現代では、逃がされたポケモンは、パソコン通信で、それぞれの生息地に近い
「ポケモンを野生に帰すための施設」に送られ、そこでしばらく訓練を受けたあと、
野山(あるいは海、川)に帰される。

では、パソコン通信もなければ、ポケモンや環境を保護する活動のなかった昔は?


…まあ、確かに今でも生まれたばかりのポケモンを逃がす人は沢山いますが
それでも、昔と比べれば、随分とましなんですよ?

何匹かのムックルを野に放ちながら、その男性は言った。

この国が、世界が今ほど平和でなく、仲も良くなかった頃は、
今以上に多くのポケモンが捨てられていたのだと言う。
たとえば戦争の道具にするため。たとえば国際大会で使うため。

戦争の勝敗や国家の威信がかかったそれらに使われるポケモンたちは、
当然ながら優れた能力を持っている必要があって、その優れた一匹が生まれるまでに、
何百、何千と言うポケモンたちが打ち捨てられてきたのだと言う。

それこそ、近くの森や山、川にぽいっと捨てちゃうわけです。
生態系も、そのポケモンが生きていけるかも関係なしに。
…ほら、カントーって今でもあんまり種類がいないでしょ、ポケモンの。
アレはそのしわ寄せなんですよ。
本来生息しないポケモンをぽんぽん逃がしちゃったせいで生態系が崩れちゃったんです。

今ではパソコン通信や自然保護運動、ポケモン保護活動が活発化してるおかげで、
私たちのような逃がされたポケモンを、野生で生きていけるように訓練して、
それぞれの生息地に逃がす組織なんかもありますけどね。

ええ、まあ、逃がすことがいいこととは言いませんけどね。
でもいまは人間の数も増えてますからね。
ひょっとしたら私たちがこうやって、逃がしたポケモンを野生に帰したりしなければ、
一部のポケモンは見かけることすらなくなってしまうかもしれませんね。

それでもやっぱり、トレーナーさんには、ちゃんと生まれたポケモンを大切にしてほしいとは思いますけど、ね。

群れで夕日に向かってとんでいくムックルを見つめながら、男性はそう締めくくった。


作 2代目スレ>>762-763

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最終更新:2008年11月05日 21:31