(編注:食事中注意系)
「ゆっくりしていってね!」
これは本来なら取るにたらないことのはずだった。
しかし内臓が悲鳴をあげて悪寒が駆け巡る体調と
そしてここに類する場所が半径数百メートルに存在しない現状において
その取るに足らないはずのことがとても煩わしかった。
「何してるんだ?」
俺はそこに鎮座している
ゆっくりれいむに対してもてる限りの忍耐を持ってして尋ねた。
「つまった!」
「そうか」
事情をあらかた把握した俺は自らの常識から考えてその行為に躊躇しながらも
危機を訴える本能に組み敷かれてゆっくりれいむの顔の淵に手をかけた。
「なにしてるの?」
「抜くんだよ、お前をそこから」
余り大きな声は出せない。
だから静かに重々しく声を発した。
「ありがとうおにいさん!」
自分の声もそうだが他人の出す大きな声も今の俺には辛い。
ゆっくりれいむは満面の笑みで答えた。
軽く頷いて、指先に力を入れる。
だが迂闊に力を入れすぎれば、ここにたどり着くために行った努力・苦痛・犠牲が全てが水疱に帰す。
天使の様に繊細に、悪魔の様に大胆に俺はれいむをそこから解き放つための力加減に全神経を集中させた。
だが、そんな俺の努力も空しくそのれいむはぴったりとそこに嵌っていて抜くどころか動かすことさえ出来なかった。
やわらかいれいむの肌がぴったりとその野外施設としては部不相応なほど白い色の陶器に吸い付いていた。
力づくならあるいはどうにかなったかもしれない。
しかしそれは非常にリスキーな賭けだった。
額に珠のような汗が浮かぶのがわかる。
数時間にも感じる一瞬の中で俺は限界が来たのを悟る。
自分の体のことだから分かるがもう時間は無い。
俺はれいむから手を離していくつかの実行不可能な選択肢を次々と思い浮かべていきそれに×を付けていく。
やがて一つ、限りなく俺の常識的観念とのズレが生じていることを除けば実現可能な選択肢を見つける。
じっとりとした汗が額を伝う。
それを実行することを受容するために俺は苦痛を伴う苦慮の時とプライドという犠牲を払わなければならなかった。
「なあれいむ」
震える声で、きっと全身が震えていた
俺はれいむにソレを尋ねなければならなかった。
「なあにおにいさん?」
「生きたいか?」
「とうぜんだよ!しんだらゆっくりできないよ!」
れいむは俺の問いに何の迷いも無く答えた。
そのロスタイムの無さが今の俺には嬉しい。
「わかった」
竹を割ったようなれいむの態度に俺も覚悟を決めた。
ベルトの金具がカチャカチャと鳴った後に
衣擦れの音と共にベージュ色のソレがパサリと地べたに落ちた。
「いやんおにいさんのえっち!」
れいむは俺の姿を見て顔を赤らめながらそう言った。
俺は俺を体内を駆け巡るそれから護っていた最後の外装を解き放った。
そしてれいむに背中を向ける。
「おにいさん?なにしてるの?…ゆ?」
れいむの声音がそれまでの能天気なものから危機を知ったもののソレに変わる。
良心が咎める。
だがもうれいむに承諾を取る時間は無い。
「や、やめてねやめてね!そんなことやめてねやだやだきたないきたないいぶえふ!?」
俺はそのままれいむの上に腰を下ろした。
「やぼぶべぶばばばばば」
れいむの口を塞ぐ轟音と共に訪れた全身を貫くような虚脱感に膝が笑う。
「おがごボアボおおばおばおぼあおばおぼあおああああああ」
俺の下でれいむが必死に口を動かしていた。
最終更新:2009年01月02日 06:34