※同時upした「ゆーでぃーえーふ!」の番外編です。
 本編が読むに耐えた方のみ、ご覧ください。
※本編と違い、こっちのゆっくりは、心身共にちょっと厨スペック。
 かつ、ちょっとシリアスに戦います。
 「ゆっくりは間抜けなとこがいいんじゃねーか」と言う方は回避推奨。
※「X3はひっそりやられてるとこがロマンだろ」と言う方も回避推奨。
※一部英語セリフがありますが、超適当です。
 文法とか変でもスルーしてやってくださいな。
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ゆーでぃーえーふ! ~番外編~ 出撃!血戦どす要塞ゆっくししゅるぅ!


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【Stage48 Side-USA】「血戦」
「Take it easy! Take it easy! Take it easy!」
(まざーしっぷさんのこうげきで、ほくべいせんせんは、
 すでにかいめつじょうたいだよ!れいむたちは、
 けっせんどすようさい・"ゆっくししゅるぅ"でけつろをひらいて、
 このじょうきょうをだはするよ!)
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ずーん、ずずーん・・・

体高8mに及ぶ巨大などすまりさが、地響きを鳴らしながら進軍する。
しかも、彼女はただのどすではなかった。
O.N.I.S.A.Nの兵器開発部の手によって改造を受け、
血戦どす要塞・"ゆっくししゅるぅ"として生まれ変わった、改造どすだった。

どすまりさに随伴するのは、ゆれんじゃーチーム、8部隊。
総勢150匹のゆっくり達。
その中には、成体サイズに満たない、
ハンドボール大の子ゆっくりの姿もチラホラと見え隠れする。
この子ゆっくり達は皆、フォーリナーの攻撃で、親を失ったゆっくり達。
敗戦に継ぐ敗戦で、壊滅的打撃を受け、
成体ゆっくりの数が不足していたゆーでぃーえふ北米司令部は、
周囲の成体ゆっくり達の反対を押し切って志願した子ゆっくり達をも、
戦場に投入する事を決定した。
初めて迎える実戦、しかも、北米戦線史上最大の大軍団を相手の戦闘。
その緊張と恐怖に、青ざめた表情のまま、無言で進軍する子ゆっくり達。

そんな子ゆっくり達の姿を見つめながら、
どすまりさは、来るべき戦闘に思いを馳せていた。

今、この場所で、敵を食い止めなければ、
敵の攻撃は、いよいよ北米のゆーでぃーえふ本部にまで及ぶ。
そうなれば、残るのは、全面決戦。
北米ゆーでぃーえふが捕獲している、
全てのゆっくり達が戦場に駆り出されることになる。
成体ゆっくりだけではない。
彼らの子ゆっくりも、いや、赤ゆっくりですらも。
だから、絶対にこの戦いに勝つために、
O.N.I.S.A.Nの方から来たと名乗った、ゆっくりできない人間の提案を飲み、
改造手術を受け入れ、自らの体を要塞化した。


一直線に"ゆっくししゅるぅ"に向かって進軍して来るのは、フォーリナーの大軍団。
黒蟻、赤蟻、蜘蛛、ガンシップ、ヘクトル、総数およそ、800。
そして、その後ろに控えるのは、巨大なマザーシップ。

両軍の距離が30mを切った所で、ピタッと両陣営の進軍が止まった。

「・・・ゆーでぃーえふは最期まで戦うよ!例えゆっくりできない戦いでもだよ!」
「「「「さー!ゆえっさー!!」」」」
「「「「ゆーでぃーえふ!ゆーでぃーえふ!」」」」
「ここはれいむとおちびちゃんたちのゆっくりぷれいすだよ!!ぷっくぅぅぅ!」
「うちゅうからのおきゃくさんをおむかえするよ!ゆっくりしていってね!!」

※戦場でのゆっくり会話は、日本語吹き替えでお送りしています。

乾いた大気に響き渡る、どすまりさの号令と共に、全ゆっくりが突撃を開始する。
それと同時に、フォーリナー軍も突撃を開始した。

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最初に交戦可能距離に入ったのは、高速飛行するガンシップ部隊。

「ゆっ!ガンシップが来るよ!ゆないぱー!対空戦闘!!」

どすまりさが、頭を後ろに反らして、巨大な帽子を地面に落とす。
帽子の下にあったのは、まりさ種の流れるような金髪・・・ではなかった。
どすまりさの頭頂部は、パックリと切り取られており、
まるで河童の頭のように平らになっていた。
その平らなスペースは、セメントで固められ、
30本近いY字型の木の枝が埋め込まれている。
その上に乗るのは、枝と同数のゆっくり達。

それは、ゆないぱー部隊による、らいゆんやぁぁ対空砲撃陣地だった。

「うつんだぜ!うつんだぜ!ぜんだんうちつくすんだぜ!」

一匹のまりさの命令で、一斉に射撃が開始され、
20機近いガンシップが炎に包まれながら落下する。

「そうてんするんだぜ!れいむ、えんごをたのむんだぜ!」

一斉射の後、どすの頭上のゆないぱー部隊が、次のBB弾の装填に入る。

「れいむにまかせてね!ゆっくりまかせてね!」

応えたのは、地上に展開するゆれんじゃー3隊長れいむ。
どす頭上の部隊よりは数が少ないが、れいむ指揮下のゆないぱーが、
射撃を開始して、どすに近づこうとするガンシップを次々に撃墜する。


『Dos! Take it easy! Take it easy!』
(どす!きをつけてね!
 ちょくじょうから、こうそくせっきんしてくるぶったいだよ!
 このはやさは・・・!あかいがんしっぷさんだよ!!)

