注意書き

多分ぬるいです
初SSです
無駄に長いです
 生き残るゆっくりがいます

お楽しみいただければ幸いです。





『ゆっくりコールドスリープ』






すっかり山も赤く染まったある秋の日のこと、茂みの中でゆっくりれいむがが目覚めた


「・・・ゆぅ、ここどこ?」


寝ぼけ眼で辺りを見渡すれいむ、その大きさは成体までもう少しというところ。つまりは子れいむと呼ばれる大きさであった。

子れいむは見覚えのない風景に不安になり声を出してみることにした。

「おかーさーん!いもうとたちーれいむはここだよー!!」




「まりさー!ありすー!ぱちゅりー!かわいいれいむはここだよー!」


      • 誰の返事もない


「どぼじでだれもへんじじでぐでないのぉぉぉぉぉ!!」


ついには泣き出すれいむであったがそれも無駄だと悟ったのか餡子脳で何故自分がここにいるのかを必死に思い出すことにした。


(ゆぅ・・・れいむはたしかごはんをたべてからまりさとでかけて・・・ひろばでゆっくりしていて・・・きづいたらにんげんさんが・・・)

「ゆゆ!!そうだよ!!れいむとまりさはにんげんさんにつかまっちゃったんだよ!!」

十分ほどかかりどうやら思い出してきた様子のれいむ。

そうだ、自分はまりさと人間の家に連れてこられたのだった。

そして・・・


「ゆぎゃぁああああああああああ!!おもいだじだあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」


すべてを思い出したれいむ。
人間の家は地獄のようだった。


このれいむとまりさを捕まえた人間の男はたいそうな甘いもの好きでちょくちょく森に入ってはゆっくりを捕まえ調理し食してきた。
男にとってはゆっくりとはしゃべる饅頭であり虐待などの趣味は持ち合わせてはいなかった。
調理法によってはいろんな道具を使い形を変えたり叩いて甘みを強くしたりしてはいたがそれはあくまで料理の延長である。


まあそんな男に捕まったゆっくりの運命など決まっている。おいしく調理され男の腹の中に納まるのみだ。


その日はそのれいむとまりさのほかに親れいむと親まりさ、そしてその赤ちゃんゆっくりの一家が捕まっていたらしい。
最初はまりさと一緒にお菓子をよこせだのここをゆっくりプレイスにするなどと騒いでいたのであるがその親子の調理される姿を見てぶるぶると震えるのみとなった。


まずゆっくり一家の赤ちゃんは軽く水で洗われてから生きたまま揚げ饅頭にされた。
親れいむは水を薄く張った鍋の中に入れられ弱火でゆっくりゆっくり煮込まれ、水が無くなりそうになったら少しずつ水を足していくというやり方でお汁粉にされた。
親まりさは足を焼かれ何度も何度も叩かれた後、頭を包丁で切り開かれ餡子を取り出されて死んだ。ちなみにその餡子は羊羹に使われた。

そんな様子を見てたまらずれいむはまりさに話しかける。


「ゆぅぅぅう!!ごわいよぉぉぉぉぉぉぉばりざぁああああああああああ!!ゆっぐりでぎなぃぃぃぃぃぃぃ!!」


滝のように涙を流しながら恐怖するれいむにまりさは話しかける。


「ゆゆ!!だだだいじょうぶだぜれいむ!!れれれいむはまままりさがぜったたたいまもるんだぜ!!」


と力強く答える。
もちろんまりさもこの惨状を見ているわけで、内心泣きたい気持ちで一杯だったのだが恐怖に怯えるれいむを見て自分がしっかりせねばという思いに駆られたのだろう。
つっかえながらもなんとかれいむに言葉をかけたのだ。

ただただ怯えていたれいむにはそれがどんなにありがたかったことか。

そうだ、まりさなら大丈夫。いつでもまりさは自分を守ってくれた。
この前、二人でゆっくりしているところに蛇が来たときも木の枝で追い払ってくれたし、その前に石で皮を切ってしまったときにもすぐに知り合いのぱちゅりーから薬になる葉っぱを貰ってきて自分を治療してくれた。
その前の時も、ずっと前の時にも・・・
まりさはいつも自分を助けてくれた。いつもは優しいがここぞと言う時に頼りになるまりさがれいむは大好きだった。
今度だって大丈夫、きっとまりさが何とかしてくれる!

