ゆっくりいじめ小ネタ253 さとりんといっしょ

「さとり様、ただいま戻りましたー。」

「おかえりなさい。あら、お土産ね。」

「ええ。可愛いでしょ、これ。地上で見つけたんですよ。」

地上に遊びに出ていたお燐。久しぶりに地霊殿に帰って来た彼女の手には不思議な饅頭が。
地上に生息しているゆっくりだ。

「(何かしら・・・この感覚・・・この子の顔を見ていると・・・)この子、言葉を話せるのね。」

「ええ、面白いでしょ。ほら、さとり様に挨拶して。あなたは今日からさとり様のペットになるんだよ。」

そう言うとお燐はゆっくりをさとりに手渡し部屋を出て行く。
これがどんなものなのかを説明したりはしない。言葉に出さずとも通じる。便利なものだ。
部屋の中で二人っきりになったさとりとゆっくり。早速さとりがゆっくりに話しかける。

「はじめまして。私はこの地霊殿の主、古明地さとりよ。」

「れ・・・」

「そう、あなたの名前は『れいむ』と言うのね。」

「ゆ・・・」

「ええ、私はゆっくりしているわ。あなたも今日からここでゆっくりするのよ。」

「お・・・」

「そう。私は相手の心を読む事ができるのよ。あなたのトラウマも・・・」

「と・・・」

「あら、ごめんなさい。難しい言葉で解らなかったかしら。トラウマって言うのは心にできた傷の事よ。
 怖い思い出、と言い換えてもいいかしら。」

「ゆ・・・」

「そう。それがトラウマ。今思いついたものの他にも幾つかある様ね。
 いい?もしあなたが私の言う事を聞かずに悪い事をしたら、お仕置きとしてあなたのトラウマを蘇らせるわ。
 あなたの両親の事、姉妹達の事、仲間達の事。それが嫌ならいい子にしてるのよ。」

「り・・・」

「解ってくれたのね。嬉しいわ。それじゃ、庭にいる子達に挨拶してきて。
 あの子達も私のペット。今日からあなたの家族よ。仲良くしてね。」

「う・・・」

「いい子ね。(それにしても、何かしら・・・このゾクゾクッとする感じ・・・)」

「(虐めたい・・・虐めてみたい・・・)」


れいむは庭に下りてさとりのペット達に挨拶する。と言っても言葉は通じないが・・・
しかし、ペット達の反応を見る限り自分は好意的に受け入れられている様だ。れいむは一先ずほっとした。

このれいむ、地上では仲間である筈のゆっくり達から虐められていた。
理由は解らない。昨日も他のゆっくりから虐められていたところをお燐に助けてもらった。
お燐はそんなれいむに一つ提案をする。地底で生活してみる気はないか?と。

地底にはれいむを虐めるゆっくりはいない。地霊殿の主はペット達の気持ちがわかる為、
ペット達にとても好かれている。れいむもきっとさとり様を気に入るはず、と。

確かにさとりは言葉を持たぬ動物達には大変好かれていた。しかし・・・
お燐は本当にれいむの為を思ってこの提案をしたのだろうか・・・


れいむが地霊殿に来てから数日。れいむはここでの生活に不満を持ち始めていた。
確かにここにいればゆっくりに虐められる事は無い。さとり様も自分の気持ちを良く解ってくれる。
しかし、それが問題だった。さとり様は自分の気持ちを解ってくれるだけでなく、
れいむの言おうとした事を先取りして会話をしてしまう。
れいむはさとりとまともに会話をする事ができなかった。例えば今朝の事。

「ゆ・・・」

「ゆっくりしていってね。おはよう。さあ、朝ご飯を食べましょう。」

「れ・・・」

「あら、好き嫌いをしてはだめよ。」

「ゆ・・・」

「ええ。確かに私はあなたが何が好きで何が嫌いか解るわ。あなたの好きな物だけを出す事もできる。
 でも、好きな物ばかりを食べていたら不健康になってしまうわ。これはあなたの為なのよ。」

「で・・・」

「でも、じゃありません。これはあなたの為です。ちゃんと残さず食べるのよ。」

「さ・・・」

「ゆっくりできない?そんな事はないわ。これを食べたら好きなだけゆっくりしていいわよ。」

「・・・」

「あなた・・・今心の中で悪態を吐いたわね。だめよ。私には全てお見通しなんだから。
 どうやらあなたにはお仕置きが必要な様ね。眠りを覚ます恐怖の記憶、思い出させてあげるわよ?」

「ご・・・」

「そう、解ってくれたらそれでいいのよ。そうしたら私もお仕置きをしたりはしないわ。」

「ゆぅ・・・」

始終この調子である。さとりはれいむに発言を許さない。
れいむもさとりの事を嫌いな訳では無い。地上で虐められていた自分を受け入れてくれただけでなく、
食事の面倒も見てくれる。ペット達の食事の世話はペットに任せているさとりだったが
れいむだけは自ら面倒を見ていた。れいむはさとりに感謝している。

しかし、直接文句の一つも言えないというのはストレスが溜まる。
今朝の事だってそうだ。朝食のメニューは確かにれいむの嫌いな物だったが、別に食べられない訳では無い。
ただ、「れいむはこれ、きらいだよ!」と言う事もできない。好き嫌いをするな、と先に言われてしまう。

そんなさとりに向って「さとりさまとはゆっくりできないよ!」と文句を言おうとしても駄目。
さとりはれいむに最後まで話をさせてくれない。
それを不満に思って心の中で悪態を吐くとそれも読まれてしまう。溜まり続けるストレス。
せめて直接言葉でぶつける事ができたらいくらかましになるのに・・・
さとりはなぜかそれだけは解ってくれなかった。

「ゆぅぅぅ・・・れいむは・・・れいむはおはなしがしたいのに・・・」

家族と生き別れ、仲間達から虐められ、れいむは常に一人ぼっちだった。
れいむは会話をしたかった。誰かに話を聞いてほしかった。「ゆっくりしていってね!!!」と言いたかった。
なのにさとり様は話を聞いてくれない。ペット達は言葉が通じない。お燐はれいむの相手をしてくれない。

「ゆっくりしたいよぉ・・・ゆっくりしたいよぉ・・・」

「れいむー、れいむー。どこにいるの?出ていらっしゃい。」

「ゆっ!」

さとり様が自分を呼んでいる。行きたくない。でも行かないと・・・行かないとお仕置きされる・・・


「(ああ・・・楽しい・・・れいむの、れいむの落ち込んでいる顔を見るのが・・・)」

「(どうしてかしら・・・あの顔を見ると・・・無性に虐めてみたくなる・・・)」

「(直接虐めてみたらどんな感じになるのかしら?)」

「(何をしよう・・・抓ってみようか・・・突っついてみようか・・・引っ張ってみようか・・・)」

「(ああ・・・考えただけでゾクゾクする・・・)」

れいむのゆっくりできない地底生活は続く。


おしまい。


「*作者当てシリーズ」

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最終更新:2008年12月07日 14:39
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