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ヴァンパイアブラッド2 - (2005/12/05 (月) 17:05:51) の編集履歴(バックアップ)


家に着くと、ミディアは早速深い眠りについた。
僕はミディアに毛布をかけてあげた。その後、自分の部屋のベランダに出てみた。北風が冷たくて、気持ちよかった。が、楽しい気分にはなれなかった。アダムが溜息を深くついた。
 -と、ドクンッと体が激しく脈打った。
アダムは目を見開き、ベランダの手すりに体をもたれさせた。
 -ドクンッ、ドクンッと、体の中からなにかが湧きあがるような感覚に襲われる。
体が、熱い。骨が融けていきそうだ。
「う・・・・・・っくぁっ・・・・・・・・・・・っ・・・・・ひっ」
苦しい、息が出来ない。目もぼやけてきた。耳がおかしい、何も聞こえない。五感が狂ったみたいだ。
アダムが目を見開き、頭を抑え、低くうなった。
「う・・・・・・うぁっ・・・・・・・・っつ・・・・・・」
何が起こってるんだ!?自分の体になにが起こってるんだ!?
「あ゛あぁああぁぁあぁっぁああああああああああ!!」
「お兄ちゃん?」
アダムが体を震わせながら後ろを振り向くと、毛布をもったミディアがいた。
ミディアは目を見開き、僕の姿を見て、ガタガタと震えていた。
「う゛うぁあぁああっ」
「や、やだ。お兄ちゃんっ、どう、して・・・・なんで・・・・・」
アダムの体はミディアに吸い寄せられるように近づいていった。
「やだ、来ないで。お、お兄ちゃんをどこにやったの!?やだ・・・・・・・・」
ミディアが床に座り込んでしまった。-すると、次の瞬間、僕のつめが急に鋭くなったではないか!
 -止まれ!僕の体っ止まれってば!!
「や、め・・・・ろぉあぁあああ゛ぁあああぁあ!!」
 -やめろー!!!
『なんだ。やっと本能に目覚めたのか』
「っ・・・・!?」
 
 -目の前が真っ暗になった。なんだ、気絶したのか?気絶する前に聞いた声はなんだ?誰だ?

 てゆうか、さっきの僕はなんだったんだ?ミディアを殺そうとしていた。あれは、僕なのか?

 僕じゃないわけは、ないだろう。あれは僕だ。あの、ミディアを殺そうとした化け物は僕だ。間違         

 いなく僕だった!!

「う・・・・・っ」
アダムは目が覚めた瞬間、咳き込んだ。苦しい。まだ、体が少し熱かった。
「う、あぁっ・・・・・・ゲホッ」
『へぇ。回復は早いな』
あ、また。この声。誰の声なんだろう綺麗な声だな・・・。アダムはくらくらする頭を、無理やり起こした。
『ん、起きないほうがいいぞ?だいぶダメージを受けたっぽいからな』
「だ、だ・・・・・れ?」
『それと、君の妹、多分起きたときさっきの記憶残らないからな。安心しろ』
「だれ・・・・なんだよ・・・・・」
『まさか、今日目覚めるとは思わなかったからな。不意打ちを食らった』
「だれなんだ・・・・って聞いて・・・・・っ」
次の瞬間、アダムはそいつに頭を弾かれ、地面に打ち付けた。意識が、朦朧としてきた・・・。
『お前の運命となる者よ』
最後に聞こえた言葉が、それだった。
 