れいむはまりさの力強いことばを聞いたときそう確信していた。

しかしその期待はすぐに絶望に変わることとなる。

ゆっくり一家の調理が終わったあと男は二人の子ゆっくりにむかってくる。

すかさずまりさがれいむを庇う様に前に出る。


「ゆ!ゆっくりをいじめるじじいはすぐにしね!!さっさとまりさたちをそとにだしてね!!あとおかしもちょうだいね!!」


ありったけの勇気を振り絞り男に向かって言葉を吐いた後、ぷくぅ〜っとふくれて男を威嚇する。

しかしそんなまりさはまったく無視し男は誰ともなく呟く。


「う〜ん、他もう調理しちまったからいいがこの二匹はどうするか・・・」


そう、実はもう作りすぎなほどに男はお菓子を作っていた男は迷っていた。

実は男が養殖しているゆっくり達の分で透明な箱が全て埋まってしまっていることを忘れてれいむ達を捕まえてきてしまっていたのだった。
料理して保存するつもりだったのだがゆっくり一家だけでも作りすぎたのにこれ以上は流石に多すぎる。

なので森に返してやろうか?などと考えつつまりさに手を伸ばしていたのだがまりさの次の行動でそんな考えは吹っ飛んだ。


「ゆぎぃぃぃぃ!!じじいはとっととしね!!」


と、まりさは男の手に噛み付いたのだ!


「痛っ!・・・くはないな、まあゆっくりだしな。しかしこいつ噛み付いてくるとはてっきり怯えてばかりいるものだと思ったがな。」


そう呟くと腕をふるってまりさを壁に叩きつけた。


「ゆべしっ!!」


かなりな力で叩きつけられたのでずるずると落ちてきた後餡子を吐きながら


「ゆ”っ・・・ゆ”っ・・・」


とたまに呟くくらいにまで弱ってしまったようだ。

それを見ていたれいむは


「ばりざぁああああああああ!!ゆっぐり!!ゆっぐりじでねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


とあらんかぎりの声でまりさに話しかける。

しかし


「五月蝿い!!」


と男に蹴られて壁に叩きつけられ気絶してしまったのだった。


「はぁ・・・仕方ない。あんまりやりたくないがこいつは飼ってるゆっくり共の餌にするか・・・奴等すぐ調子にのって『もっともっと』と騒ぐからから嫌なんだが・・・」


男は二匹を拾い上げ台所に戻っていった。











しばらくしてれいむが目覚めとともに味わった感覚は寒さであった。


「ゆ”!!ざむいよ”お”お”お”お”お”お”お”お”お”!!」


どうしたのだろうか、もう冬が来てしまったのだろうか?おまけにまわりが真っ暗で何も見えない。

ここはどこなのだろう、寒いのは嫌だ怖いのは嫌だ真っ暗なのは嫌だ!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!


「もうやだぁあああああ!!ゆっぐじでぎなぃぃぃぃぃぃぃいい!!おうじがえるぅぅぅぅぅぅう!!」


これまでのことからすでに精神の限界を迎えていたれいむは髪を振り乱しながら叫ぶ。
すると、


「でいぶぅぅぅぅうううううう!!だずげでええええええええ!!」


と、どこからともなくまりさの声が聞こえる。


「まりさ!!どご!!どごにいるのぉぉぉぉぉぉぉおおお!!」


真っ暗なので何も見えないがまりさがなにやらどこかで必死な様子で叫んでいるのだけはわかった。

ともかくなにか箱のようなものに入れられているのだと理解したれいむは出口を求めて這うのだった。

ここでれいむのことを説明しておくと男は餌に二匹とも使うのは飼い・・・というか養殖用のゆっくり共にあたえるのはよくない影響が出ると思い自分に反抗してきたまりさを餌に使うことにし、れいむは冷蔵庫の冷凍庫に入れたのだ。

