私は暗い洞窟の中で生まれ育った。
何度も外へ出たいと思ったが、道を塞ぐ巨大な岩のせいで無理な話だった。
コウモリは岩の上を飛んでいき、石ころは岩を乗り越え、
青銅も浮くことができたので、岩の上を越えていった。
一緒に住んでいる奴等は自由に出入りできるのに、何で私だけ・・・。

ある日、その岩をどかす人間がいた。こんなことは今まで無かったのだが。
私を見つけると奴は目を丸くした。よほど珍しかったのだろうか。
すぐさま奴は私をボールの中へ閉じ込めた。私は抵抗ができなかった。
一体、何をされるのだろう・・。ボールの中で怯えていた。

俺がボールの中から出される時が来た。そこは私の見たことのない世界。
これからはここで生活できるのだ。そう思うと胸が高鳴った。
興奮の真っ直中に居る私に、奴はこう言った。

「どこにでも行って良いよ。」

その言葉が意味することが分からなかった私は嬉しさのあまり走り回った。
暫く走り回ってから振り返ると、奴の姿はもうそこには無かった。

――それから、私はこんな見たことのない世界で暮らすことになった。
新鮮だ、快適だ。そんなことを言っている余裕などない。
珍しいポケモンだと言って人間はポケモンを繰り出して攻撃してくる。
私はとにかく逃げるしかなかった。私の仲間はもうどこにも居なかった。

ある日、絶望の底にいた俺を救ってくれた人がいた。
長い金髪を伸ばし、黒い服を着た女だった。奴は私を見ると駆け寄ってきた。
そして、持っていた薬で私の怪我を完治させてくれたのだ。
この人なら助けてくれる。そう思った私は彼女に着いていった。

彼女の育て方は天下一品で、私はすぐに進化できた。
当初、彼女はすごく大きく見えたが、今では見下ろすほどだ。
彼女に育てられただけでよくここまで強くなれたものだ・・。
…だが、それも当然だったのかもしれない。
彼女はポケモンリーグのチャンピオンだったというのだから・・・。


作 初代スレ>>150-151

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最終更新:2007年10月19日 19:33