レーダー監視を行っていた、北米作戦指令本部・指揮官れいむからの通信に、
どすまりさが、視線だけを頭上に動かす。
だが、遅い。

「ゆぎゃあぁぁっっ!!あぢゅいぃぃぃ!!」
「ゆあぁぁ?!でいぶのしっどりした、なめだがなぐろがみざんがぁぁ!?」

急降下してくるガンシップから放たれた、
根性焼きビームの直撃を受けた二匹のゆっくりが、
どすの頭上から転げ落ち、地面に激突してグシャッと潰れた。

突然の攻撃に驚愕するゆっくり達の視界を赤い物体が高速で過ぎる。
それは、赤いガンシップ。
通常のガンシップの三倍の機動力と、三倍どころではない攻撃力・耐久力を誇る
精鋭ガンシップ、通称レッドカラー。
ゆないぱー部隊が必死にレッドカラーを撃墜しようと射撃を繰り返すが、
ほとんどの弾丸は回避され、
希に偶然当たっても、レッドカラーはそう簡単に落ちはしない。

「どぉぉぉじで、あだらないのぉぉ?!?!」
「はやずぎるよぉぉぉ!ゆっぐりできないぃぃ!ゆっぐりさせでぇぇ!!」

その間にも、レッドカラーの攻撃によって、
ゆないぱー部隊は、着実にその数を減らしてゆく。


「どすぅぅすぱぁぁぁぁぁぁーーーーく!!!!」
カッ・・・・!ドォォォン!!!

レッドカラーが、どすの前面を通過しようとした時、
どすの口から放たれた光線の直撃を受け、爆散した。


「ゆゆ~!あかいがんしっぷさんをおとしたよ!」
「やっぱり、どすはすごいんだぜ!」
「とっても、とかいはね!」

気色満面のゆっくり達。
しかし、彼らの表情とは対照的に、苦しそうな表情のどすまりさ。

「ゆ・・・ぐぐ・・・ぐ・・・ゆげっ・・・」

暫く悶え苦しんだかと思うと、少量の、
とは言っても、成体ゆっくり3匹分ほどになる餡子を吐き出した。

「むきゅ・・・どす・・・あんまりむちゃはしないでね・・・」
「大丈夫だよ。心配しないでね、ぱちゅりー・・・」

まだ苦しそうな顔をしながらも、どすまりさが、側近ぱちゅりーに応える。

どすまりさは、特殊なキノコを口内で噛み砕き、
キノコ片とゆっくりおーらを反応させる事で、どすすぱーくを放つ。
O.N.I.S.A.Nは、そのキノコを唐辛子粉に漬け込み激辛味にした物を支給していた。
その辛さのためか、どすすぱーくの火力は増大し、
代償として、どすすぱーくを一発撃つ度に、
ゆっくりには猛毒にも等しい激辛キノコによって、
どすまりさの体内の餡子がゆっくりと蝕まれてゆく。

「・・・びょうじゃくえれえれきゃらは、ぱちぇのりょうぶんよ。
 ぱちぇのあいでんてぃてぃーを、うばわないでちょうだい。」
「ゆふ、わかってるよ、ぱちゅりー。・・・蟻さんが来るよ!
 ゆれねーど一番、二番、五番!発射用意!」


どすまりさの体には、6箇所、穴が開けられていた。
その穴から、鉄製の筒が覗いている。
それは、赤ゆ・ゆれねーどよりも高威力の子ゆっくり・ゆれねーど発射筒。
穴は、どすの餡子を刳り抜いて設けられた、ゆれねーど発射陣地だった。

その穴の中で、別れを惜しむ、一組のゆっくり親子がいた。

「やぢゃぁ・・・おかあしゃん・・・
 どうして・・・どうして・・・まりしゃを・・・」
「ごべんね・・・ごべんねぇぇ・・・れいむのおぢびぢゃぁん・・・」
「おかあしゃん・・・まりしゃがわるいことしたから・・・
 まりしゃのこと、きらいになったの・・・?
 まりしゃ・・・いいこになるよ・・・!いいこになるから・・・・」
「ちがうの・・・ちがうの・・・おちびちゃんはなんにもわるくないよ・・・
 わるいのは・・・おかあさんなんだよ・・・」

どぼどぼと涙を流しながら、
親れいむが、子まりさを咥えて、ゆれねーど発射筒の中に落とし込む。

「おかあしゃん・・・!おかあしゃぁん・・・!ゆやぁぁぁ・・・!」
「おちびちゃん・・・てんごくで・・・ゆっくりしていってね・・・
 おかあさんは・・・いっしょにはいけないけど・・・
 じごくから、ずっとずっと・・・みまもってるからねぇぇ・・・!」


「発射ぁっ!!!」

どすまりさの発射命令と共に、三発の子ゆっくりゆれねーど弾が、宙に放たれた。

「ゆんやぁぁぁ!!」
「ゆゆぅぅ!おしょらをぉぉぉ?!」
「おかあしゃぁぁぁぁん!!!!」

ボンッ!! ボンッ!! ボンッ!!