男はここにゆっくりを入れるのを嫌っていた。
凍ってしまうとゆっくりはそのまま死んでしまい味が落ちるのだ。
ちなみに冷蔵庫のほうはいつも満杯なので入れることは不可能だ。

とはいえこの冷蔵庫のおかげで我々の生活がだいぶ楽になったことはこれを提供してくれた河童達に改めて感謝しなければならない。

いや、本当にありがたい。いろいろと。


「おっ、冷蔵庫の中のゆっくりはまだ凍ってなかったのか。・・・まあ別に良いかどうせ何もできやしないからいいけどな。さっさとこっちのやつの処理をしちまわないとな。」


そう呟いたあと男は手に持った棒をまりさに叩きつける作業に再び没頭し始めた。


どすっ!どすっ!どすっ!どすっ!どすっ!


「ゆぎゃ!!ゆべっ!!やべっ!!だずっ!でいぶぅぅぅぅ・・・だずげでぇええええ・・・ゆぐっ」


見る見るうちに皮が黒ずんでいくまりさ。
どうやら男も調理ではないためか本気で叩きつけているようだ。


「まりざぁああああああ!!まっででねえぇえええええ!!いまだずげるがらでぇえええええええ!!」


れいむはそう叫んではみるものの冷蔵庫の中には光もなければ出口も無い。
ただただ冷たい空気と冷たくて硬い物でひしめき合っている。


「ざぶぃぃぃぃいいいよお”お”お”お”お”お”お”!!ぐらいよぉぉぉぉぉおお!!でぐぢどごぉぉぉぉぉおおお!!までぃざぁああああ!!までぃざあああああ!!」


「れいぶぅぅぅぅぅぅぅうううう!!まりざはごごだよぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!どぼぢでだずげでぐでないのぉぉっぉぉぉおおおお!?」


どちらも必死で呼びかける。しかし、ゆっくり如きにどうなるわけもなくついにはまりさは男の狙い済ました一撃で口を潰される。
歯が何本も砕かれ、唇が開けなくなり


「む〜!!むーっ!!」


と唸るのみとなったのだった。


「までぃざ?までぃざぁぁぁぁぁああああ!!へんじじでねぇぇぇええ!!」


ついに悲鳴すら聞こえなくなりれいむから全てが奪われたのだった。


「もっど・・・ゆっぐりしだがっだ・・・」


そういい残すとれいむは深い深い眠りについた。













五ヵ月後・・・



男はカチンコチンに凍りついたれいむを冷蔵庫の奥から発見することになる。


「なんだこれ?なんでゆっくりが冷蔵庫に・・・あ〜・・・あのときのやつか。」


男は随分と前のことながらそのときのことをよく覚えていた。


「そうだ・・・捕まえたゆっくりが余ったから養殖のゆっくりの餌にしようとしてそのままだったのか・・・あのときは後始末が大変だったからなぁ・・・。」


そう、あの後まりさを原型が無くなるまでぐちゃぐちゃにしていつもの無味乾燥な餌に混ぜたところ味を占めたゆっくり達がギャーギャー騒いだのですっかり失念していたのだ。
ちなみにそのゆっくり達はすでに調理済みである。
ついでに言うとれいむはまりさを助けようとあちこち移動したためかえって奥のほうに移動したため発見が遅くなったという事情もある。
男が気まぐれに冷蔵庫の整理を思いつかなかったらに遅れていただろう。


「しかしこれ・・・どうするかな?もうとっくに死んでるだろうし・・・ゆっくりの餌にするとまた面倒だし。」


前述したとおり男は冷蔵したゆっくりを好まない。加工場で特別な加工をしたものでなければゆっくりはすぐに死んでしまい味がおちるからだ。

自分で食べる気もしなかったのでたまにやってくる猫達の餌にでもしようと男は縁側で寝転んで猫がくるのを待っていた。

しかしなかなか猫は来ずそのまま男は眠りに落ちてしまった。


「うう〜?あまあまだどぉ〜♪」


すると一匹のれみりゃが凍ったれいむに気づきそのままれいむを持っていってしまった。


「うん?ふぁ〜・・・眠っちまったのか・・・結局猫も来なかったな・・・あれ?あのゆっくりどこいった?」


男は確かにそこにおいたゆっくりがいないことを不思議に思ったがもともと処理に困っていた代物だ。誰かが持っていったのならそれでいいと考え食べ物を無駄にせず済んだこと素直に喜ぶことにした。


