今日も大量にヒンバスを逃がしてやった
いじっぱり?ゆうかん?こうげき上昇とかゴミじゃねえの?
もちろん生まれたそのままで、レベルもまだ1
攻撃技すら覚えていない
水のないところに適当に捨てたら、苦しそうにビチビチもがいてやがった
ああそっか、それは“はねる”だろ?
お前らが唯一覚えてる技だもんな!
ははっ、はははっ!俺が憎いか?復讐したいか?
できるもんならやってみろや、はねることしか能がないゴミが!
はははっ、ははっ、ははははははははっ!
一ヵ月後、立派に育ったミロカロスで俺は
バトルタワーを制した
こいつにはずいぶん金もかけたしな、毛艶だって
コンテストでも十分通用するほどだ
こいつ一匹のために200体以上のヒンバスを逃がしたけど、その価値は十分あるな
俺が育てたポケモンなんだ、世界一のミロカロスに決まってる
そうだ、たまにはこいつも水辺に放してやろう
バトル続きでストレスも溜まってるだろうし、いい息抜きになるはずだ
ここから一番近い水場は…そういやズイタウンの南に湖があったな……
「ほーら、気持ちいいか、ミロカロス?」
水溜りに毛の生えたような小さな湖だけど、ミロカロス一匹が泳ぐには十分の広さがあった
ミロカロスは悠々と湖を泳ぎ回り、日ごろのストレスを癒している
そうやって泳いでいる姿も、やはり優雅だ
…それにしてもこの湖、まったくポケモンがいないな
小さいったって野性の水ポケモンが住み着いてもいいくらいの大きさはある
つか、前ここを通り過ぎたときには結構野生ポケモンもいたはずなんだがな?
…まあいいか、このほうが貸しきりみたいで気分がいいしな
そのときだった
突然湖の水面に小さく波紋ができ始め、大地がうなるような音が微かに聞こえだした
次第に波紋は大きく広がり、同時に音も大きくなっていった
周りの音が聞こえなくなるほどに音が大きくなったとき、湖の底から現れたのは…
「な、何だ!?」
それは大量のヒンバスたちだった
その数は10や20といったもんじゃない、200はいってるんじゃないか?
これだけの量になるとみすぼらしいヒンバスでも圧巻だ…つか、怖い
大量の水しぶきを上げて現れたヒンバスたちは、皆同様に興奮していて、俺に敵意を向けている
な、なんだよ、俺が何したって言うんだ?
ヒンバスたちは水の上をビチビチとはねながら、俺に襲い掛かってきた!
ま、待てよ、このヒンバスって、もしかして俺が逃がしたやつらか?
冗談じゃない!自分が逃がしたポケモンに殺されてたまるかってんだ!
「ミロカロス、“なみのり”だ!」
ミロカロスがおこした波が大量のヒンバスたちを押し流す
が、それもこの数の前では無意味なことで、すぐに後ろから大量のヒンバスが押し寄せてきた
「ヒ、ヒィィィイイイ!!」
俺は無我夢中になってその場から逃げ出した
だがそれも虚しく、ヒンバスの大波が俺とミロカロスに覆いかぶさった!
「ぐえっ!」
何百というヒンバスが俺の体にのしかかる
俺の体の上で執拗に跳ね回っている
く、苦しい…息が、できない……
「たすけて…謝るから…このままじゃ、死んじゃう……」
何とかそれだけ言えたが、ヒンバスたちは動きを止めようとしない
ぐっ、おえっ!やばい、このままじゃ本当に死んじまう!
「
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
息さえもままならない中で、俺は何度もそう呟いた
だがヒンバスたちは、なおも俺の上で激しく跳ね続ける
次第に本当に息ができなくなり、謝る声さえ出すことができない
それでも俺は、必死に口をパクパクと動かし、声にならない声で謝り続けた
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……
作 初代スレ>>395-396
最終更新:2007年10月19日 20:21