                            :二夜目 変化


 起きたときは、吃驚した。
なんと自分のベッドにパジャマをキチンと着て、寝ているではないか!ミディアも無事だ。
夢ではないかと、疑うほどであったが唯一つ、残った証拠があった。
それは爪だ。爪が5cmほど伸び、鋭く尖っていた。朝起きたらいきなり布団にひっかけ、引き裂いてしまった。これには自分も正直吃驚した。
「お兄ちゃん。今日はお母さんのところに行ってもいいって約束よね?」
ミディアがノックもせずに、僕の部屋に入ってきた。
「う、うん。いいよ。父さんもいくんだろ?」
僕は慌てて引き裂いた布団を自分の後ろに隠した。
「お父さん?え、今日休みなの?」
「休みじゃなかったっけ?聞いてこいよ」
「うん、あ、お兄ちゃんは行く?」
「決めておく」
ミディアがドアを閉め、僕の部屋から離れていった。アダムが安堵の息を吐いた。
どうやら、ミディアは昨日のことは覚えていないらしい。良かった。
 アダムは布団の裂け目をどうしようか、悩んだ挙句縫うことにし、裁縫道具を机の引き出しから取り出した。
裁縫は、はっきり言って嫌いだ。何回も何回も指をさし、血を出す。そして異常な時間と神経が磨り減っているような気になる。-しかし、今日は何か違う。縫っている間、指に一回も刺さなかったし、三十センチほどある裂け目を、いつもなら二十分ぐらいかかるものを今日はなんと八分で終わらせてしまうという最高記録を出せた!!これはどういったことだろうか?昨日のことが関わっているというのか?
アダムは首を横に思いっきり振った。
思い出したくないんだ。昨日のことは、思い出しただけで鳥肌が立つ。僕の中に、一気に闇が進入してくるような感じだ。それに、夢ではないと分かってるから、余計怖い。
「お兄ちゃん?」
アダムが目を開けると、間の前にミディアがいた。
「ど、どうしたの?裁縫道具までだしちゃって。お兄ちゃん、裁縫できたっけ?」
ミディアがクスクスと笑い出した。アダムもわざと笑ってみる。顔がひきつっていると自分でも分かる。
「そうそう。お父さんもいくって」
「じゃぁ、車なんだ」
「お兄ちゃんは行く?」
「どうしよう・・・・・・・・・行こうかな」
ミディアが満足そうに頷いた。
母さんの顔を見たら、昨日の自分を忘れれるかもしれない・・・。そうあることを願うばかりだ。
 父さんに会うのは久しぶりだった。父さんは仕事のせいで目のしたにくまができていた。それ以外は、なんら変わりはないが、髪の毛は薄くなったみたいだ。
 父さんに変わりはない。が、僕に変化が見られた。やけに太陽の光を体が拒むのだ。それと、昼間に外にでると、目が異常に眩む。目が開けていられないほどではないが、とても痛い。それと、爪も尖っている(これは今朝からだ)。朝、着替えているときに思わず服に引っかかりそうになった(ズボンは少し切り裂いてしまった!)。それと、やけに体力がついたと思うし、スピードも速くなってる気がする。バランス感覚も人並み異常だ(これは階段の手すりで試した!)。
やはり、何か変だった。自分の体が、他の人の体のように感じれる。
「お兄ちゃん?どうかした?」
車の中で、ミディアが助手席から顔を覗かせた。
「え、な、なんで?」
「だって、お兄ちゃん。朝から階段の手すりでたって歩いてみたり、家の中を走ったり。変よ?」
「や、その。なんでもないよ」
ふーん、とミディアは疑いの目をアダムに向けた。
「本当・・・・なんでもないんだ・・・・」
アダムは顔を手で覆った。
 母さんは昨日より元気だった。朝からちょろちょろと病室内を歩いていたらしい。
ミディアは早速母さんに飛びついていっていた。
「お母さんっ。元気になったの!?」
「そぉね。昨日よりは元気になったのかもね。ふふっ大丈夫よ、ちゃんと復活するわ」
すると、母さんの視線がアダムに移った。
「そうね、アダム。あと、一ヶ月ってところかしら?」
「え・・・・・?」
アダムは眉を顰めた。あと、一ヶ月・・・・?何が一ヶ月なんだ?
 -『まさか、今日目覚めるとは思わなかったからな。不意打ちを食らった』
アダムが目を見開いた。
母さんの笑みを見ていると、嬉しくなるどころか、不安になっていく。もしかしたら、母さんも・・・?
母さんは僕が変になったことを知らない。けど、母さんは僕がああなることを知っているのかもしれない。本当はあと、一ヶ月後になる予定だったのかもしれない。だけど、何故今になって話す?二人っきりの時間はいくらでも合ったはずだ・・・。
アダムがしたを向いて考えていると、病室のドアをノックする音が耳に入った。ケレート医師だ!
「アダムくん。ちょっといいかな?」
「は、はい。でも、今日は・・・・父さんが「いいから、来なさい」
僕は大人しくケレート医師についていった。
 ケレート医師は、顎鬚をさすりながら浮かない顔でロビーまで僕を連れて行った。
「あの、何です?どうして父ではなく・・・・今日は父もいるんですよ?」
「あぁ。しかし、アダムくんしか信用できないからな。まぁ、座りたまえ」
アダムとケレートは椅子に腰掛けた。
「君のお母さんは回復に向かっていっている。そのことは、見ただけで分かるな?」
「・・・・・・・・・はい」
「・・・これを話すのには気が引けるが、あの者のお願いだから仕方ない・・・」
「あの者?」
しかし、その問いは無視され、話は続けられた。
「まさか、こんなに早く君が本能に目覚めるとも思わなかったんだが・・・・」
「本能・・・・?」
 -『なんだ。やっと本能に目覚めたのか』
「・・・なんで、知ってるんですか?」
ケレート医師が溜息をついた。
「生憎私もその関係者だ」
アダムはカッとなり、何時の間にかケレート医師の前にたっていた。
「なんだよそれっ、僕がああなるのを知ってたのか!?なんで教えてくれなかったんだ!!」
「教えても、信じないと分かっていたからだ・・・・兎に角座れ」
「何を・・・!!「座れといっている」
ケレート医師ん凄みのある声にアダムが肩を振るわせた。アダムは仕方なく、椅子に座りなおした。
「君のお母さんは、一週間前に死ぬ予定だったのだ」
アダムに衝撃が走った。
「え・・・・・?」
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