三発の炸裂音と共に、子ゆっくり達の断末魔の声は消え、
替わりに、ゆれねーど弾の直撃を受けた、十数匹の蟻達の叫び声が上がった。

「まだまだ来るよ!三番、四番!ゆれねーど装填!急いでね!!」

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「みごと・・・みごとだみょん・・・!」

戦場に散った子ゆっくりの命の花火を見上げながら、
ゆれんじゃー1隊長みょんが叫ぶ。

「あんなちいさなこどもたちが、あれだけのありさんをたおしたみょん!
 ならば、みょんたちが、てきをたおすことなく、
 たおれることなど、ゆるされないんだみょん!!
 てきにゆーでぃーえふだましいをみせてやれだみょぉん!!」
「「「ゆおぉぉぉっ!!!」」」

黒蟻・赤蟻・蜘蛛混成部隊のただ中に、
ゆっとがん装備のゆれんじゃー1チームが突撃を開始した。


「みょおぉぉんっ!!」 ザクッ! キィィィ!!!

みょんの渾身の一撃に黒蟻が倒れる。
そして、振り返りざま、

「みえてるみょんっ!!!」 バシュッ! ユボォッ!!!

背後に迫った蜘蛛に薙ぎ払いの一撃。
みょんが咥えたペーパーナイフ、最強ゆっとがん"ゆぎゃなー100"が鈍い光を放つ。

「まだまだみょんっ!」
みょんが真上に高く跳ねる。そして、空中でナイフを横向きに咥え直し、

グシュッ!! ギキィィッッ!!!

全体重を乗せた一撃を、赤蟻の複眼に突き立てる。

「みょんよりさきにしぬことは、ゆるさんみょん!!」
赤蟻の死体の上から、みょんが他の隊員達に叫ぶ。

「わかってるよー!!ちぇんたちのつよさをみせてやるんだよー!」
「まりささまのえだのあじはどうなんだぜぇっ!!」
「ゆぉぉぉ!!じねっ!じねっ!
 ゆっぐりでぎないくもさんは、ゆっくりしないでさっさどじねっ!」

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ドカーン!

「ゆぎゃあぁぁ!!」
「むきゅ・・・ありすたいちょう・・・さよならよ・・・」
「かえる・・・れいむ・・・もう、おうち・・・かえ・・・る・・・・・・」
「でいぶがやられだぁぁぁ!?」

ヘクトルからのプラズマ砲撃に、数匹のゆっくりが餡子を撒き散らしながら吹き飛ぶ。
こちらは、ありす率いるゆれんじゃー7-1。
みょん率いるゆれんじゃー1にも引けを取らぬ精鋭揃いであるが、
黒蟻・赤蟻による近接攻撃と、ヘクトルによる遠距離からのプラズマ砲撃の連携に、
苦戦を余儀なくされている。


「たいちょう!にげようね!ゆっくりにげようねっ!?」
「てきがつよすぎるよぉぉ!?」
「このままだと、ちんぽぜんめつするみょん!」

「ひるまないで!!じんけいをととのえるのよっ!!」

「・・・!ゆ、ゆぅ!ゆえっさー!」
「わかるよー!たいちょうにつづくんだよー!」

恐慌を来した隊員達が、隊長ありすの一喝で士気を取り戻す。

しかし、既に部隊は戦力の半数を失い、このままでは、じり貧。
ゆさると・ゆっとがん装備のゆれんじゃー7-1に、
この状況を打破できる突破力を持つ武器は、支給されていない。

武器は支給されていない。だが・・・
ありすが、ギリと歯噛みをする。

(ありすをそだててくれた、やさしいおかあさん・・・
 ごめんなさい・・・
 いなかもののありすは、おかあさんとのやくそくをやぶるわ・・・)


「まりさ」

隊長ありすは、すぐ横で戦っていた、隊員まりさを呼ぶ。
子供の頃から一緒だった、幼なじみのまりさ。

「ゆ?!どうしたの、ありす!まりさは、いまいそがしいよ!ゆっ!!」

蟻の攻撃を避け、枝を突き立てながら、ありすに答える。
ありすもそれに加勢し、YF-99・ゆさるとらいふるのパチンコ玉弾を蟻に叩き込み、
とどめを刺す。

「まりさ・・・ありすに、すりすり、してちょうだい。」

「ゆ・・・ゆっ?!?!あ、ありす・・・でも・・・」
「いいの、まりさ。
 ありすは・・・ずっと、わたしのなかのれいぱーのちを、にくんでいたけど、
 いまは、とっても、かんしゃしたいきぶんなのよ。」


かつて、れいぱーありすに襲われた、とあるゆっくりれいむの母娘。
娘の子れいむは、赤ゆっくりを宿す負荷に耐えられず、
茎から生えた赤ゆっくりと共に黒く朽ち果てて死んだ。
母れいむも衰弱し、頭から生えた何本もの茎の中で唯一実ったのは、
れいぱーの血を引く一匹の赤ありすだけだった。
その赤ありすが、今ここにいる、ゆれんじゃー隊長ありす。

れいぱーの子など処分すべきだとする
群れの仲間達の反対を押し切り、母れいむはありすを育てた。
れいぱーの子供ということで、
ありすは群れのほとんどのゆっくり達から、冷たく扱われたが、
母れいむは、望まない子であった筈のありすにも、
死んだ子れいむに注いでいたのと、なんら変わらぬ愛情を注いだ。

ありすは、その愛情に応えるためにも、
自分は決してれいぱーにはならないと、母れいむに誓った。

だが、どれほどの決意を固めようと、その体にれいぱーの血が流れるのは事実。
ありすは、優しいお母さんの娘、会ったことのない自分の姉の命を奪った
れいぱーの血が憎く、そして、恐ろしかった。
だからありすは、成体ゆっくりになっても、その血の目覚めを怖れて、
どのゆっくりとも、すっきりをしようとはしなかった。

