※こまけえこたぁいいんだよ!(AA略)
「ゆぅ・・・こ、こんどのおちびちゃんはとってもゆっくりできるよ!」
「本当だろうな? もし、ゆっくり出来なかったらまたまりさに酷い目に遭ってもらうぞ?」
「ゆぐっ・・・だ、だいじょうぶだよ! ぜったいにおにーさんもゆっくりできるよ!」
「そう、それじゃあ見せてもらおうか」
胡坐をかき、はるか頭上かられいむを見下ろす男性の前に跳ねてくる1匹の子ありす
にっこりと笑みを浮かべて、ぴょんぴょんと跳躍すると元気良く挨拶をした
「ゆっくちちていってね! ありしゅはありしゅよ!」
「はいはい、ゆっくりゆっくり」
「おじしゃんはゆっくちできるひと?」
「・・・・・・」
仕草、態度、言動・・・いずれをとってもとてもゆっくりした子ありすで、栄養状態も悪くない
間違いなく自然界では滅多に見かけないほどに良く出来た美ありすだろう
しかし、男はこの子ありすをゆっくり出来るものとして評価しなかった
「駄作!!」
「ゆぴぃっ!?」
「ど、どどどどどほぢでえええええ!?」
容赦なく子ありすを叩き潰されたれいむは叫び、ぼろぼろと涙を零す
そんな彼女に侮蔑のこもった視線を向けながら手についたカスタードをふき取る男
れいむがようやく泣き止んだ所で、あの子ありすが不適格であった理由を話し始めた
「甘ったれるな、理由は自分で考えろ!」
「ゆぐっ・・・ゆゆっ! や、やめてね! はりさんのよういをしないでね!?」
「断るっ!!」
叫ぶや否や男はウヒヒヒと気味悪い笑みを浮かべつつ、近くに置かれていた透明の箱から1匹のまりさを取り出す
右手で彼女の髪をしっかりと掴み、左手に握られたかなりの長さの針を彼女のこめかみの辺りに容赦なく突き立てた
よく見てみるとその針と同じものがすでにまりさの両目に2つずつ、そして下あごに3本ほど刺さっている
「やべでね!やべでね!や、やべでぐだざ・・・ゆっぴぃぃぃいいぃぃぃぃ!!?」
「ま、ま゛でぃざああああああああ!?」
「はい、終了。さて、早く次のガキをこしらえようか?」
餡子を貫かれ、白目を剥いて泡を噴くまりさをすぐに透明の箱に戻した男はそう言って別室へ
一方のれいむはその隙に何とか逃げ出そうと室内を跳ね回るが出口は全て閉ざされており、打つ手なし
そうこうしている内に、男が発情したありすを抱えて戻ってきた
「れ、れ・・・れいむううううう! すっきりぢましょおおねえええええ!!」
「ゆああああああ! ありずはゆっぐぢでぎないよ!? ごっぢごないでね!?」
「にげるなんて・・・れいむってばつんでれねええええええ!!」
拒絶の言葉を吐きながら懸命に狭い室内を逃げ回るれいむ
しかし、発情したゆっくり、特にありす種にそのような言葉は無意味であるばかりか、かえって彼女の欲望を刺激する
それでもれいむは必死に貧困な語彙で彼女を罵りながら長方形の部屋を壁沿いに走り回る
「・・・いい加減飽きたな。れいむ、これ以上逃げたらまりさを刺すぞ」
「ゆゆっ! や、やめでね!! れいむのだー・・・ゆびゅっ!?」
「つかまえたわ、れいむうううう!」
男の言葉に反応してれいむの動きが止まった瞬間、ありすは後ろから彼女の黒い髪に噛み付いて動きを封じた
こうなってしまっては手も足もないれいむがありすから逃れる術はない
何せ、接触さえしていれば体中どこででも生殖できてしまうのがゆっくりなのだから
「さて、タバコでも吸うか」
「やぢゃあああああ! だずげでええええええええ! おに゛いいいいざああああああん!?」
「いつも言ってるけど、植物型のにんっしんは却下だからな。ちゃんと胎生で産めよ?」
れいむの叫びもむなしく、男はライターとタバコと、灰皿代わりのまりさを手にベランダに出て行ってしまう
こうして室内でありすとふたりっきりになってしまったれいむは、時間をかけてじっくりとすっきりー!させられた
もっとも、時間がかかった原因の大半はれいむが中途半端に抵抗しようとするからなのだが
2週間後のある日・・・
れいむは決して広いとは言いがたい水槽の中でため息を吐いていた
事実上の監禁と幾度にも渡る強制すっきりと目の前での子殺し、そして愛するまりさが傷付けられる
食事は栄養価はそれなりにあるらしいが、お世辞にも美味しいとは言いがたいものばかり
身重では運動することもままならず、更には胎教と称して1日の大半歌うことを強要され、夢に逃げるも許されない
もしも彼女が人間ならば、とっくの昔に正気など失われていてもおかしくないような状況だった
「ゆっぐ・・・ゆっぐぢぢだいよぉ・・・」
「俺をゆっくりさせられるようなガキを産めば良いんだよ。簡単な話だろう?」
「ゆひぃ・・・ごべんなざいぃ、ごべんねぇ・・・!」
嗚咽を漏らすれいむの傍で男は美味そうにオムライスを食べている
