※ゆっくり達が食べ物を食べる必要がなくてゆっくり光合成するだけで栄養を得られる、ゆっくり間に捕食種は存在しないみんな仲良し、
ゆっくりれみりゃがこわがり、ゆっくりアリスが強姦魔ではないなどのあまり使われない設定が多いですので注意してください。
※また、俺設定がありますので注意してください。
まりさ達が人間の子供に虐められ、大男に助けられた日から3日経った。その日はまりさ達がピクニックに行った日と同じように、
とてもいい天気だった。小鳥のぴぃぴぃと鳴く声、ひらひらと花に向かってまう蝶々、ぽかぽかと暖かい空気、
お日様に当たって輝く木々の緑。
けれどもゆっくり達は決して木の中の自分の家から出ようとはしなかった。あの日と同じ絶好のゆっくり日和にもかかわらずだ。
いや、あの日と同じものがもうひとつあった。
「お~い、いたか?」
「いや、いねぇ。しっかしあいつらどうしたのかな。もういなくなって3日になるぞ」
人間達の声である。そう、人間達がゆっくり達の住処がある森をうろうろと歩き回っている。
いつもゆっくりを苛めてきた子供たちではない。子供なんかよりずっと強くて賢い、大人だった。何かを探している。
「そういやこのあたりってゆっくりが住んでいるよな。まさかゆっくりに食われたとか・・・。」
「それはないだろ。いくらあいつらが子供だからといってゆっくりに食われるわけねえよ。っていうか、
ゆっくりっていったい何を食っているのかねぇ。」
「そういえばそのゆっくり達の姿が見えないな。いつもなら一匹か二匹くらいは出くわすのに。すぐに逃げられるけどな。
あれってなんでだ。」
「人間が怖いんだろ。子供達の間でゆっくりをいじめるのが流行っているっていうからな。
まして、今日みたいにその人間の大人が大人数でいれば、万が一にも見かけることもあるまい。今頃巣で引きこもっているだろうよ。」
「ばちが当たったんすかねぇ。やっぱり弱いものいじめなんてするもんじゃないっすね、」
「ほんと。あいつらが戻ってきたら、いけないことだって教えてあげないと。俺達だって蛙や虫を殺したとき、
親に叱られて躾けられてきたことですし。」
「とりあえず今日は日が暮れてきたからこれまでにして、また明日探そう。夜になるとこの森でも妖怪が出てきて危ない。
ミイラ取りがミイラになったら笑えん。まったくあのガキ共心配かけやがって・・・・・。」
ざっ、ざっと人間達は去っていく。それから更に2日間、人間達は日の出の時間と共にやってきて、日が落ちると共に帰っていく。
行方不明となった子供達を捜すためである。ゆっくり達はそんな彼らの気も知らず自分の巣で怯えて篭っていた。
その日からゆっくり達は人間はゆっくりを捕まえて食べるために来たのではないか、
ひどいことをするのではないかと思って隠れ住むようになった。
外では今もぽかぽかとお日様が出ている、けれども巣の中から出てこれない。
ゆっくり達は、お日様の下でゆっくりできなくなってしまった。
ゆっくり達のエネルギーは太陽の光。
体内に餡子が詰まっており、体内に消化器がないためである。その他の内臓もないのだが、気にしてはいけない。
とにかく、お日様の下でゆっくりすれば生きていける。
しかし、ゆっくりするというとおり、長時間太陽の光に当たっていなければならない。
ゆっくりは本来光合成に必要な葉緑体がほとんど存在しない上、バスケットボールほどの大きさという、
光合成で栄養をいきわたらせるのが難しいほど巨体であるためだった
「む・・・・・・・・・・ゅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・」
「ぱちゅりー、だいじょうぶ?ゆっくりしちゃだめよ!」
「にんげんたちがかえったよ!そとにはだれもいないよ!」
「まりさ!ありす!れみりゃ!ゆっくりしないでぱちゅりーをおそとにはこぶよ!」
「う~~!」
日が落ちると共に帰る人間達。人間が帰った後、完全に日が落ちるまでの間しかゆっくり達は日の光をあびることができない。