今、その禁を破ろうとしている。

「あ・・・ありす・・・ありす!ありす!ありずぅぅぅ!!」
「まりさ!まりさ!まりさぁぁぁ!!」

まりさがありすに頬を擦りつけ始める。
ありすもそれに応え、相手の頬に自分の頬を激しく擦りつける。
二人の間で、ネチョネチョとした体液が糸を引く。

「まり・・・さ!んほ・・・わたしが・・・"かわったら"・・・
 すぐに・・・はなれて・・・!」
「まりさは・・・まりさは・・・ありすがすきだよ・・・!
 たとえ、れいぱーでも・・・ありすは・・・ありすだよ・・・!」
「まり、さぁぁぁ!!!」
「ありずぅぅぅ!!!」

二匹の頬が紅潮し、体液があたりに飛び散る。

「んほ・・・!んほぉ・・・・・!まり・・・さぁ・・・・・!
 んほぉぉぉぉぉ!!!」
ありすが奇声を発し、その目が血走り始める。

「ありす・・・!」
「んほぉぉぉ!!まりさぁぁぁ!!とってもすてきよぉぉぉ・・・!ありすと、
 まり・・・さ・・・はな・・・れ・・・んほぉぉぉぉ!!
 ありすがとかいはなあいをあげっ・・・あげっ・・・はや・・・くぅ・・・!」

僅かに残った理性で、ありすは辛うじて完全れいぱー化を踏みとどまる。

「むきゅっ?!まりさ!なにやってるのよ!はやくはなれるのよ!」
「はなしてねっ!ぱちゅりー!まりさは、ありすと・・・!」
「まりさのばかっ!ありすのきもちをむだにするきなの・・・!」

その状況を目撃し、ありすの狙いを悟った隊員ぱちゅりーが、
無理矢理まりさを引きずってゆく。

「ぱ・・・ちゅ・・・ありが・・・ぱちゅりぃぃもすてぎだわぁぁぁ・・・!
 まりざといっじょにさんぴ・・・まり・・・さ・・・わた・・・し・・・
 んっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


キ?キキィ?キィィ??

不気味な雄叫びを上げるありすの姿に、蟻達が不思議そうに首を傾げる。
その蟻に向かって、ありすがゆら~りと向きを変える。

「んほぉぉぉぉぉ・・・
 よぐみるど、ありざんだら、とっでもきゅーどなひっぷねぇぇ・・・!
 ありずが、とかいはなあいをたぁっぷりそそいであげるわぁぁぁ・・・!」

口から涎を溢れさせ、全身にヌラヌラとした液体を纏わせながら、
血走った目で蟻達に熱い視線を向ける。

キ?!キィィ?!キキィィ!?!?

本能的な恐怖を覚えたか、蟻達が一斉に回れ右をし、
六本の足をシャカシャカ動かして、脱兎のごとく逃げ出す。

「みんなでごっぢに、おじりなんでむげで、
 ぞんなにありずのとかいはなてぐが、まぢぎれないのねぇぇ?!
 ありざんだぢっだら、ほしがりざんねぇぇ!!だまらないわぁぁ!!」

ありすが、ゆっくりとは思えぬスピードで3m以上跳躍し、
逃げようとしている黒蟻の尻に飛び乗ると、
物凄い勢いでその体を擦りつけ始めた。

キィィ?!?!キィィィ?!?!

ありすに乗られた蟻が、複眼に酸の涙を滲ませながら、
必死にありすを振り落とそうと、尻をぷりんぷりんと振る。
だが、ありすは、その体から分泌したベットリ粘性の高い液体によって、
しっかりと蟻の尻にヘバり付いて離れない。

「ぞんなにはげしぐうごいで、ありさんっでば、どいんらんなのねぇぇ!!」

ビシャッ!ビシャ!ビシャッ!

「んほぉぉぉ!あづいわぁぁぁ!
 そっぢのありざんだら、そんなにさきばじりじるをほどばしらぜで!
 よぉっぽど、まぢぎれないのねぇぇ!!
 まっででぇぇ!
 みんなびょうどうに、ありずがあいをあだえであげるがらねぇぇ!!」

別の蟻が、ありすに向かって酸を飛ばすが、
ありすの全身を滴る謎体液によって酸が薄まるのか、
いつものように饅頭皮を溶かすことができない。
その様子を見て、攻撃を行った蟻も、
チロチロと酸しーしーを垂れ流した後、仲間を見捨てて逃走する。

キィィ!キィィィ!?!?
キッ!キキキキ、キッキキ、キキッキキ!
キィキキ、キッキキ キキキィィ~?!

ありすに襲われている蟻が、仲間に助けを求めているのか、
何やら会話をしているようだが、
他の蟻達は、涙を流す仲間を後目に全力で逃走している。

「ありざぁぁん!ずっきりぃ!ずっきりずるわぁぁぁ!!
 だぁっぷり、うげどめでねぇぇ!!!
 んほっ!んほっ!んっほぉぉぉぉっ!!ずっぎりぃぃぃぃぃ!!!」
キィィィッ?!?! キッキ・・・キッキキ・・・・・

ありすのすっきりと共に、
黒蟻の頭部から何本もの茎がニョキニョキと生え出し、
茎に養分を吸われた蟻は、朽ち果てて、その場に頽れた。


この状況を打破できる武器が無いのなら、己が肉体を武器へと変える。
通常のゆっくりを遙かに上回るパワーを発揮すると言われる、れいぱーありす。
そのパワーと、人知を越えた生殖能力、
ありすは、あれほどに憎んだ、その血の力を、
最後の武器として使うことを選んだのだった。

「ゆほほぉぉぉ!だりない・・・だりないわぁぁ・・・!!
 ぞっちのありさんは、そんなにあかぐなっちゃって、
 どぉっても、うぶなのねぇぇ!がぁわいいわぁぁぁ!!!」
キィィッ?!?!

