楽しい夢をみていたはずだった なのに突然その夢は途切れた
暗くて目の前がよく見えない どうしてボクはこんな所にいるのか
「ようまだ意識はあるかい? おまえさんで何匹目になるかね」
暗闇から突然やたらとカクカクしたポケモンが目の前に現れた
「俺はポリゴン名前は忘れた ふらふらと旅を続ける野良ポケさ」
ねえここはどこ? どうしたら元の場所に帰れるの?
「まあ落ち着きな ここは夢の中と電脳世界の狭間みたいなもんだ」
夢? 電脳世界? なにがなんだかわからない
「俺も詳しくは知らないが人間が作った夢を見る機械が壊れたらしいな」
そういえばボクの主人は「楽しい夢が見られるといいね」
そんな事を言っていた 「夢を見る機械とやらが壊れたせいで
 お前さんみたいなポケモンが元の世界に帰れなくて泣いてるんだとさ」
君はここでなにをしてるの? 君はここにいて怖くないの?
「俺は元々パソコンから捨てられたから帰る場所なんて無いのさ」
「だから暇つぶしに元の世界に帰れない奴らの話相手になってるんだ」
いつになったら元の世界に帰れるの?
「それは俺にもわからない まあ気楽にいこうぜ 慣れればここも悪くない」
ここでポリゴンと出会ってから長い時間が過ぎた
最初は不安で怖かったけれどポリゴンが話相手になってくれたりして
少しずつここにも慣れてきた それにここは夢の中だから
その気になれば好きなだけ楽しい夢が見られるという事がわかった
美味しい物を好きなだけ食べられる夢 楽しい場所で遊ぶ夢
色々な夢を見た けれどどんな楽しい夢を見るよりもボクは
ご主人さまの所に帰りたかった もう帰れないのだろうか
「長い間夢から覚めずにそのまま諦めたトレーナーもいるらしいからな」
やっぱりボクももう帰れないのだろうか
「まあその時はこうして俺が話相手になってやるよ 暇つぶしにな」
なんだかんだでこのポリゴンは優しいポケモンらしい
ここにいるのも悪くないかなとそう思った
その夜また夢を見た 今度は怖い夢だった
もう二度とご主人さまに会えなくなるそんな怖い夢を
嫌だ もう会えないのは嫌だ もう一度ご主人さまに会いたい
そこで不意に意識が途切れた

「よかった! 目が覚めたんだね もう目を覚まさないかと思った」
目を開けるとそこにはボクのご主人さまが涙を浮かべながら笑っていた
ご主人さまに抱きしめられたこの暖かい感触が夢じゃないように


作 6代目スレ>>69-70

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最終更新:2011年07月30日 21:24