たった2日間光に全く当たらなかっただけでも、栄養失調でゆっくり達は弱りきっていた。
特に体の弱いぱちゅりーはあと一日も持たないだろう。鳴くことさえ十分にできなくなっていた。
一刻の猶予もない。まりさは後悔した。迷っていた自分が馬鹿だった。このままではぱちゅりーが死んでしまう。
まりさはゆっくりしないで覚悟を決める。これからまりさが悪者になって、
それをみんなが退治する。そうすれば、みんながいいゆっくりだということが人間にもわかってもらえる。
みんなが巣の中から出てこれて、お日様の下でゆっくりすることができる。みんなの命を助けるためだった。
まりさはあの大きなおじさんのことを思い出す。鬼のようだったけど、とても優しかった。
人間の中にもああやって怖そうなのに本当はいい人もいた。
まりさは青鬼になる。まりさはわるいゆっくりにならなきゃいけない。
人間ならば他にもっといい方法を考えられたかもしれない。しかしこの切迫した状況の中ではゆっくりにはこれ以外思いつかなかった。
その日の夜、まりさはれいむと一緒に巣の中で寄り添っていた。はたから見ればとてもゆっくりとした雰囲気を放っていた。
しかし二匹は太陽の下でゆっくりできていない。れいむのほっぺたはかさっと乾燥していた。
「まりさ・・・・ゆっくりできないね・・・・・ゆっくりしたいね・・・・・・・・・・・」
れいむはまりさにつぶやく。さんさんと輝きを放つ太陽の下でゆっくりと生きてこれた3日前を思いながら。
「れいむ・・・だいじょうぶだよ・・・・・もうすぐゆっくりできるよ・・・・・・・・・」
まりさはれいむに対して答える。その言葉の意味がわからないれいむはきょとんと固まった。
しかし目を伏せるとそうだったらいいねとため息を漏らし、眠りについた。
まりさは、大好きな友達と最後の時間をゆっくり過ごした。時間がゆっくりではなく、止まってしまえばいいと思った。。
このとき青鬼が何で赤鬼といられないかまりさはわかった。青鬼は赤鬼のためとはいえ悪いことをした。
だから、みんなと一緒にいたらいけない。
「れいむ・・・・・まりさはこれからにんげんのとこにいってくるね・・・・・・・・
まりさがにんげんをやっつけるからね・・・・・・・・・・・・・」
れいむは夢の中でまりさの声を聞いた。しかし気のせいだと思ってそのまま眠り続ける。
次の日れいむが目を覚ましたとき、まりさの姿はどこにもなかった。
「ゆっくりたべるよ!ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりできないおじさんたちはゆっくりしね!!」
次の日、まりさは人里にて畑を荒らしまわっていた。大根を掘り返して捨てる。店先の商品に体当たりをしてまき散らかす。
どろで汚れた体で人の家に上がりこむ。まりさは悪行の限りを尽くしていた。
しかしそんなまりさの悪行も人間から見ればたかが知れていた。体内が餡子のゆっくりは食べ物を消化できない。
そのために光合成で栄養をとっているので、大根を掘り返しても食べられない。体当たりをしてもただ散らかるだけで何も壊れない。
汚れた体であがりこんでも、玄関先までだった。
その程度でも人間達が今まで無害だと思い、関わり合いを持たなかった生き物がこのような行為に及んだとき、
とる行動はひとつであった。駆除である。
「くそっ、どこに逃げやがった!」
「たかがゆっくり一匹だろ!はやくつかまえらんねぇのか!」
「そうは言ってもあいつ全然ゆっくりしていねぇんだよ。ゆっくりってあんなに早く動けたのか・・・・・」
「おじさんたちのば~か!ゆっくりしすぎだよ!」
「むこうに行ったぞ!追え!」
まりさは逃げる。ひたすら逃げる。この3日間殆ど栄養を得られなかった体で逃げ続ける。
跳ぶたびに息が切れる。着地のたびに餡子を吐き出しそうになる。体当たりのたびに意識を失いそうになる。
人間とゆっくりの体力差は致命的だ。まして、向こうは村中で襲い掛かってくる。
だが、今つかまるわけには行かなかった。今つかまったらまりさはただの悪いゆっくり。