すっきりの余韻も醒めやらぬ内に、ありすが赤蟻に飛びかかる。


「むきゅうぅっ!いまよ、みんな!
 ありすたいちょうが、てきをかくらんしているうちに、
 ありさんたちをたおすのよ!」
「まりさがせんじんをきるよ!みんな!まりさにつづいてね!!」

背を向けて逃走する蟻達に、先程のまりさを中心として、
生き残ったゆれんじゃー隊員達が猛追撃を開始した。

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「みょっ、みょっ・・・まだ・・・くるかみょん!」
ゆれんじゃー1隊長みょんが、荒い息をつきながら、
前方の敵を見据える。

そこにいるのは、四体のヘクトル。
対するみょんの傍らには、まりさとちぇん、二匹のゆれんじゃー隊員。
その三匹以外のゆれんじゃー1チームは、
みょん達の後ろで、全て、餡子の塊に変わり果てていた。
自分達の三倍以上の数に及ぶ蟲達を道連れにして。

隊長みょんの鬼神の如き戦いぶりと、
それに追従する隊員ゆっくり達の奮闘によって、
彼らと対峙していた巨大生物部隊は壊滅に追い込まれ、
後方から支援攻撃を行っていたヘクトル部隊が、前面に出る事を余儀なくされた。


「いくみょ・・・!?」
「わかるよー!!すぴーどなら、ちぇんがいちばんなんだよー!!
 だれにもまけないんだよー!!
 ちぇんの!すぴーどを!おもいしるんだよー!わかってねー!!」

突撃をかけようとした、みょんの機先を制するように、
ちぇんが猛スピードで飛び出した。

4体のヘクトルのAIが、猛スピードで自分達に接近するちぇんを、
優先攻撃目標として、レーザーマシンガンの銃口を向ける。

カタタタタ・・・ カタタタタ・・・

軽快な発射音と共に、ちぇんの正面から、レーザーが嵐のように降り注ぐ。
ちぇんはその攻撃を横に動いて避けることはせず、
更に加速する事で、無数の弾丸をやり過ごす。
なおも、レーザーマシンガンの掃射は続くが、
ヘクトルの自動照準機能を嘲笑うかのように、ちぇんが更に更にと加速する。

しかし、ヘクトルのAIの照準補正機能が、遂にちぇんの加速を上回った。

バシュ!バシュ!バシュ!

一機のヘクトルまで残り半メートルを切った所で、
ちぇんの口から上がレーザーの直撃を受けて、吹っ飛んだ。
残ったちぇんの下半分は、急激に失速して立ち止まり、痙攣を始めた。

そのちぇんの口が、痙攣の中で笑いを浮かべた。

「わかる・・・よー・・・ろぼっとさんたちは・・・
 ここで・・・おわりなんだよー・・・ちぇんには・・・わかるよー・・・」

そして、その言葉の後、
これまでの戦闘で既に武器を失っていた、無力な一匹のちぇんは、痙攣を止めた。


「みょおぉぉんっっ!!!」

ちぇんの亡骸の影から、みょんが飛び出す。
ヘクトル達が、レーザーマシンガンの銃口をみょんに向けるが、
ちぇんへの掃射でエネルギーを使い果たし、今は再チャージの途中だった。

みょんの咥えたナイフが、ヘクトルの腰の部分を切り裂き、
バランスを失ったヘクトルは、横倒しに倒れてバラバラに崩れた。

「ぶかのかたきを、ひとつとったみょん!」


「たいちょう!あぶないんだぜぇ!!」

もう一匹の部下のまりさの声に、みょんが、横に視線を移すと、
別のヘクトルが、レーザーマシンガンのチャージは間に合わないと判断したか、
もう一つの兵装である、ビームランチャーを乱射してきた。

「みょっ!」

咄嗟に、みょんは口に咥えていたナイフを、そのヘクトルめがけて投げつけた。
ナイフがヘクトルの胸の装甲を貫通し、その刃先が背中から抜けると同時に、
ヘクトルからの攻撃が止む。
だが、既に発射されていた、一発のランチャー弾が、
みょんのすぐ傍に着弾した。

ドォン!!「ぢんぽっ!?」

痛みに呻くみょんの体が、ボロ雑巾のように吹き飛び、
ドサッと、地面に叩きつけられる。

「ぢん・・・ぽっ・・・!
 こんなふしょうがなんだみょん・・・!さいごまでたたかうみょん!」

饅頭皮があちこち破れ、中の餡子を零しながらも、
みょんは必死に体勢を立て直そうとする。
しかし、それよりも早く、
レーザーマシンガンのチャージを終えた3機目のヘクトルが、攻撃態勢に入る。

「みょっ・・・」 ドカッ!! 「みょんっ?!」

気が付くと、みょんの体は地面を転がっていた。
転がりながら、自分が元いた場所に目をやると、そこにいたのは、まりさだった。

「たいちょう、さよならだぜ。」

まりさはニヒルな笑いを浮かべると、
レーザーの雨に飲み込まれていった。


「まりさ・・・!くんしょうものだみょん・・・!!」

まりさが稼いだ時間で、体勢を立て直したみょんは、
まりさの亡骸にレーザーマシンガンを掃射しているヘクトルの足下まで
傷口から餡子を漏らしながらも、一気に距離を詰める。
気づいたヘクトルが、みょんにレーザーマシンガンを向けるが、
みょんの頭上を掠め、千切れたみょんの髪飾りがハラリと宙を舞うのみ。