一方ゆっくりゃは


「うー!このあまあまかたぐでたでられないどぉ〜!!」


男の家から少し離れたところでれいむを食べようとしたのだがまだ凍っていたらしくカチカチのれいむと格闘していた。


「うー!こんなかたくてたべられないあまあまなんてこうまかんのおぜうさまにはふさわしくないんだどぉー!!ぽいっするどぉ〜ぽいっ☆」


どうやら食べられないことに腹を立てそのまま捨ててしまったようだ。

凍ったれいむはそのまま茂みの中に落ちていった。

ふつうなられいむはすでに死んでおりそのままゆっくり解凍され虫や鳥などについばまれ跡形もなくなっていただろう。
しかしこのれいむは数時間後目を覚ますことになる。何故か?

あまり知られてはいないが越冬に失敗し凍ってしまうゆっくりの達のなかにもごくごく少数ではあるが春になってから目覚める個体ががでることがある。
本当なら凍ったことで餡子に致命的なダメージを負ったり、雪解けの影響でそのまま溶けていくのだがなんらかの要因が偶然に重なり合い息を吹き返すことがあるのだ。

このれいむもどうやらその偶然が重なり無事に息を吹き返した。



そして、現在に至るわけである。


「ゆ!そ、そうだよまりさ!まりさぁあああああああああどこにるのぉおおおおおお!?」


れいむは親友のまりさを呼ぶ。
しかし返事は無い。
当然だろう、もう五ヶ月前に同属の餌になっているのだから。

本当はれいむも薄々まりさはもう生きていないであろうことに感づいてはいるのだがそれまでの苛烈な体験がれいむにその考えを否定させた。


しかし叫ぶれいむの目に入るのは茂みと暗闇。
そう暗闇だ。それが引き金となり霊夢のトラウマに火をつける。


「ゆぎゃあああああああああああ!!くらいのやだあああああああああ!!さむいのやだあああああああああああ!!おうちかえるうううううううううううううう!!」


暗い、寒いは冷蔵庫に入れられたれいむにとって強烈なトラウマとなっておりれいむは半狂乱になりどこかに駆け出した。




翌朝、
すでにだいぶ日は昇っているころにれいむは目覚める。

どうやら半狂乱で走り回っているうちに木にぶつかりそのまま気絶してしまっていたようだ。


「ゆぅ〜、ゆっくりおはよう・・・。」


れいむはのろのろと目を覚ます。秋晴の気持ちのいい日和であったのだがれいむの心はまったく晴れなかった。

どうやら人間の家からは逃げられたようだが親友のまりさを失ったことに変わりは無い。


しかしれいむははたと気づく。なにやら妙な違和感はあるがここはよく見た光景であることに。
そう、滅茶苦茶に走っていたれいむであったが知らぬうちに自分のおうちの近くまで来ていたのであった。



「ゆ!ゆゆぅううう!!」

いっきに嬉しさがこみ上げてくる。
まりさを失い、人間にひどいことをされたがまだ自分には家族がいる。
そうだ、おかーさんにいっぱい慰めてもらおう、おねえちゃんたちにいっぱい甘えよう、妹達にたくさん優しくしてあげよう。
まりさはいないけどまりさのぶんも自分はゆっくりするんだ。それをきっとまりさも望んでいるはずだ。

