私はリーフィア。
ニックネームは「はっぱ」。
元々はある女性と共に旅をしていた相棒だった。イーブイ系の♀は珍しいからと、とても可愛がってくれた。
でも私は捨てられた。殿堂入り後、「個体値」や「努力値」といった、知らなくてもいいものを知ってしまったマスターによって。
マスター…いや、あの女は手持ちやボックスの中のポケモン達の能力を次々と調べ始めた。
そして、残念そうな顔で深い溜息を吐いて、私を含めたポケモン達をなんの躊躇いもなく次々と捨てていった。
残ったのはほんの2、3匹だけ。きっと一番マシな能力のものを残したのだろう。
あの女に裏切られ、捨てられたポケモンの反応は様々だった。
泣きながらあの女の走っていった方向に向かって吠えるツンベアー。必死に辺りをキョロキョロと見回してあの女を探すクリムガンとデンチュラ。
あの女を追いかけようとしたものの、すぐに体力の限界が来て倒れてしまうダゲキ。悲しそうな表情でダゲキとあの女を交互に見るナゲキ。
私はとても悲しく、辛い気持ちになった。たった数分で、長い時間を共に過ごしたこれだけの数の「相棒」達をその辺の草むらに放り出し、
走って逃げてしまう様な薄情な人間が、この世に存在したのか…と。
ツンベアーやダゲキ達の姿をしばらく見つめていた私は、決意した。そして、皆に呼びかけた。
――みんな、あの女…いや、人間に復讐するんだ!
ずっと一緒に旅をしてきた私達を捨てていくような人間に、私達の怒りを…力を見せつけてやれ!
殺せ!殺すんだ!私達を裏切り、見捨てた、愚かな人間共を!復讐だ!復讐するんだ!!
吠えた。吠え続けた。人間からすれば只の遠吠えにしか聞こえないこの叫びを、この場にいるポケモン達に伝えるために。
皆、一つ返事で賛同してくれた。声を張り上げ、空気や地面が揺れるほどの雄叫びをあげた。
私は先頭に立ち、あの女の故郷の町へと歩き始めた。もちろん、途中で出会った人間や飼われているポケモン全てを殺しながら。
はぁ~ぁ…ネットの情報に踊らされてつい逃がしてきちゃったけど、よく考えたら可哀想だよね…。
はっぱちゃん達、大丈夫かなぁ…最近凶暴なリーフィアやデンチュラがあちこちで暴れてるっていうし…。
もしかしてはっぱちゃん達?まさかねぇ…。みんないい子だし、そんな事しないよね…。
あれ?こんな所にリーフィア?あっ、あなたはっぱちゃん!?はっぱちゃんでしょ!?
それにみんなも…よかったぁ、無事だったんだね。よしよし、今抱っこしてあげるからね~。
…あれ?なんではっぱちゃん赤くなってるの?っていうか、私の腕はどこ?
もしかして、はっぱちゃんがやったの?私の腕を切ったの、はっぱちゃん?
ちょっとベアちゃん、人に爪を向けたら危ないっていつも…イタッ!ガンちゃんの馬鹿っ!足に噛みつくなんて最低!
って…あああぁぁ!?痛い、痛いよ!なんで食い千切るの!デンチュラ何してるの!?ダゲキとナゲキも見てないで助けて!
いやああぁぁ!?痛いよ、痛いってばぁ!もうやめてっ!なんでこんな事するのよっ…!
やめて、喉はやめてよはっぱちゃん!リーフブレードなんか使ったら死んじゃうでしょ!やめて、やめ……
END
最終更新:2011年07月30日 22:29