっくりありすに襲われた。
ただでさえ痛い交尾は、もはや激痛以外の何物でもない。子まりさや子れいむは早々に死に、母れいむもショック死。
しかし下衆まりさは無駄に強靭な体を持っていたせいで、死よりも辛い生を享受することができていた。
「すっきりいいいい!!!」
「ずっぎりでぎないいいい!!!」
「ふぅ、ぐあいはなかなかよかったわ!じゃあね!」
ありすは不快な鼻歌を歌いながら森の奥へと消え去る。
残っていたのは、激痛と疲労に白目を剥きながら、蔦が自分から生えてくる痛みに悲鳴を上げる下衆まりさだけ。
悲痛な声はいつまでも、ドスの群れがあった林から紅魔館に続く道の間でこだましていた。


ゆっくり(特にドス)相手に南斗紅鶴拳の奥義を決めてみたかっただけ。
設定はお借りしていますが、以前北斗神拳を美鈴に習わせて~という話を書いた方とはまったくの別人です。
今回美鈴が使ったのはこの3つ。

醒鋭孔
原作でケンシロウがジャギ相手に使った奥義。神経をむき出しにする。
ゆっくり相手に使うことで、そよ風が体に触れるだけでも激痛が走るようにする。しかし痛いだけなので、それだけで死に至ることは決してない。

南斗鷹爪破斬
原作でユダがダガール相手に放った技。衝撃が体の後ろに響く。受けた者は真っ二つになる。ちなみに名前はバスケゲーでつけられた。なお、本来は時間差なしで切り裂く技である。
ゆっくり相手でも真っ二つになるが、ゆっくりは体の構造が単純なため、これだけで死に至ることはあまりない。真っ二つになった切断面を張り合わせ、皮を癒着させることで復活する。

血粧嘴
原作でユダがレイ相手に使おうとした奥義だが、放つことはなかった。格ゲーではサイコクラッシャー風の技になっている。
ゆっくり相手に使うと餡をそこいらじゅうに撒き散らすため、鷹爪より確実に死を訪れさせることが出来る。しかしそこそこ大きい個体でないとはずれてしまう可能性がある。

詳しい話は原作を読んだ方がいいかもね。ちなみに俺はユダが大好きです。
本当は七星点心や激震孔、鷹爪三角脚、心霊台なんかもやりたかった。

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最終更新:2022年05月03日 15:30