「お、おにーさんのぺっとになるわ。でも、おちびちゃんのためなんだからねっ!?」

渋々といった様子で男の案に乗ったありすはぷいっと顔を背けた。
男はその態度をこれと言って気に留めることもなくありす達を手にしたケージの中に放り込んで行く。
そうして5匹を捕まえると、ケージに布をかぶせて外の様子が見えないようにして彼女達を自宅へ連れ帰った。



「運搬中に寝るとは思わなかったぞ、ありす」
「ゆぅ・・・おにーさん・・・おちびちゃんは?」
「別の部屋でゆっくりしてる」

男がそんな事を言ったところで、ありすが信用するはずがない。
彼自身、そのことは重々承知しているらしく、やれやれと肩をすくめつつ手にしたビデオカメラを示した。

「これで毎日お前のチビ共の姿を撮影して見せてやる。それで納得しろ」
「ゆぅ・・・しかたないわね、ゆっくりなっとくしてあげるわ!」
「それで、だ。常識的に考えて俺がお前らを無条件にゆっくりさせる訳がないよな?」

彼の口調にいつもの嫌みったらしさが混じった瞬間、予想通りの展開に身構えるありす。
彼女の様子を面白おかしく伺いながら、彼は「そう警戒するなよ」とジェスチャーで示した。
何も今回は虐待する訳じゃないんだから、と。

「アレだ。お前には一つだけルールを遵守してもらう」
「・・・ルール?」
「ああ。で、そのルールなんだが・・・『俺がすっきりを命じたらすっきりしろ』・・・以上だ」

どんな恐ろしいルールを課されるのかと警戒していたありすは思わず拍子抜けしてしまった。

「ほんとうにそれだけなの?」
「ああ、それだけだ。ちなみに、それ以外のときにすっきりしても構わないぞ」

更に条件が緩和されたことにありすは驚きを隠せず、体を傾けて男の顔を覗き込んでしまった。
自宅にいるにもかかわらずお面をつけているので表情をうかがい知ることは出来ない。
しかし、もしかしたらありす達の頑張りを認めてくれたのかも知れない。
そんな風に考えると、ありすは少しだけゆっくりした気持ちになって、男に向かって自主的にあの挨拶をした。

「ゆっくりしていってね!」
「へいへい、ゆっくりゆっくり」

こうして男とありすの一つ屋根の下での生活が始まった。



一般にありす種は性欲が強いと言われているが、それと同じくらい理性も強い。
彼女達のたびたび口にする「とかいは」とは言ってしまえば理性による自制を促す言葉でもある。
が、レイパーありすと呼ばれるものが存在することからも分かるように理性による制御は絶対ではない。
ゲス的な因子が目覚めた時に、理性よりも本能に従うべき極限状態に置かれた時に、彼女達の理性は崩壊する事があった。

「さあ、ありす・・・そのまりさ人形ですっきりーするんだ」
「ゆ、ゆっくり・・・りかいしたわ。ゆふぅ・・・」

ひとたび理性が性欲に呑まれた個体はすっきりの快感に溺れ、あっという間にレイパーへと堕落する。
勿論、ちゃんと「とかいは」とはどう言うことかを学んだ個体であればそこからでもある程度持ち直すことは出来るのだが。
逆に言えば、そういった教育を受けていないものは善良な個体であってもレイパー化してしまう。

「ほれ、もう一回すっきりしろ」
「ゆんやぁ・・・すっきりーはゆっくりできるけど・・・なんだかゆっくりできないわ!」
「気のせいだろ。ほれ、早くすっきりしろよ」

ありすは知る由もない事だったが、男の狙いはまさしくレイパー化だった。
それも、盛りがつくと止まらないなどという生易しいレイパーではなく、常時発情しているような。
そんな手の付けようのない最悪のレイパーに仕立て上げようとしていた。

「おれ、すっきりーして疲れただろ。これを食え」
「ゆっくりありがとう・・・むーしゃむーしゃ、んほおおおおおお!?」
「さて、またすっきりーしろ」

男がありすに与える餌にはゆっくりを発情させる薬が盛られている。
それを食べれば当然のように彼女は発情し、すっきりーを覚えた体ではすっきりーせずにはいられなくなる。
もっとも、それでも飼い主の男性にレイパーありすの映像を見せてもらっていたありすが安易に流されることは無かったが。
しかし、男に「すっきりをしろ」と命じられれば全てを差し置いてその命令を優先した。

「ゆんぅぅ・・・すっきりー!」
「おお、淫乱淫乱」
「し、しかたないでしょ!おちびちゃんのためなん・・・だからぁ」

男の命令であるという事と、子どもを守るという大義名分が徐々に彼女の自制心を蝕んでいた。
最初は「すっきりしないと子ども達がゆっくり出来ない」からだった。
それが少しずつ「子ども達をゆっくりさせるためにすっきりする」にすり替わって・・・
今では「すっきりすると子ども達がゆっくり出来る」というよく分からない認識になりつつあった。

