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「っ!服よりまず靴だな……」

 A-08。この島で一番険しい断崖があるそのエリアは、大半を雑草混じりの荒れ地が占める。全裸ということは当然素足であるプルツーにとって小石は地雷のようなものだ。一歩一歩慎重に歩かなくてはならず、早くも疲労を覚えてきた。しかし彼女が足を止めることはない。別にどっかの鉄華団の団長命令が下ったわけではなく、彼女には明確な目的地があるからだ。
 この鬼ごっこでは、子の役の参加者は会場にランダムに配置されるのに対し、親の役の参加者は飛行機から落下傘で降下されることとなっている。つまり、親の初期位置は特定しやすい。特に空を見上げ自分からほど近い場所に落ちてくる親を子が見た場合、その位置は容易にあたりをつけられる。プルツーも空から落ちてくる落下傘を見つけた一人であった。
 飛行機と落下傘という組み合わせを考えるに、落下物は人間か物資かあるいは両方であろう。プルツーとしては接触するに他ない。とにかく服と靴だ。裸はキツい。足が痛い、ハンパなく。状況の解明より何よりまず衣食住の衣を満たす必要があるのだ。故にプルツーは荒れ地を進んでいき。

「そこのお前、所属は。」
「わぁっ!」

 小岩に跳躍すると影に隠れていた男児の上をとり誰何する。倒れ込みながら小さく悲鳴を上げたところに再び跳躍しマウントポジションをとると腕を捻り上げた。


「うぅ……身ぐるみを剥がされるってこういうことなんですね……」
「殴るぞ。あとこっち見るな。」
「見ませんし服も貸しますよ……女の子を裸で放っとけませんし。」
「嘘つけ絶対見てたぞ。」

 数分後、靴とズボンと上着を取られ、靴下ともっさりとしたブリーフのみとなった男児こと円谷光彦の姿がそこにあった。
 初期位置のすぐ近くで落下傘を見つけた彼は、そこに銃器を持った大柄な男がいることに気づき、男が海岸線の物陰を伝いながら立ち去るのを距離をとって追っていたのだが、そこでプルツーの接近に気づいたのである。どちらかといえば男の進行方向側から来た彼女は男とニアミスし、男の落下傘目指し歩いていたのだが、そこでニュータイプ的な勘の鋭さでプルツーはじっと見ていた光彦の視線に気づき、あっさり居場所を探り当てて今の状況である。

「で、光彦だったか。お前も気づいたらここにいたんだな。」
「はい、えっと……」
「……プルツーだ。」

 不機嫌そうに名乗るプルツーに、光彦は改めて自分がここに来るまでのことを話した。といってもこの数分服を毟られていた時に話させられたこととほとんど一緒のことだ。つまり、「気づいたらこの見知らぬ場所にいた」ということだけである。その境遇はプルツーも同様であり、わかったことは自分と同じように拉致られたらしい子供が他にもいたということぐらいだ。

「あ、そういえばいつの間にかズボンのポケットにお守りが入ってたんです。一緒に付いてた紙に書いてある文章からするとこの状況に関係あるかもしれません。」
「お守り……?これか……『生きている参加者一人を対象に選んで発動する。対象が『鬼』だった場合、お守りを対象にぶつけると対象は死亡する。使用後自壊する。』……武器か?」
「中身を見た限りただのお守りだと思うんですが……その、チラシの内容も考えると、イタズラというよりかは何かのゲームのアイテムのような気が……」
「ICチップか何か入ってるんだろう。人間の皮膚にも同じものを埋め込んで鬼かそうじゃないかを区別している……とか?」
「なるほど!」

 一つ理解が進展である(些か勘違いはあるが)。
 その後も二人は赤い空や海上の霧について一通りわけがわからないという認識を共有すると、話はここに来てからのことに移る。その中で光彦が男を追跡していたという話になると二人で男を追う運びとなった。なにせ地図も何もないのだ、男以外に目印どころか人の気配すらない。脅威も不透明だ。その点男の後を追えばいくらかの安全は保証される。銃を持った男が生きて歩き続ける限り――カナリアとして。




「何やってんだアイツら……」

 一方そんなプルツーと光彦の一部始終を――つまりプルツーが服を剥ぎ取り光彦と共に歩き始めるまでを――見ていた男がいた。
 他でもない光彦が追っていた男、鉄華団団長のオルガ・イツカである。
 彼はプルツーに気づきながらも全裸だったことから己の目を疑い、あちらが気づいてなさそうだったのでとりあえず歩き続けていたのだが、自分の跡を追っていたらしい子供を彼女が拘束したタイミングで無視もできなくなり光彦達を監視していたのだ。
 オルガは改めて子供たちを見る。女の方は全裸でかつ身奇麗だ。男の方もアジア系らしい身奇麗な子供である。これを考えると、あの二人がストリートチルドレンという可能性は低い。距離があるのでもちろん詳細はわからないが、全裸であることと身奇麗であることは少なくとも矛盾するのだ。そしてその後女の方が男の方の服を着だしなにやら会話をしだした。このことから考えられることは……

「……フッ。そういうことか。」

 極めて簡単なことだ、あの二人はデキてる。オルガは察した。

 さてこうなるとオルガとしては行動を変更する必要がある。なんにせよ自分を着けていた男は不審だ。原住民かどうかは不明だが、尋問すれば一応なにかを聞き出せるかもしれない。女連れならそちらを人質にすることも、まあ、考えうる手だ。であれば取る手は一つ。待ち伏せる。

(二人ともこっちに向かって来るな。)

 オルガは岩の隙間から確認するとUZIを持ちながら接近を待つ。こちらには機関銃、あちらは文字通り丸腰、遅れを取るとは思わないが、生前の記憶から狙撃されることを警戒し限界まで姿勢を低くする。この訳の分からない状況を打開すべくタイミングをはかる。
 鬼ごっこ開始から三十分、剣呑なる出会いが起ころうとしていた。



【A-08/00時30分】

【プルツー@機動戦士ガンダムZZ】
[役]:子
[状態]:健康、光彦の服と靴を身につけている
[装備]:『スマートフォン(子)』、『お守り』
[道具]:
[思考・行動]
基本方針:生き残る
1:まずは光彦が見つけた男(オルガ)の跡をつける。
※自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。
※地獄の雰囲気にのまれてニュータイプの力が若干鈍っていましたが、慣れつつあります。
※36話のコールドスリープから目覚めた後の参戦です。

【円谷光彦@名探偵コナン】
[役]:子
[状態]:健康、パンツと靴下のみ
[装備]:なし
[道具]:DBバッジ(現在通信不能)
[思考・行動]
基本方針:出来れば子と合流。
1:生還の為に行動する。子や親らしい相手と合流したい。
2:このゲームは誰が、どのように、何故行ったのかを考える。
※その他
自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。

【オルガ・イツカ@機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ】
[役]:親
[状態]:健康
[装備]:UZI@現実
[道具]:デイパック(不明支給品1)
[思考・行動]
基本方針:とにかく生き残る。
1:子供(プルツーと光彦)を待ち伏せて尋問する。
※その他
自分の役・各役の人数・会場の地図・制限時間は全て未把握。
各役の勝利条件は一応把握。
最終更新:2018年06月02日 04:06