みんなを助けるためにはそれだけじゃ駄目だった。
そう、ゆっくり達が助かるには、青鬼は人間で退治されることは許されない。
青鬼を退治するのは
「まりさやめてね!どうしてこんなことするの!まりさわるいゆっくりになっちゃたの!」
赤鬼が来た。れいむだ。まりさの言葉から人間の里に来ていると判断したのだろう。
まりさを止めようと決意をしてきてみたら、里中が荒らされていた。
れいむは目に涙を浮かべ、信じられないものを見ているような顔をしていた。
その後にはありす、れみりゃが控えている。二匹ともれいむと同じような顔をして固まっていた。
「そうだよ!まりさほんとうはわるいこだったんだよ!おばかなれいむはゆっくりしんでね!」
まりさは何も悪びれたところがないように振舞う。その顔はふてぶてしく、見るものは小ばかにされている印象を受ける。
片側の唇を吊り上げて笑うと
「ありすもれみりゃもゆっくりきえてね!おうたがへたなありす!こわがりなれみりゃ!みんなあそんでもつまんないよ!」
「まりさぁ!うそよ!あなたはそんなこといわないわよ!なにがあったの!?おしえてよぉ!」
「う~~~~~~~~!」
二匹とも大粒の涙を流してまりさに問い詰める。怒りでも憎しみでもなく、豹変してしまった友達に対する思いやりゆえの行動だった。
まりさは悲しかった。大好きな友達達を傷つけなければいけないことを。
まりさはうれしかった。あんなひどいことを言っても自分の事を考えてくれる友達を持ったことを。
だが、それでは駄目だった。赤鬼と青鬼が仲良くしたら、人間に退治される。
人間達が追いついてきた。このままだとれいむたちも一緒に捕まってしまうだろう。
青鬼は容赦してはいけない。まりさは空気を大きく吸い込んで、倍の体積まで膨らむと、
吐き出される空気によって吹き飛ばされるほどの怒声で叫んだ。
「ゆっぐりじねぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛
ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!!!!!」
まりさは狂ったように吼えた。そのたった一声で口が裂けるほど大きく開き、のどが鈍い音と共につぶれた。
怯んだれいむ達にまりさは突っ込むと、れみりゃに向かって体当たりをした。まりさの体から餡子がこぼれた
「うぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~~~!!」
れみりゃは泣き叫び、飛ぼうとする。しかしまりさは逃がさない。羽を口で押さえつけてぼんぼん跳ねる。
「れみりゃぁぁ!」
ありすがれみりゃを助けようとまりさに突っ込む。ありすはまりさに体当たりをしてどかすと、
羽をもがれたれみりゃをかばうように立ちふさがった。まりさはすぐにありすを血走った目でにらみつけ、今度はありすを襲う。
まりさはハァハァと息を切らせてありすの上に乗ると、頬をくっつけた。無理矢理交尾するようだった。
「ひぺぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇっ!!」
奇声を発し、髪を振りみだすありす。いつもの優雅な姿はどこにもない。
いつも突っかかっていたライバル。とっても歌がうまい友達。そして嫌いじゃなかった女の子。それが今ありすを一方的に蹂躙していた。
「だずげで゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛れいむぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛」
まりさは口によだれを滴らせただらしない表情でれいむを見る。ゆっゆっと小刻みに震える。
「つぎはれいむとすっきりするね・・・・・・。れいむのつぎはぱちゅりーがいいな・・・・・・・・・・」
そこには、れいむが昨日の夜寄り添った友達はどこにもいなかった。
バシイィィィン!