そしてれいむは優しい家族のいるおうちである洞窟にたどり着いた。


「ゆっくりただいま!!」









「「「「「ゆっくりおかえり!!!!」」」」」


「れいむどこにいってたの!!おかーさんしんぱいしちゃったよ!!ぷんぷん!!」


「おねーしゃん!どこいってたにょ?れいみゅいいこにしてまっちぇちゃんだよ?」


「まったく、れいむのいもーとはこまったさんだね!でもこれからはもっとゆっくりしようね!!」


「「「「「ゆっくりゆっくり〜♪」」」」」











      • そんな返事を期待していたれいむ。しかし返事はない。
そこには何も無かった。


柔らかい草のベッドも、みんなでおいしい食事を食べたテーブルも、姉妹で集めたきれいな石も、


暖かい家族も。



「みんな?どうしたの?ゆっくりでてきてね。かわいいれいむがゆっくりかえってきたよ?かくれんぼはいいからゆっくりでてきてね!・・・だれがへんじじでよぉぉぉぉおおおおおおお!!」


かつてのおうちである洞窟の中にれいむの何度目かわからぬ絶叫が響き渡った。
れいむはわけがわからなかった。悪い夢ならば覚めてほしい。そして自分はまた暖かい家族としんゆうのまりさとゆっくり過ごすんだと。
しかしそんなれいむの妄想は打ち消される。






「ゆ!そこにだれかいるの!?ゆっくりでてきなさい!!」


れいむは後ろを振り返る。
そこには近所に住んでいた幼馴染のありすの姿があった。


「あ、あああ、あああありずううううううううう!!ゆっくり!!ゆっくりしていってねぇえええええ!!」


「ゆ!れ、れいむ!もしかしていなくなってたれいむなの!!」


再会を喜ぶれいむとありす。


「ゆっぐり・・・ゆっぐりよがっだぁああああ!!ありずぅぅぅぅうううううう!!」


「れいむぅうううううう!!よくぶじで・・・ゆっくりしていってね!!!」


ほほをこすりつけあう二匹のゆっくり。
ところでこの二匹、本当は同じくらいの産まれなのだが大きさがあっていない。ありすはすでに成体なのに対してれいむは明らかに小さいが特に気にしている様子は無い。


「ゆ、ところでありす。れいむのかぞくはどこにいるの?」


少し落ち着いたところでれいむはありすに話しかける。
するとありすは暗い表情で答える。


「ゆぅ・・・れいむ、れいむのかぞくは・・・にんげんにころされちゃったの・・・。」


「うそ・・・うぞだよねありず・・・れいむのかぞくはいきてるんだよね・・・?どこかにおひっこししてるんだよね・・・そうなんでしょ、ありす?そうだよね?・・・そうっでいっでよぉぉっぉぉおぉおぉおおおお!!」




      • またしばらくしてからありすはれいむにこのへんのゆっくりになにがあったかを話した。
少し前のある日、突然たくさんの人間がやってきてたくさんのゆっくりが踏み潰され、おうちを壊され、家族を捕らえられていった。

そのなかにありすの家族とれいむの家族もいた。ありすの家族は最後まで自分をかばって死んでいったこと。
れいむの母親は激しく抵抗したらしくおうちの入り口でぐしゃぐしゃに踏み潰されてたこと、姉妹達はどうやら全員捕らえられ人間に連れて行かれてしまったことを話した。