そして、みょんは、髪を振り乱しながら、渾身の力でヘクトルの脛に噛み付いた。

ギリリ・・・メキメキ・・・バリッ・・・

砂糖菓子の歯が砕けるのにも構わずに、
アルミ箔とサランラップの複合8層装甲板を用いた
ヘクトルの頑強な装甲ごと、脛を噛み千切る。

ガクンと膝をつき、前のめりに倒れたヘクトルの胴体から
火花が散り、そのまま動かなくなった。


既に傷口から体内の餡子の半分を漏らし、
武器もなく、歯も砕けて満身創痍のみょん。
その体を、眩いピンク色の光が照らす。

みょんが、ギロリと、その光の元を睨み付ける。

最後の一機のヘクトルが、至近距離から、
発射態勢に入ったプラズマ砲の砲身をみょんに向けていた。
広い爆破範囲を持つプラズマ砲。
今のみょんでは、その爆発から逃れることはできない。

「・・・おしえてやるみょん。」

「おまえたちは、らくにかてはしないみょん・・・!!!」

叫びながら、最後の力を振り絞って跳ね、
発射寸前のプラズマ砲の砲身の中にその身を投げ入れた。

カッ・・・!

みょんの体で発射口を塞がれ、行き場を失ったエネルギーが弾け、
轟音と共に辺りは炎に包まれた。

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「どす・・・すぱぁぁぁぁーーーく!」

どすまりさの口から放たれた眩い光が、数機のガンシップを巻き込みながら、
上空の巨大なマザーシップを直撃する。

シュゥゥゥ・・・・・

だが、金属の焼けるような匂いが漂うも、マザーシップは落ちない。

マザーシップの装甲は、3mmアルミ板装甲。
これまでに、200近い巨大生物・ガンシップと、12体のヘクトルを屠った、
"ゆっくししゅるぅ"の最強兵器・強化どすすぱーくを以てしても、
容易に突き破ることはできない。

「くっ・・・!ゆぼっ?!ゆぼぉぉっ!?」
どすまりさは、マザーシップが健在な事を確認し、歯噛みした後、
大量の餡子を吐き出す。

頭上のゆないぱー部隊で、健在なのは三匹だけ。

餡子内の6基のゆれねーど発射陣地の内、5つから黒い煙が上がっている。
ガンシップからのビーム攻撃を受け、
陣地内の子ゆっくり・ゆれねーどに引火・暴発、
砲撃手の親ゆっくり達はズタズタに引き裂かれた。
餡子内で爆発を起こされたどすまりさも、当然無傷では済まない。

残る一つの陣地からは黒煙はあがっていなかったが、
既に全ての子ゆっくり・ゆれねーどを打ち尽くし、
砲撃手だった母れいむは、狂ったような形相で陣地から飛び出し
敵の群れに突っ込んだまま、二度と戻ってはこなかった。

随伴部隊の隙を縫って攻撃してくる蟻達が、
どすの巨体に断続的に酸攻撃を浴びせているが、
仲間のゆっくり達から親愛のすりすりをされても、
何の感触もなくなるのと引き替えに施された、
饅頭皮表面のゴムコーティング層のおかげで、
殆どダメージは通っていない。
だが、それも、いつまでも保つわけではない。


「どす!もうむりよ!!それいじょういけないわ!」

体を揺すって、髪の毛の中にしまってあった
どすすぱーく用キノコを落としたどすまりさを、
側近ぱちゅりーが制止しようとする。

「やらなきゃ。まりさは"どす"だからね。
 他のみんなが頑張ってるのに、自分だけゆっくりしてられないよ。」
「むきゅ・・・」

どすまりさは、ぱちゅりーに、そう穏やかに答えて、
舌を使ってキノコを拾おうとする。

「ゆ・・・?ゆっ・・・ゆ・・・!」

だが、激辛キノコと、すぱーくの発する熱によって焼かれ続けた舌は、
既に自由が利かなくなっていた。

「ゆっ・・・!ゆっ・・・・!ゆっぐ・・・・!」
何度もキノコを拾おうとし、その度に取り落とす。

「みんなが・・・!みんなが戦ってるのに・・・!
 まりさは・・・!まりさはどすなのに・・・!」

涙を流しながら、それでも必死にキノコを拾おうとする。


「・・・ぱちぇにまかせて、"まりさ"。」

ぱちゅりーが、キノコを咥えた。

「ぱ、ぱちぇ!?ダメだよ!そのキノコは・・・!?」
「むっぎゅぶっっ!!!」
「ぱちぇぇぇ?!」

どすの強靱な体すら蝕む激辛キノコを咥えたぱちゅりーが、
口から生クリームを噴き出した。
しかし、それでもキノコをしっかりと咥え込んでいる。

「む・・・きゅ・・・わかってるわ・・・まりさ・・・
 これでも・・・ぱちぇは・・・"もりのけんじゃ"よ・・・むぎゅぅっ!!」

更にクリームを吐きながらも、
ズリズリと、どすまりさの口に向かって這ってゆく。

「ぱ、ぱちぇ・・・やだよ・・・そんなのやだよ・・・」

ぱちゅりーが、どすの下腹部をよじ登り、口の中に入ると、
激辛キノコを噛み砕き始めた。

「むきゅ・・・なつかしいわね・・・まりさ・・・ゆげぇっ!
 ゆ・・・ゆっ・・・まだ・・・あなたのほうが・・・
 わたしより・・・ちっちゃかったころは・・・むっぎゅぅぅ!
 こうして・・・ごはんを・・・やわらかくして・・・あげたわね・・・」

