何故かは分からないが、久し振りに
ゆっくりをいじめたくなったのでいじめることにした。
取りあえず見かけたれいむとまりさとちぇんを捕まえることにした。
三匹はとても仲が良く、また人間にも警戒心を抱いていない様なのでお菓子をあげたらホイホイついてきた。
家への道中、三匹は腕の中で「おにいさんはゆっくりできるひとだね!!」とか言っていた。能天気なものである。
さて、はっきり言ってしまうとれいむとまりさは何度もいじめてきたので食傷気味である。
なので今回はちぇんを主にいじめることにした。
家に帰ってきた俺はれいむとまりさをバスタブに放り込んだ。逃走防止目的なので水は抜いてある。
「おにいさん! ここはせまいんだぜ! だしてほしいんだぜ!」
「ゆっくりだしてね!」
「ごめんね、ちょっと準備があるからここで待っていて欲しいんだ」
そう言ってバスタブにお菓子を入れてやった。
「わかったよおにいさん! ここでゆっくりまってるよ! む~しゃ♪ む~しゃ♪」
「む~しゃ♪ む~しゃ♪ まりさもここでまってるのぜ!」
二匹がお菓子を食べるのを見て腕の中のちぇんが、「ちぇんもー! ちぇんもー!」とか叫んでいるが気にしない。
ちぇんを片手で抱えたまま自室からナイフを取って風呂場に戻る。途中ちぇんがあまりにもうるさかったのでチョコバットを口に突っ込んで黙らせた。
風呂場に戻るとこちらに気づいた二匹が同時に声を上げた。
「「おにいさん! ゆっくりおかえりなさい!」」
「ただいま。そうだ、れいむとまりさには良い物を見せてあげよう」
「ゆゆ? いいもの?」
「そう、いいものだよ」
「ちぇんはー? ちぇんはー?」
先ほどのお菓子の時と同じように自分だけ除け者にされたちぇんが抗議の声を上げる。
「残念だけど、ちぇんは見ることができないんだ。だって……」
そう言いながらナイフを走らせ左耳を切り落とした。
何が起こったか分からないといった様子のれいむとまりさ。しかし数秒後、
「やめてね!! ちぇんにひどいことしないでね!!!」
「やめるんだぜ!!」
ちぇんも切り落とされた左耳を見て、
「ちぇんのみみがぁぁぁ!!」
悲鳴を上げた。
(ああ、次は右だ)
内心そんなことを考えながら右耳も切り落とした。
「「ちぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」」
「わがらなよぉぉぉぉ!!!!」
腕の中のちぇんを解放し、バスタブの中に入れた。
「「「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉ!!!???」」」
叫び声をあげる三匹。理由? 知るか、一行目読め。
バスタブのなかでゆんゆんと泣き声を上げる三匹に告げる。
「いいか、ちぇんには耳があるけどれいむやまりさには耳が無いよな? だからと言って俺の言っていることが聞こえない、そんなことがあるか?」
「ゆ!? どういうことなんだぜ!?」
「だから本当はちぇんに耳なんていらないんだ」
「ゆゆ!? いってることがわからないよ!?」
「つまりちぇんの耳は飾りみたいな物なんだよ!!!」
「「「ゆ、ゆっくりーー!?」」」
驚きの声を上げる三匹。
「ちぇんの耳なんて飾りなんだ。ゆっくりにはそれがわからんのだ」
「なくてもだいじょうぶなんだねー わかるよー」
「ゆゆ! ゆっくりよかったね!」
「ひとあんしんなのぜ!」
ん? 何か忘れてる気がするな……?
何だったかな……?
あ、思いだした。
「ところでお前たち、飾りの無いゆっくりってどう思う?」
「ゆっくりできないよ!」
「そうだろ? じゃあ、いまのちぇんを見て何も思わないかな?」
「ゆ? なにをいってるんだぜ?」
「今のちぇんは『飾り』である『耳』が無い、つまりゆっくりできない奴なんだ」
「おにーさん! なにいってるの!? わからないよー!」
うろたえるちぇんとは対照的にれいむとまりさは好戦的であった。
「まりさ! ゆっくりできないやつがいるよ!」
「ゆ! やってやるんだぜ!」
二匹がちぇんに襲いかかる。
「ちぇんだよ! わかってね!」
説得を試みるちぇん。しかしそれは無駄であった。
まりさの体当たりで吹っ飛ばされ壁に当たり跳ね返ってきたところをれいむに踏まれ、ひたすら嬲られるだけだった。
およそ五分後ちぇんはぐったりしていた。そろそろ頃合いだと思ってちぇんを拾い上げる。
「おにーさん! そいつにとどめをさすんだぜ!」
まりさがこうふんした様子で叫ぶ。
「まあ、落ち着いてこれでも見てみろよ」
そういってちぇんに切り落とした耳をあてがう。
「「ちぇ、ちぇぇぇぇぇん!!!」」
驚愕の表情を浮かべる二匹。
「すまないんだぜ! わるぎがあったわけじゃないんだぜ!」
「ごめんね! ゆっくりゆるしてね!」
考えられる範囲の謝罪の言葉を述べる二匹。
「わかれば……いいんだよ……」
蚊の鳴くような声でちぇんは答えた。
一週間後近所の公園で元気に遊びまわる三匹のゆっくりがいた。
あの時のゆっくりである。
ちぇんが二匹を許したあと俺はちぇんの治療をした。といっても切り落とした耳をあてがいながらオレンジジュースを浴びせただけだが。
それでもあっという間に回復するあたり、ゆっくりとはよくわからないものである。
俺がなぜゆっくりを殺さないか、それには理由がある。
一寸のゆっくりにも五分の魂ということもあるが、もう一つの理由の方が大きい。
俺がゆっくりを殺さないことで他の人がゆっくりを虐待できる。そんな理由で俺はゆっくりを殺さないことにしている。
あの三匹もきっと俺のことなんて忘れてるだろう、そう思いながらじゃれあう三匹を眺めていた。
あ。耳の左右間違えてた。
最終更新:2011年07月31日 16:21