ご主人…私を覚えていますか?
私は覚えています…あなたと共に過ごした短い時間を……
ひと月前…研究所にいた私をあなたは可愛いといい真っ先に選んでくれた…とっても嬉しかった
今の主人に「お姉ちゃんとお揃いだよ!」と私を自慢してくれた事もあった
初めてのバトルでは辛かったけど一生懸命戦って勝利を勝ち取ったのを今でも覚えてる
負ける時もあったけど主人は決して責めなかった
いつも優しい笑顔で私を慰めてくれた
でも、いつからかな…主人が私をボールから出さなくなったのは…
新入りのヒコザルが来てから主人は全く私を見なくなった
私にいつもの笑顔も見せなくなった
その内、ヒコザルは頭に炎がついたポケモンになっていた
主人は凄く喜んでいた
私は進化をすれば主人は喜ぶという事がわかった
でも主人は私を出してくれないから戦う機会が無い
だから私はこっそりボールから抜け出して修行をした
こっそり進化して主人を驚かそうと思ったんだ
でも…
進化はしたけど主人はあまり、喜んでくれなかった
ボールに戻される私…
でも、強くなった事はわかってくれた
それだけでも私は満足だった。あの日が来るまでは…
それは満月が美しく輝く夜だった…
主人は今の主人と激闘を繰り広げていた
勝負は明らかに主人が押されており、すでに4体が倒されていた。
主人は私をボールから出した。久しぶりのバトル…目の前にいるポケモンはブラッキーと言う真っ黒なポケモンだった
私は主人の指示に合わせて水の波動を放った
技は命中した…だが、ブラッキーは全く無傷に近い姿だった
突然敵が
消える…どこに行ったかわからず慌てていると後ろから体当たりをされた
勢いが強すぎたのか体は地面を跳ね木に叩きつけられた
体中が痛くてたまらなかった…その時、主人は私を見た後チッと舌打ちをした後、最後のボールを掴んだ
ボールから飛び出してきたのは進化したあいつだった…あいつは素早い動きでブラッキーを翻弄するとインファイトと言う技で倒してしまった
そこからは目の前が暗くなって覚えていない
その日の夜中、私は目覚めた…ボールの中だが声が
聞こえる…よく聞こえない…「いらない?」
何がいらないのかな?…しばらくするとボールが開かれた
周りは見た事も無い草原…主人はここで待っててねと言うとどこかへ走り去って行った
消える人影…でも怖くはなかった…
…もう朝が来たのか…岩場に腰をかけ何とか楽な姿勢をとり空腹に耐えながら私は主人を待った
でも、主人は太陽が草原を照らす頃になっても来なかった
私が岩場に座りしばらく待っていると足音が聞こえてきた
歩く音…主人だ!私は音のする方へ走った
草むらから出ると確かに人はいた…でも主人じゃなかった…お姉さんの方だ
お姉さんの隣にいる私と同じエンペルトは悲しい目で私を見ていた。どうしてそんなに悲しそうなのだろうか…その後、私はお姉さんからボールに入れられた
そしてしばらくした後、お姉さんのポケモン達から私は捨てられた事を告げられた
信じられなかった…あの優しい主人がそんな事を言うなんて…
私はしばらく荒れた…あの時…あの時、捕まらなければ…主人は迎えに来てくれたのかもしれないのに…!
そう言いながら私は今の主人のエンペルトを責めてた…
何故、捨てられたのかわかってたけど認めたくなかった
それでもお姉さんと仲間のポケモン達は私を見放さなかった
それから月日は流れた…お姉さんを今の主人と認め仲間のポケモン達と仲良くなった。でも、元の主人には会えなかった。でも私はまた会えると思う。
ポケモントレーナーのあなたと主人の行く最終地点は一緒だから…
(終)
作 2代目スレ>>600-602
最終更新:2008年10月02日 21:51