ゆシルダー

設定の拝借があります。
死なないゆっくりがいます。
現実世界の近未来物です。
いじめというよりカタストロフもの?


「ゆゆゆっ・・・。」ゆっくりまりさが目を覚ますと、そこは見慣れない原っぱだった。
「ゆゆっ?天井があるのに原っぱだよ?」

ぴょんぴょんと跳ねていると、突然後ろから捕まれ、持ち上げられる。
「ゆ~お空飛んでるみたいだよ~」
振り返ると髭を生やした人間が、まりさを抱き上げしげしげと見ている。

「ふむ、どうやらゲスではないようだな。」
特に、おうち宣言やご飯要求のないことを見て男はまりさのことをそう評した。

「人間さん!まりさはまだ悪いことは何もしてないよ。ゆっくり離してね。」

真っ白な天井に壁。どこかひ弱に見える草や虫。まりさには、そこが何故かゆっくり出来なく見えたからだ。

「ゆっ!ここは何だかゆっくり出来ないよ。人間さん、まりさをゆっくりおうちに帰してね。」
まりさは畑に行った仲間が、人間達に虐殺され、みせしめに野晒しに
されたのを見て以来、人間に逆らう気がなくなってしまったのだ。

他のゆっくりの失敗から学べたともいえるが、単にトラウマになって
忘れられなかっただけかもしれない。

「まりさよ。お前が帰る場所は最早ない。全てが燃えてしまったのだ。」

そんなことを言われても、まりさには信じられるわけがありません。

「ゆゆっ!!まりさをおうちに返してね!!おうちにはあかちゃんもれいむもいるんだよ!ぷくぅぅ!!。」
まりさは膨れながらおじいさんに抗議します。おじいさんはまりさを憐れみながら、ゆっくりと語りかけました。
「では、君らの家族がどうなったか見せてあげよう。」
白い天井からモニターが降りて来ると、まりさ達が住んでいた郊外の山が映し出されます。山は近くに開発された町があるものの、ゆっくりや
動物達が暮らす閑な土地でした。画面はまりさを除いたまりさの家族が映し出されます。
「まりさ・・・どこまで狩りにいったの・・・そろそろ暗くなってゆっくりできないよ・・・。」
心配そうに巣の入り口の木の根元から顔を出して、外を伺うれいむ。
「むーちゃむーちゃ、しゃわしぇ~。」
「おにゃかいっぴゃいで、ゆきゅりできゅにぇ~♪」

巣の中ではみかんサイズの赤れいむと赤まりさが二匹ずつ、巣の食糧庫から、干したイモムシを交互に千切って食べていました。
まりさは比較的賢いゆっくりだったため、餌の備蓄を充分にしていたのです。
お腹がいっぱいになった赤ゆっくり達は満足したのか、すやすやと眠り始めます。
そのゆっくりした姿に安心したれいむは、まりさが戻らないものかと、巣穴入り口から顔を出します。
「ゆ~、まりさ・・・赤ちゃんたちはゆっくりしてるよ・・・朝になれば帰ってくるよね・・・。」
れいむが巣穴の入り口から外を見た瞬間、太陽の光より何百倍も強い光が町からしました。
「ゆぎゃっ!!!目がっ;;めがっ、まっしろでなにも見えないよっっ;;」

一瞬にして、れいむの目は焼け付き、凄まじい閃光で目の餡が致命的なまでに固まってしまいました。
目が潰れてしまったれいむには見えませんが町に現れた光は凄まじい勢いで広がり、辺りを焼き尽しながら、轟音と共に巨大なキノコ雲を形成します。
目が潰れてしまったれいむの耳には轟音とともに何かが近付いてくる音が聞こえました。
「ゆ~っ;;ゆ~っ;;ここはれいむ達のおうちだよ。ゆっくりできない音さんはこないでっ、ゆべっ!!!」

巨大な熱衝撃波は距離の離れていたこともあり、れいむ達の巣を直撃するには若干の時間差がありました。
爆風に吹き飛ばされ巣の中にれいむが叩き付けられます。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ;;;」
びくびくと痙攣しながら、じわじわと熱線でれいむの皮や餡が焼かれていきます。
「あ゛づいよ゛ぉぉぉ;;;」
目が焼かれたれいむには、もう音しか聞こえません。しかも、それは更にれいむに苦痛を与えることになります。
「あじゅぃ゛ぃ゛ぃ゛っ;;;」
「「おきゃあしゃん゛だじゅげでぇぇぇ;;」」
巣穴の中の温度が急上昇したことで、華奢な赤ゆっくり達の飾りが燃え始め、更に皮が炎に包まれます。
巣穴の中で跳ね回りますが、体の小さな赤ゆっくり達はすぐに黒ずんだ炭の塊と化します。
そして、れいむも・・・山のあちこちでは発火したゆっくりが悲鳴と共に巣穴から飛び出し、やはり発火した木や
同じゆっくりに激突して砕け散ります。

一瞬で吹き飛んだ人間の町に比べ原型を残す程度には距離が離れていたとはいえ、一部の洞窟深くに住んでるいるゆっくりを除いて、
全ての山の生き物が消し炭となるまで三十分とかかりますんでした。