それを見ながられいむは思った。自分が人間さんの食べ物を食べたいなんて言わなければ、と
そうすれば最初に男に潰されたまりさや自分の子ども達と一緒に山奥でそれなりに平穏な生活を送れたのに
『まりさ! れいむ、にんげんさんのごはんさんがたべたいよ!』
『ゆゆっ!? だ、だめだよっ、れいむ! にんげんさんはゆっくりできないよ!』
『だいじょうぶだよ! とっておきのゆっくりできるさくせんがあるよ!』
結論から言えば、その“ゆっくりできるさくせん”こそ全ての元凶だった
作戦の内容は至って単純で「自分達の子どもを見せる」というもの
1.れいむ達の子どもはとってもゆっくり出来る
2.れいむ達は子どもと居るとゆっくり出来る
3.子どもには誰かをゆっくりさせる魅力がある
4.人間さんも子どもと居ればゆっくり出来る
5.ゆっくり出来れば人間さんと仲良くなれる
6.仲良くなれば人間さんの食べ物を分けて貰える
7.皆がゆっくり出来て、しあわせーになれる
『ゆーっ! すごいよ、れいむ! と~ってもゆっくりできるね!』
『ゆぅ? おかーしゃん、にんげんしゃんってなあに?』
『とってもおおきくてつよくてこわいけど、あまあまをもってるんだよ!』
『ゆっくちー!れーむ、あまあましゃんたべたいよ!』
そんなやり取りの後、意気揚々と無用心な人家に入り込んで男が帰ってくるまでゆっくりしたのが4ヶ月前のことだった
もし、家主がまともな人だったなら、空腹のために餌を探して多少室内を荒らしたことを咎めた上で家から追い出されるだけだったろう
運良く、家主が温厚でゆっくりが好きな人物だったなら、首尾よくあまあまを食べる事だって出来たかもしれない
が、れいむ達が入った家の主はゆっくりにとって最悪の人格と嗜好の持ち主だった
『へぇ、こいつらでゆっくり出来るねぇ?』
『そ、そうだよ! れいむのおちびちゃんはとってもゆっくりできるよ!』
『だから・・・おじさんのおうちをぐしゃぐしゃしちゃったことはゆるしてほしいよ!』
『おじしゃん! れーむといっしょにあまあましゃんでゆっくちー、しようね!』
『まりしゃあまあましゃんたべたいよ!』
どうやら男は虐待に理屈をつけて自己欺瞞する性分だったらしく、最初のうちはれいむ達と普通に話しをしてくれた
だから、れいむ達は室内を荒らしたことに彼が憤っていることを理解し、代償としてゆっくりさせてあげようと考えた
その為に子ども達を、とても可愛らしい子れいむと子まりさを男に紹介した
しかし、子ども達は状況をいまひとつ理解できておらず、苛立っていた男に向かってあまあまを要求してしまった
『駄作!!』
『ゆびぇっ!?』
『ぴぎゅっ!?』
『『おおぢびぢゃあああああああああん!?』』
どうしてこんなことするの・・・そう叫ぶ2匹に向かって、握りつぶした子ゆっくりの餡子を片付けながら男は言った
お前達の子どもがゆっくり出来なかったからだ、と
部屋を荒らしたお詫びにゆっくり出来る子どもを見せてくれるんだよな、と
そして・・・
『約束を守るまで絶対に逃がさないし、約束を破るつもりならここら一帯のゆっくりを全部駆除する』
陰惨な笑みを浮かべる男を前に、2匹は子を殺された憎しみすらも忘れてただ呆然とするしかなかった
数時間後、回想を終えたれいむは急に産気づき、1匹の赤れいむを出産した
自分の餡子を分けた、目が大きくて丸っこいとても可愛らしい自分に良く似た我が子
「ゆぐぅ・・・おぢびぢゃ、ん・・・ゆっぐぢぃー!ゆっぐぢぢでねぇ・・・」
「ゆっくちうまれるよ!・・・ゆっ、ゆっくちちていってね!」
「ゆぅ、ゆっくりしていってね!れいむのおぢびぢゃん・・・す~りす~り」
はつらつとした笑顔、優しい声・・・どれをとってもゆっくりしている
この子ならきっと大丈夫だろう、お兄さんもゆっくり出来るはず
そう思いながら双眸からあふれる涙をそのままに、産まれたばかりの我が子に熱烈な頬ずりをする
「おかーしゃん、くしゅぐっちゃいよ!」
「おちびちゃん・・・ゆっくりしたこになってね~♪」
頬ずりを終えると、れいむは早速出産時に一緒に漏れた餡子を集め、赤れいむに正しい食事の仕方を教えた
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」
初めての食事に歓喜の涙を零す赤れいむを見て、このしあわせー!な姿を見ればお兄さんもゆっくり出来ると確信する
しかし、たまたま食事を持ってきた男は食事中に喋る無作法な赤れいむめがけて大きな拳を振り下ろした
「駄作!!」
‐‐‐あとがき‐‐‐
まいたんウザ可愛いよ、まいたん
んほおおお、まいたんってばツンデレねえええ!
最終更新:2022年04月15日 23:33