ぱちゅりーが、どすまりさの口の中で、生クリームの嘔吐を繰り返しながら、
激辛キノコを細かく噛み砕いてゆく。

「ぱちぇ!やめてね!お願いだからやめてね!
 ぱちぇがいなくなったら、まりさはゆっくりできないよ!」

「だいじょうぶよ、まりさ。
 なきむしまりさは、とってもつよくなったわ。
 ぱちぇがいなくなっても、まりさなら、ゆっくりできるわよ。」

「さあ・・・はやく・・・!どすすぱーくをうつのよ!」
激辛キノコを噛み砕き終えたぱちゅりーが、どすまりさの口の中で叫ぶ。

「ぱちぇがそこにいたら撃てないでしょぉぉ!まりさのお口から出てよぉぉ!」

「むきゅ・・・むちゃいわないで・・・もう・・・うごけないわ・・・
 ぱちぇごと・・・うってちょうだい・・・」

「やだよぉぉぉぉ?!できないよぉぉぉ?!」

「やりなさい・・・!
 おねえちゃんの・・・やった・・・こと・・・
 むだに・・・しないでちょうだい・・・」

「ゆっああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
 どすぅぅぅ!!!すぱぁぁぁぁぁぁぁーーーーーく!!!」

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「んほほぉぉぉぉ!!ろぼっとざんだらぁ!
 こんなにかちこちになっちゃてぇぇ!!ありず、だまらないわぁぁぁ!!
 まだずっぎりしぢゃいそうよほぉぉぉ!!!
 んっほぉぉ!!すっきりぃぃぃ!!!」

遂にヘクトルの元に辿り着き、その金属の足に激しく体を擦りながら、
何度目かのすっきりを果たしているのは、
れいぱー化したゆれんじゃー7-1隊長ありす。
だが、機械であるヘクトルが、ありすの子を宿すことは無い。

周囲には、無数の蟻とゆっくりの無惨な亡骸が転がり、
その中でも、とりわけ異彩を放つ、
頭部から何本もの茎を生やして朽ち果てた蟻達の亡骸が、
ありすの通った軌跡を辿るようにして、何十体と転がっていた。


射餡しても、なおも発情が止まず、体を擦りつけているありすに、
ヘクトルがレーザーマシンガンの銃口を向ける。

カタタタタタ・・・
ジュッ・・・ジュッ・・・ジュッ・・・

高熱のレーザーも、ありすの表面の謎体液によって温度を下げられ、
なかなかありすに致命傷を与えられない。

「んほおぉぉぉ!!いだいわぁぁぁぁ!
 これがとがいはな、えすえむぷれいなのねぇぇ?!?!
 とおっでもしげきてきだわぁぁぁぁ!!!」

だが、その攻撃は着実にありすの体に風穴を増やす。
ありすの体の至る所から、ありすの激しい動きに合わせてカスタードが噴き出し、
地面には、既に相当量のカスタードが広がっていた。


ヘクトルの固い金属装甲に強く擦りつけ続けた事で、
ありすの皮は擦り切れ、所々が破れている。
そして、柔らかい饅頭皮と言えど、苔の一念何とやらで、
執拗に擦りつけられたヘクトルの装甲にも、僅かな綻びができており、
ありすの流したカスタードはその中にも入り込んでいた。

レーザーマシンガンを撃ち切ったヘクトルが、再度のチャージに入る。

しかし、そんな動きに構う事もなく、ありすは、
装甲の綻びにネジ込もうとするかのように、何度も何度も体を打ち付ける。
涎とネバネバとした粘液を撒き散らし、奇声を放ちながら。

だが、そのありすの目は、狂気を宿したれいぱーの目ではなく、
いつの間にか、元の、聡明な輝きを放つ瞳に戻っていた。

(おかあさん・・・ありすのおかあさん・・・
 ありすをそだててくれた、やさしい、れいむおかあさん・・・
 それに・・・おかおもしらない・・・ありすおかあさん・・・
 ありすを・・・このよに、うんでくれて、)

「んっ!!!ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
 ありがとほほぉぉぉぉぉぉーーーーっ!!!!」

ヘクトルがエネルギーチャージを終えるのと同時に、
ありすがヘクトルの装甲の綻びに、大量の精子餡を流し込む。

ガシャン

ヘクトルの腕が上がり、再び、銃口がありすを捕らえる。
しかし、その時だった。

ピシ

音と共に、ヘクトル頭部のメインカメラのレンズにヒビが入る。

パリン

レンズが割れ、開いた穴から、
ニョキッと、一本の巨大な茎が伸びてきた。

ジジッ、バチッ

一瞬だけ、電気回路がショートする音と共に火花が散り、
そして、そのまま、ヘクトルとありすは、ピクリとも動かなくなった。

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「どおして・・・どおしてぇ・・・・・!」

ぱちゅりーの命と引き替えに放った、渾身の強化どすすぱーく。
その直撃を受けてなお、マザーシップは宙に浮いたままだった。
所々、装甲の隙間から黒煙が漏れているが、
その機能に支障を来す程の被害は被ってはいないようだ。

「おねえ・・・ちゃん・・・・ごべんな・・・ざい・・・」

餡子の涙を流しながら、犬死にをした、姉ぱちゅりーに詫びるどすまりさ。

そんな、どすまりさの姿を後目に、マザーシップがふよふよと高度を上げてゆく。
そして、その下部の装甲が開き、光を放つ巨大な砲塔が姿を現した。

「あれは・・・?!」

だんだんと光が強まってゆく砲塔を、どすまりさが呆然と見つめる。

『Take it easy! Take it easy!!!』
(こうえねるぎーはんのうだよ!あぶないよ!
 ゆっくりしないで、みんなにげてぇぇぇ!!)