音がした。柔らかいものと柔らかいものがはじけあったときに聞こえる音。
まりさの前にれいむがいた。口からは餡子がこぼれている。
その目は子供に虐められたときのようにまりさを気遣った目とは同じものとは思えない。
ガラスでも入っているかのような無機質な目であった。
れいむは何も言わない。もう二度とまりさとは話すことがないようであった。
「・・・・・まりさはね・・・・・・・・・・・・・
れいむなんてさいしょからおともだちだっておもったことないよ・・・・・・・・・・。ゆぎぃぃ!」
バシイィィィン!
再び聞こえるあの音。まりさは5メートル先に吹き飛ばされていた。
「・・・・れ・・・いむのへな・・・・ちょ・こ・・・・・・・・」
ゆらりと、ぼろぼろになっても起き上がり、れいむに向かっていくまりさ。裂けた口からはちらりと固まった餡子が見える。
外にある液体状の餡子は床に広がっていた。
バシイィィィン!
ガシッ!
まりさは壁まで吹き飛ばされ、叩きつけられた。体がべシャリと広がり、固まった餡子が少し零れた。
「ゆ・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・ぉ・・・・・・・
- わ・・・・・・・・・・・・・・・・・い・・・だ・・・・・・・・・ぃ・・・・・・む・」
人間達はただみていることしかできなかった。目の前で、自分達が追っていたゆっくりが、
他のゆっくりに一方的に叩きつけられていた。同種でも、あれほどまでに一方的な力の差は有るのか。
それに、なぜ仲間割れをしている。
バシイィィィン!
バシイィィィン!
バシイィィィン!
ゆるやかに勝負は決した。まりさはずりずりと森の中へと逃げ去っていく。
ゆっくり達は友達が死んだときのような顔をして、まりさを見送った。
最も、ゆっくり達の表情は人間からは見えなかったが。
「みんなもうだいじょうぶだよ!!」
れいむはれみりゃとありすのいる方向に笑いかける。れいむの表情は人間達にも見えた。
終止無言だった先ほどとは対照的に明るすぎる声で二匹へと呼びかける。れいむの声は人間達にも聞こえた。
事情を知らない人間達とは違い、ゆっくりたちにとっては直視できないような悲しい笑顔と聞くに堪えない声だった。
人間達は呆気にとられて、かつての目的だった悪さをするゆっくりを捕まえることができなかった。
誰もが目の前の光景に説明がつかなかった。
いつもは姿さえも見せないゆっくりが、なぜこのようなことを。
そのとき、村の若者が一言漏らす
「あいつら、ひょっとして俺達を助けに来たのか・・・・・・・・・」
それを合図に沸きあがる歓声。響く笑い声。
ゆっくり達を抱き上げる人々。
突然の歓迎に身を固まらせるれみりゃとありす
人間達はこの時新しい友人の出現に感謝した。
れいむはまりさの変貌が信じられなかった。
れいむが危ないとき、助けてくれたまりさ。どんな危ないときも、
いつもみんなの事を考えていた。みんなのことを・・・・・・・・。
みんな・・・・・・・・・・・。
れいむの頭のなかのパズルにピースがはまる。
れいむは今ようやく理解した。答えを出すのが遅すぎた。
そう、まりさはゆっくりと人間が仲良くなれるためにわざと悪者になった。
それを知ったとき、れいむは涙を流した。
みんなのために命を懸けた友達に感謝しながら。
友達の事を信じ切れなかった自分を恥じながら。
赤いリボンを風になびかせて
ゆっくりまりさとゆっくりれいむ
おしまい
そのとき、一人の男が水をさすようにつぶやいた
「 、 向かって るから、 じゃないか」
あたりが静まり返った
著 抹茶アイス
最終更新:2022年05月03日 17:17