「さてと・・・今日はもうすっきりしなくても良いぞ。それじゃ、また明日」
「おにーさん、ゆっくりおやすみ」
「おやすみ。それと、このまりさ人形はここにおいて置くから好きにして良いぞ」

これ見よがしにゆっくりまりさのぬいぐるみを示してから、男は寝室へと去っていった。
彼がいなくなった部屋の住人はありすただ一匹。
だと言うのにこの部屋が静寂に包まれることは無かった。

「んほぉおおお・・・すっきりー」
「ま、まりしゃあああああああああ!」
「ゆふぅ・・・ゆはぁ・・・」

誰に命じられた訳でもないのに、ありすはまりさのぬいぐるみに一心不乱に頬を擦り付けた。
これくらいしかやる事がないからとか、人形さんも遊んで欲しいはずだとか・・・そんな言い訳を繰り返しながら。
それがレイパーの典型的な思考様式の入り口である事に彼女が気づくことは無かった。



「さて、今日のチビ共の映像だぞ」
「ゆう~ん、ゆっくりみせてね!」
「はいはい、ちょっと待てよ」

男は律儀に赤ありす、改め今や子ありす達の映像を毎日彼女に見せていた。
勿論、彼女との約束だからとかそんな殊勝な理由からではない。

「なあ、ありす。この透明の体とすっきりしたらどんな感じだろうな?」
「ゆゆっ!?へ、へへ・・・へんなこといわないでね!?」
「くっくっく・・・流石のありすも自分の子どもとするのは抵抗があるか?」

涎を垂らしたまま画面を見つめるありすをからかう。
子ども達の元気な姿を見つめる彼女の瞳には明らかに親の愛情とは異なる情念が宿っていることに彼は気づいていた。
と言うよりも他のゆっくりと隔離してすっきり漬けにすることでそうなるように彼が仕向けていた。

「おお、変態変態」
「ゆふぅ~ん、おちびちゃんのほっぺとってもとかいはだわぁ・・・」

熱を帯びた吐息とともに漏れ出したその囁きには淫猥な欲望が見え隠れしている。
いや、交尾時に分泌される粘液が滲んでいる以上、隠れているとは言えなかった。
男とともに暮らすようになってから1週間が経つ頃、我が子の確認する時間は醜い欲望をぶちまける時間に変わり果ててしまっていた。

「んほぅ・・・す、すっき・・・ゆぐっ!? おにーさん、ありすのすっきりーをじゃましないでね!」
「すっきりする直前で悪いが、ありすよ。命令だ、そいつですっきりしろ」
「ゆぅ? あ、みゃみゃだー!」

男はもはや想像の中であっても我が子を辱めることに抵抗感を感じなくなったありすのすっきりーを無理矢理止める。
すっきり出来なかったことに抗議する彼女を見てお面の下の表情を嫌らしく歪めながら、目の前に子ありすを放り投げた。
その子ありすは全身が透明の、葛饅頭の末妹ありすで、無邪気に母親との久しぶりの再会を喜んでいる。

「さあ、ありす」
「ゆっくりりかいしたわ!おちびちゃん、ありすとすっきりしましょうね!」
「ゆぐっ!?や、やめてね!やめてね!ゆっくちできないわ!?」

すっきりの虜になったありすは男に促されるがままに我が子の上にのしかかると、わずかに湿った体躯をなすりつけ始めた。
両者の大きさの著しい差があるため子ありすが抵抗する状況では従来のような頬ずり形式のすっきりを行うことは不可能。
しかし、まるで人間や他の動物のように一方がもう一方にのしかかって、下あごを頬や下あごにこすりつけることでその問題を解消出来る。
一見すると残酷に見えるが、自然の中で生きる動物は半ば強姦のような交尾をするものも多いので、もしかするとこの形式こそ正しいのかもしれない。

「やめぢぇええええ!みゃみ゛ゃああああああ!?」
「おちびぢゃんってばづんでれねええええ!」

が、やはり絵的には色々ときついものがある痴態を凝視しながら男はお面の下の素顔をしかめる。
豹変した母に向かって泣き叫ぶ異形の子どもと、本能の赴くままに快楽を貪る母。
その常軌を逸した痴態は、末妹ありすが子を宿して朽ち果ててもなお終わることなく続けられた。

その後、我に帰ったありすは罪悪感のあまりに自らの命を絶とうとしたが・・・
「お前にはまだ他にも子ども達がいるだろ?」という男の言葉を支えに生きながらえ、毎日のように我が子を犯し殺した。
ビデオの映像の中から1匹ずつ1匹ずつ減ってゆく我が子を見るたびに、自己嫌悪に苛まれながらもまだ3にんいる、まだ2にんいると言い聞かせていた。

ある日、1匹も子どもの姿が映らなくなった映像を見て、彼女の中で何かが崩壊した。
ありすはどこかで見たことのある部屋ですっきりと食事と睡眠を繰り返すだけの存在になってしまった。





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最終更新:2022年05月21日 22:11