通信機越しの本部れいむの叫びも虚しく、
次の瞬間には、砲塔から目も眩むばかりの閃光が放たれた。



シュゥゥゥゥ・・・・・プスプス・・・・・・
辺り一面に漂う、甘く香ばしい匂い。

どす周辺の残存ゆれんじゃー部隊は、全て、黒こげの焼き饅頭と化していた。

「こんな・・・こんなの・・・・・・」

どすまりさだけは、まだ生きていたが、
全身の饅頭皮は黒く焼けただれ、金髪はメラメラと燃え、
体表近くの餡子は沸騰し、饅頭皮を破って溢れ出している。
右目は破裂して潰れ、残る左目も沸騰した事で白く濁り、
どすまりさの視界に白いフィルターをかけている。

マザーシップの広域熱線照射兵器・ジェノサイド砲の一撃によって、
北米ゆーでぃーえふの最精鋭部隊は壊滅した。


『Dosuuu! Take it easy! Take it easy!』
(どす!しっかりして!どすぅ!?)

本部れいむの呼びかけにも、どすまりさは答えない。
残存するフォーリナー地上部隊が、どすにトドメを刺そうと、
ゆっくり達の焼死体を越えて集まってくる。

『Huhh...Reimu, S.D.S start.』
(これまでか。れいむ、S.D.S(Self Destruction System)起動。)

通信機から、人間の男の声が聞こえてくる。

『Oniisan!! Take it easy! Take it easy!』
(おにいさん!やめてね!やめてね!どすがゆっくりできなくなっちゃうよ?!)


「待っ・・・て・・・あの子達が・・・待避・・・する・・・まで・・・」

どすまりさが通信機に向かって語りかける。
その濁った視界に写るのは、不自然に何体も重なりあった、
黒焦げのゆれんじゃーゆっくり達の焼死体の山。

「ゆ゛・・・」

その山の下から、一匹の子ゆっくりが這い出してきた。
それは、志願して戦闘に参加した子ゆっくりだった。

ジェノサイド砲が炸裂する瞬間、その子ゆっくりの回りにいた
成体ゆれんじゃーゆっくり達が、一斉に、子ゆっくりを庇うようにして、
覆い被さったのだった。

自分の子ゆっくりではない。知っているゆっくりの子ゆっくりでも無い。
今日、部隊に配属されたばかりの、見知らぬ子ゆっくり。
子を持つゆっくりも、持たないゆっくりも、皆が同じ行動を取っていた。
頭で考えるより先に、気が付いたら体が動いていた。

子ゆっくりは、成体ゆっくりにのしかかられたことで、ダメージを負ってはいたが、
熱線によるダメージはほぼ皆無。
自分を庇って黒こげになった、ゆっくり達の亡骸の山を見上げる。

「ゆ・・・おかあ・・・しゃん・・・ぺーろぺーろ・・・」

ジャリジャリと音を立てて、黒く焦げた成体ゆっくりの饅頭皮に舌を這わせる。

この場所以外にも、幾つかの黒い亡骸の山ができており、
そこでも、同じ光景が繰り広げられていた。


『Oniizaaan!! Take! It! Easy!!!』
(おねがいします!おにいさぁん!
 れいむ、もうあまあまさんほしがりませんからぁ!)

『No. I'd like to see yukkuri's painful faces.
 Do it! Reimu!』
(ダメだ。今ならば、フォーリナー共に最大の打撃を与えてやれる。
 今しかない。やるんだ!れいむ!)

『Take it easy! Take it easy! Let Reimu take it easy!
 If not, you die! Don't take it easy, and die soon!!』
(やだよぉぉぉぉ!!れいむ、できないよぉぉぉぉ!!!)

『Reimu! Do it! Hyah-haaaaaaaaa!!』
(やるんだ!仲間達の犠牲を無駄にする気か!!)

『Yun-Yahaaaaaaa! Tage idd eaaaaaaajy!』
(ゆやあぁぁぁぁ!!
 みんなぁ・・・!じごぐでゆっぐりじようね・・・!)

れいむのもみあげが、コンソール上の自爆ボタンを叩きつけた。


ピカッ

戦場が眩い光りに包まれる。

どすまりさの餡子内に埋め込まれた、C70高性能爆弾。
ゆっくり用武器ではなく、人間の軍隊が使うこの殺戮兵器こそが、
血戦どす要塞・"ゆっくししゅるぅ"の真の最終兵器。

既に上空に逃れていたマザーシップの下で、小型のキノコ雲が立ちこめる。
やがてそれが晴れると、そこには、黒く焦げたクレーター以外、
何も残されていなかった。

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この翌日、北米ゆーでぃーえふ本部は、フォーリナーの攻撃を受け、
残存部隊のゆっくり41匹、子ゆっくり1843匹、赤ゆっくり23762匹と共に壊滅。

本部指揮官れいむは、蟻一匹を道連れに、赤ゆ・ゆれねーどで自害した。






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あとがき

当初、本編の一部として書いてましたが、あっさり自爆させる筈が、
何故かおかしな方向に暴走してしまったので、番外編としました。
本編でのみょんが扱い悪かったので、
お詫びにこっちで頑張ってもらっています。


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最終更新:2022年05月03日 20:35