ゆっくりいじめ小ネタ378 ゆっくりスパーク

デストラクションさんからのお題『破壊の権化』

作者名:名も無き埴輪



「ゆゆっ!? おいしそうなきのこさんがあるよ!!」

声を上げたのは巣立ちしたばかりのゆっくりまりさ。
今まで育ててくれた家族のもとから独り立ちした彼女は
ついさっき自分のおうちを完成させて今夜のご飯を取りに来たところだ。

今日に限って何故かおうちの周りにごはんが少なかったので
普段は誰も来ないような遠い場所まで来ていた。
そこはゆっくりの間では理由は分からないが何となく危険だということで
立ち入らないように伝えられていた場所だった。

元はちゃんと理由もあったのだろうが世代を重ねるうちに理由は忘れ去られ
ただ立ち入ってはならないことだけが伝えられるようになったのだろう。

ご多分に洩れずこのまりさも立ち入ってはならないことは
親ゆっくりから聞いていたがごはんを探すのに夢中で
いつの間にかそこに来てしまっていたようだ。

さて、そのキノコだが周辺には何も生えておらず、キノコが1本だけちょこんと生えている。
まりさの知識では見た目からキノコの種類をはかることはできない。
人間ならそんな得体の知れないキノコなんて放っておくか研究施設に持ち込むかもしれない。

だが見つけたのはゆっくりだ。

「ゆゆ~ん、すごくゆっくりしたキノコさんだよ~」

躊躇無くそのキノコを口で咥えて引っこ抜くと
まりさは帽子の中に入れて揚々と家路を引き返していった。


「ゆふん! こんやはごちそうだね!」

おうちへと戻ってきたまりさは早速キノコを食卓に並べていた。
キノコは生ものなので早めに食べないと鮮度が落ちてしまうのだ。

「むーしゃ、むーしゃ……っ!? うっめ、めっちゃうめっ!!」

いつもの通り『しあわせー』をしようとしたまりさだったが
あまりのキノコの美味しさにがつがつとがっついてしまった。

「ゆふぅ……おなかのなかがパンパンだよ~」

キノコを食べ終わったまりさは膨らんだお腹を
もみあげでさすりながら人心地ついていた。
満腹感に浸りながら今日はゆっくり寝ようとしたときにそれは起こった。

「ゆぐっ!? ゆががががががが!!?」

突然まりさに身体の中をかき回されるような痛みが襲ってきたのだ。
あまりの痛みにまりさはじっとしていられず、おうちの中をごろごろ転がった。
あわよくばそれで痛みがどこかへ行ってくれればと願ったが現実は非情である。
絶え間なく襲ってくる痛みにいつしかまりさは気を失ってしまった。


「……さ! …りさ!! まりさっ!!」
「ゆ、ゆゆ~?」

まりさは夢と現の間で「おかーさん、あと5ふんだけ……」などとのたまっていたが
あまりにしつこく身体を揺すられるのでようやく目を覚ました。

「まりさ! よかったぁ~、えいえんにゆっくりしちゃったかとおもったよ~」
「ゆ、れいむ……どうしてここに……?」

まりさの傍にいたのは幼馴染のゆっくりれいむだった。
このれいむはまりさが小さい頃に初めておそとに出たときに出会った
同年代のゆっくりでよく遊んだ仲だ。
まりさが独り立ちするときも『れいむもすぐにおいかけるからね!』と
言いながら見送ってくれたはずだがどうしてここにいるのだろう?

「まりさがひとりだちして2かいおひさまがおうちへかえったから
 れいむもひとりだちすることにしたんだよ!
 まりさがこっちにおうちつくるのはきいてたからおひっこししたこと
 おしえてあげようとしたらたおれてたからびっくりしたよ~」
「ゆゆっ!? うそいわないでね!? まりさそんなにゆっくりしてないよ!!」
「うそなんかじゃないよ! れいむ、とってもしんぱいしたんだよ!!」

まりさは考え込んだ。
あのキノコを食べてから2日も経った?
つい勢いでれいむを嘘吐き呼ばわりしてしまったが
れいむがそんな嘘を吐くゆっくりじゃないことは自分がよく知っている。
……ということは何故だか知らないがれいむの言ったことはどうやら本当のようだ。

「れいむ、ごめんね! まりさ、ゆっくりしすぎちゃったね!!」
「ゆゆ~ん、あんまりゆっくりしてるといしさんになっちゃうよ!」
「うん! きをつけるよ!!」

微笑ましい会話を交わすふたり。
そしてれいむがふと思い出したように言った。

「まりさ、ゆっくりしていってね!!」
「れいむも“ゆっくりしていってね”!!」


『カッ!!!』


「……ゆ?」

突然眩しい光に襲われ反射的に目をつぶったまりさがゆっくり目を開けると
ついさっきまで目の前にいたれいむがいなくなっていた。
そればかりかれいむがいた場所の後ろの壁にぽっかりと穴が空いている。

「れいむ? ゆっくりしないででてきてね?」

首をちょこんと傾げながら幼馴染のれいむを探すまりさだったがどこにもれいむは見当たらない。
そうこうするうちにおうちの外に他のゆっくりがわらわらと集まってくる気配がする。
まりさはもしかしたら外にいるゆっくりたちがれいむの居場所を
知ってるかもしれないと思い、ぽよんぽよんと跳ねていった。


外にいるゆっくりたちは思い思いにゆっくりしていたところ
突然細い光が空に伸びるのを目撃したため発生源と思われる
まりさのおうちへと集まってきていた。

集まったはいいものの何をすればいいのか分からず、ただがやがやと騒いでる辺り、典型的な野次馬である。
野次馬ゆっくりたちが注目する中、ぽよんぽよんとまりさが出てきた。
初めて会うゆっくり同士が行うことといえば挨拶だ。

『ゆっくりしていってね!!!』
「ゆゆ!? いっぱいゆっくりがいるよ!
 “ゆっくりしていってね”!!『カッ!!!』……ゆゆ?」
『ゆゆ……?』

まりさはあまりの眩しさに目を閉じていたので訳が分からなかったが
集まっていた野次馬ゆっくりたちはしっかりと目撃していた。
まりさの口から出てきた光が目の前にいたゆっくりたちをなぎ払ったのだ。

『ゆぐぐ……!!』
「ゆ? れいむだけじゃくてみんなもいなくなったよ?」
『このゆっくりごろしぃぃぃ!!』
「ゆぶっ!?」

まりさは訳が分からなかった。
自分は挨拶しただけなのに突然集まっていたゆっくりたちに次々と体当たりされたのだ。

「ゆぐっ……ゆっぐり……みんな、“ゆっぐりじでよ”『カッ!!!』ぉぉぉ!?」
『ゆぎゃあああ!?』

まりさの言葉と共に再びゆっくりに一角が消し飛ぶ。たが多勢に無勢だ。

『しね! しねっ!! ゆっくりしないでしねえええええ!!!』
「ゆ……ゆっくりしたけっかがこれだよ……」

そこに残ったのは飛び散った餡子とゆっくりだった何かだけだった。



あとがき
やっと麻雀お題の最後のお題が書き終わった……。
最後のお題な割に短いですが作者の力量的にこれが精一杯。
感想や突っ込みお待ちしています。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年02月24日 18:46
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。