「ゆ゛っゆ゛っ
「ゆ゛っゆ゛ゆ゛ゆっ;;;ゆべっ・・・。」

愛する家族と、山の仲間の末路を見たまりさは餡子を吐き出して、びくびくと痙攣しています。
おじいさんは砂糖をまりさの口に注ぎ込み、漏れた餡子戻しました。
まりさはびくっ!と痙攣すると目を覚まします。
「ゆっ・・・夢じゃなかったんだね;;じゃあ、なんでまりさはここにいるの?」
おじいさんはまりさを持ち上げると近くの石の上に載せます。
「お前が助かったのは空気の取り入れ口を手入れしてる最中に、偶然転がり込んだからだ。」
勿論、それだけではありません。おじいさんはゆ生物学者、ゆっくりも調べる生物学者でした。
核攻撃後のゆっくり達の生態に興味があったのでめぼしい巣にカメラを設置していたのです。

「ゆっくり理解したよ・・・。れいむやおちびちゃんはえいえんにゆっくりしちゃったんだね・・・どすも、群の仲間も・・・みんな、みんな・・・。」
思いの他、このまりさは仲間思いの個体だったようです。
「助かったゆっくりはお前だけではないさ。二十体程度はこのシェルターに匿った。野生種も養殖もいるが・・・外には5年は出れんぞ?」
まりさはおじさんの言っている意味がいまいち分かりませんでしたが、その口調からゆっくりできないことは分かりました。
「ごねんって、どのくらいいるの?」
ゆっくりは基本的に3から上は数えられません。
「冬が三回きて、もう二回冬を越さないと出れないな。」
      • 見る間にまりさの顔が青ざめていきます。
「どぼぢでぞんな゛ごどいうのぉ゛ぉ゛ぉ゛!」
ほどよく乾燥させた生ごみをペレット状に固めたゆっくりフードをお皿に盛りながら、おじいさんはまりさに語りかけます。

「外はゆっくり出来ない雨が耐え間なく降り続いているのだ。浴びれば、餡子をはきだし皮は破れ、全身をミキサーで
砕かれるような苦しみを味わった後にえいえんにゆっくりしてしまうだろう。」
言葉を全て聞き終わる前に再びまりさは気絶していたようです。
おじいさんがまりさに飲ませた砂糖は餡子の粘りを増させ、ゆっくりが吐いて死んでしまうのを防ぐ効果があります。
周囲には、れいむやぱちゅりー、みょんやサイズの小さな1メートルクラスのどすまで点々と転がっています。皆一様に、
先程のまりさの様にこの世の物とは思えない苦痛に満ちた表情を浮かべて・・・。

「ふむ・・・ゆっくり達とはいえ、話し相手がいるのはいいことだ。」
一様に苦悶の表情を浮かべているゆっくり達を見ながら、おじいさんが一息つきました。シェルターは手違いにより、おじいさんと
ゆっくり達の他には人が来れませんでした・・・二千人収容可能なシェルター、ペシルダーに逃げ込むべき人々もまた、
核攻撃で、空に舞っている灰の一部になったのです。

シェルターは各地にありますが、一億人を越えていたこの国の人々の一割も生き残れてはいないでしょう。
「ゆっくりしていってね!」
おじいさんが大きな声でゆっくり達に呼び掛けると、ゆっくり達は一気に跳ね起きます。
「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」おじいさんは均等に行き渡るように、ゆっくり達の目の前に、ゆっくりフードの入った皿をおいていきます。
「人間もゆっくりも大勢死んだ。お前達も長生きしなければ、生きて外には出れない。餌は出してやるから、ゆっくり生きろ!」
「「「ゆっくりりかいしたよっっ!!!」」

おじいさんは孤立したシェルター内での生活の話し相手として、ゆっくりを連れてきたつもりでした。
他にも手軽に飼え、粗末な食事でも耐えられるゆっくりをシェルター内に連れて来る予定だった人は多かった。
貨物として送られたゆっくりは、シェルターに先に到着しながら、それを飼っていた人々は核攻撃に晒され、助からなかったのはある意味皮肉な結果だろう。

「いつか・・・そとに出れるといいね。」まりさはシェルターの真っ白な天井を見ながら、失われてしまった家族のことを思い出していた。
昨日まで当たり前にあった温かな家族、しっかりしていた群れの仲間や助けて貰ったこともあるどす・・・。
シェルターの空調の効いた風は決して寒さはなかったけれど、まりさの心にはこれまで感じたことのない孤独という名の寒さがゆっくりと染み渡っていったのだった。

END


注意書き
1.核攻撃に関する詳しい考察はかなり適当です;
2.ゆ生物学者のおじいさんはシェルターの見学にゆっくり達と来たら核攻撃が開始され閉じ込められたとう設定です。
  そろそろ戦争が起きそうなので、他の人達も避難を開始していましたが、直前で間に合わなかったのです。
3.ぺシルダーとは「ルカ ~楽園の囚われ人達~」というライトノベルに出てくるシェルターの名前です。


作者:moltoke

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最終更新:2022年05月03日 23:43