そしてれいむも人間に捕らえられたときのことを話した。

れいむとありすはともに涙した。

何度も何度もお互いを励ましあった。

そしてありすがれいむにそっと話しかける。


「ねぇれいむ?わたしはここをでてほかのゆっくりプレイスにいこうとおもうの。よかったらあなたもこない?」


突然の誘いに困惑するれいむ。


「ゆ、ありす・・・ありがとう。でもまだどうすれいいのかまだれいむわからないよ・・・。」


「ごめんなさいれいむ、きゅうにそんなこといわれてもこまるわよね・・・まだしばらくはここにいるつもりだからこたえがでるまでゆっくりかんがえてね。」


そういってありすはじぶんのおうちから食べ物や藁などを持ってくると


「なにかこまったことがあったらありすのおうちにきてね。」


と言い残しおうちに戻っていった。


また広い洞窟の中に一人ぼっちのれいむ。

これから自分はどうすればいいのだろう。
家族はいない。親友のまりさもいない。

しかし、ありすは優しくしてくれた。前と変わらぬまま。きっと他のところに行ってもゆっくりさせてくれるだろう。

しかしそれでいいのだろうか・・・まりさも家族も苦しんで死んでいった。
そんな中自分はなんの偶然か生き残った。

たった一人、生き残った。

家族は苦しんで死んだのに・・・自分一人でゆっくりしていいのか・・・

いっそのことれいむは自分も家族の下へ向かう事も考えた。

しかしそれを救ったのは家族とまりさがかつてれいむにかけた言葉であった。


(れいむ、おかーさんはおかーさんにどんなことがあってもれいむゆっくりできてることがいちばんうれしいんだよ・・・。)


(れいむ、まりさはゆっくりしているれいむがいちばんすきなんだぜ!!ずーっとずーっとゆっくりしていってね!!!)


そうだ、そうなのだ。
みんな自分がゆっくりすることを望んでくれていた。ならばここで命を絶ってしまうのは家族やまりさを裏切ることになる。
れいむは家族を裏切りたくは無かった。


(そうだ・・・れいむはゆっくりするんだ・・・れいむのかぞくのぶんも・・・まりさのぶんも・・・ほかのだれよりもゆっくりしたゆっくりになるんだ!!)


れいむはそう決心した。もう迷うことは無い。
誰よりもゆっくりしたゆっくりに!!そう家族とまりさに誓った。



と突然後ろから


「ゆっくりしていってね!!!」


と声が聞こえた。
れいむは誰よりゆっくりしたゆっくりになると決めたならばまずは挨拶からだ。誰より元気に、ゆっくりと挨拶をかえそう。






「 ゆ っ く り し て い っ て ね !!!」











「おぉ、元気なゆっくりだなぁ。これはいい材料になりそうだ。」


れいむは固まった。その声の主はあの人間だった。
れいむを捕まえまりさを殺した。あの人間。


「最近、畑の被害が多いから村中総出でゆっくり狩りしたせいかこんなに元気なゆっくりは久しぶりだ。いい材料になりそうだな。」


なにか男がしゃべっているがれいむには関係が無いこいつがまりさを殺した殺した殺したコロシタコロシタコロシタ・・・






「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!ゆっくりしねぇええええええええええ!!!!!!」








しかし人間にゆっくりが敵うわけも無い。


こうしてれいむは再び男に捕まったのだった。









一ヶ月ほど過ぎた頃・・・
れいむはいまだ生きていた。


男の家の透明な箱の中で頭にあかちゃんのたわわに実った蔦を揺らしながら歌を歌っている。



「♪ゆぅ〜ゆ〜ゆゆゆ〜ゆ〜っくりしていってね〜♪」

すると男が近づきれいむに話しかける


「よおゆっくり、きょうもあかちゃんをもらっていくぞ。」


「ゆ〜ゆっくりしていってね!!!」


れいむは蔦の赤ちゃんをとられるがまったく気にするそぶりも無い。
ただただゆっくりとした表情で虚空を見つめている。

男にとってこのゆっくりはとても都合がよかった。
最初のうちはことあるごとに抵抗していたがそのうちまったく抵抗しなくなった。

赤ちゃんをとってもにギャーギャー喚かないし、どんなにひどい食べ物だろうとかまわず食べるしほとんど


「ゆっくりしていってね!!!」


としか喋らないからだ。


そうれいむはとてもゆっくりしていた。
なぜならゆっくりすること以外をまったく放棄することにしたからだ。
まずい餌もあかちゃんがとられることもせまい箱もなにもかもを感じないことにした。

れいむはこれからもゆっくりし続けるだろう。
男がれいむを必要としなくなるまで・・・。






あとがき

ここまでお読みくださった方、お疲れ様でした。
初SSなので上手くできたかわかりませんが楽しんで言っていただければ嬉しいです。

なにか問題等ございましたら消しますので言ってくださるとありがたいです。


まだネタはあるんですが
また書くかどうかは未定です。


またお会いする機会があればそのときに・・・では。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2022年05月03日 23:46